2024年7月
□■展示会レポート■□
こんにちは。鳥取県東南アジアビューローの辻です。
自動車産業の集積地であるタイは、製造業は国のGDPの約30%を占めており、観光業と並んで国の重要な主要産業となっています。製造業関連の展示会も毎年様々な展示会が開催されています。今回はその製造業関連の展示会「INTERMACH / SUBCON THAILAND 2024」についてのレポートと、出展企業のインタービューをお伝えします。
INTERMACH / SUBCON THAILAND 2024
タイにおける製造業関連3大展示会のひとつINTERMACH / SUBCON THAILANDがアセアン最大級展示場のBITEC(バンコク国際展示場)で5月15から18日まで開催されました。(他の2つの展示会は6月19-22日に開催予定のMANUFACTURING EXPO および 11月20-23日開催予定のMETALEX)
この展示会は2つの別々の展示会が開催場所と時期を同じくして開かれるものです。それぞれの展示会の概要は以下の通りです。
INTERMACH
部品加工に関係する工作機械(マシニングセンター、シートメタル加工、溶接、レーザー加工、プレス等)や、それらに必要な測定器類や付帯設備、またFA関連(ロボットなど)企業の出展がメインとなります。
SUBCON THAILAND
その名の通り、製造業における下請け関連、自動車産業で例えるとティア3以下の部品量産関係と、その関連製造及びサポート企業等の展示会です。
今年はINTERMACHには204、SUBCON THAILANDには208の企業及び関連団体が出展し、来場者数は44,773人と、昨年の来場者数42,011人に対して微増という結果になりました。
タイ製造業におけるトレンド
現在のタイの製造業界のトレンドとして注目されているのが「BEV(バッテリー式電気自動車)」です。本展示会においてもBEVの促進を狙う主催者の意図が垣間見えるところが多くありました。会場のエントランスロビーには、中国メーカーBYDの電気自動車、TOYOTAのBEVピックアップトラック、そして将来の期待の星としてTOYOTA MIRAIが展示されていました。
その他にも、THAI SUBCONのSHOWCASEには、シンガポール企業、KRONOS MANUFACTURINGがタイで製造している電動バイク、車いす、小型ショベルカーが展示されていました。
Thai Subcontracting Promotion Association(タイ下請振興協会、以下 THAI SUBCON)の役員の方に話を聞くと、今年後半にBYDがタイで製造を開始し、それ以降も複数のBEVメーカーがタイで順次製造を始めるが、殆どの部品が中国企業製となるため、タイ企業がそこに入り込むのは難しいのではないか、とのコメントでした。
3月末に開催されたバンコク国際モーターショー2024(即時予約販売会)でも、政府補助金の助けもあり、成約台数の3台に1台(33%)がBEVだったことからも、タイにおけるBEVの盛り上がりが見て取れます。
その一方で、現時点ではBEVはほぼ中国からの輸入となっているため、今後の市場のトレンドが、タイの既存の製造企業にどのような影響をおよぼすのか、まだ見えていない現実があるようです。
展示会に参加をしてみての考察
前述の通り、INTERMACH では工作機械及びその周辺機器関連の展示が主になっています。6月19−22日に行われるMANUFACTURING EXPOや11月のMETALEXと同系列企業の展示会となります。但し、最新技術の展示ではないということもあり、中国製の機械が目立ちました。
またSUBCON THAILAND との関係もあり、やはり部品製造(主に量産)に関係する工作機械、測定器、SI(システムインテグレーション)関連の出展が多い印象を受けました。
※SI(システムインテグレーション)=システムの企画・導入から運用まで一貫して担当するサービスのこと
SUBCON THAILAND は、THAI SUBCONが主催しており、部品加工(主に量産)企業や製造付帯設備製造販売関係の中小企業がメインにブースを構えます。ここで感じたことは、日系企業が多く出展していたということです。208ブース数中52ブースが日系企業のブースでしたでした。このエリアの特徴として、出展企業間での商談も盛んで、出展企業と訪問者との面談のみならず、出展社同士での情報交換の機会としても機能していました。それほどに参加企業の出展製品のバリエーションが豊富な印象を受けました。
SUBCON THAILAND出展企業インタビュー
今回のSUBCON THAILANDに出展していたタイ企業に対し、現在の業績や抱えるニーズについてインタビューを行いました。
【SP Group Company / Chanchai社長】
「従来は自動車部品、家電部品(洗濯機、冷蔵庫関係)の製造を行っていましたが、この分野での将来的な成長は期待できないので、新しい事業の掘り起こしが重要だと考えています。最近では、これまでに培ってきた自社の強みを生かし、ホームケア事業として介護用ベッドの開発、製造販売を始めています。また事業継承ということでは、自動車関連事業は息子のマークに、ホームケア事業は娘のミンに責任を持たせています。」
このように、BCP(事業継続計画)と応用展開新規事業を急いでいらっしゃる様子でした。介護用ベッドや介護機器でのグローバル展開に関して協業できる企業があれば、ぜひ話をしたいとのことです。
【SK POLYMER CO., LTD. /SUPOTE社長】
「自動車、家電、エアコン、日用品、医療など、全方位事業のゴム関係の製造をしています。目下の事業は好調で、特に医療関係製品の製造が好調です。全ビジネスカテゴリーに対応して製造しているため、ある分野の業績が悪くても他の分野でバランスを取ることができるので、これがわが社の強みです。」
SUPOTE社長によると、ナチュラルゴムを原料にした高耐熱やその他に付加価値のある技術をもった企業の紹介を希望していました。
【THAI ROKUHA CO., LTD. WARAKORN社長】
「研磨機のオーバーホール(日本企業と協業)、付帯設備商社、SI設計製作を展開しています。目下のところ売上は順調ですが、今後はSIを強化していきたいので、良い設計会社があったらぜひ話がしたいです。」
それ以外にもタイ企業の社長何名かとお話しましたが、共通して話されていることが、「現状維持では将来がないので新規事業を進めなければならない。これまでの実績や培ってきた技術をベースに応用展開、横展開が必要」ということでした。その上で「やはり技術は日本」という認識をされていて、昨今中国企業の進出が目立つタイの中でも、「日本企業との協業を模索していきたい」というタイ企業の意向を強く感じました。
最後に
電気自動車など中国メーカーのタイ国内での台頭が目立つ近年ですが、中国やアジア諸国とタイ企業との取引が増える中で、やはり日本の技術は信頼がおける、ということを身をもって実感された方も増えてきているように感じます。多くの企業が新規事業の展開を検討している今だからこそ、生まれる新たなビジネスチャンスがあると思われます。
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