1 調査日時 平成19年8月27日(月)~29日(水) |
2 調査箇所 【8月27日(月)】 (1)福島県議会 ・森林環境税を財源とした森林保全の取組み ・歩いて暮らせるコンパクトなまちづくり ・福島県中小企業振興基本条例(議員提案) ・県産品の販路開拓、拡大に向けた取組み(上海、首都圏)
【8月28日(火)】 (1)裏磐梯ビジターセンター エコツーリズムの取組み (2)いわはし館(猪苗代町振興公社) 蕎麦による農業・観光振興 (3)福島県農業総合センター ・試験研究機関の再編統合 ・「ふくしま型有機栽培」等による産地づくり (4)福島県森林ボランティアサポートセンター 森林環境税を財源とした県民参画の取組みなど
【8月29日(水)】 (1)愛媛県東京事務所、香川・愛媛せとうち旬彩館 香川県との共同による首都圏アンテナショップでの販路開拓・拡大の取組み (2)鳥取県東京事務所 東京事務所における産業振興に向けた取組み (3)いわて銀河プラザ 首都圏におけるアンテナショップの運営状況 (4)横須賀リサーチパーク 産学官連携による研究、開発、人材育成の状況など |
3 調査委員 興治委員長、森岡副委員長、山根委員、藤井委員、小谷委員、斉木委員、湯原委員、前田(八)委員、錦織委員 |
4 随行者 鳥取県議会事務局議事調査課 主幹 岡田仁男、副主幹 山根貴徳 |
|
今回の県外調査は、福島県、東京都、神奈川県で経済産業常任委員会所管の事項である経済・農林水産分野のうち、商工業、農業、林業分野について関係団体の現状や取り組み状況について調査を実施した。 |
|
「福島県議会」では、先進的な5つの取り組みについて調査した。 「森林保全税を財源とした森林保全の取組み」では、税額一人当たり1,000円と全国で最も高い額を設定している経緯・理由についての説明を受けた。県民の意識の高まりとともに、使用目的を明確にした取り組みは参考になった。 歩いて暮らせるコンパクトなまちづくり”を目指して制定された「商業まちづくり推進条例」、また議員提案条例で制定された「中小企業振興基本条例」は、福島県の最重要課題である産業の振興と雇用の確保のための施策である。本県においても福島県が条例を制定するに至たるを抱えているため、福島県の積極的な取り組みは大変参考となった。しかし、この内容をそのまま本県に適用するかどうかについては、さらなる検討が必要であると感じた。 「上海チャレンジショップ」(業者向けの店舗)では、福島空港からの上海への直行便を活用し、また、取引が発生した場合に課題となる物流の円滑化を図るため、クロネコヤマトに運営を委託するなど、先駆的な取り組みを行っていた。 福島県の首都圏アンテナショップは、主に農産物・加工品の販路開拓のため、イトーヨーカドー(江戸川区葛西)に出店しており、費用対効果を考えた場合、参考になる取り組みであった。 また、福島空港からはソウルへの直行便があり、搭乗率も7割で推移するなど好調であった。福島県空港だけでなく、仙台イン・福島アウト、福島イン・成田アウトなど、広域な観光ルートが設定されており、バリエーションの豊富さが搭乗率を押し上げている一因であると感じた。
「裏磐梯ビジターセンター」では、環境省主催のエコツーリズム推進モデル地区にも選定された裏磐梯地区におけるエコツーリズムの取組みについて調査を行った。エコツーリズムの有用性は認識できたが、エコガイドとして生計を立てていくことの難しさ、エコツアーを環境保全活動にどう結びつけていくかなど、難問が山積していることが感じられた。大山で新たに取組みが始まったエコツアーの参考としたい。
「福島県農業総合センター」では、有機栽培による産地づくり等について調査を行った。“時代は有機栽培や減農薬・減化学肥料栽培への転換を求めている”との認識のもと、環境共生型農業を目指し、センター内に有機農業推進室を設置、農業団体・生産者・消費者と連携を図り有機農業等技術の推進体制を構築されていた。昨年12月、有機農業推進法が成立するなど有機農業の推進が進められているなか、福島県における先駆的な取組みは参考となった。
「福島県森林ボランティアサポートセンター(フォレストパークあだたら)」では、森林環境税による県民参画の取組みとして「森の案内人」の育成制度が目を引いた。この制度は、森林の必要性や重要性を県民に広く伝えるボランティア指導員を、規定の講習を受けた後に福島県が認定する制度であり、毎年30名程度、現在までに320名養成したとのことであった。本県でもこのような指導員の存在は必要であり、今後、森林保全の普及啓発に向けたリーダー養成に力を入れる必要を痛感した。 |
|
「鳥取県東京事務所」では、企業誘致・Uターンの取組み・販路開拓・観光客誘致等について調査を行った。首都圏における本県のイメージが明確になっていないこともあり、どの分野の取組みも苦戦を強いられているようだった。
「愛媛県東京事務所」「香川・愛媛せとうち旬彩館」では、2県共同で出店しているメリットについて、「いわて銀河プラザ」ではワンフロアの店舗面積が最大で、アンテナショップの外に観光案内、企業誘致、Uターン等の複合で展開している状況について視察した。共に立地条件が良く売り上げも好調に推移していたが、店舗の賃貸料が高く、アンテナショップの役割を収支に反映させるか課題が残っているようである。
神奈川県横須賀市では、無線通信関係の研究開発拠点で国家プロジェクトでもある「横須賀リサーチパーク(YRP)」を調査した。基本構想が30年前に立てられ、現在設立10周年を迎えている。無線情報通信という時代にあった取り組みであるが、先を見据えた計画であり、堅実な成長は、緻密な将来計画と参加企業の和を大切にした運営が成功の秘訣とのことであった。ただ、構成企業は大企業が殆どで地元中小企業との連携がはかれないことなど、地元の中小企業対策には結びつかないという課題も抱えているようであった。
今回の調査結果を本県の産業経済の振興施策の参考としたい。
又、2日目の夕刻になったが、旧鳥取藩士による安積開拓の歴史を展示してある「開成館」を訪問した。鳥取の高校生が訪問した際に発見した文書を手がかりとして、鳥取を紹介した充実した内容の展示室があり、その他のスペースにも鳥取市と姉妹都市提携を行っている郡山市との交流の様子など、福島県が身近に感じられた。
アンテナショップについては、銀座周辺で「香川・愛媛県」、「高知県」、「岩手県」各県のアンテナショップの運営状況を視察した。(愛媛県については東京事務所で事前に聞き取りも実施)
(見学) 独立行政法人情報通信研究機構で、 ・Sバンド移動体通信衛星用端末機の開発 ・VHF帯防災用高度無線中継システム の実演見学 |