平成21年2月26日
鳥交企例規第2号
催し物、路上競技及びカーレースに伴う道路使用許可について、路上における催し物等の開催要望の背景に地域の活性化を目的とした自治体等の施策が関係していることにかんがみ、催し物等の開催に伴う道路使用許可に対する留意事項を別添「催し物、路上競技及びカーレースに伴う道路使用取扱要領」のとおり定め、平成21年3月1日から施行することとしたので、事務処理上遺憾のないようにされたい。
別添
催し物、路上競技及びカーレースに伴う道路使用許可取扱要領
第1 目的
この要領は、催し物、路上競技(カーレースを除く。)及びカーレース(以下「催し物等」という。)の開催要望の背景に地域の活性化等を目的とした自治体等の施策が密接に関係していることにかんがみ、路上における催し物等に伴う道路使用許可に対する基本的考え方、道路使用許可の可否の判断に当たっての留意事項を定め、適切な取扱いに資することを目的とする。
第2 定義
1 この要領において「催し物」とは、地方公共団体等が関与して行われる地域活性化等を目的とするイベント等の催し物(オープンカフェ等を含む。)、映画ロケーション等をいう。
2 この要領において「路上競技」とは、マラソン、駅伝、自転車ロードレース、トライアスロン競技等の道路を使用して行われる競技(3に規定するカーレースを除く。)をいう。
3 この要領において「カーレース」とは、次に掲げるものをいう。
(1) レース 同一コース上において2台以上の車両が同時に発走し、決められた距離を最初に走りきった者、あるいは決められた時間内に最長距離を走った者を優勝者とし順次順位を決定する競技をいう。
(2) ラリー 定められたルートを指示された速度に従って走破し、指示通りの運転の正確さを競う競技をいう。オーガナイザー(競技運営者)が算出したルートごとの所要時間に対して各参加車両の所要時間の誤差を減点法で競うリライアビリティランが一般的であるが、特定区間の最速タイムを競うタイムトライアルが競技に盛り込まれることもある。
第3 路上において催し物等を行う場合の道路使用許可についての基本的考え方
1 一般的な催し物に伴う道路使用許可
道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第77条第1項第4号の規定に基づく鳥取県道路交通法施行細則(昭和35年鳥取県公安委員会規則第8号。以下「細則」という。)第12条において、道路使用許可を受けなければならない行為として、道路において催し物等を実施することが規定されており、道路において催し物等を行おうとする者は、警察署長の道路使用許可を受けなければならない。この場合において、地域住民や道路利用者等の合意に基づいて行われるものについては、オープンカフェ等の経済活動も含め、地域の活性化に資するという社会的な意義を有する場合があることから、当該催し物等に伴う道路使用許可については、その手続が円滑に行われるよう配意すること。また、当該催し物等に伴う道路使用許可の可否の判断は、警察署長が法第77条第2項に基づいて個別具体的に行うこととなるが、同項第3号に該当するものとして、交通への影響の度合いを上回る公益性があると判断するに当たっては、当該催し物等の開催目的とともに、当該催し物等のために道路を使用することについての地域住民、道路利用者等の合意形成の度合いを見定める必要があることに留意すること。
2 路上競技及びカーレース開催に伴う道路使用許可
路上競技及びカーレース開催に伴う道路使用許可の可否の判断に当たっては、使用する道路が長距離にわたり、交通規制が長時間に及ぶなど交通に及ぼす影響が大きいことから、これを上回る公益性があるかをより慎重に検討すること。特にカーレースは長期間、広範囲の道路において、車両及び歩行者の全面通行止めを実施する必要があることに加え、沿道住民や沿道の建築物等に危険を及ぼす可能性が高く、開催中は著しい騒音等が生ずることとなることなどから、カーレースを実施することにより影響を受ける地域住民、道路利用者等の合意形成の状況について慎重に見極めること。
なお、沿道住民、観客、ドライバー、競技関係者等の安全性が確実に担保されていることが実施の前提であることに留意すること。
3 催し物等に伴う道路使用許可手続の円滑化のための措置
(1) 事前相談への適切な対応
路上における催し物等に伴う道路使用許可手続が円滑に行われるためには、当該催し物等の実施主体から警察に対して十分な時間的余裕を持って事前相談がなされることが望ましいことから、実施主体にその旨を周知するとともに、実施主体から事前相談がなされた場合は、交通管理の観点から適切な助言、情報提供等を行うこと。
(2) 地域住民、道路利用者等の合意形成の円滑化を図るための措置
ア 催し物等のために道路を使用することについての地域住民、道路利用者等の合意形成は、実施主体の責任においてなされるべきものであるが、警察は、実施主体に対して、必要な助言、情報提供等を行うことにより合意形成の円滑化に協力すること。
イ 地域住民、道路利用者等との合意形成の円滑化を図るために果たす地方公共団体の役割を踏まえ、必要な助言、情報提供等を行うなどして、合意形成の円滑化に向けた地方公共団体の取組みとの連携に努めること。
ウ 地域住民、道路利用者等の合意形成の円滑化を図るため必要があると認められるときは、合意形成の状況、合意形成のために必要な措置等について検討を行うため、実施主体に対して、地域住民、道路利用者等から構成される協議会等の協議の場の設置を求めること。
なお、新しい協議の場を設置する代わりに、警察署協議会等の既存の枠組みを活用することとしても差し支えない。
エ 協議の場には、次の者が参画するとともに、催し物等の規模によっては、パブリックコメント等の手法を用いて当該道路を利用する当該地域外の道路利用者の意見を協議の場に反映させる措置に配慮することが望ましい。
(ア) 催し物等の実施主体
(イ) 地方公共団体の職員
(ウ) 地域住民や地元商店街の代表
(エ) 地元商工会議所やTMO(Town Management Organization)の代表
(オ) 地元運送事業者(バス、タクシー事業者等)の代表
(カ) 沿道の大型商業施設等の経営者
(キ) その他協議の場への参画を得る必要のある者
オ 警察は、オブザーバーとして協議の場に参加するなどにより、催し物等が実施される場所の道路交通の状況、交通規制の実施状況、類似する催し物等の実施による周辺交通への影響や地域住民、道路利用者等から寄せられた苦情の有無等について必要な情報を提供するとともに、より交通への影響を少なくするための実施方法等について適切な助言を行うこと。また、道路占用許可の主体である道路管理者に対しても、協議の場への参加を求めるなど、連携を図ること。
カ 催し物等の実施主体が行う協議の場の運営に対して、必要な協力を行うこと。
キ 催し物等の実施に伴い地域住民、道路利用者等から警察に対して要望、意見、苦情が寄せられた場合は、可能な範囲でこれを集約し、実施主体に提供すること。
第4 その他実施事業別の留意事項
1 路上競技
路上競技に伴う道路使用は、当該路上競技が次の(1)から(5)までに該当するかどうかを慎重に検討すること。
(1) 路上競技の目的
スポーツ振興、青少年の健全育成、地域活性化等の公益目的を有するものであること。
(2) 地方公共団体の関与
路上競技の実施に地方公共団体が関与(主催、共催、後援、支援等)していること。
(3) 使用する道路及び交通の状況
ア 原則として、主要幹線道路、幹線道路、路線バス通行道路その他の交通量の多い道路又は地域住民の日常生活の基幹となる道路等を使用するものでないこと。
イ 競技実施に伴い、順行の交通の通行止め規制が必要となる場合は、規制時間が交通の著しい妨害とならない時間内となるように計画されていること。
ウ 原則として、競技実施に伴い対向の交通の通行止め規制を実施する必要がないものであること。ただし、やむを得ず対向の交通について通行止め規制が必要となる場合は、規制時間が長時間に及び交通の著しい妨害とならないように計画されていること。
エ 競技実施に伴い通行止め規制が必要となる場合は、使用する道路について、予想される交通量を処理できるう回路が確保されるとともに、緊急自動車の走行路が確保されていること。
(4) 競技の内容、実施方法等
ア 実施する日時は、原則として交通量の少ない曜日(日曜日又は祝日)、時間帯が選定されていること。
イ 原則として道路に施設を設けるものでないこと。
ウ スタート及びゴール地点が、原則として道路外に設定されていること。
エ コース内の適当な場所に関門を設けるなどして、競技参加者の整理を行い、競技実施時間が長くならないように計画されていること。
オ 自転車ロードレースの出発地点における自転車置場は、原則として道路外に設置が計画されていること。
カ 競技に使用する自動車は、審判長車その他必要やむを得ない最小限のものが計画されていること。
(5) 実施主体の講ずる措置
ア 使用する道路の必要な箇所に、責任者及び自主整理員を配置するなど、実施主体の責任において、競技及び観客の安全を確保するため適切な体制が整備されていること。
イ 地域住民、道路利用者等に対する事前広報について必要な措置がとられていること。
ウ 競技者及び観客の安全を確保するため、観客の多数集まる場所にロープを張り、必要な自主整理員が配置されていること。
エ 自転車ロードレースのコース内のカーブ箇所には、必要な防護柵、防護クッション等を配置するとともに、必要な自主整理員が配置されていること。
オ 自転車ロードレースのコース内の道路に側溝がある場合には、原則として側溝に蓋がされていること。
(6) 生活安全部門との連携
トライアスロン競技に伴う道路使用の許可に際しては、同競技は、陸上及び水上の競技が一体をなしている競技であるので、競泳競技に係る水難、紛争等の防止について生活安全部門との連携を密にすること。
2 カーレース
カーレースに伴う道路使用許可の可否の判断に当たっては、次の(1)から(3)までに該当することがその前提となることに留意すること。
(1) 安全性の確保
次のア及びイのいずれにも該当すること。
ア コースの構造(直線部の長さ、曲線部の半径、幅員、勾配、路側帯、縁石、路面の素材等)、防護設備(待避地域、砂利の敷設、ブレーキ路面、ガードレール、コンクリートブロック、タイヤバリア、防護柵等)その他の設備(距離標示板、観客席、ピット設備、緊急車両の通行路等)が国際自動車連盟及び社団法人日本自動車連盟の安全基準に合致していること。
イ アのほか、沿道住民、観客、ドライバー、競技関係者等の安全性が確実に担保されていること。
(2) 実施主体による自主警備体制の確立
鳥取県公安委員会による車両及び歩行者の通行禁止規制を担保するための自主整理員の配置等、競技の安全性を確保するために必要な警備を実施する体制が実施主体により確立されていること。
(3) 実施主体による緊急医療体制の確立
競技中の事故に備えて医師及び救助員並びに救助用資機材が確保されているなど、実施主体による緊急医療体制が確立されていること。