見通しの良い交差点での事故防止(周辺視について)
~えっ!見通しの良い交差点で事故?~
例えば鳥取県内によくある田んぼの中の交差点。周囲の見通しも良く、交通事故は発生しそうにありません。
しかし、実際にはこのように見通しの良い交差点でも出会い頭事故が発生しています。
この事故の特徴はいくつか挙げられます。
第1に昼間の発生が多いこと。
第2に当事者は高齢者が多いこと。
第3に事故原因を尋ねると、「衝突するまで相手車両に気がつかなかった。」と答える人が多いこと。
このように、昼間、見通しの良い交差点で、接近する相手車両に気がつくことなく衝突事故を起こしているという不思議なことが起こっているのです。
そして、このような事故の場合、減速しないままの衝突となるので、重大な事故となることが多いのです。
この不思議な事故の要因は、人間の目の機能にあったのです。
止まって見える相手車両
運転者の視野の中で、交差点に進入してくる相手車両との位置(度)が変化し、図1のように運転者の視野の中で相手車両との位置関係(角度)が変化しない場合には、相手車両の存在に気がつくのが遅れ、衝突の危険性が高まります。
実験の結果では、視線を左右に動かさないで正面だけを見ていると、衝突するタイミングで接近する相手車両の発見が遅れ、極端な場合は、交差点の手前まで接近しても相手車両に気がつかないケースもありました。
一方、衝突しないタイミングで接近する場合には少なくとも交差点の60m手前では相手車両を発見できたのです。
【図1】
事故原因は目の機能
このようなことが起こる原因は、人の目の機能にあると考えられます。人の目の視野は中心視野と周辺視野に分けられます。(図2参照)。
【図2】
中心視野は分能が高く、物を詳細に見ることに適しています。一方、周辺視野は動きに敏感に対応できます。
人間は、周辺視野で動く物を異常ととらえ、中心視野でその詳細を把握するシステムが備わっています。
図1で紹介した衝突する場合は、運転者の視野の中で相手車両は動かないため、異常としてとらえないこととなり、相手車両が接近することに気がつかないのです。
事故にあわないためには
このように、見通しの良い交差点での出会い頭事故は、人間の目の機能に深く根ざしたものであると言えます。
このような事故に遭わないため、次の点に注意しましょう。
○ 相手車両に気がつくために
・ 交差点があることを認識する。
・ 顔を左右に向けてしっかり確認する。
・ 減速して確認する。
・ 一時停止がある場合は、必ず一時停止して左右を確認する。
○ 相手車両に気がついたら
・ 減速または一時停止し、相手車両の動きをよく見ましょう。
(同じ原因で、相手があなたに気がついていないかもしれません。)
(財団法人日本自動車研究所の資料を参照)