猟銃安全指導委員制度の運営について(例規通達)

猟銃安全指導委員制度の運営について(例規通達)

平成22年2月19日
鳥生環例規第2号
  改正 平成27年鳥務例規第2号、平成30年第3号、令和2年鳥務例規第3号、令和2年鳥務例規第13号、令和4年鳥生企例規第1号
 
 猟銃安全指導委員制度については、銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号。以下「法」という。)、猟銃安全指導委員規則(平成21年国家公安委員会規則第12号。以下「規則」という。)及び猟銃安全指導委員の委嘱等に関する規程(平成22年鳥取県公安委員会規程第1号。以下「規程」という。)によるほか、当該制度の運営を下記のように定め、平成22年2月19日から施行することとしたので、その適正かつ効果的な運用に努められたい。
                     記
第1 心構え
  猟銃安全指導委員(以下「委員」という。)は、猟銃の所持及び使用による危害を防止する目的で活動するのであるから、職務を遂行するに当たっては当該目的を十分銘記させる必要がある。また、委員は法第4条第1項第1号の規定による猟銃の所持の許可を受けた者(以下「猟銃所持者」という。)に対する猟銃の操作や保管の方法等についての助言等を地域社会を基盤として行うことから、人格識見の向上並びに専門的知識及び技術の習得に努めさせることが必要である。そのため、規則第1条に規定する委員の心構えについては、委嘱時研修等の機会をとらえて積極的に教養すること。

第2 委嘱
 1 警察署長の推薦
   規程第3条に規定する活動区域を管轄する警察署長(以下「所轄署長」という。)は、規則第2条第1項の規定により委員の推薦をするときは、活動区域内に居住し、当該活動区域の事情に精通していると認められる者について、法第28条の1第1項各号に定める委嘱の要件を満たしているか否かを慎重に判断した上、その適任者を次の事項を明らかにして、上申書(様式第1号)により生活安全部生活安全企画課長(以下「生活安全企画課長」という。)を経由して警察本部長(以下「本部長」という。)に上申するものとする。
 (1) 氏名、住所、年齢、職業、家族の状況、経歴(ボランティアとしての活動歴を含む。)及び健康状態
 (2) 猟銃等射撃指導員等法に関する資格
 (3) 猟銃事故歴及び法の違反歴
 (4) 関係団体からの推薦等委員として適当と認められる理由
 2 委嘱の要件
   法第28条の2第1項各号に定める委嘱の要件を満たすか否かの判断は、次に定めるところにより行うものとする。
 (1) 人格及び行動について、社会的信望を有すること(第1号)。
    人格識見ともに優れた立派な者であるとして地域住民からの信頼が厚く、地域からの協力を得やすい者であることをいう。
 (2) 職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること(第2号)。
    猟銃の所持及び使用による危害を防止するための活動について、熱意とおう盛な使命感を持つとともに、自主的、自発的な活動を可能にするだけの時間的な余裕を有することをいう。
 (3) 生活が安定していること(第3号)。
    経済的、社会的、家庭的に見て、生活基盤が安定していることをいう。経済的観点から見ると、委員は名誉職であることから、その給与等に頼らなくとも十分に生活できるものをいう。
 (4) 健康で活動力を有すること(第4号)。
    心身ともに健康であり、委員としての活動を行うことによって、精神的又は肉体的に支障を来すおそれがないことをいう。このような要件を満たす限りにおいては、高齢者等であっても支障はないが、活動力等の面から、慎重に適格性を判断することが望ましい。
 3 委嘱人数
   活動区域ごとの委嘱人数は、委員が当該活動区域内の猟銃所持者の状況を適切に把握でき、当該委員を中心としたコミュニティ作りに適した人数となるように当該活動区域内の猟銃所持者数等を踏まえて、活動区域ごとに判断することとなるが、人数にあっては、おおむね50人に1人の割合で委嘱することとする。ただし、猟銃所持者が50人に満たない活動区域にあっては、最低1人を委嘱するものとする。
 4 辞令書の交付
   本部長は、委員を委嘱したときは、当該委員に対し、規程第2条第2項に規定する辞令書を生活安全企画課長又は所轄署長を介して交付するものとする。
 5 活動区域内の猟銃所持者その他の関係者に対する周知
   生活安全企画課長は、規則第2条第2項の規定に基づき、猟銃所持者その他の関係者に周知するため、委嘱した委員の氏名、連絡先及びその活動区域を鳥取県公報等の公の機関が発行する機関誌に掲載するなどの措置をとること。また、この方法に併せて、所轄署長は、自署管内を活動区域とする委員について、警察署等の掲示板への掲示又は関係団体の機関誌等への掲載等適当な方法により周知に努めること。

第3 任期
  委員の任期は2年であり、再任することはできるが(規則第3条)、再任する場合であっても、第2に定める委嘱の手続により行うものとする。また、委員が欠けた場合については、補欠の委員の任期は前任者の残任期間となるので、留意すること。

第4 活動内容及びその方法
  法第28条の2第2項第1号から第3号まで及び規則第4条各号に定める委員の活動については、次に定めるところによるものとする。
  なお、委員の活動は常に次に掲げるものすべてを実施しなければならないわけではないことから、生活環境課長及び所轄署長(以下「生活環境課長等」という。)は、委員に対して具体的に必要とされる活動内容について適宜指導すること。
 1 活動内容
 (1) 法第4条第1項第1号の規定による猟銃の所持の許可を受けた者に対し、当該猟銃の所持及び使用による危害を防止するために必要な助言を行うこと(法第28条の1第1項第1号)。
   ア 概要 
      猟銃の所持及び使用による危害を防止するため、委員は猟銃所持者に対して、射撃技能向上のための実地指導、猟銃所持者のマナー向上に資する啓発活動、猟銃及び実包の保管方法等に関する必要な指導等を行うこととしたもの。
    イ 具体例
    (ア) 活動区域内の狩猟現場において、猟銃の取扱いその他事故防止に関する事項に関して同行指導を行うこと。
    (イ) 猟銃所持者の自宅を訪問して、猟銃及び実包の保管方法等に関して必要な指導を行うこと。
    ウ 留意事項 
      これらの活動の実施に際しては、法第5条の3に規定する講習会、猟銃所持者からの相談等の機会のみならず、委員が猟銃所持者の自宅に立ち寄るなど、委員から猟銃所持者に対して積極的な働き掛けを行い、必要な助言を行わせることとする。また、猟銃所持者の自宅への立ち寄りに際しては猟銃所持者の氏名、住所等の個人情報が必要になるため、生活安全企画課長等は、委員に対して当該情報を必要に応じて提供すること。
 (2) 警察職員が法第13条の規定により行う猟銃の検査に関し、銃身長の測定その他の技術的事項についての協力を行うこと(法第28条の2第2項第2号)。
    ア 概要 
      法第13条の規定により、都道府県公安委員会は、銃砲等又は刀剣類の構造及び機能について検査をし、猟銃所持者が法第10条の3に規定される構造及び機能の維持義務等を遵守しているか確認することができるとされているところ、猟銃の構造等の検査については、猟銃を熟知している者として委員に警察職員の補助を行わせることとしたもの。
    イ 具体例 
      一斉検査時において警察職員が行う猟銃の構造等の検査の際に、銃身長の測定等の補助を行うこと。
    ウ 留意事項 
      委員が所持許可を受けている種類以外の猟銃の取扱いをさせないようにすること。また、一斉検査時における猟銃等による暴発事故の防止に十分注意すること。
 (3) 猟銃の所持及び使用による危害を防止するための民間団体の活動への協力を行うこと(法第28条の2第2項第3号)。 
    ア 概要 
      猟銃所持者が構成する様々な民間団体(狩猟、スポーツ等のための銃砲等関係団体)の活動への協力を行うこととするもの。
    イ 具体例 
    (ア) 狩猟者用のハンターマップの作成に協力すること。
    (イ) 民間団体が行う各種講習会開催への協力を行うこと。
    (ウ) 残弾処理のための射撃大会の開催等に協力すること。
    ウ 留意事項 
      活動に当たっては、民間団体との緊密な連携を図ること。
 (4)  鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)第2条第5項に規定する狩猟期間内において、同法第11条第1項に規定する狩猟可能区域内の巡回を行うこと(規則第4条第1号)。
    ア 概要 
     狩猟期間における猟銃事故等を防止するため、活動区域内の狩猟可能区域内の巡回を行うこととしたもの。
    イ 具体例 
     狩猟可能区域において、適正な銃猟が行われているどうかを点検するため巡回すること。
    ウ 留意事項 
     巡回に当たっては、誤認による事故等を防止するために識別の容易な色彩の服装をするよう指導するとともに、民間団体との連携を図ること。
 (5)  猟銃の所持及び使用による危害の防止に係る事項に関し、猟銃所持者の親族その他の関係者からの相談に応じ、これらの者に対し、助言及び指導その他の援助を行うこと(規則第4条第2号)。
    ア 概要 
     猟銃の所持及び使用による危害の防止に係る事項に関し、猟銃所持者の親族等からの相談に応じ、助言、指導等を行うことによって事前にその危害を予防することとしたもの。
    イ 具体例 
     親族から猟銃所持者の生活態度に関する相談を受理し、同人に対して適正な助言、指導等を行うこと。
    ウ 留意事項 
     助言、指導等はあくまでも任意のものであることに留意すること。また、委員の氏名、住所等の周知徹底を図り、関係者が相談しやすい環境を整えること。
     なお、同居親族等から相談を受理した場合は、当該親族等に対し法第29条の規定による申出制度の教示を行うとともに、相談内容に応じて猟銃所持者本人にも直接助言を行わせるよう指導すること。
 (6)  猟銃の所持及び使用による危害の防止に資する事項について広報及び啓発をすること(規則第4条第3号)。
    ア 概要 
      猟銃の所持及び使用による危害の防止に資するため、猟銃所持者以外の住民等に広く広報啓発を行うこととしたもの。 
    イ 具体例 
    (ア) 実際の事故・盗難事例を紹介したチラシを配布し、注意喚起するなど、地域の実情に応じた広報啓発を行うこと。
    (イ) 関係団体の会合や講習会へ出席しての猟銃等の事件事故防止のための啓もう活動を実施すること。
    ウ 留意事項 
      実際の事故・盗難事例を紹介するに当たっては、事故者の情報等の個人情報の取扱いに留意させること。
 2   活動方法
 (1) 人数
     各活動においては、委員が単独で、又は共同して行うものとする。
 (2) 活動の分担
     委員は、活動区域全体において各活動を行うことができるところ、当該活動区域において複数の委員を委嘱した場合は、委員の活動の効果が活動区域全体に効果的に及ぶようそれぞれの委員の活動時間、活動回数、担当地区、担当事項等を所轄署長において調整すること。

第5 遵守事項
  生活安全企画課長等は、委員に対し、次の事項を遵守するよう十分指導するものとし、委員がこれらの事項に違反したと認められるときは、当該委員を解嘱すべき場合を除き、必要な指導を行うこと。
 1 関係者の正当な権利及び自由を害することのないように留意すること(規則第5条第1項) 
  (1) 趣旨
     委員は、警察官とは異なり、法令上特別な権限は認められておらず、あくまでも活動区域内の猟銃所持者その他の関係者の理解と協力を得ながらその活動を行うこととなるが、その活動の方法いかんによっては、他人の正当な権利及び自由を害する可能性もあるので、このようなことのないように活動上の注意として明記することとしたものである。
  (2) 留意事項
     「正当な権利及び自由を害する」活動には、刑罰法令に触れる行為はもとより、次に掲げるような刑罰法令に触れなくとも憲法に保障された国民の権利及び自由を不当に侵害する行為が含まれる。
    ア 相談において、相手が拒否したにもかかわらず、プライバシーにわたる事項について無理に聞き出そうとすること。 
    イ 相談者の秘密を漏らすこと。 
    ウ 猟銃所持者の許可を得ずに自宅に上がり込み、銃の保管状況を確認又は質問すること。
2   政党又は政治的目的のためにその地位を利用しないこと(規則第5条第2項) 
  (1) 趣旨
     委員の活動が公務性を持つものであることから、その政治的な中立性を確保し、その信頼性を高めるために、政治的な地位の利用を禁止したものである。
  (2) 留意事項
     特別職に属する地方公務員たる委員には、地方公務員法(昭和25年法律第261号)に規定する政治的行為の制限の適用はないことから、本条の規定による指導を徹底し、いやしくも委員としての活動が選挙運動等に利用されることがないようにすること。「政党のため」とは、特定の政党を結成すること、特定の政党に加入すること、特定の政党を支持すること、特定の政党から脱退すること、特定の政党に反対することなどに資するとの意味である。「政治的目的のため」とは、公職の選挙において特定の候補者を支持し、又はこれに反対すること、特定の内閣を支持し、又はこれに反対すること、特定の政治的団体を支持し、又はこれに反対すること、政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対することなどに資するとの意味である。「その地位を利用する」とは、委員たる名称や委員としての活動に伴う影響力を使用又は行使することを意味する。
     なお、禁止される行為の例としては、次に掲げる行為がある。
    ア 委員が地域の猟銃所持者に対して行う活動において、特定の政党又は候補者への支持を呼び掛けること。 
    イ 委員としての活動において、猟銃の安全に関するチラシとともに、特定の政党の機関誌を配布すること。 

第6 猟銃安全指導委員証及び腕章
 1 携帯等及び提示義務
   委員は、活動を行うに当たっては、規則第6条第1項及び第2項の規定により、規則別記様式第1号に定める猟銃安全指導委員証を携帯し、関係者(活動の対象となる者)から請求があったときは、当該猟銃安全指導委員証を提示しなければならないこととされており、かつ、規則別記様式第2号に定める様式の腕章を着用しなければならないことから、生活安全企画課長等は、委員に対し、この旨の指導を十分に行うこと。
 2 猟銃安全指導委員証の記載事項
   猟銃安全指導委員証の「活動区域」の欄は、「鳥取県鳥取警察署管内」の例により、委員の活動区域を表す名称を記載するものとする。
 3 交付
   本部長は、委員を委嘱したときは、生活安全企画課長又は所轄署長を介して猟銃安全指導委員証及び腕章(以下「猟銃安全指導委員証等」という。)を委員に交付するものとする。
 4 再交付
   所轄署長は、委員から猟銃安全指導委員証等を亡失し、滅失し、又は損傷した旨の申出を受理したときは、再交付申請書(様式第2号)により速やかに再交付の手続をとるものとする。
 5 返納
   所轄署長は、委員がその身分を失ったときは、速やかに猟銃安全指導委員証等を返納させ、猟銃安全指導委員証等返納報告書(様式第3号)により生活安全企画課長を経由して報告すること。

第7 研修
  規則第7条第1項の規定による委員に対する研修(以下「研修」という。)は、別表の基準に従って行うものとする。

第8 解嘱等
 1 解嘱の要件
   法第28条の2第7項各号に掲げる解嘱の要件に該当するか否かの判断は、次に定めるところにより行うものとする。
 (1) 法第28条の2第1項各号のいずれかの要件を欠くに至ったとき(第1号)。
    第2の2に定める委嘱の要件の判断基準による。
 (2) 職務上の義務に違反し、又はその職務を怠ったとき(第2号)。
    法第28条の2第4項、規則第5条第1項若しくは第2項又は第6条第1項若しくは第2項に規定される職務上の義務に違反し、又は正当な理由がなく、法第28条の2第2項各号及び規則第4条各号に規定する委員の活動を行うことを怠ったときが該当する。
    なお、「活動を行うことを怠った」か否かの判断は、警察からの協力依頼に対し、特段の正当な理由がなくこれに応じないなど、具体的な事情を考慮して、著しく活動が低調であるか否かにより判断するものとする。
 (3) 委員たるにふさわしくない非行のあったとき(第3号)。
    刑罰法令に触れる行為又は委員としてふさわしくない反社会的・反道徳的な行為をしたときが該当する。
 2 解嘱手続
 (1) 解嘱の上申
    所轄署長は、委員が1に掲げる解嘱の要件に該当すると認めるときは、解嘱上申書(様式第4号)により、速やかに生活安全企画課長を経由して本部長に上申するものとする。
 (2) 弁明の機会の付与等
    委員を解嘱する場合には、規則第8条の規定に基づき、委員の所在が不明である場合を除き、あらかじめ理由を通知し、当該委員に弁明の機会を与えなければならない。
   ア 委員に対する通知は、解嘱の理由のほか、弁明を聴くための日時、場所等を記載した規程第4条第2項に規定する通知書により行うものとする。
   イ 委員に対して通知をし、弁明の機会を与えたにもかかわらず、正当な理由がなく期日までに弁明を行わないときは、弁明を聴かないで解嘱することができる。
   ウ 解嘱をしたときは、規程第4条第4項に規定する辞令書を交付するものとする。ただし、当該解嘱された者の所在が不明のため辞令書を交付することができないときは、この限りでない。
   エ 解嘱をしたときは、速やかに、当該委員の氏名及び活動区域並びに解嘱した日について、第2の5で定める措置をとるものとする。
 3 辞職の承認
   委員としての辞職を承認する場合には、2(2)ウ及びエに準じて行うものとする。   
   なお、辞職を承認したときは、辞職した者に対し、規程第5条に規定する辞令書を交付するものとする。

第9 猟銃安全指導委員名簿等
 1 委員を委嘱したときは、生活安全企画課長は所轄署長に通知するとともに、生活安全企画課長等は、猟銃安全指導委員名簿(様式第5号)を備え付け、委嘱又は解嘱の都度整理しておくものとする。
 2 生活安全企画課長は、猟銃安全指導委員証等受払簿(様式第6号)を備え付け、猟銃安全指導委員証等の受払いの状況を明確にしておかなければならない。

第10 活動状況の報告
 1 所轄署長は、委員が第4の1に掲げる活動を行ったときは、その活動状況を活動報告書(様式第7号)により報告させるものとする。
 2 所轄署長は、委員の活動状況を四半期ごとに取りまとめ、猟銃安全指導委員活動状況報告書(様式第8号)に活動報告書の写しを添えて、翌月10日までに生活安全企画課長を経由して報告するものとする。

第11 その他
  委員の活動について、関係者から不服、苦情、批判等が寄せられた場合は、誠実に対処し、制度の運営に支障を来すことのないよう配意するものとする。

別表及び様式 省略

  

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