平成27年5月19日
鳥務例規第7号外共発
改正 平成29年7月3日鳥務例規第21号外共発、令和2年鳥務例規第8号
対号 平成11年3月29日付け鳥務例規第3号 セクシュアル・ハラスメント防止対策要綱の制定について(例規通達)
鳥取県警察におけるハラスメント防止対策については、対号例規通達によりセクシュアル・ハラスメント防止対策を中心に実施してきたところであるが、セクシュアル・ハラスメントに加え、パワー・ハラスメントその他のハラスメントに対する防止対策を推進するため、別添のとおり「鳥取県警察ハラスメント防止対策要綱」を制定し、平成27年5月20日から施行することとしたので、職員への周知徹底を図るとともに、ハラスメントの防止に努められたい。
なお、対号例規通達は、平成27年5月19日限り廃止する。
別添
鳥取県警察ハラスメント防止対策要綱
第1 目的
この要綱は、鳥取県警察職員(以下「職員」という。)がその能力を十分に発揮できる良好な勤務環境を確保するため、ハラスメントの防止及び排除のための措置並びにハラスメントに起因する問題が生じた場合に適切に対応するための措置に関し、必要な事項を定めることを目的とする。
第2 定義
この要綱において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。
(1) ハラスメント
セクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメント、妊娠、出産、育児若しくは介護に関するハラスメントその他職員の人格若しくは尊厳を著しく害し、職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、又は職員に不利益若しくは勤務意欲の低下をもたらす不適切な言動をいう。
(2) セクシュアル・ハラスメント
他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び職員が他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動をいう。
(3) パワー・ハラスメント
職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、職員の人格若しくは尊厳を害し、又は職員の勤務環境を害することとなるようなものをいう。
(4) 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント
職場における職員に対する人事院規則10-15(妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント防止等)第2条に掲げる言動により、当該職員の勤務環境が害されることをいう。
(5) ハラスメントの防止及び排除
ハラスメントが行われることを未然に防ぐとともに、ハラスメントが現に行われている場合にその行為を制止し、その状態を解消することをいう。
(6) ハラスメントに起因する問題
ハラスメントにより職員の勤務環境が害されること及びハラスメントへの対応に起因して職員がその勤務条件等につき不利益を受けることをいう。
第3 不利益な取扱いの禁止
職員は、ハラスメントに関する相談、ハラスメントに対する拒否、苦情の申出、ハラスメントに係る調査への協力その他ハラスメントに関し正当な対応をしたことにより、いかなる不利益な取扱いも受けない。
第4 職員の責務
1 職員は、ハラスメントを行ってはならない。
2 職員は、ハラスメントのない良好な勤務環境を実現するため、ハラスメントに関する認識を深めるとともに、他の職員に対する言動に必要な注意を払わなければならない。
3 職員は、ハラスメント又はハラスメントに起因する問題が生じた場合において、事実関係の調査が行われるときは、これに協力しなければならない。
4 職員は、ハラスメント又はハラスメントに起因する問題について必要な報告を求められたときは、これに応じなければならない。
第5 職員の認識すべき事項
1 ハラスメントを行わないようにするために職員が認識すべき事項
(1) ハラスメント全般
ア 相手が拒否し、又は嫌がっていることが分かった場合は、同じ言動を繰り返さないこと。
イ 勤務時間外及び職場外においてもハラスメントの防止に努める必要があること。
(2) セクシュアル・ハラスメント
ア 性に関する言動に対する受け止め方には個人間、男女間等で差があり、セクシュアル・ハラスメントであるか否かについては、受け止める相手の判断が重要であること。
イ セクシュアル・ハラスメントであるか否かについては、相手からいつも意思表示があるとは限らないこと。
ウ 職員がその職務に従事する際に接することとなる職員以外の者との関係におけるセクシュアル・ハラスメントについても注意する必要があること。
(3) パワー・ハラスメント
ア パワー・ハラスメントは、職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、職員の人格若しくは尊厳を害し、又は職員の勤務環境を害するものであることを理解し、お互いの人格を尊重し、パワー・ハラスメントを行ってはならないこと。
イ 業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示、指導、調整等についてはパワー・ハラスメントに該当しないこと。一方、業務指示等の内容が適切であっても、その手段や態様等が適切でないものは、パワー・ハラスメントになり得ること。
ウ 部下の指導・育成は、上司の役割であること。また、指導に当たっては、相手の性格や能力を十分見極めた上で行うことが求められるとともに、言動の受け止め方は世代や個人によって異なる可能性があることに留意する必要があること。
エ 自らの仕事への取組や日頃の振る舞いを顧みながら、他の職員と能動的にコミュニケーションをとることが求められること。
オ 職員以外の者に対してもパワー・ハラスメントに類する言動を行ってはならないこと。
(4) 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント
ア 妊娠、出産、育児又は介護に関する否定的な言動は、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの原因や背景となること。
イ 仕事と妊娠、出産、育児若しくは介護とを両立させるための制度又は措置があること。
ウ 妊娠した職員がつわりなどの体調不良のため勤務ができないことや能率が低下すること、制度等の利用をした職員の業務負担が増大することも妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの原因や背景となること。
エ 職場の実情が妊娠等をし、又は制度等の利用をした職員その他の職員の実情に応じ、必要な措置を講ずること。
オ 仕事と妊娠、出産、育児又は介護とを両立していくために必要な場合は、妊娠、出産、育児又は介護に関する制度等の利用ができるという知識を持つこと。
カ 周囲と円滑なコミュニケーションを図りながら自身の体調や制度等の利用状況等に応じて適切に業務を遂行していくという意識を持つこと。
2 職場の構成員として良好な勤務環境を確保するために職員が認識すべき事項
(1) ハラスメントについて問題提起をする職員をいわゆるトラブルメーカーと見たり、ハラスメント及びハラスメントに起因する問題を当事者間の個人的な問題として片付けないこと。また、職場におけるミーティングを活用することなどにより解決することができる問題については、問題提起を契機をして、良好な勤務環境の確保のために皆で取り組むことを日頃から心掛けること。
(2) 職場においてハラスメント及びハラスメントに起因する問題を生じさせないようにするために、ハラスメントが見受けられる場合は、職場の同僚として注意を促す、相談にのるなど、周囲に対する気配りをし、必要な行動をとること。
3 ハラスメント又はハラスメントに起因する問題が生じた場合に、これによる被害を深刻にしないために職員が認識しておくことが望まれる事項
(1) 基本的心構え
ア 一人で我慢しているだけでは、問題は解決しないこと。
イ 問題を解決するための行動をためらわないこと。
(2) ハラスメントによる被害を受けたと思うときに望まれる対応
ア 嫌なことは相手に対して明確に意思表示すること。
イ 一人で抱え込まずに、相談窓口や信頼できる人に相談すること。
ウ ハラスメントの内容を記録しておくこと。
エ パワー・ハラスメントは相手に自覚がないことも多く、よかれと思っての言動であることもある。相手と話し合い、自分の受け止めを伝える、相手の真意を確認するなど、認識の違いを埋めることで事態の深刻化を防ぎ、解決がもたらされることがあることに留意すること。
第6 懲戒処分
ハラスメントを行った職員に対しては、懲戒処分を付すなど厳正に対処するものとする。
第7 監督者の責務
監督者(職員を監督する地位にある者をいう。)は、次の事項に留意してハラスメントの防止及び排除に努めなければならない。
(1) 自らハラスメントに関する認識を深め、職員に対する言動に必要な注意を払うとともに、日常の執務を通じた指導等により、監督する職員の注意を喚起し、ハラスメントに関する認識を深めさせること。
(2) 職場においてハラスメントが生じていないか、又は生じるおそれがないか、監督する職員の言動に十分注意を払うこと。
(3) ハラスメントに起因する問題が生じていないか、監督する職員の言動に十分注意を払い、勤務環境を害する言動を見逃さないようにすること。
(4) 職員がハラスメントに関する相談、ハラスメントに対する拒否、苦情の申出、ハラスメントに係る調査への協力その他ハラスメントに関し正当な対応をしたことにより、当該職員が職場において不利益な取扱いを受けることがないようにすること。
第8 ハラスメント防止体制
職員からのハラスメントに関する相談及び苦情等の申出(以下「相談等」という。)に対応し、ハラスメントの防止及び排除を推進するための体制は、次のとおりとする。
(1) 責任者
ア 警察本部にハラスメント防止対策責任者(以下「責任者」という。)を置き、警務部警務課長をもって充てる。
イ 責任者は、ハラスメントの防止及び排除に関する事務を総括し、ハラスメント又はハラスメントに起因する問題が生じた場合は、所属の長と連携し、再発防止に向けて職員に対する啓発その他必要な措置を講ずる。
(2) 推進員
ア 各所属にハラスメント防止対策推進員(以下「推進員」という。)を置き、警察本部の所属にあっては次席、副隊長又は副校長を、警察署にあっては副署長又は次長をもって充てる。
イ 推進員は、所属の長の指揮の下、所属におけるハラスメントの防止及び排除を推進する。
(3) 相談窓口
警務部警務課及び警務部監察課にハラスメントに関する相談窓口(以下「相談窓口」という。)を置く。
なお、相談窓口に関する事項については、別に定める。
第9 相談等
1 相談等の方法
(1) ハラスメント又はハラスメントに起因する問題により被害(前兆事案を含む。)を受けた職員(以下「被害等職員」という。)は、相談窓口のほか、原則として自所属の推進員その他相談しやすい職員に対して口頭、文書その他の適当な方法により、適時、相談等を行うことができる。
(2) 職員は、相談等を受けたことなどによりハラスメント又はハラスメントに起因する問題を認知した場合は、必要に応じて被害等職員に適切な助言を行うとともに、当該被害等職員の意向をあらかじめ確認した上で、相談窓口又は原則として自所属の推進員に対して相談等を行うことができる。ただし、重大な事案、対応に緊急を要する事案等については、速やかに推進員に報告するものとする。
2 相談等への対応
(1) 相談等への対応に当たっては、関係者のプライバシーの保護に留意し、関係者の名誉その他の人権を尊重するとともに、相談等に当たり知り得た秘密を漏らしてはならない。
(2) 推進員は、1によりハラスメント又はハラスメントに起因する問題を認知した場合は、速やかに所属の長に報告するものとする。ただし、これにより難い場合は、直接、責任者に報告することができる。
(3) 所属の長は、(2)により報告を受けた場合は、責任者に報告の上、迅速かつ適切な措置を講ずるものとする。