平成16年6月4日
鳥少例規第4号
鳥務例規第10号
鳥生企例規第4号
鳥捜一例規第4号
鳥交企例規第2号
改正 令和2年鳥務例規第3号、令和4年鳥務例規第2号
少年非行防止対策については、少年警察運営の充実と総合的な対策の確立、犯罪被害等からの保護を図るため、このたび、別添のとおり「少年非行防止・保護総合対策推進要綱」を制定し、平成16年6月4日から実施することとしたので、運用上誤りのないようにされたい。
別添
少年非行防止・保護総合対策推進要綱
第1 基本方針
近年における少年非行をめぐる情勢は非常に厳しく、「世界一安全な国、日本」の復活を求める国民の期待にこたえるためには、少年犯罪の取締りを強化すると同時に、少年非行を未然に防止し、非行少年の立直りを支援するなど、少年非行防止のための多角的な取組みを推進することが必要である。一方、児童買春等の少年の福祉を害する犯罪(以下「福祉犯」という。)を始め、少年が被害者となる犯罪の発生状況も高水準で推移しており、少年非行防止対策と併せ、少年を犯罪被害等から保護するための取組みを推進することが必要である。警察としては、こうした課題に的確に対処し、次代を担う少年の健全な育成を図るため、関係機関・団体、ボランティア等との連携を一層強化しつつ、「強くやさしい」少年警察の運営に努めることを基本方針とする。
第2 総合対策推進のための基盤整備
1 推進体制の整備
業務負担に応じた適正な係別人員の配置等により、少年事件及び福祉犯の捜査、児童虐待防止対策その他少年の非行の防止及び保護の両面にわたる諸施策を推進するための体制を強化すること。
2 担当職員の知識等の向上
少年警察に携わる担当職員に対し、生活安全部少年・人身安全対策課及び捜査担当部門幹部による指導教養を充実させる。特に、少年事件の捜査員に対する少年審判手続の特性、少年事件捜査の特性及び捜査上配意
すべき事項についての指導教養を充実させ、捜査技術の更なる向上を図る。また、少年補導職員につい
ては、カウンセリング技術を修得させるなど、専門的な知識及び技能の向上を図ること。
3 学校その他の関係機関等との連携の強化
社会が一体となって少年の健全育成のための取組みが推進されるよう、学校、教育委員会、児童相談所、地方公共団体の少年補導センター、家庭裁判所を始めとする関係機関・団体、ボランティア等との連携を強化すること。特に、学校とは、学校指導部連盟を活用するほか、学校と警察との相互連絡の枠組みを構築するなどして、プライバシーに関わる情報の取扱いに慎重な注意を払いつつ、少年の非行事案、いじめ、校内暴力事案等に関する情報や意見の交換を積極的に行い、情報の共有化と共通認識の醸成を図った上で、緊密な連携の下に諸対策を推進すること。また、非行や犯罪被害等の問題を抱えた少年を個別に支援するため、学校、教育委員会、児童相談所等の関係機関と構成する少年サポートチームの普及を促進し、その活動を活性化させること。
4 少年警察ボランティア活動の活性化
少年健全育成指導員その他の少年警察ボランティアについて、人材や活動内容の多様化を図り、地域社会において行われる少年の健全育成のための活動を活性化させる。また、ボランティアの活動をより積極的で効果的なものとするため、必要な情報の発信、助言等の支援を行うこと。
第3 厳正・的確な捜査及び非行集団対策の推進
1 厳正かつ迅速な少年事件捜査の推進
少年の立直り及び適切な被害者対策に資するため、少年犯罪に対して厳正に対処するとともに、的確な事件指揮等により捜査の迅速化を図り、早期の送致に努めること。
2 事件の指揮及び指導の強化による適正捜査の推進
少年事件の捜査に当たっては、少年審判手続及び少年事件捜査の特性を踏まえ、少年事件捜査指導官、各警察署の少年事件選別主任者による指揮及び指導を強化するとともに、少年係員及び少年事件担当者の適正な運用と捜査力の充実等によって、「非行なし」決定事案や手続上の問題の発生を防止するなど、適正捜査を推進すること。
3 非行集団対策の推進
生活安全、刑事及び交通の各部門が一体となり、非行集団やその活動に関与する暴力団の取締りはもとより、関係機関・団体、ボランティア等と連携した少年の非行集団への加入阻止並びに構成員の離脱支援及び立直り支援を強力に推進することにより、非行集団の解体補導を推進すること。特に暴走族については、あらゆる法令を適用した検挙や補導を徹底して行うほか、関係機関、地域住民等と連携の上、暴走族を追放する社会気運の高揚、暴走行為阻止のための道路交通環境の整備、車両の不正改造防止対策等を組み合わせた総合的な対策を推進すること。
第4 少年の非行及び犯罪被害等の未然防止
1 街頭補導活動の強化による不良行為少年等の早期発見・措置
街頭補導活動を強化し、不良行為の段階での助言又は指導を的確に行うことにより少年の立直りを促すとともに、被害少年及び要保護少年について適切な保護の措置をとること。
2 少年及び保護者に対する相談活動の強化
少年非行、家出、自殺等の兆候の早期発見とその未然防止、いじめ、児童虐待等に係る被害少年及び要保護少年の保護のため、インターネットの活用等により相談しやすい環境を整備し、少年や保護者に対する相談活動の強化を図ること。また、少年警察ボランティアによるインターネットを利用した少年相談の体制を整備すること。
3 啓発活動の充実による少年の薬物乱用の根絶
薬物乱用防止教室の開催その他の啓発活動の充実を図り、少年に薬物の有害性、危険性等に関する正しい知識を習得させ、薬物乱用の根絶を図ること。
4 子どもを犯罪から守るための対策の推進
略取誘拐事件等の子どもが被害者となる犯罪を未然に防止するため、警ら・警戒活動の強化、関連情報の交換、防犯講習会の開催、学校指導部連盟との連携、「子ども110番の家」の活動支援等を推進すること。
5 学校、幼稚園等が行う自主的な安全管理の促進
校内に部外者が侵入して子どもに危害を加える事案が後を絶たない。そこで、学校、幼稚園等において、正当な理由なく出入りしようとする者の排除、防犯訓練の実施、関係機関・団体、地域住民との連携の強化等の自主的な安全対策が確実に講じられるよう、教育委員会とも一層連携しつつ、その支援策を推進すること。
第5 少年を取り巻く環境の浄化
1 福祉犯の取締り
児童買春、児童ポルノ及び薬物の密売を始めとする福祉犯の取締りを徹底すること。また、これらの犯罪を防止するための広報啓発活動を積極的に行うこと。
2 少年に対する暴力団の影響の排除
暴力団が関与する福祉犯、暴力団への加入強要や脱退妨害等の取締りを徹底するとともに、暴力団と関わることの危険性についての広報啓発活動を推進し、少年に対する暴力団の影響を排除すること。
3 有害図書、ピンクビラ等の有害環境の浄化
風俗営業や性風俗関連特殊営業等で少年の健全育成を阻害する形態により行われているものに対し、その指導・取締りを徹底すること。また、酒類、たばこ、有害図書等を少年が容易に入手し得るような環境を浄化するため、二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止二関スル法律(大正11年法律第20号)、二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止二関スル法律(明治33年法律第33号)、鳥取県青少年健全育成条例(昭和55年12月条例第34号)等に基づく取締り及び関係業界に対する指導を積極的に行うこと。このほか、有害環境の浄化に関する広報啓発活動、有害図書等の自動販売機の撤去運動、ピンクビラ等の違法広告物の撤去等の諸対策を講ずること。
4 インターネット上の有害コンテンツ対策の推進
インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(平成15年法律第83号)を活用し、出会い系サイト対策を推進すること。また、有害サイトへの接続を制限するフィルタリング機能に関する広報啓発活動等により、少年をインターネット上の有害なコンテンツから保護すること。
5 深夜はいかいや家出を抑制するための取組みの推進
深夜はいかいや家出をする少年の多くが、深夜から翌朝の時間帯にかけて営業するカラオケ店、インターネットカフェ、コンビニエンスストア、ファミリーレストラン等を利用している現状にかんがみ、当該時間帯に少年の利用をさせないような措置を講ずるよう、関係事業者に要請すること。また、風俗営業者等に対しては、関係法令の厳正な運用により、少年の深夜はいかいや家出を助長する営業形態の是正を図ること。
第6 少年の規範意識の向上及び社会参加支援
1 非行防止教室等による教育及び啓発
学校と連携して行う非行防止教室、薬物乱用防止教室等の開催、罪を犯した場合の刑罰、処分及び民事責任に関する教育等により、少年の規範意識の向上を図ること。
2 家庭及び地域社会による取組みの支援
少年非行や犯罪被害等の実態に関する情報発信、非行防止教室等への保護者の参加促進、地域の保護者の会の活動促進等を積極的に行い、家庭及び地域社会による少年の健全育成のための取組みを支
援することにより、少年の規範意識の向上を促すとともに、関係者の社会的責任の自覚を高めるよう努めること。
3 少年の活動機会・場所づくりの促進及び立直り支援
地域社会において他者との交流を深める機会を設け、身体的・精神的なよりどころを提供することが、少年非行防止に有効である。そこで、無職少年や地域に溶け込めない事情のある少年の存在にも配意しつつ、関係機関・団体、ボランティア等との適切な役割分担の下、環境美化活動、社会福祉活動、スポーツ活動等地域の実情に即した様々な活動機会・場所づくりを促進すること。特に暴走族の構成員や非行少年等については、命の尊さについて考えさせたり、自己に対する評価を高めるような社会奉仕活動等へ参加する機会を設けることで、自己の非行について内省を促し、自ら新たな生き方を模索できるような立直り支援のための取組みを積極的に推進すること。
第7 被害少年の保護等
1 被害少年対策
犯罪被害等に遭った少年に対して、心身への影響に配慮しつつ、適切な助言を行うなどの支援を行うとともに、福祉犯の被害少年については、少年の特性に応じ、一時保護、施設への入所等適切な措置が講じられるよう配慮すること。また、複雑な事例への対応に当たっては、必要に応じ、被害者カウンセラーから支援を受けること。
2 児童虐待への的確な対応
虐待を受けた児童の適切な保護、支援等を行うため、児童虐待事案の早期発見と関係機関への通告、児童相談所長による立入調査等に対する適切な援助を実施すること。また、刑事事件として取り扱うべき事案については、厳正な捜査を行うこと。