会議の概要
午後1時00分 開会
◎稲田議長
ただいまから議員全員協議会を開会いたします。
まず、会議録署名議員に内田博長議員と上村忠史議員を指名いたします。
本日の議員全員協議会の議題は、原子炉等規制法の改正に伴う島根原子力発電所3号機の新規制基準への適合性審査申請についてであります。
島根原子力発電所3号機については、県議会でも4月20日に中国電力から概要説明を受けたところでありますが、先月16日、伊木米子市長と中村境港市長が3号機の視察を終えた直後に、中国電力が新規制基準適合性申請に向けて、本県に対して安全協定に基づく事前報告を22日に行う旨、公表されました。そして22日、本県に対して事前報告があり、あわせて申請内容について説明したいとの要請があったところであります。私としてもいささか性急さを感じますが、県議会としましてもこのたびの事前報告に対する回答に当たっての議論の端緒とするため、中国電力株式会社から担当者をお招きし、3号機の新規制基準適合性申請の概要について説明を受けたいと考えております。
本日は、中国電力株式会社より北野立夫常務執行役員電源事業本部副本部長、天野浩一執行役員鳥取支社長、岩崎晃電源事業本部(原子力管理)担当部長、渡部公一電源事業本部島根原子力本部広報部長ほかの皆様にお越しいただきました。中国電力株式会社の皆様には、お忙しいところありがとうございます。
それでは、まず北野常務執行役員より島根原子力発電所3号機の適合性申請について説明をお願いいたします。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
鳥取県議会の皆様におかれましては、平素から当社の事業運営に御理解と御協力を賜り、厚く御礼を申し上げます。
5月22日の島根原子力発電所3号機の新規制基準への適合性申請に係る計画等の報告の際に、先ほど議長からもありましたけれども、性急過ぎるという御指摘をいただいております。まずもっておわびを申し上げます。当社は日ごろより地域の皆様にわかりやすく丁寧な説明を心がけておりますけれども、このような御指摘があったことを踏まえまして、今後はより一層わかりやすく丁寧な説明をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
本日は貴重なお時間を頂戴し、島根原子力発電所3号機の新規制基準への適合性申請の概要を説明させていただきますが、当社としては3号機、そして現在審査中の2号機の安全対策を徹底して行うことはもとより、地域の皆様に御理解いただけるようにしっかりと取り組んでまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、広報部長の渡部から御説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。
●渡部電源事業本部島根原子力本部広報部長
島根原子力発電所3号機の新規制基準に係る適合性申請につきまして、お手元の資料により御説明させていただきます。
1ページをお願いいたします。本日御説明する内容でございます。1から3までの島根原子力発電所の概要等につきましては、本年4月20日の議員全員協議会で既に御説明をした内容と同じ内容でございますので、本日はポイントのみの御説明とさせていただきまして、本題であります島根原子力発電所3号機の申請の概要に重点を置いて説明させていただきます。
4ページをお願いいたします。島根原子力発電所の構内配置図でございます。敷地山側に隣接する建物が1号機、2号機で、北西の海側、少し離れた位置にございます建物が現在建設中の3号機でございます。
5ページ目をお願いいたします。発電所の設備概要でございます。1号機は昨年から廃止措置作業に着手しておりまして、2号機は引き続き原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査を受けているところでございます。3号機は、1・2号機と同じ沸騰水型BWRでございますけれども、さらに信頼性、安全性を向上させました改良型沸騰水型ABWRという型式のプラントでございます。電気出力は137万3,000キロワットでございます。今後の説明の中では、ABWRと呼ばせていただきます。
8ページをお願いいたします。3号機の増設にかかわるこれまでの主要な経緯でございますけれども、先般御説明を差し上げましたとおりさまざまな手続を経た後、平成17年12月に着工いたしました。現在建設工事は中断した状態とはなっておりますが、2号機の適合性審査において基準地震動がおおむね妥当と評価されたことを受けまして、本年5月22日に、安全協定に基づきまして関係自治体へ3号機の新規制基準への適合性申請にかかわる事前了解願、また計画等の報告を提出させていただいたところでございます。
続きまして、16ページをお願いいたします。こちらは3号機で採用いたしますABWRの特徴でございます。1つ目は原子炉内蔵型再循環ポンプ、2つ目は改良型制御棒駆動機構、3つ目は鉄筋コンクリート製原子炉格納容器、4つ目は改良型中央制御盤でございます。詳細につきましては、既に御説明済みではございますけれども、申請内容の一部となるものでございますので、繰り返しにはなりますけれども要点のみ御説明をさせていただきます。
17ページをお願いいたします。こちらは1つ目の特徴でございます原子炉内蔵型再循環ポンプの採用についてでございます。原子炉の出力を制御するための原子炉冷却剤再循環ポンプについて、従来型BWRでは原子炉の外側に2台のポンプを配置し、大口径配管により原子炉と接続する構造となっておりましたけれども、ABWRでは炉心下部の大口径配管を削除いたしまして直接原子炉に内蔵する形式に変更し、原子炉周りの大口径配管の破断リスク等をなくしているものでございます。
18ページをお願いいたします。こちらは2つ目の特徴である制御棒の駆動源を多様化した改良型制御棒駆動機構の採用についてでございます。従来型BWRでは通常運転時と緊急停止時、専門用語でスクラムと言いますけれども、いずれの場合も水圧駆動のみで制御棒を動作させる方式を採用してございます。一方、ABWRでは通常運転時の駆動方式を電動駆動に変更したことにより制御棒の微調整が行えることから、出力上昇時の燃料への負担を軽減することができ、運転性、安全性が向上しております。
また、電動駆動を追加したことによりまして、緊急停止時に水圧駆動で一気に制御棒を挿入することに加え、バックアップとして電動駆動でも制御棒の挿入が可能でございますので、確実に制御棒を挿入して原子炉を停止させることができるものでございます。
19ページをお願いいたします。こちらは3つ目の特徴でございます鉄筋コンクリート製原子炉格納容器の採用についてでございます。ABWRでは、鉄筋コンクリートと鋼製ライナーの一体化によって鉄筋コンクリートが耐圧機能、遮蔽機能、耐震機能を受け持ちまして、内張りされた鋼製のライナーが漏えい防止機能を有する構造でございます。
また、1つ目の特徴でございます原子炉内蔵型再循環ポンプの採用によりまして、原子炉格納容器内の配管が少なくなったことから格納容器の寸法がコンパクトになっておりまして、原子炉建物の重心も低くすることができ、耐震設計上有利な構造となっているものでございます。
20ページをお願いいたします。こちらは4つ目の特徴でございます改良型中央制御盤の採用についてでございます。従来型BWRはアナログ方式の制御盤でございましたけれども、ABWRではデジタル方式の制御盤、大型表示盤の採用によりまして運転操作性を向上させるとともに、各オペレーターがより早く必要な情報を確認できるように改良したものでございます。
このほかにもABWRの基本的な設計と設備が数多くございますけれども、新規制基準への適合性審査の中でその適切性についてもしっかりと確認を受けてまいりたいと思います。
また、3号機はほぼ完成した状態のプラントではありますけれども、現状は審査前の旧基準に基づいて建設したプラントであるため、新規制基準に合致させるための新たな安全対策の実施、いわゆるバックフィット対応が必要となります。これらの対策につきましては、このたびの申請の中に全て織り込んでおりますので、適合性審査においてしっかりと御説明をし、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
23ページをお願いいたします。ここから3号機の適合性申請の内容について御説明をしてまいりますが、その前に福島第一原子力発電所事故の概要と、その教訓を踏まえた対応、また平成25年7月に新たに制定されました新規制基準の概要について、主要なポイントを御説明いたします。
平成23年3月に発生しました福島第一原子力発電所事故では、マグニチュード9.0という日本周辺における観測史上最大の巨大地震、またそれに伴う津波の発生により、炉心溶融に至る重大事故へ進展いたしました。原子力発電所の安全確保の基本である、とめる、冷やす、閉じ込めるの3つの機能のうち、とめる機能につきましては地震を検知いたしまして自動的に原子炉が停止するという機能が正常に働きましたけれども、地震発生約1時間後に襲来した巨大津波によりまして、まず冷やす機能が喪失して、それによって閉じ込める機能も喪失してしまったことから、御承知のとおり放射性物質を大量に放出するといった深刻な状況となってしまいました。
この福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえまして、事故の発生を防ぐための対策として地震、津波等への備えを強化して重要設備を保護する。さらに重要設備が被害を受ける事態を想定し、代替の冷却手段を多重に確保する安全対策を講じてまいります。また、万一炉心損傷や原子炉格納容器が破損するような重大事故が発生しても環境への影響を最小限に抑え、重大事故の進展をとめるための対策にもしっかりと対応してまいりたいと考えております。
24ページをお願いいたします。平成25年7月に新たに制定されました新規制基準の概要について御説明をいたします。
ページの左側が従来の規制基準、右側が新しい規制基準でございます。福島第一原子力発電所事故を踏まえ、事故を起こさないための規制、特に耐震、耐津波性能の強化、火山・竜巻・森林火災といった自然災害等への規制が新設強化されるとともに、従来事業者の自主対策とされておりました炉心損傷防止対策、格納容器破損防止対策など事故の進展を防ぐための規制が新設されたところでございます。また、テロ対策として意図的な航空機衝突への対応も規制基準として盛り込まれました。
さらに、25ページのとおり、第5層といたしまして、放射性物質の影響から一般公衆、環境を守るという観点から、原子力災害対策特別措置法等により、防災教育、訓練、体制の整備など、原子力災害への対応が強化されております。
26ページをお願いいたします。ここから島根原子力発電所3号機の適合性申請の御説明をしたいと思います。
申請内容は設計基準対応、事故をより起こさないようにするための対応と、重大事故等対応、事故の進展を防ぐための対応、この2つの項目に分類されます。発電所共通の項目である基準地震動、基準津波等は先に申請をいたしました2号機と同じ内容で申請をいたします。
3号機の申請内容について、ごく一部の設備で異なる部分がございますけれども、基本的には2号機と同じ考え方で設備を設計して設置していくとお考えいただければと思います。先ほども申し上げましたけれども、福島での事故のような重大事故を起こさないために新たな規制基準が制定され、発電所では自主的な対策も含めてさまざまな安全対策を講じてございます。
対策の目的につきまして、福島での事故の例も踏まえてできるだけわかりやすく御説明をしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
まず初めに、設計基準対応にかかわる主な対策を御説明いたします。27ページをお願いいたします。
まず、チャンネルボックスの厚肉化でございます。チャンネルボックスは燃料集合体の原子炉冷却剤の流路の確保と制御棒の挿入、引き抜き時のガイドの役割をするものでございます。原子炉内の構造は従来型BWR、ABWRともに同じ構造で、4体の燃料集合体をワンセットといたしまして、そのすき間に十字型の制御棒1本が挿入される仕組みとなってございます。原子力発電所では、一定の規模の地震を検知いたしますと制御棒を自動的に原子炉内に緊急挿入して、原子炉を自動停止させる機能を有してございます。本対策は地震によるチャンネルボックスの揺れを低減いたしまして、制御棒の挿入性を向上させるために板厚を厚くするものでございます。
3号機の当初設計申請では、ABWRの標準設計である2.54ミリの板厚を採用することとしておりましたけれども、新たに策定をいたしました基準地震動を踏まえて、さらに安全性、信頼性を高めるために3.05ミリの板厚に変更することにいたします。2号機はもともと3.05ミリの厚肉タイプのチャンネルボックスを採用しており、この項目は3号機特有の申請内容でございます。
これ以降に説明する内容につきましては、項目の横に自主対策と記載しております。これらにつきましては規制要求にはございませんけれども、当社として一層の安全性向上を目指して実施する対策でございます。
28ページをお願いいたします。排気筒の耐震裕度の向上でございます。緑色と赤色で示しておりますとおり、不要な支持材を撤去するとともに、制震装置8基を設置いたしまして耐震裕度を向上させるものでございます。
29ページをお願いいたします。防波壁の設置でございます。福島の事故では、当初の想定を大幅に上回ります14から15メートルの高さの津波が押し寄せ、この津波により発電所構内の重要な機能が失われました。この教訓を踏まえまして、津波対策として防波壁の強化を図るものでございます。防波壁は発電所全体共通の整備でございますけれども、現在2号機の審査では10.5メートルの最大津波、押し波を想定してございます。その強い波力あるいは地震にも十分に耐え得る堅牢な設備として、発電所を取り囲む形で海抜15メートル、総延長約1.5キロの防波壁を設置いたしました。本対策は平成25年9月に完了しておりますけれども、先般妥当と評価をいただきました基準地震動にも十分に耐え得る強度を有しているものでございます。
30ページをお願いいたします。こちらは津波の引き波への対応でございます。津波の引き波による水位低下が起こった場合においても、原子炉の熱を除去するための海水が取水できるように取水口周りに海水をためるための堰を設置いたしました。2号機につきましては、取水槽の構造の違いから海水ポンプの吸い込み口を長尺にすることで対応しておりますので、本対策につきましても3号機特有の申請内容でございます。
31ページをお願いいたします。取水槽、海水ポンプエリアの浸水防止対策でございます。海水ポンプは原子炉で発生する熱を海水との熱交換器により除去するための非常に重要な設備でございます。福島の事故では、津波の来襲によりましてこれらの設備が水没してその機能を失い、原子炉や燃料プールなどを冷却することができなくなりました。この対策は、その教訓を踏まえたものでございます。まず、取水槽の開口部レベルを超える津波が来襲した場合、その開口部から海水が入ってくるおそれがありますので、敷地へ津波を流入させないために防水壁を設置いたします。赤色で示した部分が防水壁でございます。また、15メートルの高さの防波壁を超えるような津波が来襲した場合にも、海水ポンプエリア上部から津波が流入するおそれがありますので、それを防止するための防水ふたも設置いたします。黄色い点線で囲った部分が防水ふたでございます。
32ページをお願いいたします。火山・竜巻対策でございます。これらも発電所共通の対策でございますけれども、現在の2号機の審査では大山、三瓶山を対象としまして24時間で30センチの降灰を想定しております。非常用ディーゼル発電機や換気系統のフィルターが火山灰で目詰まりした場合に、速やかに交換ができるようにフィルターの二重化等の対策を行ってまいります。
また、毎分100メートルに達するような非常に大きな竜巻を想定いたしまして、その竜巻による飛来物の発生を防止するため、発電所構内の資機材、車両を固縛するための設備を設置いたします。加えて竜巻による飛来物から防護するため、非常時に使用する重要なタンクの屋根には竜巻防護鋼板を設置いたします。
33ページをお願いいたします。火災・溢水対策でございます。建物内の配管から水があふれ出るなどの溢水が発生した場合においても、原子炉施設の安全性が損なわれないように非常用の電源盤など、プラントの安全上重要な機器がある部屋の扉は防水性の高い水密扉を設置いたします。
34ページをお願いいたします。外部電源の強化でございます。福島の事故では地震によりまして送電鉄塔が倒壊をし、外部からの受電が全くできない状態となってしまいました。その教訓を踏まえまして、島根原子力発電所では外部電源について現状の北松江変電所から受電ができなくなった場合においても外部電源を確保できるように、北松江変電所と独立した津田変電所から受電できるよう設備を設置いたします。この受電設備は、平成26年10月に発電所の高台に設置した耐震性を有する緊急用変圧器を第2予備変圧器といたしまして、津田変電所からの受電を可能にするものでございます。この第2予備変圧器は、1号機、2号機にも電源を供給することが可能な設備として設置いたします。
35ページをお願いいたします。ここからは炉心損傷防止対策、格納容器破損防止対策など重大事故等対応、事故の進展を防ぐための主要な対策を御説明いたします。
まず、高圧原子炉代替注水系の設置でございます。原子炉を停止した状態でも燃料から熱が発生し続けるため、安全に原子炉を停止するためには継続して冷却を行う必要がございます。図の点線で示している部分は、標準設計で設置する原子炉隔離時冷却系という設備でございまして、停止後の原子炉内の高圧の蒸気を使用してタービン、ポンプを回して注水する設備でございます。福島の事故では、津波が建物に浸入し発電所内の全ての電源が喪失する事態になったことから、動力電源を必要としないこの高圧注水機能を有する設備が重要な役割を果たしてございます。このため、原子炉を冷却する既存の高圧注水機能が使用できなくなった場合に備えまして、同様の機能を有する代替の高圧原子炉注水系を追加で設置するものでございます。
36ページをお願いいたします。残留熱代替除去系の設置でございます。通常停止時、事故時に原子炉を冷却または原子炉内に冷却水を注水するための系統として、残留熱除去系を設置しております。福島の事故では、津波による影響で動力電源を必要とするこちらの機能も使用することができなくなってしまいました。その教訓を踏まえまして、この設備が使用できなくなった場合に備えて、その津波の影響を受けないように代替の残留熱除去系を新たに追加設置いたします。
原子炉の冷却は海水との熱交換によって行いますけれども、常設の熱交換器とは別に残留熱除去系用の熱交換器を新たに設置いたしまして、発電所内部の電源がなくても使用が可能な移動式の代替熱交換設備、大型送水ポンプ車を接続することで残留熱の除去機能を維持しまして、原子炉の冷却ができなくなることを防ぐものでございます。
37ページをお願いいたします。可搬型代替注水設備の配備でございます。発電所には、もともと原子炉が低圧となった状態で原子炉へ注水するための設備を複数設置しております。先ほどと同じく、福島の事故では動力電源を必要とするこれらの機能も同様に全て使用することができなくなってしまいました。これらの設備が使用できなくなった場合に備えまして、外部から注水できる配管の多重設置及び大量送水車等の可搬型代替注水設備を配備いたします。この可搬型代替注水設備の設置によりまして、常設の設備が使用できなくなった場合でも原子炉のほか原子炉格納容器、燃料プール、圧力抑制室など冷却が必要なさまざまな箇所に注水できるようにするものでございます。
38ページをお願いいたします。燃料プールの状態監視設備の設置でございます。既設の燃料プールの状態を監視する設備の機能が失われた場合に備えまして、重大事故等における環境条件、つまり高放射線、高温、高湿度といった状態を考慮しても使用可能な代替の監視設備を設置いたします。
39ページをお願いいたします。格納容器フィルタベント系の設置でございます。これまで説明をしてまいりましたさまざまな安全対策によりまして、原子炉や原子炉格納容器の破損のリスクは非常に小さくなると考えておりますけれども、仮にこれらの設備の全てが使用不能な状態となり、原子炉格納容器内の圧力が異常に上昇し格納容器内の蒸気を大気に放出する必要が生じた場合に備えまして、フィルターを介して放出することで放射性物質の放出を大幅に低減することができるように、格納容器フィルタベント系を設置するものでございます。フィルタベント系の設置によりまして、直接放出に比べて1000分の1程度まで放射性物質の放出量を低減することができます。これまで御説明しました何重もの安全対策によって、炉心損傷、格納容器破損は十分に防げるとは考えておりますけれども、格納容器を破損させないための最終手段としてこの設備は設置するものとお考えをいただければと思います。
40ページをお願いいたします。コリウムシールドの設置でございます。コリウムとは溶融炉心、燃料デブリのことでございまして、万一原子炉内の燃料が冷却できず溶融炉心が原子炉の下部から落下した場合に備え、床面のコンクリートの侵食を防ぐために溶融炉心と原子炉格納容器鋼製ライナの接触を防止する耐熱剤、コリウムシールドを設置するものでございます。具体的には、図に示しますとおりドライウェルサンプと呼んでいる水だめの部分のコンクリートが少し薄くなっております。この黄色で図示している形でコリウムシールドを設置するものでございます。
41ページをお願いいたします。静的触媒式水素処理装置の設置でございます。福島の事故では燃料集合体の材料と原子炉冷却剤である水との化学反応によりまして大量の水素が発生し、結果的に原子炉建物の上部が爆発する事態に陥りましたけれども、原子炉建物内に水素が漏えいした場合に、水素を早期に検知するための水素濃度計を設置いたします。また水素濃度を低減し水素爆発を防止するために、電源を必要としない触媒による水素処理装置を燃料取りかえ階の適切な位置に設置するものでございます。
42ページをお願いいたします。発電所外への放射性物質の拡散抑制対策でございます。炉心の著しい損傷及び格納容器の破損または燃料プール内の燃料体が著しい損傷に至った場合において大気への放射性物質の拡散を抑制するために、大型送水ポンプ車、放水砲等を配備いたします。また、海洋への放射性物質の拡散を抑制するために、放射性物質吸着材、それからシルトフェンスと呼ばれる汚濁防止ネットを配備いたします。
43ページをお願いいたします。水供給機能の確保でございます。重大事故等の収束に必要となる十分な量の水を有する水源として、代替注水槽、地上式淡水タンク、係留水をためる大型の貯水槽など、複数の水源を確保いたします。また、各水源からの移送ホース、大量送水車及び大型ポンプ車についても必要台数を適切に配備いたします。
44ページをお願いいたします。代替交流電源の確保でございます。福島の事故では、外部電源の喪失に加えて、津波により建物内に常設しております非常用ディーゼル発電機等が浸水して使用できなくなってしまいましたけれども、その教訓を踏まえて既設の電源が失われた場合に備え、原子炉や燃料プールを冷やすために必要な電源を確保するものでございます。左側の写真が既に配備済みの高圧発電機車で、右側の写真が津波の影響を受けない海抜44メートルの高台に設置を進めているガスタービン発電機を収納する建物でございます。ガスタービン発電機は運転時に冷却水を必要としない空冷式で、1基当たり約5,000キロワットの容量を有しております。1台あれば2号機、3号機それぞれの原子炉を安全な状態まで冷却することができる能力を有するものでございます。
45ページをお願いいたします。代替直流電源の確保でございます。常設の直流電源設備が失われた場合に備えて原子炉の状態監視等に必要な直流電源を確保するために、蓄電池の増強や可搬型直流電源設備による代替直流電源の強化を実施いたします。具体的には下の写真に示しておりますけれども、蓄電池の強化といたしまして、全交流電源喪失時における直流電源供給の強化策として、蓄電池を追加設置いたします。また、可搬型直流電源設備の配備ということで、高圧発電機車から代替所内電気設備を介して直流負荷に給電できるように可搬型直流電源設備を配備いたします。
46ページをお願いいたします。緊急時対策所の設置でございます。重大事故等が発生した場合にも対応できるように、緊急時対策所の機能を有する耐震構造の建物を発電所構内の高台、こちらも津波の影響を受けない海抜50メートルの位置に設置いたします。この緊急時対策所は、2号機と共用の設備となるものでございます。
なお、既に建設済みの免震重要棟は支援棟として使用し、復旧作業に従事する要員約300名を収容して事故対応に万全を期してまいる所存でございます。
47ページをお願いします。最後に、重大事故対策の有効性評価について御説明いたします。
1つ目のぽつですが、炉心損傷などに至る事故シーケンスに基づき評価し、これまで御説明してきました重大事故等の対策が、炉心損傷防止や格納容器破損防止対策として有効であることを確認してございます。
2つ目のぽつですが、炉心損傷が起きていない状態において全交流電源が喪失した場合を想定いたしまして、炉心損傷防止のための格納容器フィルタベント操作に伴う放射性物質の放出による敷地境界での実効線量を評価したものでございます。その結果は0.27ミリシーベルトであり、審査ガイドに示すおおむね5ミリシーベルト以下であることを確認してございます。
また、3つ目のぽつですが、著しい炉心損傷が発生した場合の想定として、原子炉を除熱するための大口径配管が破断するとともに、非常用炉心冷却系の機能喪失と全交流電源喪失もあわせて発生するという非常に厳しい状態を想定いたしまして、格納容器フィルタベント操作に伴う放射性物質の放出による敷地境界での実効線量を評価したものでございます。その結果、セシウム137の放出量は約0.0008テラベクレルであり、審査ガイドに示す100テラベクレルを大きく下回ることを確認してございます。
以上で3号機の申請内容についての概要説明を終わらせていただきますが、島根原子力発電所の風向、風速の状況などにつきまして、担当部長の岩崎から補足説明をさせていただきます。
●岩崎電源事業本部(原子力管理)担当部長
鳥取県と島根原子力発電所における風向・風速という資料をお願いいたします。風向・風速のデータは気象台や測候所、そして発電所での測定結果を用いて整理してございます。
2ページをお願いいたします。鳥取県と島根原子力発電所との位置関係をまとめた資料でございます。
3ページをお願いいたします。島根原子力発電所の気象観測設備の状況でございます。赤枠で囲ってございますけれども、発電所では、標高28.5メートル、65メートル、130メートルでの風向、風速を測定してございます。
4ページをお願いいたします。こちらは発電所におきます風向・風速観測結果でございます。標高28.5メートルの地点でございますと、年間を通じて南南東及び北西の風が多くなってございます。左下の図は、北西及び南南東について約20%の頻度で出現していることを示してございます。標高130メートルにおける風向の分布につきましては、一番右側の丸い図でございますけれども、年間を通じて見ますと大きな風向の偏りはあらわれていない状況でございます。
5ページをお願いいたします。こちらは気象庁で測定された結果をお示ししてございます。松江市鹿島町及び鳥取県内の境港市、米子市、倉吉市、鳥取市における月別の平均風速及び最多風向をまとめたものでございます。鹿島町について見ますと、西風ないしは東北東の風の頻度、観測回数が最も多い傾向でございます。境港市におきましては、西風ないし北東の風が最多風向としてあらわれてございます。米子市におきましては南南東の風が最多、倉吉市におきましては南、鳥取市におきましては東南東の風が最多風向というデータとなってございます。ただしこれは最多ということでございまして、当然それ以外の風向についても発生している状況でございます。
6ページをお願いいたします。一例として、6月の最多風向をお示ししたものでございます。
7ページをお願いいたします。12月の最多風向でございます。地上風で見ますと、各地点において全体を通して一貫した傾向というものは見られてございません。
8ページから11ページにつきましては、発電所におきます月ごとの風配図でございます。季節による傾向も見られますが、いろいろな風向が混在している状況でございます。
続きまして、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の運用についてという資料を簡単に御説明いたします。
こちらは、平成26年10月に原子力規制委員会がまとめられたものでございます。中ほどにございますが、緊急時における避難や一時移転等の防護措置の判断に当たって、SPEEDIによる計算結果は使用しないと御判断されております。これは、福島第一発電所事故の教訓といたしまして、災害の発生時に、いつどの程度の放出があるか等を把握すること、それから気象予測の持つ不確かさを排除することはいずれも不可能であることから、SPEEDIによる計算結果に基づいて防護措置の判断を行うことは被爆のリスクを高めかねないと判断されたものでございます。
◎稲田議長
ただいままでの説明に対しまして御意見、御質問等があればお願いしたいと思いますが、最初に何点かお願いがございます。
まず1点目として、時間も限られておりますので、本質問は3つまででお願いします。また、追加質問の回数は2回まで、1回当たりの質問数は2つ以内とさせていただきます。
なお、質問は説明、答弁にかかわる内容について、簡潔明瞭に行っていただきますようお願いいたします。
また、質問項目が重複されないように各質問者はお気をつけいただきたいと思います。質問が重複していると議長が判断すれば、その質問への答弁をしないことを指摘することがありますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと思います。
以上、3点について御了解をお願いいたします。
では、質問をお願いいたします。
最初に、鳥取県議会自由民主党、浜田議員。
○浜田(一)議員
議長も冒頭で、いささか性急ではないかとおっしゃいました。知事も同様の発言をされていますけれども、私も、5月22日に3号機の新規制基準適合申請の事前報告が行われたばかりですので、本当に性急ではないかというのが正直なところであります。ただ、こうやって3号機の申請に係る説明をしっかりと受けるというのは我々の大事な役割だと思いますので、こういった機会に感謝をしたいと思います。
スケジュールありきではないかというような報道も多く見られました。今後、申請内容の説明に当たっては県あるいは境港市、米子市それぞれの議会、そういったところの住民にも十分に理解が深まるように、これまで以上に誠実かつ丁寧な説明が必要ではないかと考えます。
立地自治体には今まで本当に丁寧な説明をされてこられているのだろうと思うのですよ。ただ、やはり周辺の自治体にはまだしっかりとした説明を受けていないという住民感情もあろうかと思います。丁寧な説明が必要ではないかと思いますが、どのような姿勢で臨もうとされているのかをまず伺います。
次に、4月中旬に私たちの会派で3号機の視察に伺わせていただきました。その際の説明の中でも、新規制基準に基づくたくさんの改良、変更が必要だという説明を受けました。免震構造であったものを耐震構造にしたりですとか、そういうことが本当にできるのだなというふうに私も感心したところなのですけれども、今後も、新規制基準適合のためにさまざまな改良が考えられると思います。先ほどの説明の中でも、平成31年度に向けて何カ所か改良していくというような御説明もありました。2号機の新規制基準への適合申請から4年以上が経過し、3号機の事実上の工事完成からも7年近く経過していますが、今回の3号機の申請書はどの時点の状況が反映されているのか。また、3号機の申請を出せば2号機の申請との重複申請になって、2号機の審査というものにも影響するのではないかと思うのですが、そのあたりについて伺います。
次に、技術的なことは、なかなか理解できないのですが、発生確率に関係なく、想定の範囲内の事故で一番厳しいシナリオと、その対策はどういうものなのか御説明いただきたいと思います。また、そのような事故の場合は、放射性物質の放出までの時間はどれぐらいになるのか。例えば鳥取県でいいますと境港市、米子市の両地域に、どれぐらいの時間で影響がでると想定されているのか伺います。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
3つ目の一番厳しいシナリオにつきましては、実際にそのシナリオを描いた岩崎に説明させます。最初の2つは、私が説明させていただきます。
まず、丁寧な説明が必要という御指摘でございます。十分に承知しております。福島の事故以降、安全協定を締結させていただき、立地自治体と同様の対応をさせていただくということでやってまいりました。今回の3号機の適合性確認申請におきましても、議会あるいは住民への説明会を開催するなど、しっかりと丁寧に説明させていただきます。
そして現時点での申請の内容でございますが、ABWR、改良沸騰水型原子炉という意味では東京電力の柏崎刈羽原子力発電所の6・7号機が昨年の12月に設置許可をいただいております。地域の特性もございますが、国の規制基準に合格したプラントがございます。柏崎刈羽原子力発電所が適合した段階までの内容は今回の3号機の申請に織り込んでおりますし、また、女川発電所、東海第二発電所は審査継続中でございますが、織り込めるものは織り込んでいるという段階でございます。基本的には、柏崎刈羽原子力発電所6・7号機のABWRが合格した内容につきましては織り込んでいるということでございます。
2号機との関連につきましては、私どもとしては並行申請ということを希望いたしますが、原子力規制庁では現在数多くの申請を抱えておられます。どうしても難しくどちらかを選べと言われれば、2号機を最優先にしていかざるを得ないとは考えておりますが、それは地元の皆様への御説明が終わった後の申請段階で規制庁とお話をして決めることとしております。現段階では、私どもの中でどうするかを決められないということでございます。
●岩崎電源事業本部(原子力管理)担当部長
北野の御説明に補足させていただきます。
重複申請が2号機の審査に影響するのではないかという部分ですけれども、重複申請の議論につきましては2号機が審査に合格して以降の話でございまして、現在実施しております2号機単独の審査には影響しないものと考えてございます。
そして一番厳しいシナリオ、それから放射性物質の放出までの時間でございます。一番厳しいシナリオとして考えられますのは、福島の事故でも起きましたようにセシウムが大量に放出されるような事象でございます。島根原子力発電所3号機におきましては、そのようなことにならないよう放出量を十分抑えられる各種設計を実施してございます。
事象といたしましては、原子炉圧力容器につながっております大きな口径の配管が破断し炉心の水位が低下していく。そして、そのときに発電所の交流電源がなくなる。そして原子炉の設計上考慮し、配備しております非常用炉心冷却系と申します設備の機能が喪失する。そのような場合には残念ながら炉心が損傷し、そして格納容器をベントしないといけないという状況が考えられます。
放射性物質の放出までの時間につきましては、事故発生から約36時間と評価してございます。
○浜田(一)議員
安全協定についてですが、安全協定は文言の違いだけで、実質的に立地自治体の協定と同等の内容であることを確認するということでありますけれども、同等とすれば今回の事前報告というものは実質的な事前了解でよいのか改めて伺います。
次に、安全協定では稼働同意の文言はありませんが、稼働あるいは再稼働のときは安全協定の事前報告が実質的な事前了解となるのか改めて伺います。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
まず、安全協定でございますが、今回の申請は、計画等の報告という形で報告という形をとらせていただいていますが、私どもはきちんと誠意を持って説明をしまして、その上で御意見をいただき、その御意見につきましては誠意を持って対応するという形でございます。
文言は違いますけれども、私どもとしてはこれまでどおり立地自治体と同様に対応させていただきたいと考えております。
次に、稼働に当たっての話でございますが、稼働の同意ということは安全協定の中には明記されておりません。その件につきましてはいろいろあるのですけれども、今回、3号機はまだこの申請の段階でございますが、2号機につきましては申請段階の手続は済んで、現在は審査中です。今後許可がおりましたら、後段のプロセスに入ってまいります。その際には、私どもと国とが、その許可された内容について御説明してまいるわけでございまして、立地自治体のほうはそういった形で事前了解です。
鳥取県のほうにつきましても、申請段階では意見は保留するという形で、許可後に改めて説明を聞いて意見を出されると聞いております。私どもとしては、許可後に再度しっかり説明し、御意見をいただいて、それに誠意を持って対応する。そういったことで説明責任を果たしながら進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○浜田(一)議員
繰り返して言いますけれども、丁寧な対応というものが本当に求められると思います。そのあたり、ぜひよろしくお願いします。
それでは最後の追及となりますが、平成23年の事実上の完成から既に7年が経過しているわけですけれども、九州電力の玄界原発3号機の配管から蒸気漏れでもあったように、3号機についてもほぼ完成後から長期間動かしていないということで、本当に影響がないものかどうなのか。いろいろと点検はされていると思いますけれども、改めて徹底的に調査を行うのか。そのあたりについて伺いたいと思います。
一番近いところでは境港市まで大体17キロというふうにされています。このたび県の地震防災調査研究委員会で、宍道断層の長さを22キロから39キロに見直して算出した場合に、境港市で最大震度7を記録する可能性があるということが示されました。震度7に対応できる構造にしてあるという説明をこれまでも受けてきたわけですけれども、住民は本当に大丈夫なのかということを心配するわけですね。例えば、境港市でいいますと一方通行なわけですね。島根原発がもし事故を起こしたら、どこに逃げるかというと、南に行くしかないわけです。幹線道路は2本しかありません。その中で3万人の人間が移動するなどということは、現実的にはなかなか難しいと思います。ですから、周辺住民は本当に大丈夫なのか心配する。これはもっともなことだと思います。震度7ということになると、当然避難経路にも支障を来します。ライフラインが脅かされるのではないかと本当に懸念しております。
このたび東海第二原発の安全協定に、立地自治体だけではなく周辺自治体も再稼働の事前同意の対象にされました。周辺自治体の発言力が増し、再稼働に係るハードルが上がるのではないかという報道もありますけれども、私はそういうことではなくて、やはり丁寧な説明というものが大事だと思うのです。全員賛成ということは全国探してもなかなかないと思いますけれども、こういったことに対してこういった対応をしていきますよという、そういった親切な説明というものが大事だと思います。
中国電力の取り組みの中で、人為的なミスによって再点検ということが過去に2回か3回ぐらいあったかと思いますけれども、先ほどの3号機の説明を受けておりまして、ますますチェック箇所がふえてくると思うのですね。安全対策というものをどうやって確保していくのかということが大事で、その姿勢も含めてチェック体制というものが本当に大事だと思うのです。いろいろな苦情などもあろうかと思いますけれども、そういった住民感情に対しては、先ほど言っていただきましたけれども、住民の皆さんに配慮した取り組み方というものが求められると思います。いま一度、それについて御意見を伺わさせていただきます。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
3号機の新規制基準対応について、いろいろな改良ポイントを今回御説明しているわけでございますけれども、御指摘のとおり設備はきちんと申請したものに改良し、それがきちんと機能するような点検をする。そして既存の設備についても再度点検する。これは非常に重要なポイントでございます。
3号機は長期に保管しておりますが、当然保管部品に十分な配慮はしております。3号機は試運転を開始してございますが、再稼働に当たっては時間をかけてしっかりとした点検をする。これも当然のことでございます。
また、2号機のダクトの腐食事象で大変な御心配をおかけしておりますが、ああいった事案も3号機を調べて異常がないかどうか確認しております。そういった形で、他プラントあるいは自社プラントの水平展開も含めてしっかりやった後に点検を全て仕上げて、稼働に結びつけたいと考えております。
特に長期に保管、あるいは2号機もそうですが停止したプラントの影響というのは非常に大きく、原子力安全推進協会という日本全体でいわゆる自主的な規制をする組織がございますが、そちらからもいろんな提言を受けております。私どもはそういったいろんな知見、提言を全部きちんと反映するべく努力しておる次第でございます。
また、そういった取り組みをきちんと地域の皆様に丁寧に御説明していく。安心していただける発電所を目指し、引き続き丁寧な説明をしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
◎稲田議長
次に、会派自民党、内田議員。
○内田(隆)議員
2号機の一連の流れにしてもそうですし、今回の3号機の流れにしてもそうです。浜田議員からの指摘もありましたが、我々県民が求めるのは、これまでと変わらない中国電力さんの真摯な姿だと思います。今まで丁寧に一つ一つ溝を埋めながら理解を深めていったというところがありますので、今後ともそのように進めていただきたいというのがまずもってのお願いですが、そこにおいて気になるのが安全協定ということになると思います。安全協定も、我々鳥取県と中国電力さんでしっかりと一個一個確認をしながら進めてきたものでありますし、それは本当にとうといものだと思っています。そして、こうやって議論が積み重なって約束事ができて、それが安全協定を補完する部分になってくるのだと思うのです。
中国電力さんの安全協定に対する考え方について、3号機については聞いたことがないと思うので改めて聞くのですが、法的根拠についてどのように認識されているのかお聞かせいただきたい。つまり、安全協定というのは法的な拘束力があるのかないのかという議論であります。
そして、きょう風向きと風速という資料が出てきました。こうやって事実関係をきちんと伝えていただいて、こういう影響があるということを我々も、そして住民も理解しながら議論を深め、理解を深めていくのが重要だと思います。
ここに出てきたことだけ見ても、やはり冬場は立地自治体以上に県民感情としては不安だよねということになるわけです。そのときに、設備についてきちんと説明していただきたいということはお願いするのですけれども、あくまでも適合申請については、原子力規制委員会がしっかりと判断をされるわけでして、そこにきちんと通るような設備、環境をつくっていくということはされるのだと思うのです。
我々が話をしなくてはいけないのは安全協定であるとか、実際にメルトダウンが起こったときに本当に担保してくれるかというところだと思うのですね。だからその辺について改めて、2号機では確認していますけれども、3号機についても同様に中国電力さんはメルトダウンがあった場合にはしっかりと責任をとるという、県民に対するメッセージをいただきたい。
そして最後になりますが、私が若干不安になるのが発送電分離というものがあって、カンパニーの形態が変わりますよね。心配しなくてもいいことだと思うのですけれども、安全協定の対象というのは県と一体どこになるのかというのをお聞かせいただきたいです。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
まず1つ目、安全協定の法的根拠でございます。法的には私契約でございますので、法的という言葉で言うと、処罰はありません。ただ、例えば紳士協定であっても、私どもはそれをしっかり守るという姿勢でございます。法的に処罰されないから破るということは決して考えておりません。協定に基づいて、しっかり対応させていただきます。
そして2つ目、事故時の対応でございます。事故が起こって、メルトダウンということを一つの事例としておっしゃっていただきました。私どもは、事故対応におきましては、まずは事故は決して起こさないという強い決意を持って、さまざまな安全対策あるいは訓練を行って事故の発生を極力少なくする努力をしてきております。ただし、事故は起きないという安全神話に頼りますと福島のようになってしまうということで、私どもはそういう努力の中でも事故は起こるかもしれないという前提のもと、安全性の向上を不断に追求していくということでございます。仮に事故が進展する中では、どんな事故であっても地域の皆様を守るためにまずは放射性物質を放出しない努力をする。仮に出るとしても、その量は極力少なくする。そして仮に避難等で損害を与えた場合にはきちんと補償するといった形で、いろいろな状況に応じて私どもの責任をしっかりと認識しながら対応してまいるつもりでございます。いかなる場合であっても私どもは逃げずに、しっかりと対応させていただきたいと思っております。
そして最後に、発送電分離についてございますが、東京電力さんのようにいわゆるホールディング制をとるか、あるいは発送電分離の会社だけ独立させるかというところをいろいろ検討してきております。現在、私どもは送発電部門は送発電カンパニーという別会社形式、社内ですが別会社のような形で準備を進めているところでございます。そういった意味で、どういう形になるかというのはいろいろありますけれども、最も全体をグリップするところがこの安全協定を締結するということになりますので、基本的に対応は変わらないと考えております。
○内田(隆)議員
3点について聞いたのですけれども、聞きたかったことは1つなのですね。何かというと、中国電力は2号機と同じく3号機にもしっかりと責任を持つという言葉です。そうした話を重ねて、お互いの信頼関係を醸成しながらやっていくべきだと思います。
申請については、判断の時期等はいろいろこれからのことだと思いますが、このように我々県議会、そして県民にしっかりと向き合っていただきたいということを再度お願いしまして、質問とさせていただきます。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
議員の言葉を肝に銘じて、これからも2号機と3号機について、それぞれしっかりと御説明しながら安全を最優先に対応してまいります。また、これからもいろいろな意見あるいは御指摘をいただきながら、発電所の運営に反映していきたいと思います。
◎稲田議長
次に、会派民主、森議員。
○森議員
いろいろな質問がもう既に出ていますが、安全協定について改めて質問したいと思います。
かねてより鳥取県は立地自治体と同様の安全協定を求めてきたわけですけれども、きょう時点でまだ立地自治体並みの安全協定にはなっていないわけです。全国的に見れば、先ほどもお話がありましたが東海第二原発で、立地自治体が自分のところだけでは荷が重たい、100万人の市民の安全を一つの自治体だけでは判断できないということで、周辺自治体と同様の安全協定が結ばれた。私は当然のことだと思うのですけれども、島根原発についても46万人ですね。鳥取県側は7万3,000人だったでしょうか。現在どんな理由でできていないのか。改めてこの話をいただきたい。
2点目ですが、現在ほぼ火力と水力、それ以外の再生可能エネルギーも入っているのでしょうけれども、それだけで中国地方の電力を賄っているわけですね。そこで、現在2号機の申請をしていて、さらに今回137万キロワットの大きな電力を稼働させようとしている理由を改めて説明いただきたいのです。というのは、原発は本当に安いのかということです。例えば、関西電力は原発が稼働したからといって電力料金を下げましたが、本当にそうなのか。例えば事故が起こったときの補償を中国電力さんは全部準備していて、そういうものは全部自社で賄うということでそのための資金も用意しながらそれを稼働させられるのか。どこかそんな保険を受けられる保険会社があるのか。その値段が安いのか。原発を稼働されるその理由を、安いのかどうかも含めてお願いをいたします。
3番目が一番問題なのですけれども、福島の事故のときには、なかなか情報が外に出なかったということが非常に大きな問題でした。立地自治体でさえ、どんなことが起こっているかわからない。テレビからの情報しかなかったみたいなことでしたけれども、きょうのお話はもちろん、どうやったら事故を起こさないかというお話ですけれども、事故が起こったときの対応として、会社としてどのようなことができるのか。どのような体制で、どんな部署で、どれだけの人員をそこに充てることにしているのか。そのあたりのお話をお願いいたします。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
まず、安全協定についてでございます。東海第二原発で、議員御指摘のとおり協定が結ばれていることは承知しております。安全協定につきましては、その地域ごとに、いろいろな形で協議がなされております。現在も全国で多様な協議がなされており、それぞれのところで地域の指定、例えば京都府では5キロ圏内が存在する舞鶴市があるとか、そういったことも含めて情報を収集し、分析しているところでございます。
鳥取県さん等からも、立地自治体と同等の協定を結んでほしいという申し入れを受けております。それにつきましては、さまざまな全国内の協議状況を踏まえながら引き続き検討させていただきたいと考えております。
次に、原子力自体が安いのかという話です。まず一つは、国による発電コストの検証というものがございます。これは福島の事故の後でございますが、平成27年5月に行われたものでございます。原子力についてはモデルプラントで大体キロワットアワー当たり10.3円。そして例えば石炭火力であれば大体12.9円というところでございます。福島の事故の損害は、現在20兆円と言われておりますが、平成27年5月時点では12兆円の想定でした。福島の場合は4ユニット被災しておりますので、それをモデルプラントに落として約9兆円がこのコストに反映されております。多少のぶれは発生しますが、そう大きくぶれずに、引き続き電源としては火力、LNGに比べて遜色ないと考えております。
ただ、自社だけで賄えるシステムかとおっしゃいますと、そうはなりません。まずはこれを担保するために従来から原子力事業者の損害保険というのがございます。原子力損害賠償法という法律がもともとございまして、最高額は1,200億円です。当然これでは足りませんで、福島の事故以降できたのがいわゆる相互補助というものでございます。電力各社も含めてそういったものを負担していくということで原子力損害賠償支援機構法という法律ができました。これは原子力損害賠償を支援するための組織をつくって、支援のための仕組みというものを法律上担保して、当社もそれに対して拠出金を毎年出しているところでございます。今、そうやって相互補助も含めてやっていく形で、原子力というものを支えていくという状況になっております。
そして事故が起こったときの対応でございます。もちろん、まず私たちは事故は起こさないという覚悟できちんと24時間対応しております。それでも仮に事故が起こり、それを我々がきちんと鎮静化できなかった場合に外部放出という形になります。その際には、発電所の人間だけではなく本社等も含めて地域対応班というものを設置します。約3,600人に放射線に関する基礎知識を学ばせ、避難活動に対する支援を行っていく計画でございます。そういった形で、まずは起こさせない。起こしても、その地域の皆様に対する影響は極力小さくする、あるいはおくらせるという努力をしながら、本社を中心に組織で避難に対する支援をしていくといった考えで、今体制をつくっているところでございます。
○森議員
今、安全協定については、ほかの原発の状況を見てというお話なのですね。例えば松江市長がこの安全協定で発言された内容というのは、わからない者が発言するなみたいなそんな言い方でしたので、我々を非常に逆なでするような内容でしたよね。松江市だけで本当に被害が終わるのですかというと違うはずなのですよね。だから、この安全協定について立地自治体と同じものとするべきだということを求めているわけですよ。ほかの原発の安全協定がどうかという話とはまた違って、私どもは島根原発との安全協定を求めているわけですから、そうやってほかの状況を勉強させていただきながら検討しますなどと言われたって、そこに誠意は感じません。そこについての御意見をもう一度お願いいたします。
2点目ですけれども、きょう風向の資料もいただきました。私もアメダスの資料により、1年間どういう形で動くかをシミュレーションしてみました。きょうの話では、米子市は南南東の風が一番多いという話ですけれども、北東と南南東ですよね。境港市の場合は北西の風もあるのですけれども、北東の風が多かったり、パターンとしては島根原発から一回海側に出て、それが北東の風で東側に出ていって、それが南西の風で海に出て、それが今度は鳥取県側で北東の風が戻ってくる。そういうような感じを私は受けています。きょうの資料では、そういうことが全くなくて、違う説明をされているような気がしています。
丁寧に説明されるつもりでこういうふうに最多風向などを出しておられると思うのですけれども、ぱっと見た目には米子のほうには風は来ないみたいに思えてしまいますので、こういう説明は不適切です。丁寧な説明にならずに、逆にまやかしの説明になるのではないかと私は思うのです。そのあたりについて、もちろん統計的にはこれはこれで正しいとは思うのですけれども、丁寧な説明かどうかについて御意見を賜りたいです。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
安全協定につきましては、引き続き全国の動向を見ながら協議してまいりたいと思いますが、まずは今回の3号機の申請につきましても立地自治体と同様の対応ということで、しっかりと住民説明会の開催等をさせていただきたいと考えております。安全協定については、引き続き協議をお願いしたいと思います。
また、今回、御説明しましたが、風向、風速につきましては、気象の関係で、非常に難しいものでございます。統計的に処理したデータだけではきちんとした説明になっていないという御指摘も踏まえまして、こういう風向、風速について、どのように説明すれば御理解が得られるかということについて、今後の対応の参考にさせていただきたいと思っております。
○森議員
ぜひお願いします。
国が30キロ圏内ということで決めたのですけれども、これは非常に不十分だと考えています。特に、福島原発の事故で大きな被害が出ているのですけれども、立地自治体以外のところ、飯舘村とかでも50キロ以上離れているのに全村避難みたいなところまで起こっています。
福島原発の事故の場合は、全放射性物質の8割は東側の海に出たと言われていると思います。気象は西から東に流れていくわけですから当然のことだと思うのですが、島根原発は鳥取県の西側に位置していますので、もし事故が起こって福島原発と同じように東側に8割来ると考えたときに、30キロというのは全く意味をなさなくて、50キロも100キロも来るのではないか。
東側にどれだけの量が出て、どうなったのかさえも海ですから結局わからない状態になっているのですね。ブラックボックスです。ところが、島根原発の場合は、東側は鳥取県です。事故があった場合のシミュレーションなどはされていますか。もしされているとすれば、この30キロ圏内以上に大きな被害があるのではないかと私は考えるのですが、いかがでしょうか。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
福島事故並みの放出があった場合のシミュレーションは、電力各社ではなくて、原子力規制委員会のほうで一度行われたことがございます。その結果も公表されておりますが、一定の前提をもとにした評価でございまして、当社としてそれについて申し上げにくいのでございますけれども、福島であれだけの大量放出があったことを踏まえて、47ページに重大事故対策の有効性評価というページがございますが、この中の下から3行目、審査ガイドに示す100テラベクレルというのが、現時点での安全目標という形でございます。
これはどういうことかといいますと、福島で放出された放射能量は1万テラベクレルと評価されております。これは方向に関係なく、1万テラベクレルが放出されたということです。爆発を含めて4ユニットが事故に遭ったわけですが、実は、1号機と3号機につきましてはベントが成功しておりますので、100分の1に下がった状態での放出ですし、4号機はもらい事故ですのでほとんど放出されておりません。ですので、99%近くは、格納容器が破損した2号機ということが既に実証されております。この1万テラベクレルの100分の1というのが安全目標なわけでございます。100分の1に下げるということは、福島事故の後、1年間で100ミリシーベルトを浴びるような場所、当然避難箇所になりますが、それが1ミリシーベルトになるということで、安全目標を達成すればそういったことで、いわゆる拡散範囲が狭くなるということでございます。
当社の場合これをさらに下回る状況でございまして、そういった安全対策をしておりますが、もちろん防災についてはそういった数値にかかわらずいろんな状況を想定しながらやっていけているかと思っております。
そういった意味で、今後の新規制基準への適合性の確認の中で、どういった事故想定で、どういった放出となるかいうところも含めていろいろな審査がされるものと考えております。その結果につきましては、こういった場でまた御説明をさせていただきたいと思います。
◎稲田議長
次に、公明党鳥取県議会議員団、澤議員。
○澤議員
6月12日に、会派自民党とともに視察をさせていただきました。現場を見させていただきましたので、その感想も踏まえながら、質問を申し上げたいと思います。
以前にも2号機を視察させていただきました。3号機も炉心までおりて全部見させていただきました。一般の人はなかなか見る機会がないかもしれませんけれども、そういう説明の機会というのは、中国電力さんのほうでしっかりと丁寧にやっていただくことが大切ですし、当然の話ではないかと考えております。
その上でお聞きしたいのですが、2号機、3号機を見て、感じたことがあります。
一つは、申請のことについてですけれども、3号機は2号機と大分形式が違っておりますけれども、3号機の申請の際に、2号機の審査内容からさらに厳しくなった点があるのか。また、他の原発の審査内容が反映された内容があるのかということを教えていただきたいと思います。
もう一つは、視察で、いわゆる緊急対策本部を見させていただいた際に、ふと思ったのですが、災害が同時に起こったとき、例えば2号機、3号機で事故が起きた場合に、その対応については、どのように検討しているのでしょうか。また、この点についてきちんと審査がされているかということもお聞かせ願いたいと思います。
それともう一つですが、2号機でダクトの腐食があったという報告がありました。国の審査を受けて、きちんと対策が了解されたとありますけれども、3号機に対してはどのような形になっているのでしょうか。異常がなかったのかどうなのか。また、今後の対策についても伺いたいと思います。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
2号機と3号機のいわゆる審査項目の差については、後ほど申請の担当責任者である岩崎から答えさせます。
2号機と3号機の同時被災についてでございますが、現在、2号機が審査中でございますが、2号機の審査の後に、今度は3号機の審査の中で、2号機と3号機の同時被災という状況も含めて、審査が行われると考えております。その審査結果につきましては、3号機の設置許可が終わった後にまた説明の機会を設けさせていただきたいと思います。同時被災はしっかりと審査が行われます。
ダクトの腐食では、大変御心配をおかけしまして、改めましておわびを申し上げます。
ダクトの腐食につきましては、1号機、3号機それぞれで水平展開を行っております。3号機につきましては新しいということもございまして、腐食というものは一切ございませんでした。ただ、2号機で得られた知見、点検頻度、点検内容といったものは、今後の3号機の点検等に反映して、あのような腐食が発生することのないようにしっかりと維持管理してまいります。1号機につきましては一部腐食がございましたけれども、こちらは廃止措置中でございましてもう使わない箇所でございましたので補修はしませんが、2号機との共通部分は塞いで影響がないようにしてございます。
●岩崎電源事業本部(原子力管理)担当部長
2号機の申請以降に新たに規制要求化された項目としてはどのようなものがあるかという御質問を頂戴いたしました。
項目といたしましては、有毒ガスが発生した場合に中央制御室等にいる要員に対して影響がないかといった評価ですとか、火山の影響が発生した際の体制の整備、それから柏崎刈羽原発6・7号機の審査の中で出てきた課題ですが、具体的にはフィルタベントに至らせないため、格納容器の圧力が高くなることによる格納容器の破損を防止するために格納容器を冷却できる設備を新たに設置すること、ないしはブローアウトパネルと申しまして、建物内の圧力が上昇した際に壁の一部が落ちるようになっておりますけれども、それを再度塞げるような設計に変更することなどが新たに求められてございます。これらの事項につきましては、3号機の申請の中に盛り込んでございます。
2号機につきましては、今後、審査の中で御説明し、補正申請を実施していく流れでございます。
○澤議員
以前、2号機を視察させていただいたときに、1号機の話も少しお聞きしました。廃炉という話が決定する前のことでしたので、どれぐらいの耐久性があるのかという話を聞きました。そのときに、40年、年齢でいえば壮年ですけれども、まだまだ体力がありますという回答をいただいたのを覚えております。いろいろな形でこの耐久性ということが出ていますけれども、3号機について、何年運転をしていくのかということをお伺いしたいと思います。
もう1点は、原発の設置において、中国電力さんは日立製を採用しているということを聞きました。電力会社によってそれぞれメーカーが違うようですが、中国電力さんの場合は長年の信頼関係の中でそういうふうにやっておられる。ただ、先ほども説明がありましたけれども、今回は改良型の沸騰水型を入れられるということです。未知の世界と言えばおかしいのですけれども、これまで中国電力では採用されていないものが今回運転されるに当たって、どのような体制で向かおうとしていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
まず、3号機の運転期間についてでございます。3号機の前に2号機でございますが、現在運転開始からほぼ30年を迎えようとしております。国の制度では、30年を迎えるに当たって向こう10年間しっかり運転できるための高経年化の評価をすることになっておりまして、現在2号機はこの評価について、国に申請して審査を受けている状況でございます。したがいまして、私どもとしては40年というのは制度上当然考えられます。
ただし、それは先ほど言った30年目にABWRとしての高経年化の評価をしっかりやって悪いところは直し、さらに40年を迎えて、高経年するといったようにステップごとに検討し、総合的に勘案しなければなりません。法に基づけば40年になりますけれども、それから先につきましてはそれ以上の点検データがありませんので、現時点では検討ができていないということになります。
また、ABWRということでいろんな新しい装置も入りました。ABWRで新しくなった部分もありますし、2号機とほぼ共通の部分もございます。特にABWRには、フルデジタル化ということでデジタル制御を使った部分がございます。デジタル制御につきましては、2号機でも主要な部分はデジタル化しておりますので、その技術については既に取得できておりますが、柏崎刈羽原発あるいは北陸電力の志賀2号機、そういった先行のABWRの知見というのは既に入手できておりまして、そういった知見もきちんと反映しながら、教育、訓練も行いながらやっているということでございます。
もともと平成23年の5月か6月ぐらいに試運転開始ということで十分な知見は持っておりましたが、一回福島の事故でとまっておりますので、3号機の試運転開始に当たっては、先ほど点検をしっかりしてほしいという話もございましたが、そういった点検や知見の反映をしっかりするとともに、人材についてもさらにレベルアップして対応していきたいと考えております。
○澤議員
やはり住民の方に対する説明が一番大切になってくるのではないかと思います。先ほど冒頭で、住民に対する説明について触れられましたけれども、今までの事故のことなども踏まえて、中国電力さんから、なぜこれが必要なのかといったことですとか、どういう効果があるのかといったようなことについて、踏み込んだ話をしていただきたいのです。原発を稼働するのであれば、住民の方にわかりやすく、理解が得られるよう、そういった説明もお願いしたいと思います。
それと、一番重要なのは、事故は絶対に起こしませんということです。それは何回も言われましたが、今のお話を踏まえて、それをもう一度お聞きしたいと思います。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
先ほどから何度も申し上げていますが、住民の皆様あるいは議会の皆様、いろいろな方々にしっかりと説明してまいる覚悟でございます。
必要性については、今回、時間の関係で説明できませんでしたが、参考資料のところに書いております。まず、説明資料の62ページでございます。実は、福島の事故以降、当社の電源の9割を火力発電所が支えております。その9割の火力発電所のうち502万キロワット、半分以上が、平成30年代の半ばには40年を超えます。1号機もそうだったのですが設計が古い。古いということは壊れやすいというのもありますが、もっと大きいポイントは効率が悪いということです。同じ燃料を使っても、発電する電力が少ないということがございます。これは現行の省エネ法上、改善しなければいけないポイントでございます。これは修理しても効率は上がりませんので、ほかの電源にリプレースしなければ対応できないということになります。そのための電源として考えているのが島根原子力の2号機、3号機であり、そして高効率の石炭火力である三隅発電所の2号機でございます。
また、CO2の問題もございます。66ページをごらんいただきたいのですけれども、2016年度の実績では、9割方が化石燃料です。現在、エネルギー率につきましては、国際公約も踏まえて2030年度、2050年度というところで設定されておりますが、この2030年度におきましては、いわゆるゼロエミッション電源である、原子力や再生可能エネルギーについて、44%という目標が掲げられており、その達成が電力会社を含めた事業者に課せられた使命でございます。現在のところ、島根原発2号機、3号機で原子力を約2割程度に、それから現在13%の再生可能エネルギーを2割程度に引き上げていかないと、当社としてそういった約束を果たしていけないということでございます。
最後に、65ページに戻っていただきたいと思います。経済性についてですが、特に産業界のから、電力の自由化ですので競争もございますけれども、ぜひ低廉な電気料金をお願いしたいと、安い電源をお願いしたいという御要請もございます。もちろん一つの電源に集中することはございません。バランスのいい構成の電源でいきたいと思っておりますが、そういった意味で、原子力も一定の役割が必要であると考えております。
必要性については、そういった形で考えておりまして、いろいろな説明会の場でさらに詳しく説明してまいりたいと考えております。
そして、事故でございますけれども、改めて申しますが、福島の事故というのは原子力事業を行う私どもにとっても非常に大きな衝撃でございました。その後、私どもはあのような事故は決して起こさないという強い決意のもとに、徹底的な安全対策、そしてさまざまな事象を想定した訓練を引き続きやっております。絶対に起こさないという強い意思でやっておりますが、ただ、安全神話というふうになってはいけません。私どもはそういった努力をしながら、仮に事故が起こったときに、その影響を緩和する装置といったものもしっかりとつけていく。あるいはそれがだめになったとしても、地域の皆様が避難できる時間を稼ぎながら放出量もできるだけ少なくするという努力をする。そして自治体の皆様がつくられた地域防災計画にしっかりと当社としての役割を果たしていくということを実施していきたいと考えております。こういったことも、これからしっかりと説明してまいりたいと思います。
◎福間副議長
次に鳥取県議会会派希望(のぞみ)、川部議員。
○川部議員
事故を起こさないために、いろいろな対策をされているということは、説明をお聞きしてよくわかりましたが、それでも最悪の事態が起きて、放出するような事態になった場合のことをお聞きしたいと思います。
先ほどの森議員の質問の際、重大事故対策の有効性評価のところで少し言われたのですけれども、実際にどの程度の影響が我々にあるのかということを、もう少しわかりやすく教えていただきたい。
それから今回、風向・風速という資料をつけていただいていますが、最悪の事態が起きたときに、どういうふうになるかということの説明がないように思います。風向がこうだから、どうなのだというところがはっきりわからないので、その辺をわかりやすく説明いただけたらと思います。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
質問を2ついただきました。まず、47ページの有効性評価について御説明しましたが、では実際にどの程度の影響があるのかという御質問でございます。こちらは、事故のシナリオの中で御説明させていただきます。そして、もう一つ、風向きについての御質問がございましたが、風向が実際の原子力防災でどう使われるかということも含めて御説明させていただきたいと思います。
まずは、25ページをごらんいただきたいのですけれども、事故防止につきましては、いわゆる5層の構造というものが国際基準となっております。第1層、第2層、第3層というものがあります。これは福島の事故でもきちんとできていたものでございますが、津波あるいは地震というものがそれぞれの装置を破壊してしまって、冷やす、閉じ込めることに失敗した。そして結局、第5層の避難というところまでいってしまったというのが福島の事故でございます。
私どもは当然、第3層までのいわゆる地震、津波、そういったものについての対応は強化いたしましたし、この第4層のところもしっかりやってきております。先ほど岩崎が述べましたが、フィルタベントをあけて境外へ放出するという事象が最後には想定されますが、それまでにはいろんな対策を追加しておりますし、先ほど2号機以降で追加された対策の中には、例えば36ページにございますけれども、残留熱代替除去系の設置というのがございます。実はこれがなぜ追加されたかといいますと、例えば2号機であればこの同様なシナリオで73時間保持できます。3日間は境外放出しないようにということができるのですが、先ほど述べましたように島根原発3号機はABWRで、柏崎刈羽原発と一緒ですが、36時間という短い時間になっております。そういった関係もあって、そのベントの時間をおくらせるという観点からこういった設備をつけるべきということで、残留熱代替除去系が柏崎刈羽原発に要求されたものでございます。
仮に、それでもこの装置が機能しない場合を踏まえたものが47ページの下から4行目です。残留熱代替除去系が使用できない場合、格納容器フィルタベント操作を行うが、セシウムなどの総放出量は約0.0008テラベクレルであるということでございます。100テラベクレルが福島の事故の100分の1でございますので、さらにもっと低い値でございます。ですから、セシウムについては余り心配しなくてよいという結果でございます。これはどういうことかといいますと、今、福島県では、避難していまだに帰れない方がたくさんいらっしゃいますが、その元凶はセシウムでございます。半減期30年という長い半減期でございますので、なかなか帰れない。これがこういったフィルタベント等の装置によって除去できますので、一時的な避難というのはあっても発電所が安定すれば帰還できることを示しております。
ただ、希ガスとかヨウ素と言われるガス部分はここには書いてありません。これが同時に放出されますので、これについては例えば屋内退避であるとかそういった形の防護策をとる必要がございます。いずれにしても一時的な避難が必要な状況になるとは考えておりますが、長期の避難には至らないというのがこの評価の結果だとお考えください。きちんとした時間を稼いで避難をいただければ、被爆量もほとんどないという結果になろうかと思いますが、一概にそれを数字で示すということはなかなか難しいので、この場ではちょっと説明は省略させていただきます。
それと風向き関係でございますけれども、従前、SPEEDIという装置を使って、事故が発生したときの影響評価をすることになっておりましたが、福島ではSPEEDIが機能しなかったという実態がございます。
現行のいわゆる災害対策基本法に基づく防災の考え方では、風向きで避難先を決めるのではなく、数多くの地点にモニタリングポストを置く計画になっております。30キロ圏内に当社と関係する自治体の方々がモニタリングポストを置いて、線量を直接はかる。その線量をもとに、避難区域を定めるという手法に切りかわっております。したがいまして風速は参考情報として、実際の線量、その度合いを見ながら避難経路を定める。飯舘村の件についてお話がありましたが、その当時そういったことをしていなかった関係で、線量の高い方向に逃げたという実態もございました。そういったことがないように、発電所とその周辺に置いたモニタリングポストを使いながら避難経路を定めていくということが現行の防災計画のやり方でございます。
○川部議員
まず1点目の確認ですが、事故が起きたときは、第1層、第2層、第3層、第4層があって、第5層に行くまでにかなり時間がかかるので、きちんと避難の誘導なりができるという意味でおっしゃったのでしょうか。
風向については、これはあくまで参考資料で、避難計画などには影響ないということをおっしゃったのでしょうか。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
まず、事故を起こしてそういった外部放出になるというところで、私どもは第4層までしっかり頑張るわけでございますが、当然そういう中で重要なのは、地域の皆様の影響をできるだけ小さくすることです。それは2つありまして、放出量をできるだけ減らす、そして時間を稼ぐということでございます。仮に避難が必要な状況になった場合は、できるだけ多くの時間を我々のほうでしっかりと稼げるように、いろんな努力をしていくということでございます。ですので、できるという話ではなくて、私どもの努力としてそういったところを確保していくということでございます。
3号機につきましては、2号機に比べるとその時間が短いということで、こういった代替循環冷却など、そういった手厚い対応をしているということでございます。もちろん2号機のほうも規制要件になりましたので、代替循環冷却はつけるようにしております。
2つ目の風向についてでございます。これは福島以降に可搬のものも含めて、たくさんのモニターが配置できるようになった。その実態を踏まえて、そのモニターを使いながら避難計画をつくるように変わったという御説明でございます。
◎稲田議長
次に日本共産党鳥取県議会議員団、錦織議員。
○錦織議員
冒頭、議長がいささか性急ではないかということをおっしゃったわけですけれども、北野常務はそれを受けて今後はわかりやすく丁寧な説明に努めるといった発言をされました。
私は、それは鳥取県民の感情からすると、非常に不愉快で、受け入れられないというふうに思っています。丁寧な説明をしたり、わかりやすくするという工夫は当然あるわけですけれども、そういったことに対して議長は苦言を言われたわけではありません。
鳥取県知事、米子市長、境港市長が3号機の説明を受けられて、その舌の根も乾かないうちにすぐ申請を申し入れるというような話がありましたけれども、なぜそのように時間を置かないでそういう行動に出られたのか。そのことに、これまでの中国電力さんと鳥取県のことから考えましてもとても不信感を持っています。なぜ性急に事を運ぼうとしたのかという点について明確にお答えいただきたいと思います。
2点目に、先ほどから、こういった技術、課題についていろいろな改善をしているということなのですけれども、原発は未完の技術だと言われています。島根原発3号機は信頼性、安全性がより向上したという説明をしておられますが、技術的に完成しているとお考えなのかという点について伺います。
そして、中国電力は、安全確保を大前提に安定供給、経済性、環境への適合という観点から原発を重要なベースロード電源というふうに捉えておられますが、経済性という点では、先ほどの森議員の質問の答弁では、発電コストの検証を平成27年に国のモデルプラントでやっているということでした。そのモデルプラントには、例えばどういうものが含まれているのかという点をお尋ねしたいと思います。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
冒頭にも申し上げましたが、性急であるという御意見を踏まえまして、私ども大変反省をしているところでございます。
なぜ急ぐのかということにつきましては、もちろん安定供給ということが、まずは最大の使命でございまして、火力が30年半ばには半分、500万キロワットに後退するという中で、そういった安定供給をしっかりと達成するためには2号機も含め、3号機も早く立ち上げることが必要という考え方でございます。なぜ申請を急ぐのかということについては、まず、当然2号機の申請の中でいろいろな共通項目が決まらない中では申請できないし、準備も難しいということで進めてまいりましたが、基準地震動について、ようやくことしの2月におおむね妥当な評価がなされているという規制委員会の評価を得られ、そして審査の資料につきましても昨年12月に合格を得た柏崎刈羽原発6・7号機でABWRのひな形ができたということもあり、その反映も完了したということで、安全協定に基づく報告を行わせていただいたところでございます。
ただ、性急であるという御指摘については大変重く受けとめまして、今後も工程ありきということは当然考えておりません。しっかりと説明をしながら、御理解を賜るように努力してまいる所存でございます。
そして技術課題について、いわゆる信頼性、安全性が完成しているのかという御質問をいただきました。
ABWRは日立、東芝、あるいはアメリカのGE社を含めて改良標準型として設計したプラントでございます。安全性は当然向上していますが、原子力が技術的に完成するということ自体が既におごりでございます。安全性の追求に終わりはございませんので、いろんな海外の知見も含めて安全性を向上する努力を引き続き続けながら、よりよい発電所を目指してまいるという姿勢には変わりはございません。
そういった意味で、規制に対応するだけでなく自主的な対策を含めていろいろなことをやってきております。今後もそういった必要な対策があればしっかりと取り組んで、規制だけでなく自主的な対策も含めて取り組んでまいりたいと考えております。
最後のコストにつきましては、先ほど、経済産業省の試算について申し上げました。事故が起こった際の負担金等も織り込んでいると言いましたが、それ以外にいわゆる原子力についてはバックエンドと呼ばれる費用がございます。これは使用済み燃料を再処理し、そしてその残渣物である高レベルを処分するといったバックエンドの処理も含めておりますし、政策的なコストというのもございます。原子力だけでなく火力、水力も含めて地元対応の関係で費用がかかります。そういったものも含めたコストの精査でございますので、一通り必要なコストは網羅されているということでございます。
ただ、いわゆる災害が起こった際の費用の部分、そういった補償金につきましては当時の12兆円をモデルプラントに直すと9兆円でございますので、10.3円には若干その不足分がございますが、額にしてそれでも0.数円というコストが上がるだけでございますので、火力等に比べて遜色ないコストは維持できていると考えております。
○錦織議員
スケジュールありきではなく、安定供給をしたいから早くやりたいというのが御社の考えだとおっしゃいましたけれども、きょうの新聞報道を見ますと、境港市長が議会に対して7月31日までには何らかの方向性というか、意向を示すとようなことが書いてあって、これはどういうことかなと思います。自治体側からの発言なのですけれども、ひょっとしたら中国電力さんからいつまでに回答が欲しいというような意向を自治体に伝えておられるのではないかなと思うのですが、この点について正直に答えていただきたいと思います。
それと未完の技術ということで、完成するというのはおごりだということでした。確かにそう思いますが、適合性確認審査に合格した原発について、政府は安全だから再稼働というふうに当然向かうわけですが、原子力規制委員会は安全性を保証するものではないと明確に言っているのですね。安全性を保証するものではないと言われているものを稼働なさるのですかということです。元原子力規制委員会の島崎さんという方も、基準地震動ですとかそういったことについて過小評価だと実際に述べておられるということもありますので、やはりこれは安全性を保証するものではないのだなというふうに思うのですが、そのことについてお答えください。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
まず、境港市長の発言につきましては、直接聞いておりませんので何とも申し上げようがございませんが、私どもはまず各首長さんあるいは議会にきちんと説明しながら、御理解を得ることをこれからも続けていくという考えでございます。そういった意味で、いろいろな場で数多く住民説明会も開催させていただいておりますが、そういった場でしっかり説明をしていくということが現時点の思いでございますので、いつまでに終わりたいという考えはありません。
次に、100%の安全を保証するものではないという発言が、前の原子力規制委員会の田中委員長からございました。これは川内原子力発電所が最初に合格したときに発言されたものでございます。この趣旨は、100%の安全を保証するというのは技術的にも難しいですし、そういったものがおごりである、安全神話であるということを含めておっしゃったと理解しております。
したがって、私どもは事故は起こさない覚悟でしっかりと取り組みますが、それでも起こるかもしれないという前提に立って、起こったときの対策もさらに充実させているということでございます。ですから起こらないことだけに集中するのではなくて、起こった後の緩和措置というものをしっかりと充実させる。そして、それでも放出が発生するような事象も想定しながら、その際は量を極力減らし、そして時間を極力稼ぐ。そういった対策を重ねてしているわけでございまして、そういった形で安全性というものをしっかり担保していきたいと考えております。
○錦織議員
鳥取県側の自治体にいつまでに回答してほしいということは言っていないということですが、ということは鳥取県側としては一切急ぐ必要はないと考えてよろしいのでしょうか。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
私どもとしては、今回の申請内容についていろいろと御説明しているわけでございますけれども、その内容についてしっかりと理解いただくことがまず第一でございます。そのために必要な時間がかかるのであれば、きちんと対応してまいります。そういった意味で、きちんとした説明ができるまではそういった工程というのは考えられないということでございますので、今後もいろいろな機会を通じまして情報提供するとともに、説明責任を果たしてまいりたいと思います。
◎稲田議長
それでは、最後に長谷川議員。
○長谷川議員
3点についてお尋ねいたします。
1点目は、原子炉圧力容器を部分的に修理するようなことになった場合は、既設の部分と新しいものを一つにすることになるわけですので、その際、ひずみが出る問題というのが避けては通れないのではないでしょうか。原子炉圧力容器を修理して延命させるということに問題があるのではないでしょうか。
2点目に、ABWRの制御棒駆動機構についてですが、既設の制御棒駆動機構では何か問題とされるような点、あるいは改良しなければならないような点があったでしょうか。
3点目に、使用済み核燃料についてでありますが、既設の1・2号機の搬出状況、そして新たな3号機の搬出計画というものはどのように立てられているのかお尋ねいたします。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
先ほど、今2号機が30年を迎えて高経年化を実施しているという説明をさせていただきましたが、当然この原子炉圧力容器がもたなければ安全性は確保できないわけでございます。そういった形で、原子炉圧力容器そのものにひびがあって壊れるような事象がもしあれば、それは延命という形は難しいことになります。
ただ、原子炉圧力容器にはあちこち配管がくっついております。この配管がくっついている部分について、一部ひびがあるということは過去にも事例がございます。こういったところにつきましては修理することが可能でございます。
容器そのものについてひずみが発生するということ自体は、これまでの事例上、ふたにそういったものがあるということが過去にあったと聞いておりますが、このふたも交換できますので、そういった交換ができる場所については新しいものに交換する。できない場合は、延命は難しいというのが現状でございます。
ABWRの制御棒につきましては、18ページをお願いします。従来型BWRというのはいわゆる水圧ピストン、これは左のこの黄色い部分がピストンで、青い部分が水でございます。水圧、水の力で制御棒を上げたり下げたりするのが従来型、2号機の沸騰水型で、これは少しずつ制御棒を引き抜いたり挿入したりする方法と、事故時に一気に入れるという2つの機能がございます。事故時に一気に入れるという部分は、改良沸騰水型ABWRの3号機も一緒でございますが、違うのがこの電動機がついているところでございます。実はピストンタイプで入れるほうはゆっくり入れることができなくて、数ミリ単位でなくて結構動きながら上がっていきます。そういたしますとやはり燃料に対する負荷というものが若干ありまして、燃料のリークという観点からはゆっくりと少しずつ引いたり、あるいは入れたりということが重要でございます。そういった点では、こういった電動機があったほうがより燃料に対する負担が下がりますし、もう一つ言うと、水圧駆動がきかないときに電動駆動でも入るというメリットもございます。決して水圧駆動だけでは安全でないとは申しませんが、この電動機があったほうがより安全性が高まっていると私どもは考えております。
最後に使用済み燃料についてでございます。搬出状況につきましては、御承知のとおり六ヶ所村の日本原燃の再処理工場、審査が再開しましたが、操業開始時期については現時点ではずれております。
私ども島根原子力発電所1号機、2号機の燃料は、この六ヶ所村に搬出して最終処理をするという計画でございます。海外についてはもう再処理が終了しておりますので、今後の再処理は日本原燃ということになりますけれども、日本原燃が現在いわゆる新規制基準の対応をやっておりますので、まずこの新規制基準対応についてしっかり支援しながら、早い操業を迎えてくれることを期待して進めているところでございます。
そういった意味で、できれば島根原発1号機の廃止措置実施のプラントも原子炉の解体までには搬出したいという希望を持っておりますので、こういった使用済み燃料の搬出につきましては日本原燃の対応をしっかり注目しながら、必要な計画の変更があればそういった計画の変更をするということを実施していきたいと考えております。
いずれにしましても、今1・2号機のプールにはいわゆる貯蔵する余裕がございまして、最近では四国電力伊方原子力発電所で中間貯蔵キャスクの申請というものが行われましたが、島根原子力発電所ではまだそこまで燃料貯蔵が逼迫しておりません。キャスクについては中長期的な形で検討しておりますが、まずは六ヶ所村への搬出ということを計画しながら、安全に貯蔵しているということでございます。
○長谷川議員
2号機について、きょう北野副本部長は現在30年経年の審査を受けているが、40年ルールがあるので、まずは、今後の10年間をにらんだ検査を受けているという認識であると明言されました。そうあっていただきたいと思いますが、実は、かつて、長谷川副本部長だったと思いますけれども、40年ルールは当然のこととして、さらに20年の延長を視野に入れているということをおっしゃっています。改めて、どういう態度で今、2号機の審査を受けているのか御答弁をいただきたいと思います。
また、3号機では、これまでのウラン燃料だけではなく、MOX燃料の使用を考えている面があるのではないかと思うのですが、そのことについて、明言をいただきたいと思います。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
先ほど申しましたとおり現在2号機は30年目を迎えて、向こう10年の運転に問題がないかという審査を受けております。これが法のルールでございます。これをクリアすることが第一の目標です。40年につきましては、また別な点検が必要でございます。これは特別な点検と申しまして、こういったものを踏まえないとその先というのは確定しないわけでございます。現時点ではそういったデータもありませんので、きちんとした安全が確認された結果として、ではこうしたいという御説明になろうかと思いますが、現時点ではそういうデータはありませんので、現時点で言えるのは40年までです。
3号機につきましてもルールは一緒でございます。いわゆる原子力規制法のルールに沿って、節目節目できちんと確認しながらその先の運転の計画については考えていくというのが実際でございます。
もちろん海外の状況などについて、いろいろな情報は入っておりますが、まずは法律にのっとりしっかりとやっていくということでございます。
そして、MOX燃料について御質問いただきました。2号機のMOX燃料につきましては、既に許認可をいただいておりますが、3号機燃料を再処理して発生するプルトニウムも2号炉で使用することを前提としております。2号炉だけで3号機も含めて十分プロトニウムは消費できるという計画でございますので、3号機の今回の申請にMOX燃料ということは入っておりません。したがいまして、現時点で3号機でMOX燃料を燃やすという計画はないということでございます。当面は2号機のほうで消費していくという計画でございます。
○長谷川議員
基本的なルールは40年ルールですからね。よろしくお願いいたします。プラス20年というのは特例でありまして、40年が原則なのです。現在の2号機の申請は、その40年の寿命に向かって残りの10年の審査を受けているという状況であると理解させていただきたいと思います。
MOX燃料を使用しないということも、はっきりしてよかったと思います。MOX燃料の使用については、その検証結果の例が日本国内ではまだ非常に少ないと思います。使用後の処分も含めて、MOX燃料の使用については十分な検討が進んでいないと思いますので、3号機で使用予定がないということで、よかったと思います。
最後に、使用済み核燃料の問題について、まだ少し余裕があるようにおっしゃいましたけれども、今、六ヶ所村への搬出がとまってプールどころか敷地内に保管されて、だんだんその距離感が縮まって、核反応の危険性も若干ながら残すぐらいのかなり追い込まれた状況ではないでしょうか。
さらには、最近の動きとして、関西電力さんでは、六ヶ所村の稼働が進んでおりませんので、新たなところを探さなければいけない状況にあるというような情報もあります。そういうことが模索されているぐらいでありまして、やはり今、使用済み核燃料の搬出先にはどの電力会社も、もちろん中国電力さんも本当に窮しておられるとおっしゃったほうがむしろ真実味があるのではないでしょうか。
その上で、3号機の建設、稼働、そして搬出計画は、量は見込めても、稼働が始まれば4~5年先から出てきます。しかし、その先は今も六ヶ所村だとおっしゃっております。六ヶ所村ではもう展望がなかなか開けないという状況認識をもう少し精微に分析されて検討されないと、この搬出計画はいつ立てられた計画ですかということになります。稼働を理解する上でも、そこの見通しを立てておかない限り、是非論がなかなか論じにくい。その点について、いかがでしょうか。
●北野常務執行役員電源事業本部副本部長兼部長(原子力管理)
いわゆる40年運転について再度御意見をいただきました。確かに特例ということが当時の国会で言われましたが、特例といっても適用されることはあるわけでございまして、別に40年運転規制が原則だからそこまでというわけではなくて、あくまで特別点検等、今後実施すべきものを踏まえて総合的に判断していくということでございます。まだその情報がない中で2号機、3号機について、それを申し上げることはなかなか難しいということでございますが、特別点検については、東海第二発電所が現在40年運転制限を超えるために実施しております。まだ許可は出ていませんが、そういった状況も踏まえながら検討していきたいと考えております。
そして、使用済み燃料の貯蔵状況は、電力各社、発電所ごとに違います。確かに今、関西電力さんが福井県さんと搬出先についていろいろ模索しておられることは承知しております。けれども、先ほど言ったように伊方発電所では、今後のために中間貯蔵施設を申請されましたが、当社の場合を言いますと、1・2号機の貯蔵容量としては、まだ1号機、2号機全体で6割をいっておりません。57%程度でございます。そういった形で余裕がある中で、私どもとしては、この六ヶ所村がこの中で間に合うのであれば、あえて追加の対策をするのではなくて、六ヶ所村に計画的に搬出したいということがまず第1でございます。
将来的に、そういったものが仮にない場合は、中間貯蔵というものも検討しますが、現時点ではまだその段階ではないと考えております。
◎稲田議長
予定されておりました質疑は終了いたしました。
時間の関係もありますので、以上で質疑を打ち切りたいと思います。
中国電力株式会社の皆様には、丁寧な御説明、御答弁をいただきまして本当にありがとうございました。
以上で議員全員協議会を終了いたします。
午後3時26分 閉会
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