会議の概要
午後4時02分 開会
◎稲田議長
ただいまから議員全員協議会を開会いたします。
まず、会議録署名議員に、上村忠史議員、浜田妙子議員を指名いたします。
本日の議員全員協議会の議題は、島根原子力発電所3号機の新規制基準に係る適合性審査申請に関する事前報告についてであります。
島根原子力発電所3号機の新規制基準に係る適合性審査申請については、去る5月22日に中国電力から事前報告があり、それぞれの自治体での検討や、中国電力による住民説明会なども開かれたところであります。既に島根県内の自治体においては、適合性審査申請への了解を表明しておられますし、さらに、一昨日には境港市議会、昨日には米子市議会において市長と話し合いがなされ、一定の方向性が示されました。本日は、島根原子力発電所3号機の新規制基準適合性審査申請に関する事前報告への対応方針について、知事に説明を求めます。
●平井知事
本日は、大変お忙しいところ、また大変暑い中お集まりをいただきまして、まことにありがとうございました。本日、皆様に呼びかけをさせていただきましたのは、私どもは5月22日に中国電力から事前審査を行いたい旨の申し出があったことに対して可否判断等をして、意見を出すことになっておりまして、こういう安全協定の手続につきまして、皆様の御来駕を賜ったところでございます。
この件につきましては、私どもはこれまで慎重に原子力安全顧問、あるいは住民説明会、また米子、境港両市におきます原子力安全対策協議会、それからもちろん6月の県議会のときにも皆様から活発な御意見をいただいておりました。そういう中、昨日でございますけれども、米子市の伊木市長、それから境港市の中村市長と、テレビ会議方式による3者協議をさせていただきました。その結果に基づきまして、本日、県としての意見の出し方につきまして御相談申し上げるところでございます。
この課題につきましては、7月24日に米子市、境港市両市の安全対策協議会の合同会議が開催されました。その席上で、私どもが委嘱をしております専門家の原子力安全顧問にお願いをしておりました審査について、一応の回答といいますか、そうしたお話がその会場で行われたところでございました。そこで述べられておりましたのは、これからまだ原子力規制委員会の詳細な審査を仰ぐ必要があるのではないか、そういうことを踏まえて自分たちも専門的な知見に基づく審査をする必要があるということでございました。地震、あるいは炉の形など、いろいろなことについて詳細に聞き取りをされた上でありますが、聞いた限りで直ちにどうのこうのということではないかもしれないけれども、原子力規制委員会の考え方を聞く必要があるのではないかと、このようなお話がなされたところであります。
おとといは境港市におきまして全員協議会が開催され、昨日は米子市におきまして全員協議会が開催されました。境港市では、お一人お一人の市議会議員の考え方が述べられた上で中村市長のほうで考えをまとめられることになり、米子市でも、ペーパーを示しまして、原案に基づきながら伊木市長のほうで考えをまとめられることになりました。それを受けて、昨日の夕方ですけれども、両市と私どものほうで協議をさせていただきました。
両市長の考え方は、おおむね共通しておりました。まず、今回の適合性申請に基づく、可否判断については留保するというものでありました。その一方で、条件づけをする必要があるのではないかということや、今、安全協定が締結をされていますが、これについての改定を強く求める必要があるのではないかということ、こうした大きな2つの点も述べられたところでございました。条件づけにつきましては、境港市からは汚染水の議論がございましたが、それ以外は2号機の審査のときに示されたものでよいのではないだろうかというお話でありました。あわせて今、2号機、3号機の申請が同時に来ているわけでありまして、同時にアクシデントが起こった場合のことも考える必要があるのではないか、こういうことの条件づけを言ったわけでございます。米子市からは、同じような考え方に基づいて、条件づけの内容としては、例えば地震、津波ということがありますが、火山についても条件に加えて出すべきではないかという議論が市議会であったというお話もございました。そういうようなことを踏まえて、本日、両市の考え方をあわせた上で私から県議会に御相談申し上げましょうと、昨日は議論したところでございます。
詳細は安田局長から述べさせていただきますけれども、以上のような両市の考え方に基づきまして、本日、私どもの意見案を出させていただいているわけであります。
まず、今回の適合性申請の可否につきましては、あえて判断を見送り、留保させていただくというものであります。そして、今後詳細な原子力規制委員会の審査、これは専門家集団でありまして、そこにおける多岐にわたる厳正な審査を受けた上で、我々のほうでも原子力安全顧問や両市の考え方、それからもちろん県議会の考え方など、もう一度全てまとめ直した上で改めて回答することにしたいというものであります。
また、原子力安全協定につきましては、本県は先進県で、全国でもいち早く周辺地域として協定を結んだわけでございます。その原子力安全協定により、私どもは立地自治体と同様に協議を受け意見を出し、それが先方としても遵守すべきものになっているわけでありまして、実質的には立地自治体と同じように扱うということを先方も文書で何度も出してきております。したがいまして、実質的同意権が私どもにもあると考えておりますし、そういう運用を今後も迫ってまいりたいと思います。
しかしながら、東海第二原発に絡み、茨城県におきまして安全協定の新しいパターンが示されまして、6月県議会でも大分議論がございましたけれども、文言として実質的同意権という括弧書きの見出しがつけられることになりました。そのようなことに改めるべきではないかということは、6月県議会の御意見もございましたので、我々も折に触れて先方に申し上げておりますが、いまだそれが受け入れられていないという状況でございまして、その辺につきましては、その態度を改めるべきではないかということを、先方に強く申し入れをする必要があると考えております。
今回付すべきいろいろな事項といたしましては、1つには、立地自治体と同じように扱えという申し出でありますけれども、これについて今後とも可否判断に至るまで念押しをさせていただくということがあろうかと考えております。
また、審査状況につきまして、住民説明会など、わかりやすい形で、原子力規制委員会の審査状況も含めて適宜説明すべきであると、説明責任を果たせということを求めさせていただく必要があるのではないかということです。
また、地震や津波、さらには火山、こうした自然災害につきまして、その対応をきちんと求めることも入れさせていただく必要があると思います。あわせましてシビアアクシデント対策、これは従来から入れ込んでいたところであり、両市からも御意見が出ましたけれども、第2号機、第3号機、両方の申請が出されている以上、その両方が同時にシビアアクシデントに至るという重大な事態にも対処できるかどうかをきちんと検証し、対策をとるべきであるということでございます。
また、境港市から汚染水対策が出されていました。第2号機のときにも同じような議論をいたしましたけれども、この点につきましても、申し入れをする必要があるのではないかと思います。
あわせて使用済み燃料対策についても、地元、周辺地域もそうだと思いますが、その了解、理解も得ながら実効性ある対策をきちんととるということが必要ではないかということであります。
また、原子力安全対策につきまして、中国電力の場合、時折我々としても看過できないようなミスが内部で出ます。こうしたことがないような原子力安全文化というものを醸成していただかなければいけません。また、避難計画につきましては、本県は立地自治体と一緒になりまして、周辺地域としては非常に珍しいぐらい詳細につくってきておりますけれども、その精度を高め、いわばその効果というものの深化を図るためには、専門家集団であり設置の当事者でもある中国電力の協力が必要でございます。こうしたことに対しまして、先方に申し入れをさせていただきたいと思います。
今回我々としては、以上7項目について申し入れをしながら、あわせて安全協定の改定について強く求め、事前報告の可否については、あえて判断は見送った上で留保するという考え方で意見を出させていただきたいと思います。
これにつきましては、島根県の溝口知事からも意見を求められていますので、中国電力のものと同じ内容で返させていただきたいと思いますし、国に対しましては、先ほど申しましたような安全対策、あるいは安全協定についての指導等を求めていくため、要請活動もあわせてしていく必要があると考えております。
以上、概要につきまして申し上げました。詳細は局長から申し述べさせていただきたいと思います。
◎稲田議長
安田危機管理局長に詳細説明を求めます。
●安田危機管理局長
資料3をごらんください。5月22日に事前報告がございまして、県議会では6月14日の議員全員協議会で中国電力から申請内容の説明をお聞きになったところでございます。
執行部としましては、知事、米子市長、境港市長と対応方針を協議いたしまして、説明を聞いた上で共同検証チームによる検証を継続しております。今後、規制委員会の審査等を踏まえて、申請内容の確認をさらに進めてまいりたいと考えております。
続いて、資料4をごらんください。7月24日の鳥取県原子力安全対策合同会議において、原子力安全顧問会議から報告された意見でございます。3つ目の丸のところですが、設計において事故が起こりにくくする対策が強化されていることを確認した。それから4つ目と5つ目の丸のところですが、福島事故と同様なシビアアクシデントへの対策、炉心損傷防止対策等がなされており、申請の内容に特段大きな問題がないことを確認した。そして、6つ目と7つ目の丸のところですが、福島事故の教訓を踏まえて策定された新規制基準に適合していることによる安全性の確認がまずもって求められる。したがって、まず原子力規制委員会において厳正かつ慎重な審査を行っていただくことが適切であるということでございました。
資料1に戻っていただきたいと思います。昨日、知事、そして両市長の協議が行われております。1が米子市の意見でございます。事前報告の可否については、まだ議論があることから意見を留保した上で、最終的に申請手続を認めるという判断をし、6つの附帯意見をつけることとしたということでございます。
その附帯意見につきましては、ページの裏面をごらんください。立地自治体と同等に対応すること、安全協定の改定に誠意を持って対応すること、住民へわかりやすく丁寧な説明を行うこと、地震、津波、それから市議会の意見を踏まえて火山への適切な対応を行うこと、複数プラントが同時にシビアアクシデントになる状態を想定し、より幅広く対策の検討を行うこと、使用済み燃料の搬出、譲り渡し等の対策について、一層の取り組みを進めること、そして、避難計画の実効性の深化への協力など、万全な原子力安全対策を責任を持って行うことでございます。
ページの表面に戻っていただきまして、2が境港市の意見でございます。事前報告の可否については、最終的な意見は留保すべき。原子力規制委員会の厳正な審査の後、詳細な審査結果の説明を受け、市議会等の意見を伺って最終的な意見を冷静に出していきたい。汚染水対策など、2号機の申請時に付した事項は引き続き要請し、新たに2号機と3号機が同時に重大事故に至った場合の対策など、安全性の向上を図るよう不断の取り組みを徹底することを回答に付してはどうか。そして、安全協定の改定についても引き続き強く要請していきたいという御意見でございました。
資料2をごらんください。両市の御意見を踏まえまして、2に対応方針を記しております。まず、事前報告の可否については、両市の意向を踏まえ、あえて判断を見送ることとし、最終的な意見を留保する。最終的な意見は、原子力規制委員会、そして中国電力から審査結果の説明を受け、議会等の意見を伺い、両市と協議の上、提出する。それから現在の安全協定については、既に実質的に事前了解を得る仕組みとなっておりますが、茨城県での新たな協定の文言に修正することに応じない中国電力の対応は改められるべきであり、協定の改定を強く求める。こういうふうにしたいと思います。
その回答に付す条件を3番に記してございます。両市の意見を受けまして、立地自治体と同等の対応、丁寧な説明、汚染水対策、地震・津波・火山の最新の知見の反映、2号機、3号機同時のシビアアクシデント対策、使用済み燃料対策、避難計画の実効性の深化への協力など、万全な原子力安全対策を責任を持って行うということでございます。
◎稲田議長
ただいままでの説明に対して、御意見、御質問等があればお伺いしたいと思います。
○浜田(妙)議員
とても丁寧に、慎重に検証されているということについて、確認をさせていただきました。
私どもの会派といたしましても、この問題についてどう向き合うのかということについて、改めて勉強会を行いました。そして、向き合い方について、一体どういうふうに探ればいいのかという点について、みんなで議論いたしました。皆さんにその内容を少しお聞きいただきたいと思います。
いずれにいたしましても、これは、本当に重く、大変な問題です。これから慎重に、時間をかけて向き合わなければならない問題でございますので、皆さんと一緒に力を合わせていきたいと思います。
大前提として、立地自治体と同等の、文字化された安全協定が結ばれなければならないと思っています。同等に扱いますよと言いながら、何ゆえに文字化された協定が結べないのか。もう一点は、避難計画の実効性を深化させていくということが示されなければならない。この2点が大前提として審査申請は容認されるべきであると会派民主は結論づけました。
過日、中国電力の3号機も拝見させていただきましたし、説明も伺いました。3・11を経験して、同等の災害に対する十分な備えを確保するためにさまざまな点で深化しているというふうに思わせていただきました。原子炉機能が格段にレベルアップしている点ですとか、二重三重の電源確保、あるいは制御棒も自動で動くようになっているなど、安全性をより高くするために現在考えられる手段はしっかりされていると思いました。
ただ、素人ですから、それを確認するためのすべは残念ながら持ち合わせておりません。中国電力の説明を信じるしかないわけです。多分住民の皆様がこのお話を聞かれても、そう言われるのであれば信じるしかないというレベルではないかと思います。ですので、その信頼を担保するためにはどうするべきかを考えました。何をもって信頼とするのかというと、まずは文字化された安全協定が手に入るということが大前提ではないかと考えています。
日本電源の東海第二原発は、再稼働となる事前同意の対象を周辺自治体まで広げました。これについて、30キロ圏内に位置する自治体の約6割が妥当と言っています。どちらかといえば妥当という意見も合わせて6割ということです。稼働の是非を言う権利はないけれども、原子力災害対策はやらねばならないという矛盾をどうしても考えてしまいます。
平井知事の言われる信頼関係を確固たるものにするためにも、文字化された立地自治体と同等の安全協定を結ぶこと、そして各地から声が上がっておりますけれども、県民が安心できるよう避難計画の実効性が深化されていくこと、この2点について住民の皆さんから認められるレベルにならない限り、我々は認めるべきではないと結論づけております。
そして、周辺自治体は同じように不安を抱いているわけです。実は過去に、周辺自治体の皆さんと手を結ぶことを呼びかけましたけれども、かないませんでした。それが実行できればうれしいと思っています。国要望として、鳥取県から周辺自治体の位置づけについて要望を出しております。改めて国に、安全協定を結ぶ地域についてのルールを求めるべきであると我々は考えています。
最後にもう一点つけ加えさせていただきますが、後ほど議長に御相談したいと考えておりますけれども、9月議会で特別委員会を立ち上げて、議員もしっかり研究、調査、勉強、議論をして、議会としての意識を高め、でき得るならば新規稼働の際は議決事項に持ち上げていくべきではないでしょうか。それだけ大きな問題だと考えております。
●平井知事
浜田会長を初め会派民主の皆様には、非常に真摯に、そしてかなり突っ込んだ議論をされて、きょうのお話をいただきましたことの重みを深く受けとめさせていただきたいと思います。
一つには安全協定の位置づけについて、今文字化されたというお話がございましたが、これまで文書でやりとりはしていますけれども、協定の文言としてもしっかり再整備すべきであるということ、それから避難計画の実効性をさらに深化させていくということについて、強い決意をお伺いさせていただきました。
先ほど申しましたように、私もその辺がポイントだと思っておりますので、きょういろいろと御議論をさせていただいた上で、中国電力に強く申し述べてまいりたいと思います。
◎稲田議長
今後、仮に原子力発電所の稼働という重大な判断をしなければならない段階に至ったときには、より慎重な審議が求められると思っております。そのような場面に際して、議会としてどう対応していくかということについては、提案のありました特別委員会も含めて、議員の皆様と相談し、活発な議論をしながら決定してまいりたいと考えております。
○錦織議員
まず、きょうの日程ですが、31日に境港市、1日に米子市の議員全員協議会が開かれたばかりであります。そして、きょうは3時まで高校生議会が開かれておりました。恐らく知事がきょうの議員全員協議会の申し出をされたと思うのですけれども、きょうという日にちにあえて決められた理由は何かということをまずお聞きしたいと思うのです。
住民説明会についてですが、7月6日に多大な被害が出た西日本豪雨災害があって、県内でも避難勧告などが出ました。そういった大雨の中、中国電力による住民説明会が境港市で開かれ、それから7月20日には米子市で開かれました。いずれも夜間のみで、高齢者や子育て中のお母さん、お父さんなどは出にくい日程だったと思うのです。会場でも、若いお母さんの意見として、今後原発が稼働ということにでもなれば子どもたちにも影響することだから、託児などもして昼間の会議を開いてほしいという意見がありましたが、中国電力からの回答はなかったのです。
議会には中国電力からの説明が2回ありましたが、2号機と違って新規稼働という初めての判断に当たって、鳥取県は中国電力に対して、これまでも住民への丁寧でわかりやすい説明を求めてこられたと思うのですけれども、知事は住民への説明が丁寧で十分だと考えておられるかどうかという点についてお聞きします。
最終的な判断は留保するということですが、今でも鳥取県はリスクを背負わされているのに、新たな原発が稼働すれば国内で一番最後まで、40年ではなく場合によっては50年、60年稼働するかもしれません。地域住民は、そういうほかの地域にはない異質な危険を強いられることになるわけですけれども、そのことについて、知事のお考えはどうでしょうか。
あと安全協定について述べさせていただきたいと思いますが、先ほど知事も、文言をきちんとするよう態度を改めるべきではないかと強く求めていくとおっしゃったわけですけれども、米子市も境港市も安全協定の改定を求めていますが、これまで実行されていません。そういうことであれば、安全協定を改定しなければ前に進めることはできないと県が回答されたら、改定せざるを得なくなるのではないかと推測できるわけです。そういうチャンスでもあります。何の担保もなく改定を求めるだけではいけないのではないかと思いますが、なぜ改定しなければ進めることはできないということにならないのかお尋ねします。
●平井知事
まず、日程についてでありますが、これは6月議会のときもたび重ねて申し上げておりましたが、やはり周辺両市の考え方を聞く必要があるということで、例えば、6月県議会の中で結論を出してしまうというようなスケジュール先行型では考えませんと、まずは周辺の考え方をよく聞いた上で判断することになると申し上げておりました。その言葉どおりに今回進めているわけでございまして、両市の判断が昨日示されましたので、きょう以降であれば、私どもの考え方を議会と相談できるということでございました。
その中で本日が一番早いタイミングということだったのですが、きょうという日にちをいただきましたので、本日、議員全員協議会を招集していただけることになったところでございます。別にそれが1日、2日ずれたから何か深刻な問題が生じるということではございませんが、恐らく高校生議会等いろいろと議会のお集まりの状況もありましょうから、本日ということでどうかというようなことを協議させていただいたところでございます。
住民説明会につきましては、詳細は局長からお答えを申し上げたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、これで説明が終わったということではないわけです。今後も十分に説明責任を果たすべきだということも申し入れていかなければならないと考えております。
留保についてでありますが、これは危険をしょい込むことにならないように、留保させていただくということです。つまり、今はイエスもノーも言わない。本当に安全かどうかは専門家の知見を総合して、これからアプローチを深めていきますよ、こういう決意表明だけをさせていただこうということでございます。
安全協定の改定につきましては、先ほど浜田議員にも申し上げましたとおりでありまして、重点的な事項として、これから十分に申し入れなければならないという議会のお考えをいただければ、私どももその考え方に従って先方としっかり交渉をさせていただきたいと思います。
いずれにいたしましても、ゴーサインを出すわけではなくて、イエス、ノーの判断は、今後十分精査して行うという次のかんぬきがかかっているわけです。当然ながら、そのときまでにどれほどの整理を中国電力側がしてくるか、それを我々も見た上で次の判断に臨むということでありますから、今おっしゃったような趣旨は今後の交渉の中で生かされてくると思っています。
●水中原子力安全対策監
住民説明会の件について、補足の答弁をさせていただきます。
米子市の住民説明会につきましては、警報が出ましたので延期させていただいて、7月20日に開催させていただきました。それから、境港市の住民説明会につきましては、直前に警報が出たところでありますが、会場に多くの住民が来ていらっしゃいましたので、境港市と中国電力が相談して、開催させていただいたという経緯がございます。
なお、延期になった米子市の住民説明会については、境港市、米子市の住民の方々に出ていただけるように再度周知したところでございます。引き続きこういうふうな要望があれば、中国電力に求めていかなければならないと考えております。
○森議員
先ほど浜田議員、錦織議員から発言があったところですけれども、私からも安全協定の件についてお話をさせていただこうと思います。
東海第二原発では周辺自治体も同じ協定ということになりました。にわかに私どももこれでいけるのだと思ったわけですけれども、この東海第二原発の周辺自治体が立地自治体と同じ協定を結べたのは、立地自治体である東海村村長から、周辺自治体も同じ協定を結ぶべきだという一言があったことが非常に大きかったと思います。
ところが、私どもと中国電力との関係ですと、立地自治体の松江市長は、非常にかたくなな態度です。そして、中国電力自体も、立地自治体と同等な対応をとるという確認書があるのですが、実際に市民団体が中国電力に確認したところ、明らかに違う安全協定だと答えているのです。我々周辺自治体と立地自治体は違うということをはっきりと言うわけですよ。それは副社長や本部長ではなかったかもしれませんが、明らかに違う安全協定だと言っているわけです。そこで、錦織議員がおっしゃるように、どうしてもここで同じ安全協定をとらなければいけないのではないかと思うのですね。
7月10日の日本海新聞に松江市長の言葉が出ていますので、読みます。周辺自治体が安全協定を立地自治体と同等の権限に改定するよう中国電力に申し入れていることについて、松江市長は、自分たちの主張ばかりでなく、5キロ圏内の住民の思いを踏まえて考えてほしい。原発の近くに住んでいる人たちの生命や健康を考えるための権限は、周辺自治体以上に与えられてしかるべきだ。旧鹿島町と合併するまで松江市が島根原発の隣接自治体だった当時を思い出して、迷惑施設と言っておけばよく、ある意味では非常に気楽な立場だ。原発を抱えると非常に大きな負担になる。原発を抱える気持ちもなく、迷惑だと言っている立場では、周辺自治体が立地自治体と同等の権限を求めてもだめだろう。立地自治体の住民の思いを周辺自治体の住民も理解してもらわないといけない。このように言っているのですね。
もともと3号機は、旧鹿島町の商工会が鹿島町議会に3号機を増設してほしいと請願して、それを議会が認めて、当時の町長が原発の増設を検討してほしいと中国電力に頼んだ話なのですよ。自分たちでつくってもらっておいて、松江市長は、周りの周辺自治体はリスクはあるけれども関係ないというふうに言っている。残念なのは、平井知事も米子市長も境港市長も何の反応もしていないことです。反応しておられるかもしれませんが、新聞に何の反応もありません。こんなことでは、中国電力にだけ幾ら安全協定を求めたって、できないですよ。やはり知事にきちんと反応していただきたい。何を言っているのだ、違うだろうと、もともと自分たちが頼んでつくってもらったものが周辺自治体にリスクを与えているということを強く言ってもらわなければいけないと思うのです。松江市長を牽制する意味でも、ぜひそういう発言をしていただいて、それで中国電力にプレッシャーを与えていただきたい。それで、先ほども言いましたけれども、ぜひここで安全協定の改定を求めていただきたい。
それとあわせて、安全協定を求めるに当たって、前にも周辺県同盟をつくってほしいということを知事に言いました。当時はいい反応がなかったという話でしたが、改めて同じ安全協定をかち取るために、周辺県連合をつくることについて、旗を振っていただきたいと思うのですが、いかがですか。
●平井知事
中国電力の回答につきましては、実は私どもも即座に確認に入っています。その状況につきましては、原子力安全対策監から詳細を申し上げたいと思います。
今お話がありましたように、我々としては、非常に強い態度で安全協定の改定を迫るべきであります。おっしゃるような松江市長の言葉というのは、我々の言葉に反応して言っていることでありまして、そういう文脈の中で発言をしておられると思います。つまり、実はいろんな意味での論争はしているわけでありますけれども、なかなか立地自治体の立場というのは強固なものがあるのかもしれません。その背景には、本当に近くに原発があるところでありますから、その緊張感というか、非常に強い関心を持っておられることは、ある程度我々も考えていかなければいけないことかと思います。
ただ、それと私どもの安全性に対する懸念とは別問題でありまして、本当に安全かどうかを我々も見ていかなければならない。その立場を確立するのが安全協定であり、私どもはいち早く平成23年にその立場を得るに至ったわけであります。それで、実質的には、以前とさま変わりした状況となっていることは、森議員もよく御案内だと思います。こうやって逐一いろんな説明に来たり、我々が意見を言える立場となって、それに向こうも拘束されるという関係となりましたので、我々としては一つの到達線には来ているのだろうと思うのですが、ただ、今回東海第二原発のことで新しい局面が生まれたわけでありますから、このことを我々としても強く出していかなければならないと思います。
また、周辺地域で同じような考え方を持っているところもおありでしょうから、そうした方々とも今後改めて話し合いができればさせていただきたいと思いますし、そういうようなことも含めて、これから実際に審査が始まるとなれば、次はさらなる了解を中国電力は得なければならなくなります。当然ながら、うちで突きつけたあいくちの部分は、向こうもそれに対する対応を考えなければならなくなりますから、我々としては、ここで安全協定を改定することを強い決意で求めているということについて、明確に申し入れをさせていただきたいと思います。
●水中原子力安全対策監
周辺自治体と立地自治体で安全協定が違うのではないかというお話がございましたが、報道でそのような話が流れた際に、我々のほうでも島根原子力本部長に文書で確認いたしまして、そのような事実はないということを確認しております。我々は当然、安全協定は立地自治体と同等に運用されるものと考えておりまして、仮に運用されなければ信頼が壊れる、なくなると考えております。
○内田(隆)議員
我が会派でもさまざまな議論をいたしましたので、何点か意見を申し述べさせていただきたいと思います。まず、米子、境港両市で全員協議会があった後、速やかにこのような場を持ったことについては、私は逆に高く評価したいと思います。両市の説明があった後、いつまでも県が判断しないという状況は、信義にもとると考えるからです。今まで両市とともに積み上げ、議論してきたものに対して、我々はやはり真摯に返していかなくてはならない。それは中国電力との関係に対しても同じであります。平井知事と我々議会が積み上げてきた今までの信頼関係があるからこそ、中国電力も真摯に対峙していると思います。このたびのスケジュール感が余りにも拙速ではないかというような議論がありますが、私は全くそうは思っておりません。速やかな対応を高く評価したいと思います。
また、きょうの高校生議会で生徒さんが言った言葉を思い返します。勇気を持って進めば道は開けるという言葉を力強く言っていただいた。私は非常にこの言葉は大きいのだと思います。従来から安全協定の改定について議論されていますが、お互い歩み寄りながらしっかりと道を進んでいかなければ、いい答えが見つかるはずはないと思います。そして、やはり両市の思いを受けた上で、しっかりと住民の不安を取り除いていくことだと思うのです。だからこそ、鳥取県の原子力安全顧問会議もはっきりと申しておりますが、早く原子力規制委員会において安全かどうなのかを審査してもらうことが求められていると思います。
私はこのたびの県の対応に対して強く賛意を表しますが、両市の思いというものもありますし、もちろん安全協定も大切です。あくまでも態度を留保しているわけですから、今やっと緒についたわけです。ここからしっかりと県議会としても議論をしていって、原子力安全協定がどう深化していくのか、そして原子力規制委員会の審査がどうなっているかをしっかりと県民とともに議論する場を持ちたいと思います。知事に感想を求めます。
●平井知事
安全協定の問題は、きょうも相次いで出されていますけれども、強い立場で我々は臨まなければなりません。いみじくも議員もおっしゃいましたが、首長一人頑張っても多分なかなかうまくいかないところもございます。つまり、議会であるとか県民世論であるとか、そうしたことを受けて初めて、非常に難しい課題でありますが、それに対峙することもできるのではないかと思っております。
仮にこれから審査が始まるとすれば、いよいよ次は稼働に結びつくかもしれない。最終的な申請の可否判断であります。ですから、その局面に至るまで、力を合わせて取り組んでいきたいと思います。
○長谷川議員
きょうの新聞などで飛び交っているのは、容認という言葉と留保という言葉なのですね。留保というのはとても都合のいい言葉ですが、よく見てみると、申請自体は容認してしまいますよと。その上で、いろんな条件を本当によくまとめておられます。そして、その中でも肝になりますのは、周辺自治体が立地自治体と同等の安全協定を結ぶべきだという主張です。今大きく違うのは、稼働に対する表明権というものが全くないわけですね。国の法律もまだ整っていない中での、いわゆる安全協定という紳士協約ですので、今この条文は、やはり周辺自治体は意見を表明することができないようになっていると私は思います。そのことを今回しっかり押し出していただいて、最終回答、いわゆる申請につながる意思をあらわすときまでには、それを一番のメルクマールにしていただくということが求められているのではないでしょうか。
国の法律で、30キロ圏内は避難計画の策定が義務づけられているわけです。しかし、新規制基準ではこれが顧みられることはありません。そういうものを整えていく、実効性を持たせる意味でも、やはり立地自治体と同文言の協定を結ぶということを、鳥取県から中国電力に申し入れをしていただき、そういう交渉を経て最終態度を決めていただくことを望みたいと思います。
●平井知事
今、長谷川議員がおっしゃった態度で今後進めていくべきものだと思います。そういう意味で、先ほども冒頭御説明申し上げましたけれども、大事なポイントとして、今東海第二原発で新しい局面が生まれているけれども、態度が変わらない、この中国電力については改められるべきだと、このことを強く我々としても言い、当然ながらこうしたことへの先方の今後の真摯な対応があるかどうか、これが我々として鳥取県として最終回答をする際、当然ながらそれを背景にした判断ということになるでしょうという意味で、今申し入れておくべきだと思います。強く申し入れたいと思います。
○浜田(一)議員
知事から、昨日境港、米子両市長と会議をする中で、おおむね3者とも同様の意見で、そして今回は意見を留保するというお話がありました。考えてみるとごくごく当たり前の判断かなと実は思っています。知見というものに関していえば、確かに県でも原子力安全顧問や原子力安全対策合同会議等の機関があるわけですけれども、やはり原子力規制委員会の判断というものが一つの指針になるのかなと思います。
そして、今まで議論されている安全協定の問題です。これまでも知事は、そのことについてはとにかく粘り強く訴えていくということを一貫して言っていらっしゃいます。私は本当にそのことは評価をしますし、実現に向けてぜひとも、同様というよりも同じ文言の協定にしていただきたいと思います。
住民にとっては、やはり安全なのかどうかということが一番心配であります。我々もそうですけれども、原子力の中身が安全なのかどうかというのは、正直言ってなかなか推しはかれるものではありません。ですので、安全なのかどうかということをきちんと伝えていくことが行政の使命ではないかと思います。
先ほど、原子力安全顧問会議の意見というものを報告されましたけれども、我々議会やそれぞれの諮問機関、それから住民に対しても、一つ一つ丁寧に説明することが大事だと思います。境港市議会から、2号機、3号機で同時にシビアアクシデントが生じた場合についての心配がありました。周辺自治体であれば、本当に何かあったときに大丈夫なのか、何かあったときにどうやって避難するのかといった計画は立てておられますけれども、それが実効性あるものなのかどうかということは、事故の規模や中身によって、例えば、地震であれば本当にインフラがきちんと確保できるかということがありますので、やはりいろんな緊急事態として想定されるものとして、火山というものも加えるべきではないかという話もありました。
実効性のある避難計画について、県と市が互いに協調し合いながら、いま一度検討されるべきではないかと思います。実効性確保に向けてどういった取り組みをされるのか、知事にお伺いをいたします。
●平井知事
今議員がおっしゃいましたように、まずは原子力規制委員会のほうで、慎重で精細な検討をしていただく必要があると思います。これまでも原子力規制委員会のいろいろな判断がございまして、我々が懸念しておりました断層の長さも今大分延びた格好で、つまり安全目に見て対策をとれというようになっております。
そういう意味で、原子力規制委員会もある意味公平性を持ちながら専門的なアプローチをしているのではないかなと思います。ですから、そうしたことを我々もぜひ拝見させていただきたいと思いますし、議員がおっしゃるように住民の皆様への説明責任も果たす。境港市の皆様が的確な情報把握ができるような環境づくりは、極めて重要だと思います。
それとあわせまして、今お話がございました住民避難の実効性の確保については、今例えば、機材のことであるとか、それからこのたび8月1日から事前申請を受け付けさせていただいておりますが、前もって飲むことができるヨウ素剤というものの配布を始めるとか、いろいろと従前より前進させてきていることは事実かと思います。ただ、これは恐らく終わりがないことでございまして、毎年のように実動訓練などをやりますけれども、それで見えてきた課題などをフィードバックしながらやっていかなければいけません。
特に今、実効性の確保の面で重要なのは、車両の確保ではないかなと思っています。これについては、国のほうで必要な車両数を確保するという話し合いも始まっています。まだ明確な答えが出切っていないというところですが、国として、今関係省庁間の調整をしていると伺っています。実効性を高めていくためには、このようなことなどを一つ一つステップアップしていかなければいけませんし、課題の解決を図らなければなりません。
そういう意味で、今回、国に対しても安全対策等について改めて申し入れる必要があり、また、当然ながら中国電力にも協力いただいて避難計画をさらに深めていく、そういう努力を強く求めたいと思います。
○市谷議員
スケジュールありきではないと繰り返し知事も言われていましたけれども、私は本当に失望いたしました。議長に対しても失望いたしましたけれども、きょうしかないのに質問を制限するということはどういうことでしょうか。最後まで質問させていただきたいと思います。
それで、スケジュールの問題ですけれども、さっき知事が両市の返事があってから1日2日ずれたからといって問題ないとおっしゃったのですけれども、私は何ということを言われるのかと思いました。きのう米子市で、おととい境港市でしょう。我々はきょう初めて両市の資料を見たわけです。そして、きょう県の判断というものをこの場でいきなり見せて、判断しなさいと知事は言っているわけです。こういうことでスケジュールありきと言われるのではないでしょうか。私はいけないと思いますよ。
さっき錦織議員が住民説明会のことを言いましたけれども、豪雨の中での境港市での説明会については、行けなかった方が本当に多かったと思います。米子市の分は私も行きましたけれども、8時半終了予定のところ、みんなの意見を聞くべきだということで10時過ぎまで説明会が行われましたけれども、1回で終わっていいのかと、説明会を繰り返してくださいという意見が出ていました。それについてさっき錦織議員が聞きましたけれども、知事は一言も自分の御意見を言われなかったではないですか。
今回、県は事前報告の可否に対して、あえて判断を見送るということですが、今回の判断というのは、新規制基準の審査の申請を認めるかどうかという判断ですよね。これは単なる安全審査ではないのですよ。3号機を稼働させるための審査、新規制基準に適合しているかどうかの審査をすることについて、我々は問われているわけです。
3号機については、これから新しく動かすわけですから、最低でも40年、子や孫の時代にまで動かすことについての手続を認めていいのかということが問われているのですよ。しかも、2号機の1.7倍の電気出力ですよ。すごく大きいのですよ。だから、留保ではなく、今やるべきではないということを知事はきちんと言われるべきではないですか。中国電力の判断任せではいけないと思いますけれども、いかがでしょうか。
2号機の際にも、安全協定を改定してくださいという条件を出していましたよね。それでも、改定されていないのです。それから、住民向けの説明会をきちんとしてくださいということも2号機のときから県は言っているのですよ。2号機については、申請後に説明が18回されていますけれども、この間、基準地震動が変更になりましたけれども、それについての住民説明会は一回もされていないのです。2号機のときにも安全協定の改定、住民説明会をやってくださいと県が言っているのに、実行されていないことについて知事はどう思っているのか、そのことについて見解をいただきたいと思います。
原発の安全性、危険性についてですけれども、新規制基準の審査をしても、安全点検にはなりません。福島の事故そのものが、原因がまだ明らかになっていないのですよ。そうした中で、どう審査したら安全が確保されたと言えるのですか。
そして、使用済み核燃料は、持っていく場所がない。ガラス固化すると言っている核の廃棄物も、人間がそばに近づいたら20秒で致死量になる。今は地下に埋めるとか言っていますけれども、その技術も確立していないし、埋める場所も決まっていない。どんなに新規制基準の安全点検をしたって、使用済み核燃料の問題や、核のごみの問題は解決しないのですよ。それなのに安全点検をすれば安全が確保されるというのは、私は間違っていると思います。それをクリアしなければだめだということをきちんと言われるべきだと思いますけれども、それについてどう思っておられるのか、お答え願いたいと思います。
避難計画のことですけれども、さっき浜田一哉議員が避難のことについて大丈夫かと言われましたけれども、実は浜田一哉議員の住む境港市外江町は、私の住んでいる鳥取市の富桑地区に避難するという計画なのですよ。この7月の豪雨災害では、たまたま千代川は決壊しませんでしたけれども、私のところは、2メーターから5メーター浸水するのですよ。こういう豪雨災害を想定した避難計画に全然なっていないのです。きのうも原子力環境センターに行きましたけれども、なっていないと言われました。だから、中国電力に求めることもありますけれども、知事も避難計画など、住民の安全をきちんと整えないで、手続はどうぞというわけにはいかないと思うのですよ。避難計画について、豪雨災害も想定して改定されるべきだと思います。そうしなければ、手続を進めてはいけないと言うべきだと思います。
避難の関係ですけれども、放射線防護施設が5カ所あります。体の弱い方たちが一旦避難するところですけれども、鳥取大学附属病院は浸水区域になっています。こういうことも改善されていないわけですが、そういうことについてどう思うのか、お答え願いたいと思います。
●平井知事
市谷議員のほうから御質問がございましたけれども、冷静に議論するべきではないかと思います。先ほどから申し上げていることは、可否判断ということにつきまして、今回は最終的な意見は留保すると。その上で、まずは安全性の審査を受けてきなさいというところまでは認めましょうと。そこから先については、何か了解を与えるわけでは全然ありませんよと、むしろこれだけ条件を出しますよということでございます。
市谷議員に、まだちょっと御理解いただけてないところもあるのではないかと思いますが、そこは切り離しているわけです。全部中国電力任せだとたびたび言われますけれども、そんなことは一言も言っておりません。中国電力に任せるつもりなどはさらさらないわけです。我々はしっかり審査をしたいと言っているわけです。そのことを今申し上げているわけで、そこで議論をすりかえるのはいかがなものかと思います。
まず、スケジュールにつきましては、先ほど錦織議員にも申し上げましたとおり、米子、境港両市の考え方を聞いて、私どもとしては広域団体ですから、両者の考え方をまとめて、基本的にはお返しすべきだろうと申し上げてきました。6月県議会のときにも、重ねてそういうことを申し上げております。今、現に両市の考え方が出てきたわけでありますから、私どものほうでそれをお返しする。そのために議員全員協議会で議員の皆様に御相談したい。それで日程の御相談をさせていただいたというのが実態でございます。
先ほどの1日2日ずれてもというのは、そういう意味では言っていないです。きょうでなければいけないという必然性は100%ありません。例えば、議会の御都合とのすり合わせの中で、あしたとかあさってになったとしても、我々としては特段の問題はないということを言っているわけです。
住民説明会や避難計画についていろいろおっしゃいましたけれども、この点につきましては、詳細は原子力安全対策監からお答えを申し上げたいと思います。
先ほども申しましたように、住民説明会を終わらせるつもりもさらさらなくて、先ほどお示ししました要求項目の中に、今後住民説明会をやるべきだということを入れているわけであります。
2号機につきましても同じようなことを入れさせていただきましたが、それは2号機の審査の進展において、審査がこういうふうに進んできたら、その段階で住民説明会をやりましょうとか、そういうようなお話でございます。ですから、基準地震動のこと等、折に触れて向こうもやろうということでやってくれているわけでありまして、それについては今後も監視していかなければいけませんし、議会、あるいは市の御意見など、さまざまな御意見があり、まだこの点について説明が必要ではないかということがあれば、地元市側とも御相談しながら、折に触れて中国電力に求めていくことは当然ながら今後もやっていきます。今までもそういう対応をさせていただきました。
新規制基準の可否判断の件につきましては、先ほど申しましたとおり、安全協定上は新規制基準についての可否判断を求めるものになっていまして、今回はそれを切り分けて、最終的には今回は判断せずに留保しようということでございまして、要は全部中国電力に任すということではなく、我々としては先ほど御説明申し上げましたとおり、原子力規制委員会のさまざまな審査内容を我々も聞き取らさせていただき、安全顧問でもさらにフェールセーフでチェックするわけです。原子力規制委員会が新規制基準を満たしたと言っても、それで本当に十分かどうかのチェックを改めてしましょうと。そういうことなどをして、議会や両市と協議をしながら進めていこうというわけでありまして、一言も中国電力任せとは言っていません。
使用済み核燃料の問題につきましてお話がございました。これにつきましては、これまでも議会で御議論のあるところでありまして、今回の要求項目の中でも、使用済み核燃料につきましてきちんと問題提起をし、申し入れをしたいということであります。
かなり多岐にわたっていましたので、詳細は原子力安全対策監から申し上げたいと思いますが、例えば避難計画にある会場が使えないということであれば、それは当然ながら浸水していない他の会場を充てるとか、そういうことになってくるわけでございます。その辺のシミュレーションといいますか、全体のいわばセービング・クローズのような形、そういうことは当然ながらこれまでも進めてきています。ただ、具体的な精度をもっと上げようということで、我々としては避難計画の実効性をさらに高めていきたいということを申し上げているわけであります。
●水中原子力安全対策監
住民説明会、それから原発の安全性、使用済み核燃料、避難計画の浸水に関する件、放射性防護対策施設の件について補足の答弁をさせていただきます。
まず、住民説明会の件でございますが、これは先ほど述べましたように、県が中国電力にきちんと行うように求めているものでございまして、米子市の延期の場合につきましては、再度周知期間を設けまして、新聞折り込み広告により、米子市や境港市の方が出られるように行ったところでございます。
これ以外にも県のほうではいろいろな検証チーム、合同会議等をやっておりますが、それらも全て公開しているところでございます。
次に、原発の安全性ということで、福島の事故が検証されていないのに新規制基準とはいかがなものかということでございますが、各種の事故調査報告におきましては、おおむね福島の事故の結果というのは検証されております。新規制基準におきましては、福島で起きた事故に対して、起こりにくくするという基準になっております。さらに、原子力規制庁におきましても、それらについて引き続き検証しており、新規制基準については、状況に応じてさらに厳しくなっているという状況でございます。
使用済み核燃料につきましては、六ヶ所村のお話だと思いますが、これについては議員御指摘のとおり、まだ新規制基準に通っておりませんが、高レベル廃棄物をガラス固化するというようなアクティブ試験については、既に終わっておりまして、技術としては確立されていると聞いています。ただ、審査がおくれて竣工がさらにおくれているとは聞いております。
避難計画の浸水でございますが、議員御指摘のとおり、浸水地域にある避難所もございますが、現避難計画につきましては、一般的な場合において避難できるようにあらかじめ避難先と避難元をマッチングしているものでございまして、もしそのときに使えない避難所があれば、当然避難先の市町村と御相談させていただいて、浸水の危険のない避難所にかえていくということになります。そして、それについて、住民の方にしっかりお伝えする。その伝達手段として原子力防災アプリ等もやっています。当然それらをきちんとオペレーションできるように、訓練等を通じてきとんと応用能力についても訓練して、実効性を高めているところでございます。
次に、鳥取大学附属病院の放射線防護対策施設の浸水の件でございますが、これについては、浸水によって機能が失われないように、発電機については浸水より高い位置に設けていると聞いておりますし、さらにそのような場合にでも医療活動が継続できるようにBCPが作成されていると聞いております。
○市谷議員
私は新規制基準の審査は、さっきから言っているように不十分なものだと思っていますし、これは稼働のための手続だと思っているのですけれども、知事は、審査の申請はしていいということですね。それは確認させてください。
●平井知事
これは冒頭から何度も申し上げているとおりでありまして、私どもとしては判断を留保するということです。つまり、新規制基準に適合するかどうか、審査の申し立てをしたいと言っているわけでありますけれども、その上で可否判断ということがあるわけです。ですから、新規制基準を通り抜けたとしても、その後で我々はもう一回審査しますよというような仕組みが一番確実といいますか、徹底したやり方ではないかと思っていまして、それを今ここに書いているわけでございます。
両市の市長も、原子力規制委員会の専門家に見てもらわないと、やはり我々ではわかりかねるとおっしゃっていたのですけれども、実は、原子力安全顧問の皆さんも同様のことをおっしゃっています。まずは原子力規制委員会で見ていただいて、その上で審査したいとおっしゃっているわけですね。だから、そうした意味で、まずは審査に入ってもらって、そこでいろいろな検証作業をしてもらい、その状況を随時我々のほうでも聞き取らさせていただいて、我々の原子力安全顧問なりから、これはちょっとおかしいのではないかということがあれば、それも言えるようにしておこうというような形で、今回協議させていただいているわけです。
ですから、審査を受けることはいいわけでありますけれども、本当に安全性があるのかどうか、その辺を専門家に見てもらうということで、そこは了とさせていただこうというのが両市の考え方です。私も、それでよろしいのではないかと思っております。
○福浜議員
避難計画の実効性という部分ですけれども、私は以前マスコミにおりまして、福島のときには水素爆発を起こしましたが、あの映像を持っているのは日本テレビ系列の福島中央テレビだけです。なぜかというと、ちょうどアナログから地デジの移行期でしたが、ほかの局はもっと原発に近いところに警戒のカメラを置いていたのですね。それが爆風で全部吹き飛ばされて、データも一遍になくなってしまっている。たまたま福島中央さんだけは、遠くに置いていたカメラだけはアナログで生かしておこうということで、たまたま生きていてあの映像が残ったということなのです。あの映像のオープンには、もう一個ハードルがありまして、日本テレビに出していいか確認したところ、ちょっと待ってくれと、国の意向をまず確認したいということがあったそうです。国から、何が起きたかわからないので出してくれるなと言われたそうですけれども、内部ですったもんだがあったあげく、少しタイムラグがあったのですけれども、皆さんが目にされることになりました。
国の考えがいけないかというと、私はそうは思いませんで、あの映像が出たときにパニックになる懸念は当然あるだろうと考えるわけです。そこで避難計画の実効性というところに返っていくわけなのですけれども、僕も詳しく見たわけではありませんが、境港市の一番原発に近いほうから避難が始まると伺っています。ただ、モニタリングポストのデータが日々刻々とオープンになっている中で、急激に数値が上がったところがあれば、県民の皆さんの心理としては、もし自分の家族がそこにいるとするならば逃げろというふうに、国の指示を待たずに動けと言うのがやはり心情ではないかと思うのです。けれども、計画ではやはり国の指示に従うというふうになっていると思うのです。そうしないとパニックが起きて交通渋滞を引き起こしてしまったりしますので、そもそも論のところなのですが、情報をどこまでオープンにするのか、あるいはパニックをどういうふうに防ぐのかということは、実効性の深化の中で当然議論していかなくてはいけない。
そういう意味では、モニタリングポストのデータが日々刻々と出ていますけれども、ただ情報を垂れ流すだけではなくて、例えば、放射性物質が今ここでは何ミリシーベルト確認されているということがあるとすると、それは何時間そこで被曝すれば人体に影響があるのかということを、一般の県民の方がどれほど知っているのかなと思うのです。まずはそこから議論をスタートしないといけないのではないかと思うのですね。今、大まかには東側に避難ということになっていますが、風向によっては南に避難したほうが当然いい場合もある。その辺も住民の方々にとっては安心材料の一つにつながっていくと思うのです。2カ所あるということだけでも。総括的な質問で申しわけないのですけれども、知事のお考えをお聞かせください。
●平井知事
まさに実践段階になるとそういう考慮が重要になってくると思います。今、実は避難計画自体は、例えば資材繰りですとか、施設をどの程度用意しなければいけないかということ、それからどういう部隊を動かさなければいけないかということがございますので、ある程度大がかりな計画をつくっているわけであります。
ただ、現実に避難することになりますと、情報分析や住民の皆様への伝え方が重要であります。その辺はまだ抽象的な文言でしか書けていないところでありますが、事前にどこまで具体的に書けるかというと、難しい面もあるかと思います。例えば風向きがどう動いていたか、それからどのように放射線が測定されているのか、この辺がどうなってくるかによると思います。現実、私どもとしてはそういうことも念頭に置きながら、今はモニタリングのネットワークをつくることによって、実際に危険があるかどうかを地域ごとに判定できるような体制をとりまして、ここの人は屋内で待避しておいてくださいとか、あるいは今のうちに逃げてくださいだとか、そういうことがあると思いますし、気象台からの情報も私どもの対策室のほうに集約をされるというような体制をとっています。
今とりあえずツールとしてはでき始めているとは思うのですが、ただ、現実にそれがうまく動くかどうか、それから今おっしゃるようにわかりやすい形で、住民の皆様に納得して避難行動をとっていただけるかどうかという非常にコアなところは、やはりある程度演習などを通じて関係者が習得していかなければならない。避難計画よりも一歩先の部分があるだろうと思います。
いずれにいたしましても、非常に重要な御提言でございますので、これからの避難計画の深化に当たって、参考にさせていただきたいと思います。
◎稲田議長
御意見も出尽くしたと思われますので、以上で質疑を終了したいと思います。
知事におかれましては、本日の議論を踏まえて鳥取県の方針を決定していただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
以上で議員全員協議会を終了いたします。
午後5時35分 閉会
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