スタッフが綴る日々の出来事

作成日:2024年06月03日
土器で炊飯実験をしました。

 「普段、おコメをどうやって調理していますか?」と質問すれば、多くの方が「炊いています」と答えられるでしょう。なかには、「おこわが好きなので蒸しています」とか、「おかゆが好きなので、こだわってコメから煮ています」と答えられる方もいるかもしれませんが…。

 

 さて、弥生時代ではどのようにしておコメを調理していたのでしょうか?じつは弥生時代のおコメの炊き方は今のおコメの炊き方と違っていて、おコメをゆでた後にお湯を捨て、弱火でじっくり熱を加えて炊き上げる「湯とり法」と呼ばれる方法でした。ちなみに、いま私たちが行っている方法は「炊き干し法」と呼ばれる方法で、絶妙な火加減と水加減によって、お湯を捨てなくても余分な水分が無い状態で炊きあがる方法です。

 

 今回、弥生人たちがどのようにしておコメを炊いていたのか再現するため、炊飯実験を行ってみました。

 

 用意するものは、おコメ、水、土器、燃料等です。使ったおコメは、うるち米(ジャポニカ米)+古代米とバスマティ米(インディカ米)の2種類です。これは、現在のもちもちっとした触感のうるち米と弥生時代のおコメの触感に近いパラパラっとした触感のバスマティ米で違いがあるかを調べるためです。

 

 火を燃やすための炉は2種類用意しました。一つは土器を地面に直接置き、その周りに薪をくべていくタイプ、もう一つは、土器を石などの支えによって地面から浮かせ、下から薪をくべていくタイプです。前者は弥生時代に行われていた煮炊きのやり方、後者は古墳時代ごろから行われるようになったやり方です。なお、今回の実験では、バスマティ米を入れた土器を前者、うるち米を入れた土器を後者で加熱しました。 

 

 土器におコメ、たっぷりの水を入れ、火にかけること20分、ようやく湯気が出始め、さらに10分後、待望の吹きこぼれが起きました。そこからグツグツと5分煮込んでからお湯を捨て、おき火の上に土器を寝かせて置き、5分ごとに土器を90度回転させながら加熱していきました。20分後、一回りして炊きあがりました。両者ともしっかりと加熱でき、芯もなく炊きあがりました。特にバスマティ米の方はパラパラしており、うまく炊けたようでした。

 

 ところで、地面から浮かせ下から薪をくべていくやり方ですが、当初、強い火力が得られ早く沸騰するだろうと予想していたのですが、なかなか沸騰せず、吹きこぼれるまで時間がかかってしまいました。このため長時間煮てしまうこととなり、コメ粒が崩れて水っぽくなってしまいました。おそらく土器の浮かせ方や火の当て方などがおかしいと思うので、今後、色々な方法で実験して検討する必要がありそうです。

 

使用したお米(うるち米)

使用したお米(バスマティ米)

写真1・2 使用したおコメ(上:うるち米+古代米、下:バスマティ米)

土器にお米を入れる

写真3 土器におコメ、水を入れたところ

土器を火にかける(直置きタイプ)

土器に火をかける(浮かせるタイプ)

写真4・5 土器を火にかけているところ(上:浮かせるタイプ、下:直置きタイプ)

吹きこぼれの様子
写真6 吹きこぼれの様子
お湯を捨てているところ
写真7 お湯を捨てているところ
おき火で加熱しているところ
写真8 おき火で加熱しているところ
炊きあがりの様子(うるち米)

炊きあがりの様子(バスマティ米)
写真9・10 炊きあがりの様子(上:うるち米+古代米、下:バスマティ米)

 

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