1 調査日時・調査箇所・調査事項 平成20年7月7日(月)
○鳥取県東京アンテナショップ
・8月29日(金)オープン予定の「鳥取県東京アンテナショップ」の現場視察
○東京都立白鴎高等学校、附属中学校
・公立中高一貫教育校の取組について
○杉並区役所
・杉並区教育ビジョンの教育改革全般について
○杉並区立和田中学校
・和田中学校における学校教育改革について
平成20年7月8日(火)
○川崎市役所
・「子どもの権利条例」の制定について
○千葉県立東金病院
・地域医療を守るための医師確保の取組状況について
平成20年7月9日(水)
○電機神奈川福祉センター
・労働組合による社会福祉法人の設立及び事業の展開について
2 調査委員 藤縄委員長、浜崎副委員長、市谷委員、澤委員、松田委員、廣江委員、村田委員、山口委員、横山委員
3 随行者
議会事務局議事調査課 野川主幹、前田副主幹
4 調査報告
今回の県外調査では、福祉・教育分野に関して、東京都で最初の公立中高一貫教育に取り組んだ「東京都立白鴎高等学校、附属中学校」、独自の教育改革に取り組んでいる「杉並区役所」及び民間校長を受け入れ「夜スペ」「土テラ」等に象徴される極めて特徴的な学校改革に取り組んでいる「杉並区立和田中学校」、国内で初めて「子どもの権利条例」を制定した「川崎市役所」、医師確保など地域医療の再生を地域ぐるみで取り組んでいる「千葉県立東金病院」、労働の視点で障害者雇用に取り組んでいる「社会福祉法人電機神奈川福祉センター」についての調査を実施した。各調査先の状況を踏まえ、本県における教育・医療・福祉各分野における現状と課題についての認識を深めることができた。
特に、「杉並区立和田中学校」「千葉県立東金病院」「社会福祉法人電機神奈川福祉センター」においては、それぞれのトップが現状における本質的な問題を認識し、“顧客”が誰であり“顧客ニーズ”は何かを十分把握した上で論理的に解決の道を探り、意欲的に取り組んでいる点が大変特徴的であった。
「杉並区立和田中学校」においては、教育には地域の協力が欠かせないとの認識のもと、「夜スペ」「土テラ」をはじめ学校教育外での活動に地域・民間の力を取り入れ、学校教育と合わせて現時点でとり得る最良の教育体系を実現している。また、総合学習の時間を活用し、早くからキャリアビジョンを持つことの重要性を説き、子どもが自らの未来を自らで切り拓くことができる自立した人格の形成に尽力している。
「千葉県立東金病院」においては、新医師臨床研修制度は医師不足の“きっかけ”でしかないこと、顧客は若手医師であること、医師不足は医療だけではなく地域の全体の問題であるといった認識のもと、若手医師が何を求めているのか、また若手医師に来てもらうためには何をすべきかを踏まえた実効性のある取り組みがなされている。
また、院長の経験に基づいた本県における医師不足解消のヒントも示され、今後委員会活動を進めて行く上で大いに参考となった。
「社会福祉法人電機神奈川福祉センター」においては、障害者雇用の隘路が福祉と労働とのミスマッチ(労働側の視点の欠如)にあり、そこに焦点を当てなければ障害者雇用は進展しないとの認識のもと、福祉・教育・労働の横断連携を特に重視した取り組みにより実績をあげている。
また、「東京都立白鴎高等学校、附属中学校」では、公立中高一貫教育は必ずしも私立中高一貫教育との競合を意図したものではないことを認識し、公教育とは何か、改めて考えさせられる機会となった。
「川崎市役所」の子どもの権利条例については、子どもの目線で条例制定し、事業を進めている点で特徴的であった。
今回の県外調査を通じ、施策を効果的に進めるためには十分な現状認識(本質的な問題は何か)と顧客認識とを踏まえた解決策の展開、また何よりトップの意欲が必要不可欠であることを再認識することとなった。
調査先における課題は全て本県共通の課題であり、県議会としても、政策提言を通じて効果的な福祉・教育行政が展開されるよう、今後とも努めていきたい。