1 調査日時・箇所・内容
- 1月13日(水)
- ○池田市教育委員会(大阪府池田市)
- 「おおさか・まなび舎」(学力向上事業)の取り組みについて
- 1月14日(木)
- ○佐世保工業高等専門学校(長崎県佐世保市)
- 佐世保高専における特別支援教育の取り組みについて
- ○佐賀県庁(佐賀県佐賀市)
- 佐賀県における行財政改革の取り組みについて
- 1月15日(金)
- ○福山市教育委員会(広島県福山市)
- 学力テストの公表・分析の取り組みについて
- ○尾道市立土堂小学校(広島県尾道市)
- 「学ぶことが楽しい学校」土堂小学校の取り組みについて
2 調査委員
- 稲田委員長、澤副委員長、山口委員、鉄永委員、伊藤(美)委員、前田(八)委員、興治委員
3 随行者
- 鳥取県議会事務局議事調査課 前田(い)主幹、前田(康)副主幹
4 調査報告
「おおさか・まなび舎」の取り組みが報道等でも度々取り上げられているが、池田市では、伝統的に地域の皆で子どもたちを育んでいこうとする意識・土壌があるようだ。今後も、学校支援地域本部の取り組みを通じて、子どもたちは健やかに成長することだろう。
福山市では、学力テスト等の結果如何にかかわらず、詳細に分析を行った上で、改善指導計画、目標設定等一連の取り組みを公表している。この公表は、家庭における生活・学習習慣の向上についても意図しており、家庭や地域からも一定の理解を得られているようだ。
分析によって弱みの固定化も見えており、どう学力向上に繋げていくかが課題となっている。
全国的にも有名となった尾道市立土堂小学校では、まず子どもたちの元気なあいさつに驚かされる。モジュール授業では子ども達に迫力さえも感じた。教え方次第でここまで伸びるものかと驚かされる。子ども達、家庭の満足度も非常に高い。
「早寝・早起き・朝ごはん」の基本的生活習慣の定着もさることながら、子どもたちはモジュール授業や合唱、土堂っ子太鼓などを通じて、学校生活の中で、思い切り腹の底から声を出し力一杯全身を動かしており、こうした活動が子どもたちの高い集中力、ひいては学力の向上にもつながっていると感じた。
なお、モジュール授業は一通りではなく、先生方が知恵を絞って様々な方法を考えているとのこと。最初の一歩を踏み出す勇気さえあれば、鳥取県教育でも十分にできるのではないか。
これら3ケースの取り組みを通じて、教育に家庭・地域を巻き込むことの大切さを改めて思う。
また、特別支援教育で特徴的な取り組みが行われている佐世保工業高等専門学校では、「対象が少人数であっても支援するのが学校の役割」とのことであり、教員が障がいについて勉強する機会を十分に確保するとともに、担任が1人で過剰な負担を抱えることがないよう、学内に「特別支援教育部会」を立ち上げ、校長出席のもと、組織的な対応が行われている。
外部機関を含めた支援体制の構築には、周囲の環境もさることながら、最後は「教師の熱意と学校(校長)の理解が不可欠」とのこと。
世界の偉人の中にもアスペルガーがいると言われており、「障がい」を特別視するのではなく「個性」とみるべき、との校長の弁が印象深い。
なお、こうした取り組みにはある程度の予算確保(行政の支援)も求められる。
佐賀県行財政改革の一環である「仮想人件費枠」「予算の使い残しの奨励」は、一定の成果をあげているようだ。
しかし、その前提として導入された「本部制」組織は一長一短であるとのことで、佐賀県のケースは1つの実験とみることができよう。
蓋し、行政組織に“ベスト”の形はない。最終的には、如何にトップの意思を共有しつつも、構成員たる“人”の力を引き出す仕組みを構築し、組織力を高めていくかということなのであろう。
なお、民間助成制度(フィランソロフィー・プログラム)については、一考の余地があるものと思われる。