平成22年度議事録

平成22年5月11日~13日・所管事項に係る県外調査

1 調査日時・箇所・内容

5月11日(水)
○京都国際マンガミュージアム(京都府)
  マンガミュージアムの概要について
  国際マンガサミットの開催について
  京都精華大学マンガ学部について
5月12日(木)
○東山区役所(京都府)
  東山3K協力金会議の取組について
  清水五条陶板の散歩道について
○平安遷都1300年祭(平城宮跡)(奈良県)
  平安遷都1300年祭について
5月13日(金)
○大阪府警察(東警察署内科学捜査研究所)(大阪府)
  科学捜査の現状について
○公立大学法人静岡文化芸術大学(静岡県)
  公設民営方式から公立化への移行等について

2 調査委員

石村委員長、銀杏副委員長、前田(宏)委員、村田委員、初田委員、安田委員、尾崎委員

3 随行者

鳥取県議会事務局議事調査課 中西主幹、伊藤主事

4 調査報告

 今回は、京都府、奈良県、大阪府及び静岡県において、当委員会所管の行政課題について調査を行うとともに活発な意見交換を行った。

 まず、京都国際マンガミュージアムおいて、マンガミュージアム、京都精華大学マンガ学部の概要及び本県が国内候補地に内定し、開催が予定されている「国際マンガサミット」の開催状況を調査した。
 京都国際マンガミュージアムは、閉校した小学校の跡地を活用し、京都市と京都精華大学の共同事業として開館し、外国人を含め年間30万人の来場者を集めるマンガの国際的な「聖地」となっている。京都市では、文化創造、観光誘致、産業振興など幅広い分野において多彩な可能性を持つ「マンガ」文化の育成に努め、ミュージアムの管理運営を担っている京都精華大学は、表現力をテーマとした大学でマンガ学部を含め4つの表現に関わる学部を置き、表現のプロを養成しているとの説明を受けた。
 本県では、水木しげる氏、谷口ジロー氏、青山剛昌氏をはじめとする著名なマンガ家を多く輩出し、マンガを切り口とした観光客誘致に取り組むため、「まんが王国とっとり」推進協議会を設立し、情報発信等を行っているところであり、今後の推進方策及び「国際マンガサミット」の開催に向けて貴重な情報を得ることができた。

 次に、京都市東山区独自の取組で、区内の寺社、企業、団体等の協力金をもとに事業を展開している「東山3K協力金会議」及び同会議の事業である「清水五条陶板の散歩道」について調査した。
 京都市は、国内外から年間約5,000万人の観光客が訪れる国際的観光地であり、その中にあって東山区は、寺院や神社など文化財が多く、その密度は全国一を誇ると言われているが、深刻な交通渋滞や公衆トイレ不足など様々な課題を抱えていた。そうした課題の解決に向けて、神社仏閣をはじめ、企業や団体、個人が協力金を出し合って、「東山3K協力金会議」を設立し、さまざまな事業実施により、来訪者と地元の人が共に快適に過ごせるまちづくりの取組の説明を受けた。
 また、電線類の地中化に伴い設置された地上機器に、地元の伝統産業である清水焼の陶板で製作した観光案内板を取り付けた「清水五条陶板の散歩道」は、無機質な地上機器を利用した取組であり、「歩いて、楽しむ」をコンセプトに掲げ、来訪者が迷うことなく観光できるよう配慮されたものであった。
 様々な観光案内板を統一したデザイン、表記内容のものに改める取組についても紹介があり、この点も含め観光客の利便性向上対策として大変参考になった。

 次に、奈良県で開催されている「平城遷都1300年祭」を社団法人平城遷都1300年記念事業協会の説明をもとに調査した。
 訪れた平城宮跡会場は、特別史跡平城宮跡、史跡平城京朱雀大路跡及びこれらの隣接地の広大な敷地で構成され、第一次大極殿正殿や朱雀門などの復原建物、平城宮跡資料館などの展示施設を活用するなど、平城遷都1300年祭の趣旨を認識するとともに、大規模イベントにおける多くのボランティアの方々の協力、シャトルバス等公共交通機関を利用したパーク&ライドの徹底、会場内での高齢者等へ配慮したトラムの運行などその運営には目を見張るものがあった。
 本県も6月下旬、「“万葉有終の郷・鳥取“の魅力をお届けします!」をテーマに、同会場の交流ホール、まほろばステージへの出展・出演し、都から下向した2人の国司(大伴家持、山上憶良)の足跡をたどる形で、修験道の三徳山、霊峰大山や大陸との交流の舞台・日本海の形成過程を色濃く残す山陰海岸の魅力等を紹介する予定となっている。

 次に、大阪府警察科学捜査研究所で、科学捜査の現状を調査した。
 昨今、脚光を浴びている科学捜査のうち、今回はDNA型鑑定を中心に説明を受けた。DNA型鑑定をはじめとする科学捜査技術は、日々進歩しており、DNA型鑑定の精度は、現在187京人に1人と言われている。
科学捜査研究所は、本県をはじめ各都道府県警察に設置されており、現代の凶悪化・複雑化する多くの事件の解決には、なくてはならない捜査技術であることを改めて認識した。

 次に、今年度、公設民営方式から公立大学法人へ移行した静岡文化芸術大学で、移行した経緯、課題等について調査した。
 同大学は、静岡県、浜松市、地元経済界が協力して設立し、平成12年4月に開学した公設民営方式の大学で、文系学部が少ない地域であり、開学以降、競争率が7倍を下回らない魅力ある大学づくりが行われていたようだが、財政的な経営基盤を安定させるため、公立大学法人に移行した。開学当時から、授業料を県立大学と同額に設定しており、今回公立化されることにより得られる授業料の減などの魅力がないように思われたが、今年度はさらに競争率が上昇したとのことであり、地域における生徒・保護者の国公立志向の高さを痛感した。
 同じ公設民営方式で、本県と鳥取市が出資して平成13年に開学した鳥取環境大学は、平成16年度以降、定員割れが続いている状態で、同大学の改革検討委員会が設置形態を現在の民営から公立へ移すことが望ましいと結論づけ、本県と鳥取市も大学の経営改革プランの提出を求めた後、公立化の是非を議論する検討委員会の設置を決めているところであり、今回の静岡文化芸術大学で伺った公立大学法人化による課題等を参考に、この検討委員会の動きを注視していきたい。

 県外調査を通じて、各委員から様々な発言、提言、提案がなされるなど充実したものとなり、大変有意義であった。今回調査したこれらの施策、取組については、今後の委員会活動の参考としていきたい。

 

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