1 調査日時・箇所・内容
- 7月26日(月)
- ○東京空港整備事務所D滑走路展望台(東京都)
- 東京国際空港再拡張工事の進捗状況について
- 7月27日(火)
- ○釧路公立大学(北海道)
- 公立大学の経営状況について
- ○北海道庁(北海道)(奈良県)
- 中国映画ロケ後の中国人観光客の誘致対策について
- 映画等ロケ誘致の取組について
- 7月28日(水)
- ○北海道さっぽろ「食と観光」情報館(北海道)
- 食と観光の情報発信について
- ○国土交通省(東京都)
- 高速交通網整備等に係る要望・意見交換
- 7月29日(木)
- ○鳥取県東京本部(東京都)
- 首都圏における情報発信の取組について
2 調査委員
- 石村委員長、銀杏副委員長、前田(宏)委員、村田委員、初田委員、安田委員、尾崎委員
3 随行者
- 鳥取県議会事務局議事調査課 中西主幹、伊藤主事
4 調査報告
国内の長期にわたる景気の低迷、人口の減少といった局面の中で、観光行政における外国人観光客の誘致対策は大きな課題である。
そうした中で、中国映画のロケ地となったことに伴い、多数の中国人観光客の受入れに成功した先進地である釧路市及び北海道を調査先に選び、担当者より実地で詳細に話を伺うことができた。
世界同時不況や新型インフルエンザの流行といった逆風が吹く中で、成長が続く東アジアの中で一際勢いのある中国からの観光客の伸びは目覚ましく、中国人観光ビザの要件緩和も相まって、今後とも大きな伸び代が見込まれることを現地での説明や資料で確認することができたことは一つの成果である。
なお、伺った種々の説明の中で、
・中国人観光客の訪日の大きな目的は買い物であり、観光客マネーの多くは、都市部で吸収されていること
・北海道を選ぶ理由は、雪及び温泉があること
・中国人観光客の受入れに関して商店での決済や言葉の問題、生活習慣上のすれ違い等の問題があること
・中国国内で小さな自治体が観光地のプロモーションをしても、存在感を発揮できず埋没しかねないこと
といった点は本県における中国人観光客の誘致対策を考える上で非常に示唆に富んだ内容であり、今後の議論の中で活かすことができると感じた。
次に、釧路公立大学である。
本県には、平成13年度に公設民営でスタートした鳥取環境大学があるが、平成16年度以降入学者が定員割れしており、先般同大学の改革検討委員会で今後の在り方に関する報告がまとめられ、現在本県及び鳥取市で設置された委員会で公立化の是非を含めて議論がされているところである。
今後の当委員会での議論の参考とするため、同大学を調査先として選定したものである。
経済学部のみの単科大学であること、また人口18万5千人の釧路市に位置していること等、釧路公立大学は、鳥取環境大学がおかれている状況に近いが、毎年定員の6倍から8倍の高倍率の志願者を確保していることは、比較の上で非常に興味深い事実である。
また、収入15億円余の内、自治体の負担金が約4億円弱あるが、そのほとんどは交付税相当額であり、自治体の実質的な負担はほとんどない一方で、毎年2~3億円の剰余金が出ており、非常に堅実な経営が行われていることが理解できた。
入学定員300名の内、105名を推薦入学で確保していること、前期試験と後期試験の間に中期日程試験を設け、そこで相当数の学生を確保しようとしていること等、入学者確保のための戦略も非常に興味深く感じた。
なお、同大学が今年度の入学生に行ったアンケートの結果で、入学の動機として、公立大学であることをあげる学生が全体の約7割あったことなどが紹介されており、鳥取環境大学がとりまとめた今後の経営の在り方の報告書の数値の意味を考える上で非常に参考となった。
最後に、当委員会所管に係るインフラ整備等について、国土交通省の幹部職員に対して要望活動を行い、意見交換を行った。
県内の高速道路ネットワークの早期整備、境港の重要港湾及び日本海側拠点港選定等が県土の発展の上で欠かせないことを伝え、概ね理解を得ることができたものと感じた。
なお、新年度予算の概算要求方針などについても貴重な情報を得ることができ、有意義な要望活動、意見交換であった。
以上、所感では概略のみを記したが、上記に記した以外の調査先においても、有益な情報を得ることができた。また調査先との意見交換では、各委員から様々な質問、発言があり、全般を通して充実した調査活動を行うことができたものと感じる。
今回調査した施策、取組については、今後の委員会活動の参考としていきたい。