1 調査日時・箇所・内容
- 7月26日(月)
- ○稚内日ロ経済交流協会(北海道)
- ロシア極東地域との経済交流活性化への取組について
- 日ロビジネスサポートセンターについて
- ○ショッピングセンター「ユアーズ」(北海道)
- ロシア貿易への取り組みについて
- 7月27日(火)
- ○島の駅「海藻の里・利尻」(北海道)
- 未利用水産資源を活用した地域活性化について
- ○利尻富士町議会事務局(北海道)
- 漁業後継者育成への取り組みについて
- ○社団法人エゾシカ協会(北海道)
- 鳥獣被害対策と資源活用について
- 7月28日(水)
- ○北海道銀行(北海道)
- ロシア貿易の支援について
- ○道産食彩HUG(北海道)
- 道産品の地産地消の推進状況について
- 北海道情報の国内への発信の状況について
- ○リフォーム産業フェア(東京都)
- ※当日の飛行機(新千歳→羽田)の大幅な遅れにより調査出来ず
2 調査委員
- 伊藤委員長、福本副委員長、山根委員、松田委員、福間委員、上村委員、藤縄委員、市谷委員
3 随行者
- 鳥取県議会事務局議事調査課 岡田主幹、上月副主幹
4 調査報告
今回は、北海道稚内市及び利尻町、利尻富士町、札幌市において、当委員会所管の行政課題について調査を行った。
稚内市では、まず「稚内日ロ経済交流協会」において、ロシア極東地域との経済交流活性化への取り組み及び日ロビジネスサポートセンターについてとロシア貿易の取り組み状況について調査した。
稚内日ロ経済交流協会では、ロシアとの経済交流を翻訳により支援し、サハリンの現地合弁企業の立ち上げをサポート。サハリンにおける液化天然ガスプロジェクト実施の際には、この合弁会社が日本企業の下請けとして現地で活動し、日本企業のサハリンでの経済活動を支えられた。また、日ロビジネスサポートセンターでは、サハリンのプロジェクトに際し、現地の通関業者を協会内に常駐させ稚内からの資材輸出を円滑に行う取り組みをされていたが、現在はプロジェクトが落ち着き常駐はしていないとのこと。
ロシアとの経済交流においては、現地企業の協力、輸出入手続きの円滑化が不可欠であることから、今後の本県とロシアとの定期貨客船の安定就航に向けて、ロシアでの本県ビジネスサポートセンターの活用に加え、県内におけるロシアビジネスのサポート体制を検討する必要があると感じた。
次に、ショッピングセンター「ユアーズ」では、ロシア貿易への取り組み状況について調査した。ユアーズでは、調味料、カップ麺、スナック菓子などの食料品を中心にロシアへ輸出を行い、ロシアからはビールの輸入を行っていた。サハリンプロジェクトの影響などで数%ではあるが富裕層ができ、高くても品質が良く安全な日本製品を購入する人が増えてきており、輸出量は確実に増えているとのこと。ただ、現地取り扱い会社のある人口18万人程度しかないユジノサハリンスク対象だけでは、食料品貿易だけで生活できる量を輸出することは困難な状況であった。本県のロシア輸出においても、誰を対象として何を売っていくのか、どのような商品のニーズがあるのかを充分に調査検討する必要があると感じた。
利尻町では、島の駅「海藻の里・利尻」の行われている未利用水産資源を活用した地域活性化への取り組みについて調査した。
食用にされない雑海藻や、海岸に打ち寄せられ船の出港を妨げるなど漁業の障害となる海藻を何とか利用できないかということで、平成11年度からNPO法人が海藻を使った押し葉への取り組みを開始。未利用の雑海藻を活用した押し葉を全国に情報発信され、コンクールなどを通して多くの愛好者を得ており、島の駅へも毎年約5千人の観光客が来場し地域の活性化に貢献していた。
未利用の雑海藻を活用した産業振興は、多くの海産資源に恵まれている本県においても参考になる取り組みであると感じた。
利尻富士町では、漁業後継者育成への取り組みについて調査した。ここでは平成20年度から漁業体験研修「漁師道(りょうしどう?)」という制度を作り、漁業に興味を持つ若者を対象に2週間の研修を実施されている。さらに、継続して1年間の長期研修を終了し町内で漁業に従事する場合は、別事業で町から磯舟を一艘贈呈する制度も昭和47年から実施されており、現在までに99艘を贈っているとのこと。
年間を通じて厳しい作業を行わなければならない漁業者においては、就業時にその厳しさを承知していないと就業後に途中で辞める方もでてくるため、事前の長期研修は必要であるということと、収入の少ない漁業就業当初の設備面での行政の支援は、本県の漁業後継者育成においても参考になると感じた。
札幌市では、まず社団法人エゾシカ協会の鳥獣被害対策と資源活用について調査した。捕獲されたエゾシカの肉の有効活用を推進することで個体数調整に貢献させる取り組みを実施されており、信頼できる食肉加工施設整備を進めるために協会自らが衛生管理の基準となる「エゾシカ衛生処理マニュアル」を策定し、マニュアルに基づく検査により道内に70箇所ある処理施設の中から現在8つの施設を推奨されていた。この取り組みは本県のイノシシ、シカ被害対策における資源利用についても参考になる取り組みであると感じた。また、大口の食肉消費量を確保するため、飲食店のみではなく学校給食、自衛隊などへの利用をお願いしたり、各地区の庶民的活動の中でB級グルメなどへの活用を推進することは、本県の捕獲鳥獣資源の有効活用対策の一つとして大いに参考になると感じた。
次に、北海道銀行では、ロシア貿易の支援について調査した。ユジノサハリンスクに事務所を設置するとともに、ロシア連邦外国貿易銀行の極東3州(サハリン、ハバロフスク、ウラジオストク)の支店と提携し、ロシア進出企業のサポートを行われており、輸入通関、コストの問題で取引は拡大しにくい状況であるが、金融の面では、銀行との取引が必要になってくるとの見方をされていた。今後、ロシアとの取引が現在の前払いからL/C決済や後払いに変化してくれば、山陰地方の地銀がL/C決済などに取り組む場合の参考になると感じた。日本から一方的にロシアに売り込むのではなく、日本に来てもらい様々な施設、商品を見てもらう中で買いたいと思えるものを知ってもらい、それを提案するビジネスにしていくことが必要だという話を聞き、ウラジオストクとの貿易に取り組む本県においても経済交流の在り方を検討する必要があると感じた。
次に、道産食彩HUGでは、道産品の地産地消の推進状況及び北海道情報の国内への発信の状況について、市と地元商店街が連携して開設したアンテナショップを調査した。店内に道内各地の特産品展示スペースを設け、来店者に情報発信するとともに、市町村からエントリー方式で物産を仕入れ販売されており、商店街に位置していることから、エントリーされた市町村の出展状況に加えて、観光情報などの各市町村情報を積極的に発信し、来店者が実際にその地域に足を運ぶきっかけ作りに成果を上げているとのこと。常設の県産品情報を発信する施設のない本県においても、県民への浸透に加えて県外への情報発信を行う同様の施設が必要であると感じた。
今回調査したこれらの施策、取り組み等について、今後の委員会活動の参考としていきたい。