本会議で決定した議員派遣について、その概要等を掲載します。(結果報告については、派遣終了後に掲載いたします。

  

議員の派遣状況(22年度)

台湾訪問団

1 派遣期間

平成22年10月19日(火)~22日(金)

2 主な日程

10月20日(水)
 国立陽明高級中学視察
 桃園県立平鎮高級中学視察
 (財)交流協会台北事務所表敬訪問
 台湾政府外交部主催歓迎夕食会
10月21日(木)
 追分駅舎(大肚郷)視察
 清水国民小学視察
 台中県政府主催昼食会
 台中県立長億高級中学視察
 台中県政府主催歓迎夕食会

3 派遣議員

山口議員[団長]、鉄永議員[副団長]、横山議員[秘書長]、藤縄議員

4 随行者

議会事務局  柳楽主幹、伊藤主事

5 報告

 


















【黄仲生台中県長(左)からいただいた飾り皿】

 



【国立陽明高級中学での授業参観】




【清水国民小学 黄進益校長の説明】




【台中県立長億高級中学での武道披露】




 去る10月19日から22日までの4日間の日程で行いました鳥取県議会台湾訪問団の調査活動について、御報告申し上げます。
当訪問団は、私と鉄永議員、横山議員、藤縄議員の4名でありました。
尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件により、尖閣諸島の領有権をめぐり東シナ海の緊張感が高まっている中での訪問でありました。国交のない台湾との交流のあり方について、改めて考えてみる時期に来ているとの認識のもと、我々は、特に本県と交流している台中県との交流、そして、台中県と台中市が合併し、近く誕生します新台中市との交流のあり方の確認を目的に亜東関係協会(台湾政府外交部)と台中県政府を表敬訪問いたしました。
まず、驚いたことは、観光客の8割近くを中国人観光客が占め、賑わっている現実を目の当たりにしたことであります。亜東関係協会への表敬訪問では、第1に、「現在、台湾と中国との関係改善が進んでいるが、これは経済的な結びつきであり、そのことが日本との交流に影響するものではないこと」、第2に、「日本との今後の交流については、国際情勢がいかに変化しようとも、これまで培ってきた交流をもとに、地方政府間の交流や民間交流を維持発展させていかなければならないこと」を確認させていただきました。今回のように、お互いが膝と膝を交えての腹を割った意見交換は大変有意義なことであり、このように今後の交流について共通認識を得られたことは、大きな成果でありました。
なお、このとき、黄秘書長より、台湾が目指している「気候変動枠組条約」及び「国際民間航空機構」へのオブザーバーとしての参加に向けて、何らかの支援をいただきたいとの要請がございました。言うまでもなく環境、異常気象対策や航空機事故防止は、台湾のみならず、広く世界の安心・安全に関わることでありますので、どのような支援ができるか今後検討・研究する必要があると感じた次第であります。
また、台中市と合併を控えている台中県政府への表敬訪問では、合併後の本県との交流について、より一層推進していくことを確認させていただきました。台中県の黄仲生県長からは、今後も鳥取県との交流を重ねることで、将来、家族のような、兄弟のような関係になれることを信じているとの言葉をいただき、本県とのこれまでの交流、今後の交流推進に対する熱い思いを受け取ることができました。黄県長からいただいた飾り皿には、二匹のカニが寄り添っていました。台湾ではカニを「感謝の謝」と発音するとのことで、二匹で「謝謝(しぇいしぇい)」を意味し、合併前の時期に訪問した我々への感謝と、この寄り添う二匹のカニの如く台中県と本県がこれからも並んでともに歩んでいきましょうという温かい気持ちが込められておりました。
合併により体制が変りましてもこの黄県長の思いを引き継ぎ、これまで以上に交流を深め、将来に向かって心からふれあえるような交流関係に発展させていくため、知事におかれましては、まもなく誕生いたします新台中市と今後の交流について、早急に話し合う機会を設けていただくようをお願いいたします。
次いで、国際社会で生き抜くため、人材育成に非常に力を入れている台湾の教育についてであります。我が国の教育は、「詰め込み教育」から「ゆとり教育」への転換により、学力が低下し、国際的な評価も下がってきており、方向転換が迫られている時期であると認識しており、その再生への道を探るべく、高級中学、日本でいう高等学校と、日本統治時代に開校し、当時の日本式建築の校舎が残る台中県の小学校を訪問いたしました。
授業の参観等に時間がとれなかったことは残念ではありましたが、校長の熱心な説明、校内で出会う児童生徒の様子やクラブ活動に励む生徒との対話等から、直接肌で感じられたことも多く、また、我々が学ぶべきところ、さらには日本の教育が回帰すべきところが台湾には多くあると感じました。
その一端を御紹介いたしますと、第一に、道徳教育であります。児童生徒の規律正しさ、「礼に始まり礼に終わる」指導が行き届き、実践されていることに非常に感銘を受けました。清水国民小学の校訓は「誠」であり、校長は、「生活教育に力を注いでいる」と胸を張って説明されました。高級中学でも道徳教育は実践され、校長先生の言葉からも、生徒たちに道徳を身につけさせようという意気込みが伝わってきました。台湾には、日本で失われつつある教育の原点というべきものが今なお生き続け、すべての学校種において一貫して実践されており、その必要性を改めて感じたところであります。
第二に、それぞれの学校で、教育にかける熱意と確固たる教育理念を日本以上に共有されていることであります。台中県の長億高級中学では、子どもたちの目標が達成できるよう、校長、先生方、そしてPTAが一体となって熱心に取り組んでおられ、また、他の高級中学では、人格形成が教育の原点という考えのもと、学力向上はもとより、美術等の芸術分野、武道等のスポーツ分野の指導にも力を入れられるとともに、生徒にやる気を起こさせるための設備・施設を充実させ、生徒個々の潜在能力を引き出し、最大限に伸ばすことに重きを置いておられると感じたところでございます。
なお、今回訪問しました平鎮高級中学は、今年度初めて、八頭高等学校と教育交流をされており、八頭高に来た何名かの生徒との意見交換の中で、八頭高と姉妹提携を結び、鳥取からも台湾へ来てもらい交流したいとの言葉がありました。さらに、財団法人交流協会台北事務所を表敬した際には、台湾への修学旅行招致の要請もあったところであります。我々としても引き続き、できるかぎり支援させていただきたいと考えておりますが、より交流を深めるためには経済的交流のみならず幅広な人的交流を一層推進することが肝要であると思うのであります。知事並びに教育長におかれましては、学校間の教育交流、修学旅行など次世代を担う若者同士の交流事業等を一層推進いただきますようお願いいたしたいと思います。
最後になりましたが、今回の訪問のもう一つの目的として、漫画を介した新たな交流の可能性を調査するため、「漫画読書室」が設置されている台湾国立中央図書館などを訪問する予定にしておりましたが、接近していた台風13号の影響によりまして、急遽日程を変更し帰国せざるを得なかったことは誠に残念であったと思っているところであります。
以上、知事、教育長へのお願いを含めまして、所感の一端を申し上げましたが、台湾と日本、そして、新台中市と本県の交流が益々発展いたしますことを期待し、我々訪問団の調査報告を終わりたいと思います。
 

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