1 調査日時・箇所・内容
- 8月25日(水)
- ○鳥取西高等学校(鳥取市)
- 鳥取西高教育の取り組みと現状について
- ○鳥取東高等学校(鳥取市)
- 鳥取東高教育の取り組みと現状について
- ○倉吉東高等学校(倉吉市)
- 倉吉東高教育の取り組みと現状について
- 8月26日(木)
- ○米子東高等学校(米子市)
- 米子東高教育の取り組みと現状について
2 調査委員
- 稲田委員長、山口委員、鉄永委員、伊藤(美)委員、前田(八)委員、興治委員、浜崎委員
3 随行者
- 鳥取県議会事務局議事調査課 前田(い)主幹、前田(康)副主幹
4 調査報告
先般、当委員会の県外調査において富山中部高校の取り組みについて調査したことを踏まえ、鳥取県内の高校教育(特に今回は普通科教育)の実情はどうなのか、今回は鳥取東、鳥取西、倉吉東、米子東の各高校の調査を行った。
鳥取西、米子東は、地区中学のトップ層が入学し、高校入学時点での学力レベルは高いようだが、進学に至るまでの間、必ずしも生徒の力を十分に伸ばしきれていないようだ。このため、鳥取西では教員の研修派遣、進路講演会の実施、休業中の実習教室の開放、小論文へのてこ入れ、問題研究とテキストづくりなどに取り組み、また米子東でも小論文指導、勉強合宿、2・3年次の習熟度別クラスの導入計画など、生徒の力を引き出すべく取り組んでいる。
鳥取東の場合、平成20年度以降で国公立大学現役合格率が著しく上昇。専攻科の廃止が決まり、以前から教員の研修派遣、休業中の補習の実施、勉強合宿、土曜日の図書館の開放など、保護者も巻き込み「そこまでやるか」と言われるようなことに取り組んできたことも奏功しているようだ。
今回の調査先の中で最も元気だったのが倉吉東。平成6年度の県議会視察で発破をかけられたことを契機に、国公立大学現役合格率は右肩上がり。
倉吉東の場合、高校入学段階では東部、西部の進学校と比べて上位層が少ないものの、3年生になると東部、西部の進学校に引けをとらず、難関大合格率は県内でもトップクラスの結果を残している。
特徴的なのは、オリエンテーション合宿を行い、戦略的に低学年のうちに手を入れるなど、教員が生徒の志望をつくっていることだ。学年主任が強いリーダーシップを発揮し、点検・修正を繰り返しながら教員のベクトル合わせを行っている。教員は相当頑張っているようだ。
多様な講師による講演会や国際高校生フォーラムなど、何のために今学ぶのかを生徒に考えさせ、高い学びの意欲を引き出し、自発的に取り組む姿勢を持たせていることも強み。
全般的に、ゆとり教育に伴う中学段階での知識量・論理的思考不足や全国的な中高一貫教育の動きなどが課題と受け止められている。
他方で、全国には、高校教育で結果を残している高校もあり、そこには強い指導力があることも事実。富山中部高校が「文武文」と“文”を追求する姿はとても印象深い。
高校教育に限らず、今の鳥取県教育に対しては、我が委員会で「鳥取県の教育はこれでいいのか」「方向性が見えない」「本当に生ぬるい」との声もある。
主に公立小中学校が参加している全国学力・学習状況調査では、鳥取県が僅かに全国平均を上回る結果となっているが、何かと話題の大阪府をはじめ、全国の私立小中学校が参加した場合、結果は相当変わってくるであろう。
鳥取県の教育は発展途上。県教育委員会をはじめ、教育関係者の皆様には、全国や世界を相手に有為な人材を輩出できるよう、是非とも子どもたちの力を十二分に引き出す教育を実践していただきたいし、そのための不断の教育改革に邁進していただきたい。