午後3時00分 開会
◎藤縄委員長
ただいまから企画県土警察常任委員会を開会いたします。
本日の日程は、お手元の日程のとおりでありますので、この順序に従って議事を進めさせていただきます。
なお、今回の常任委員会は、みなとさかい交流館外壁改修工事に係る付議案の予備調査と参考人招致を行うこととし、初めに付議案の予備調査について、次に参考人からの意見聴取について行いますので、よろしくお願いいたします。
初めに会議録署名委員を指名いたします。
本日の会議録署名委員は、稲田委員と国岡委員にお願いいたします。
それでは、県土整備部に係る付議案の予備調査を行います。
前回に続きまして、所管部局外ではありますが長谷川総務部参事監に出席していただいております。
なお、質疑につきましては、説明終了後行っていただきます。
平成24年度当初予算の付議案のうち、みなとさかい交流館外壁改修工事についての説明を求めます。
初めに、古賀県土整備部長に説明を求めます。
●古賀県土整備部長
お手元の表紙をごらんになっていただきたいのですけれども、今回、資料に8項目を入れさせていただいております。このうち、時間の関係もございますので1番から5番まで要領よく説明したいと思います。なお、6番につきましては、先日来御議論をいただいていた要領書を載せております。7番は、境港市のサウナとか、そういった施設関係の協定書でございます。8番につきましては、先週の金曜日の一般質問の中でもございました交流館の年間の管理運営費について掲げております。この中では、例えば50万円以下の小規模修繕ですとか光熱水費が含まれているところでございます。
それでは、開いていただきまして、1ページの工法検討に関する経緯について、簡単に御説明を申し上げます。
まず、平成22年度のこの調査業務の中で、2ページ以降にございます委員会を設置しまして、具体的な工法検討を行っております。中段のほうに四角囲いがございますけれども、検討の方針として、意匠上の変更、設計、材料の変更も含めて抜本的に検討するということでございまして、検討結果等の2つ目に書いておりますけれども、最終的に、この委員会の中では、外壁等については金属板張りと塗膜防水の2案が提示されたわけでございます。そして、その後、平成23年度に入りまして実施設計を行っております。そして、この中で、最終的には金属板、今回用いています材料によります具体的な工法選定がされたということでございます。
続きまして、次に12ページをごらんになっていただきたいのですが、12ページは、そのような検討を踏まえまして、今回比較検討をしたものの一覧表を示しております。上から3段目のところに工法の具体名がありまして、左から順にシーリング打ちかえ、塗膜防水、それから今回のガルバリウム鋼板によります改修、これは今回の全体を覆うのと、先日来御議論いただいております上部を撤去した上での工法と2つを掲げております。それから、右側2つは現地で仮に新築した場合に同規模と、必要最小限に縮小した場合の事業費の比較等を載せているところでございます。
中段ぐらいに経済性というのがございますので、そこを最終的にごらんになっていただければいいのですけれども、初期費用というのが初期の改修費等でございます。維持管理費用というのは、今後30年間の防水に関してだけの管理費用を計上しております。その結果、ごらんになっていただきますと、もちろん一番左側のシーリングは今回のものでは期待できないということ、これは最初から除外なのですけれども、最終的に、先ほど申し上げたように塗膜防水とガルバリウム鋼板による改修ということになりますけれども、経済的に見ますと、塗膜防水のほうが6億1,200万円ということで若干安いわけでございますけれども、考察の欄に書いておりますように、防水剤の耐用年数が30年ということもあり、塗膜防水よりも防水性に対する信頼性が高いというようなことから、今回このガルバリウム鋼板による全面改修、全体を覆うというような改修方法を選択しているところでございます。これからの実際の発注に当たっては、コストの縮減に努めながら、できるだけ経費を節減して、効果的な改修工事を進めてまいりたいと思います。
◎藤縄委員長
続いて、長谷川総務部参事監に説明を求めます。
●長谷川総務部参事監
戻っていただきまして、5ページをお願いします。調査の状況写真を5ページ以降に3カ所ほど載せております。
まず、6ページでございますけれども、前に話が出ておりました南側の三角塔のところでございます。ここで示しておりますのは、材料と材料の取り合い部分がコーキングに頼っていて、水切りとかそういうものが余りついていないということでこういうところが選ばれておりますけれども、状況としましては斜めの三角形の屋根のような壁のようなところですけれども、そこは裏からも様子が見られまして、コーキングが打ってあるところから雨が漏っております。全体的に漏っているという状況でございます。この図は、先ほど申しましたように、そこの取り合いのところが水切りをつけずに直接材料と材料が取り合いの部分で合っていまして、コーキングは打ってあるのですけれども、そこが切れるとすぐ中に入ってしまうというような図でございます。
前田委員のほうから指摘がありましたように、そこが弱点になるのではないかということですけれども、今設計をしておりますのは、ガラスを取ってやりかえるものですから、水切りというものを取って、コーキングに頼らない納めとしております。
8ページから9ページでございます。北側の明かり窓なのですけれども、そこは通称涙目と言っているのですけれども、そこのところは今回の工事で取るようにしております。そこのところも現状では床のようなところからそのまま立ち上がってコーキングが打ってあるということで、今アルミテープで補修しておりますけれども、やはりそこから水が入ってくるという状況でございます。
10ページでございますけれども、これは北側の湾曲した壁で、今回真っすぐにするところですけれども、下にアルミサッシがあるのですけれども、そこの上のところから室内に雨が漏っております。この場合も、湾曲しました壁のあらゆるところからコーキングが切れて入っておりまして、それがどういうところに流れてくるか、どこから漏っているかということはわかりませんけれども、最終的にはサッシの一番上の水切りのところに水がおりてきまして、それが外に出ずにコーキングが切れて中に入ってきて室内に漏れているという状況でございます。
13ページでございますけれども、資料の5になりますけれども、外周工事の工事内訳書でございます。営繕計画書ということで、予算要求は秋からスタートしますので、この時点はまだ概算の要求書で、実施設計で示したものでございませんけれども、大きな話としては、ガルバリウム鋼板が3億3,000万円、足場が5,000万円弱、その他撤去とか、それからちょっと出ております展示室のところは余り漏っておりませんので、御影石のところはシーリングを打ち直すというような設計内容になっております。
14ページの図面ですけれども、これが南側の立面図と側面の立面図でございます。南側の仕上げとしてはセメント板でしてあるところが多いですので、その上にゴムアスシートを敷いて、屋根材であるガルバリウムを敷くというような設計になっておりますし、それから三角形のところは、一たんガラスを外しまして、その取ったところに外壁をつくるということで、ガラスを取りますと水切りがつけやすくなりますので、取り合いのところの納めがかなりきれいにできるということがございます。また、左側の東立面図ですけれども、そこの展示場のところに、低層部のところに排煙窓新設と書いておりますけれども、排煙窓がつき出した屋上部分にありますし、それから三角形のところの排煙窓も上部の屋根のところに今ついております。それで、そこから漏っておりますので、屋根の部分は全部ぴちんと屋根としてふきまして、排煙窓は両側ともサイドに持ってくるように考えております。
15ページでございます。これが北側でございます。こちら側は曲面でございますのでアルミパネルの仕上げが多いのですけれども、アルミパネルの場合は外しまして、鉄骨で胴縁下地を組みまして、それに耐火のジータをしてゴムアスルーフィング、それからガルバリウム鋼板というふうにするようにしております。
◎藤縄委員長
ただいままでの説明について、質疑はございませんか。
○藤井委員
部長のお話の中で、12ページの説明のところで、今後も経費の節減について考えられる範囲で努力していきたいという話でした。前回、前田委員が言っておられたけれども、シーリング材の取りかえで2,000~3,000万円違うのだという話がありましたけれども、ああいうものをずっと拾っていけば相当なものになるのかなという感じがするのですけれども、現時点ではどの程度のものが想定されているのでしょうか。
●古賀県土整備部長
具体的には、まだ前田委員からの前回の御指摘の点でしかございません。ただ、今回当初の工事費で5億3,800万円計上させてもらっておりますけれども、これは、どちらかというとまだ予算ベースといいますか、ざっくりしたベースでございますので、実際の工事の発注はこれから細かい積み上げをしていきます。その中で、材料の選定ですとか、この間御指摘いただいた点などを踏まえて、できるだけこの工事費を低く下げたいと思っております。
○国岡委員
45ページ、みなとさかい交流館の管理運営費が出ています。これが通常のランニングコストの数字ということですね。これから12ページに出ておりますように、ガルバリウム鋼板、塗膜防水、新築というふうになっています。新築になると当然建築費は上がってきますけれども、結局このプランの通常のランニングコストを上げていった場合と、新築でいろんなボイラー関係の中身、前回の一般質問にも出ておりましたけれども、そういった比較というのはしっかりなされているのでしょうか。
●古賀県土整備部長
まず、ここに書いてある今の管理運営費というのは、先ほど申し上げたように小規模な修繕費とか光熱水費とか、通常の管理費でございます。もう一つ、12ページにございますのは、これは防水工事に係るもので、これは別枠だとまず考えていただければと思います。
先週、一般質問でも御質問あったし、私のほうでは舌足らずだったかもしれませんけれども、例えば、これは今15年間経過しておりまして、全体で9億円ぐらいの管理費がかかっております。ですので、これから30年もし使うとすれば、単純に言えば18億円ぐらいかかるわけでございます。ところが18億円かかって、今我々が新たに提案しているものが建設費が5億円でございますので、18億円を足していただければ23億円になります。ところが、仮にこれの管理費をいろんな省エネとかそういうので半分になったとすれば、残り30年間で18億円ではなくて9億円で済むことになります。ところが初期投資費が18億円ですので27億円になります。したがいまして、23億円と27億円との比較においても、まだ私どものほうの工法によって進めたほうが有利であると、そのように判断しております。
○前田委員
結局きょうで5回目かな。私はこの欠陥が大体わかってきました。要はアルミとか石とか石こう板であるとか、いろんな材料があったのです。それをつなぐのをシーリングでやっていたと。この建物は、シーリングに過度に頼っていたということです。だから、シーリングが全部劣化したら、全体が大変なことになってしまって水が入ってきたと、こういうことでしょう。どうですか。
●長谷川総務部参事監
そのとおりでございます。
○前田委員
この建物はシーリングに頼り過ぎていたのだ。だから劣化したらそこから水が入ってきた。それも全面的に。シーリングを全部やっているから。つなぎに全部使っているから。ということですね。この建物の欠陥はわかりました。
◎藤縄委員長
そのほか。(なし)
それでは、意見も尽きたようですので、付議案の予備調査につきましては以上で終わります。
暫時休憩いたします。
再開は午後3時20分といたします。執行部の皆さんは退席していただいて結構です。お疲れさまでした。
午後3時16分 休憩
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午後3時21分 再開
◎藤縄委員長
再開いたします。
引き続き、みなとさかい交流館外壁改修工事について、参考人からの意見聞き取りを行います。
お手元にもありますように、本日は2名の方に参考人として御出席をいただいております。
ここに、元みなとさかい交流館最適改善手法調査委員会調査・改善手法検討委員会委員長、国立米子工業高等専門学校建築学科教授玉井孝幸氏及び元みなとさかい交流館最適改善手法調査委員会現地詳細調査・検討班班長、株式会社清水設計代表取締役清水幸憲氏に参考人としてお越しいただきました。
この際、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。
本日は、お忙しい中にもかかわりませず、当委員会のために御出席をいただき、まことにありがとうございます。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。
それでは、早速ですが議事の順序等につきまして申し上げます。
最初に、私のほうから委員会を代表して総括質疑をさせていただき、その後各委員の質疑にお答えいただきますようお願いいたします。
参考人におかれましては、意見を求められた事項についてのみ発言していただきますとともに、発言に当たりましては、私、委員長の指示に従っていただきますようお願いいたします。
また、マスコミの皆さんにお願いいたします。
取材エリアにつきましては特に特定をしておりませんが、参考人の方が発言しやすい環境の確保への御配慮をお願いしたいと思います。御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、私のほうから総括質疑をさせていただきます。
今回のみなとさかい交流館外壁改修工事につきましては、当委員会として執行部からより詳しい資料も提出していただき、これまでにここに至った経過を含め、その内容について時間をかけて調査してきております。
今定例会においても、約5億4,000万円という高額の工事費や瑕疵担保などについて議員から質問も出ております。雨漏りの状況、工法選定経過など、大変重要なポイントとなりますので、当委員会の審査の参考とさせていただくため、みなとさかい交流館最適改善手法調査委員会で調査検討された皆様の御意見をぜひお伺いしたいということでおいでいただいております。御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、早速お伺いいたします。
最初に、清水参考人から、みなとさかい交流館の漏水等の状況についてお聞かせいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
●清水参考人
それでは、私のほうから調査の概要につきまして報告書を含めて説明させていただきたいと思います。
きょうは別添でお手元にA4の資料を配付させていただいていると思います。お手元に片とじのA3の資料でございますが、調査箇所状況概要というものを添付させていただいていると思います。これをもとにしまして説明をさせていただけたらというふうに思っております。
この資料ですが、これは既に御承知のとおりと思いますけれども、平成23年3月に鳥取県のほうへ提出させていただきましたみなとさかい交流会最適改善手法調査業務の報告書でございます。この資料の中の抜粋ということで、報告書の115ページからの資料をつけております。
一番最初に、調査箇所状況概要ということで、調査をナンバー1から5の大きな区分としてピックアップさせていただいております。その5つの中に、さらに12の部分について詳細を調査いたしまして、その報告書とさせていただいております。
ナンバー1ですが、南の斜め屋根・エントランスということで、これは4項目、後で詳細についてお話をさせていただきます。ナンバー2につきまして北の外壁面ですね、これが3項目について説明をさせていただきます。ナンバー3につきましては円筒部ということで、これは1カ所でございます。ナンバー4につきましては南光塔ということで2カ所、ナンバー5につきましては展示ホール屋根ということで2カ所についての報告でございます。
はぐっていただきまして、116ページの符合がついておりますナンバー1のA、斜め屋根の笠木からの漏水というところですが、この報告書は、左上を見ていただきますと平面図に赤印でつけております。それから、右側のほうには立面図として赤印で部位をつけております。それから、その下に調査状況説明図ということで、詳細図と水の浸入箇所、それから水の流れということで、水の浸入箇所につきましては左ページの右下のほうにちょっとかいておりますが、緑色の三角の印をもって浸入箇所と特定した経緯を書いております。それから水の流れは、浸入いたしまして、それが内部または外壁を伝って流れた経緯についての結果の部分について印をしております。
右側のページでございますが、これはおおむね3枚程度の写真をつけておりまして、詳細図に示してある内容の箇所につきまして、写真をつけているというような調査書でございます。これが幾枚かについておりますので、一つずつ説明させていただけたらというふうに思います。
それでは、調査箇所、斜め屋根の笠木についてということでございます。外壁の南側立面図に斜めの屋根と書いておりますが、設計者の方はどうも壁という解釈の延長のように思われますけれども、斜めの屋根というふうに我々はつけておりますが、それの一番上の部分です。笠木部分といいますが、笠木部分についての検証の部分でございます。
詳細図で見ていただきますとおり、緑色の三角、水の浸入口ということで、今3カ所の点について浸入が認められたところを書いております。いわゆるシーリングの劣化による剥離として建物内部に水が浸入しているという痕跡が見られたところでございます。これも材料といたしましては、押し出し成形板と、それから笠木は2ミリ厚程度のアルミ笠木がついておりますが、それのいわゆる取り合いのところに関して、シーリングで止水をしているというところが、いろいろな条件がございますけれども、結果的にはシーリングが切れているという状態、剥離しているということで当然水が浸入してきたということでございます。
右ページの写真1を見ていただきまして、ここが剥離して、笠木の上のほうから見るともう既にすき間が見えていますというような写真でございます。その下の写真に至りましては、もう劣化して、剥離して、水切りとの間にすき間も見えているというような状態が連続しているということです。もちろんここからも水が確実に漏っていたというような状態でございます。その下の写真ですが、これはシーリングの奥で、もう既に内側に水が回ったものが、外ではなくて内部で水がたまっていると。それをカッターで切ってとってみると水があふれ出すという状態でございます。これは雨の日に限らず、常に水がたまっていたというような状況を確認させていただいたという報告書でございます。
次のページのナンバー1のBということで、押し出し成形セメント板の板間の目地からの漏水、そのうちの斜め屋根ということで、先ほどは笠木でしたが、今度は屋根の材料となっている部分です。これが押し出し成形板でつくられている材料でございますが、この材料間の接合部ですね、これもシーリングに頼っておられたという設計でございます。
後ほど原因はちょっと申し上げますが、これも水が既にここからも漏れていたということでございます。特に斜め部分は階数で言えば4階、それからその上の部分に当たりますので、ここからの漏水のものは4階の床にかなりの量で漏水しておりました。現地でも、漏水がかなりひどいために、バケツであるとかで受けているような状況でございました。それから、それが、また壁を伝って4階もしくはその下の階、特に3階の事務所のカーテンボックスのほうより漏水ということで、4階、3階に多くの漏水が見られる、そういう状況の箇所でございます。
これの説明といたしまして、写真の右側でございます。これも既にジョイント部のところにすき間ができていると、劣化して、もう切れているという状況でございます。2番目の写真、ナンバー2ですが、これは今の成形板の裏側を写真に撮ったところでございます。見ていただきましたように、水の垂れている部分とか、白化して白くなっている部分が内部の写真でおわかりだと思いますが、これがやはり長い間の中で常時漏水をしてきた結果ではないかというふうに思います。3番目の写真が、これも先ほどと同じです。内部に回ってしまった水が、既に内部でたまっているという状態です。ですので、シーリングを切ってみると、そこから水があふれ出るというような状態でございました。
続きまして、ナンバー1のCでございます。これは斜め屋根の光塔というところで、御存じかと思います、南側の立面図に三角形の光を取り込むための光塔というのがございます。そこの状況のいわゆる取り合いの関係です。それはカーテンウオールと言われる鉄骨とガラスで組み立てられた光を取り入れる窓でございますけれども、そこの水切り、または笠木の取り合い、これもすべてシーリングによって止水をしてあるという状況です。また、このシーリングも剥離をして建物に水が入っているという状況を示した詳細図でございます。
特に写真の1の部分は光塔の上の部分に当たります。いわゆる笠木であるとか、そういう一番上の部分です。しつこいようですが、これもシーリングの劣化でもう既にすき間が見えていますということ。それから2番目の写真に出ていますのは、斜めに上がってきている先ほどの斜め屋根と光塔との取り合いでございます。これもガラス部分といわゆる鉄骨の部分、それから押し出し成形板の部分の取り合いがこれがまたシーリングであったということで、これについても切れて剥離をして、漏水してきたというような現状があります。そういったことと、3番目の写真3の図面も同じことです。内部に水が既に蓄えられていまして、それを切ってみることによって既に内部に水が入っているということの写真でございます。そのような状況でございます。
次の資料に行かせていただきます。これはエントランス風除室というところでございます。ちょっと図面がわかりにくいかもしれませんが、南側の2階の部分ですが、一部2階建てになっておりまして、2階に入っていくためのエントランスの円形の風除室がございます。詳細図の図面の下のほうを見ていただきますと、半分が外に、半分が内側に入っている風除室でございます。
ここも詳細図を見ていただきますと、真ん中の上のほうですが、水の流れということで、上からのカーテンウオールそのものが水が漏っておりますので、それがまた風除室のエントランスの屋根というほどでもないのですが、屋根の形状をしたところに水がたまっていきます。中からも外からもたまっていきます。これが、実は水をためて、ある程度水を流していくという形状のようにはできておりませんで、エントランスの屋根の部分にこれもシーリングとめてあるのですが、ある程度とめて、排出しようという設計であっただろうと思います。それが、例えば真ん中の2番目の写真を見ていただいたらいいと思うのですが、これはエントランスの上から見た写真でございます。これを見ていただくと、外側に亀裂がちょっと見えると思うのですが、このように既にもう亀裂が入っていると。シーリングというとめ方ではなくて、水が漏るためにあるようなぐらい亀裂が入っているという現状がございました。それと、ここで多少問題になるかなと思われるのは、円形の小さな2メーターほどの円ではありますが、ここの水だけをやはり想定をされていたのではないかというふうに思われました。そのために排水の能力がないのではないかというふうに思われます。それは、半分の上側がカーテンウオールですので、高い2階からずっと4階まで壁があるわけですが、その壁に当たった水の量が考えていないために、オーバーフローしてしまったものが抜け切れていないというようなことも考えられて、このエンジンドアというのは2カ所とも長い間の中で漏水しているという事実がありました。
もう1点は、この漏水したものが外側の2階の床のほうにたまって、それがなかなか防水がきいていないということで、いわゆる展示室の内部のほうに床からもしみているという経緯がございます。ですから、上からのものがエントランスで受けて、また漏水をして、それがはけなくて、下の階にまで漏れているというような経緯がございました。
次に、北側の外壁の涙目と言われる、平面から見ると涙の形をした塔屋がございますが、そこにそれを受けている小さな屋根があるのですが、そこの部分についての調査報告でございます。
図面的には、平面図で丸い塔屋の間の中に小さな涙目の形をした塔屋がございます。位置的には北側立面図の円筒の間間にある飾りのための塔屋でございますが、これも詳細図を見ていただきますとおわかりかと思うのですが、こういう平面の笠木の上に直接乗せてあるということではないのですが、これに取り合いが上からすとんと当たっているという状態でございます。この取り合い等が、またシーリングに頼っておられたということがございます。接合部の平面の笠木の部分と上からの塔屋の部分に関しては、シーリングと、やはり多少の立ち上がりというものが普通はつくられていくわけですけれども、この立ち上がりも非常に少ないということで、水も屋根のように外へ流すということではなくて、やはり一度ためて処理しようというお考えの設計だったように思われます。それが機能しなくなっているということもあります。そのようなことを詳細図のほうで示させていただいております。
右側がその説明というか、箇所の写真でございます。特に写真2を見ていただきますと、もう少し立ち上がりがあれば、ある程度オーバーフローしたときにでも水が中に入らないということもあっただろうと思いますが、非常に少ないということと、現在はアルミテープで補修はしておられますが、これは補修と言えるほどの内容ではないのではないかという気がいたします。そういうようなことが補修履歴にもありましたけれども、何度か施されてはいるという状況でしたが、漏水していることに変わりはなかったというようなことでございます。
この取り合いの中のところに、一部だけ御影石で、これは意匠的に用いられたものだと思うのですが、この御影石と防水の立ち上がり、それから金属材料となるアルミであるとかといった材料の違う種類のものが非常に取り合いが多く見えます。そういったものの取り合いもまたシーリング自体も大変難しい施工方法であったのではないかというふうにも思っております。そういった複雑な取り合いの部分で、工事も大変だったのでしょうが、切れやすくなっていたというふうに調査いたしました。
次ですが、調査箇所で北側外壁の笠木ということで、先ほどの涙目の部分のところと同じでございます。詳細図を見ていただきますと、涙目ということで真ん中に出ております。赤印で円筒の塔屋、涙目の塔屋のところに赤印がついておりますが、これが先ほど言っております笠木との接点になっているところです。
先ほど説明させていただきました状況とほぼ同じような内容でございます。取り合いがやはりシーリングになっているということ。1番目の写真の部分を見ていただきますと、こういう状態でございます。2番目の写真2も一緒ですが、ここもどんつけのような形でできております。実は立ち上がり部分が奥に少しあるのですが、非常に小さいということで、オーバーフローとか水がたまった状態のときには、内部に漏水しやすくなっているということです。それから、写真3に関しても、補修履歴にもありますアルミテープの補修は若干してはありましたということの経緯でございます。
次の資料ですが、北側1階サッシということでございます。1階部分でございますが、北側の面に一連で斜めの少しアールのついたサッシがついております。上がアルミのパネルになっております。この取り合いもシーリングで施工を施されておりまして、ここのシールもやはり切れて剥離していたということでございます。北側の1階部分の待合室等の大きな漏水の原因はやはりここが多いのではないかというふうに思われます。もちろん上のアルミパネルからの漏水もありますので、ここだけということではないです。上からの分も含めて、ここのアルミサッシの上部のところでたまって中に入っていくという原因が一番多かったのではないかというふうに思っております。これも原因的には同じことで、シーリングの劣化ということが大きな原因であるというふうに解釈しております。
次ですが、円筒の部分の屋根の部分でございます。円筒の屋根が4つございまして、調査をさせていただきましたのは、北側から見させていただくと一番左側の部分でございます。この塔屋が、かつては展望ができるガラスブロックで本当はつくられていたようでございますが、補修履歴にもありますように、一度防水をかけておられます。展望のところはなっておりませんが防水がかかっております。それで、屋根面の平面的なところはどうも漏水は一度とまっているように思われました。ただ、今回の調査でわかりましたことは、屋根の部分の防水が、写真1にありますが、一部階段状になって屋上に上っていけるようになっています。上の平面の防水の部分は一応とまりましたが、そこにたまった水が、2番目の写真にも見えておりますが、いわゆる排水口が設けてあります。その排水口へたまって、その中のドレンを通じて外へ出していくという原設計になっておりますが、実はこの排水口が余りにも小さいために、それから縦に抜くところですが、排水口のドレンが余りにも小さいため、少し大きな雨が降ると常にオーバーフローしていくということで、これは現地のヒアリングもさせていただきましたので確認をいたしましたが、その雨が写真1で見ていただくように、屋上に通じる出入り口のアルミサッシがありますが、これをさらに越えて中にあふれ出ている、あふれ入るというのでしょうか、という状況でございます。ここに立ち上げが少しでもあれば、まだこういうことはなかったのだろうと思うのですが、ほとんど立ち上げもない。それから許容するだけの排水の能力がないということですので、水をためて中にわざと落とし込んでいるようなぐらいの状況であったということを確認させていただきました。そのようなことの調査資料でございます。
次が、光塔という南側に並んでおります三角形の光を取り入れる屋根のことでございます。これは、詳細図が屋上の図面部分でございます。屋上を書いた図面でございます。四角の部分がありますのは、ここに排煙ハッチという、いわゆる法規上で火災時のときに煙を外に逃がす法的なための開閉式のハッチでございます。これが実は三角塔屋の中に3カ所設置してあります。これの部分を1カ所調査させていただきました。どの部分に対しても雨漏りはしておりました。足場の関係がありますので1カ所の調査になっておりますが、この図面のところは何を申し上げたいかといいますと、やはりこれも取り合いがすべてシーリングに頼っているということがあります。その部分がやはり亀裂して、劣化もしているということがあります。
このハッチの部分は、実は先ほど言いましたように開閉式でございますので、下の4階フロアから機械的に上げることができます。これを一度あけますと、確かにきちんと閉まることは閉まるのですが、この排煙窓そのものが開閉の接点になるところはゴムのパッキンがついております。これが既に劣化もしているというか、硬化をしているということもありまして、きちんと閉まらないという状況があります。そのことによって、屋上の部分がオーバーフローするとハッチのところからも入ってきているというような状態です。ですから、本来であれば劣化したものに対して取りかえるとかということはありますでしょうけれども、きちんと閉まってくれれば、シーリングとは別なゴムパッキンのところであればとまることはあったのでしょうけれども、これがもう既にきいていないということもあります。そのようなことと、取り合いのシーリング、それから立ち上げが少ないというようなこともありまして、ここも漏水の大きな原因になっているというふうに調査をいたしました。
次でございますが、先ほどと同じところでございます。これは特に外側の笠木とか、写真にもありますが取り合いの周りの屋根の屋上部分の笠木に当たります。こういうところも緑色でずっと三角形でかいておりますが、接合部のところがもう既に剥離して切れているということで、ここのあたりからずっと漏れているであろうと想像ができます。
写真の3番目にありますが、金物同士の間のところに、どうしても形状にいろんな金物というか、金属製のものが取りついております。それも持ち出しの金物とか等で出ているわけですが、その取り合いもシーリングでとめてあるということで、これも同じような条件で、やはり切れたり劣化しているというようなことがあって、ここからの漏水も十分考えられるというふうに解釈いたしました。
次ですが、展示ホール屋根についてでございます。先ほど言いました南側の正面のほうに一部2階建ての部分がございます。それの上の屋根というふうに解釈していただけたらと思います。
図面の詳細図を見ていただきますと、ここに本屋の建物と2階建ての屋根のところには、水を外に流すというよりは、内側に内どいをつけて水を集積しているという設計でございます。幅的には、といの幅というのは35センチぐらいございます。決して小さくないように思われますが、実は先ほど話もちょっといたしましたが、屋根だけの面積の雨水であれば、決して少ないこともないかもしれないのですが、図面でもわかりますように、この北面に対しては高い4層ぐらいの壁がずっとつながっております。まして、斜めの屋根もついております。そうすると、そこに受けた水もここへ一度にこの幅の部分だけは流れてくるということで、もともとこのとい自体の許容が少ないのではないかということが考えられます。そのことによって、ここをオーバーフローした水は、図面に丸印で書いておりますが、屋根面との接点のところ、要するに屋根材との間のところを通じて2階の展示室のほうへどんどん入っていくということでございます。そのことの事実もわかりますし、先ほど言いますように、また壁面そのものが内部に入っておりますので、そこからまた展示室内部のほうにも入っていくという、両方から漏水しているという状態の現実でございます。
そのことが写真のほうでも少し出ておりますが、谷どいそのものは漏水箇所はないのではないかというふうに思いましたが、先ほど言いましたように許容をオーバーをして、写真2にもありますように、もちろん屋根からのもの、外壁からのものの量に耐え切れないということでオーバーフローする危険があるというか、オーバーフローしていたというふうに思います。写真3のほうは、落ち葉とかごみとかが詰まりますので、金網をつけて、逆にごみが詰まらないようにしておられるのですが、このことが長年チェックが入らないことによって、かえってオーバーフローを助長しているというようなことになっております。
本来こういうオーバーフローをする場合は、オーバーフローして屋根面に行くまでに、途中にオーバーフロー用の排水のパイプを設けて外へ流してしまうと。そうすれば内部までには至らないということがありますが、これがついていなかったということも、建物内部への漏水を助長してしまったというようなところではないかというふうに思います。
続きまして、展示ホール屋根、先ほどのところでございます。これの屋根の水上に当たります笠木であるとか、その縦側に当たります笠木の斜め下に向かっていく笠木とかという部分の調査でございます。
これは、そんなに切れているというところでもなかったのですが、写真2と書いてある左側の上ですね、ここにどこの外壁部にもついておりますが水切りがついております。飾りだと思います。飾りと言ったらおかしいでしょうか、飾りというか、ついております。ここが、またシーリングでとめてある関係上、ここにたまった水が中に漏水させているというようなことが出てきております。特に展示ホールの南側正面には、意匠上の配慮だと思いますが石張りとなっておりますけれども、この石張りの目地もやはりシーリングになっているということで、決して石張りが悪いとかシーリングがどうということではないのですが、その裏側の漏水のための二次的な処置がしていないために、シーリングが切れたときに、そのまま中のほうへストレートに入っていくようなことになっているというふうに現地で確認させていただきました。
次のページですが、今12カ所について一応結果ということで説明させていただきました。これをさらに第3章、考察ということで、3つとその他ということで、4つについて材料的なもので分けさせていただいて考察をさせていただいております。
141ページと書いてございますが、ここの件についてでございます。本件の物件は、本当に各所で漏水が発生をしております。調査委員会でも調査、原因を特定するということは多分に大変ではございましたけれども、原因の多くはいろいろありますが、最終的にはやはり外壁材料の目地シーリングの劣化が、最後には切れて劣化したということが漏水の大きな原因ではあります。ただし、これは材料の種類とか仕様ばかりということではなくて、建物の形状とか原設計の納まりの状態についての原因も由来しているのではないかと、原因が符合しているというふうに委員会では考えました。
そのことにつきまして、材料的な部分で部分的な考察を述べております。
3の1には、押し出しセメント成形板による仕上げ部分ということで載せております。
本建物は、先ほど説明しましたように、南側の外壁及び斜め屋根の部分、これが基本的には押し出し成形板の仕上げによって採用されております。この押し出し成形板というのは、内部は中空部を持っておりまして、表面には塗装仕上げが施されております。その上には、トップにはクリアという雨水防水にきくような内容なものも吹いてはありましたが、元施工者の方に聞きましたら、現場塗装したということではなくて、工場塗装したものをそのまま現場のほうへ持ち込んで、いわゆるそれを施工したというようなヒアリングもありました。現場での切り張りもあったのではないかということで、そのあたりの部分も少し漏水の原因にもなったのではないかというようなことも部分的ではありますが感じましたし、この表面に吹いてあるトップも含めて、肌分かれもしている状態にありまして、調べましたこの時点で竣工から14年ということもあります。それからシーリングの打ち直しは大体5年が経過していたということもあります。
それと形状や納まりということもありますが、この材料について感じたことは、14年たっておりますので、材料の表面の防水性についてはやはり劣化をしているということももちろんあります。ただ、シーリングの打ち直しが大体補修履歴から見ますと4年から5年でございます。実は4年から5年でシーリングが自然劣化というのは非常に考えにくいというふうにもちろん思います。幾ら何でも4~5年ではということを思います。そういうことでもあっても、やはりシーリングが切れているということで、材料そのものにということもあったかもしれませんが、我々としては、やはり構造が鉄骨造であるということ、それから形状が物すごく複雑であるということ、それで、そういった建物のシーリングが建物の挙動に追随できなかったということが大きな原因になっているのではないかというふうに考えております。
あと、押し出し成形板で仕上げられている面での漏水でですが、成形板の上端と下端の目地からの浸入というものも多く見られております。先ほど説明したとおりでございますけれども、材料を切って、その間の部分というのを、切っただけの状況の部分もありましたので、そこで漏水していくということは考えられますし、先ほど来言っております笠木とか外壁の角度が変わる斜め材の取り合いの部分というのも、どうしても施工上、納まり上も難しいですが、無理もされていたのではないかということで、そういったところが特に大きな漏水の原因箇所にもなっているというふうに考えました。
あと、再度になりますが、アルミパネルであるとか、サッシであるとか、三角の光塔とか、異質の材料の取り合いであるということが非常に施工性も難しくしたのではないかということ。それを、また多くをシーリングに頼ったということももちろんではございますけれども大きな原因になったというふうに思っております。
あと、幾ら外壁材といっても、垂直面に対してはシーリングが多少のことがあっても、やはりあんなに多くの漏水というのは考えにくいのではないかと思うのですけれども、そういう外壁に使っておられる材料を屋根面として使われたような状況、もともとの防水機能にもやはり乏しかったのではないかというようなことも考えております。屋根としての扱いではなかったのではないかというとも考えました。
142ページの下でございますが、3の2です。アルミパネルによる仕上げ部分ということであります。
これは、簡単に言いますと、右側に図をかいておりますが、アルミパネルコーナーというのは、どうしても角を切りまして曲げていきます。そうすると、切ったところの、曲げたところの頂部ですね、これがやはりどうしても穴があくというか、穴があきやすくなります。そういったところの裏処理とかもしていなかったように調査では思いました。そのことによって、そういったところのピンポイントに近いような部分ではありますでしょうけれども、そういったところから漏水をしていったというふうに考えます。普通であれば、水がこのあたりのところを逆流していくようなことというのはなかなか考えにくいのですが、ああいった埠頭であるとか、北面の風の強いところとかでは、降った雨が上から下に流れるということではなくて、とまってしまってプール状になっていくということは非常によく言われることですけれども、そのプール状になったところに穴のあいたものをつけておくと、どうしても水が漏っていくような、そういう現象までもあったのではないかというふうに調査の中では感じました。
3の3、ガラスサッシによる仕上げ部分というところです。
先ほど来言っています本物件はランドマーク的要素ということで、三角塔屋根、光屋根とか涙目の光塔、そういったものが南面と北側面にたくさん配置されております。外観からはサッシというふうに私どもも先ほどから言っております。例えば連続してあるとカーテンウオールというふうによく言いますけれども、これは私どもが調べましたところでは、実際にはカーテンウオールではないというふうに解釈しております。構造体は鉄骨ですが、鉄骨から下地の鉄骨をそのまま持ち出して、ガラスを受けとめるためのコの字型の形鋼を溶接して、ガラス押さえとしてアルミ製の押し出し部材とかでとめてあるという、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、いわゆる外部シーリングで頼っているものということですので、本来、こういった形のサッシというのは、普通は内部で用いられる形式だと思っていただけたらいいのではないかと思います。外部に絶対使わないということではありませんが、それなりの処理がしてあれば、それなりに使っていいのではないかと思いますが、今使われている多くの外のガラス面のサッシに見えるところです。我々としては、これは外部納まりのサッシではないというふうに感じました。そのことが結果的にはシールの破断とか剥離によって漏水を招いたというふうに思っております。
では、いわゆる普通のサッシやカーテンウオールはどうなっているのかといいますと、普通には結露もありますし、ある程度の水も中には入っていくという解釈があって、そういったものをもう一つ内側のほうでそれを処理して下に流していくという、そういった機能が普通は設けられております。そのことによって、多少の漏水がサッシ面から入っていっても下に流していくという、この二重の構造というか、そういったものが本来であればしてあるはずであったのだろうと思うのですが、これができていなかったというふうに解釈しております。
次のその他というところで、4項目ぐらいにわたってちょっと書いております。
2階のエンジンドアに関する部分ということで1番に書いておりますが、先ほど説明いたしましたとおりですのでこれは省かせていただいて、いわゆるシーリングももちろんですが、屋根面の面積とか水の雨水の想定が少し甘くて、それに見合うだけの許容ができていなかったということを再度書かせていただいております。
2番目の涙目の下の部分の小屋根に関する部分というのも先ほどちょっと言いましたが、いろいろな材料、アルミ笠木、ステンレス排水受けパンとか、石とか、いろんな材料のものの取り合いが多くて、納まり上も大変であったということと、少し無理をされているなというところもあります。それからしつこいようですが、それらをシーリングに頼ったということ。それから、オーバーフローしていることがそれをさらに助長したというようなところだと思います。
その下の3番目ですが、三角の光塔の上部排煙ハッチに関しても先ほど述べさせていただいたとおりでございます。3カ所に排煙ハッチがありますので、ここの部分の納まりもですけれども、オーバーフローしていったものがどうしても入っていくような形になっているということがあります。
共通して言えることですが、ここにもありましたように、もう少し取り合いの部分の立ち上がりですね、水の返しの立ち上がりが多くとってあれば、ここまでの漏水はなかったのではないかということも考えております。
その下にちょっと書いておりますが、こういったどうしても開閉をしていったりというようなことがあるような部分については、やはりメンテナンス用に何とか対応されていれば、まだ、その都度あいたときでも押さえていくとかできたのではないかと思いますが、本設計の中には、いわゆるメンテナンス用のタラップなどとか、そういった点検をするものもついておりません。ですから、足場をかけてあそこまで上がられるということはなかなか大変であっただろうし、そういう意味では、メンテナンスになかなか配慮もできていなかったのではないかというふうに我々は書かせていただきました。
4番目に、屋根に関する部分ということで、東側の円筒状の屋根は、先ほど言いました排水能力等に余裕がないということで、オーバーフロー等でそれが漏水の大きな原因になっていますということです。
三角光塔の笠木、それから展示ホールの屋根と書いておりますが、こういったものも同じ条件で、同じような内容ということで、オーバーフローに対する処理もなかなかできていなかったというようなことを述べさせていただきました。
先ほどの写真の中には上げておりませんでしたが、一般のところの屋上ということで、一番上の4階の上の屋根の部分ですが、ここに平台部分の屋上がございます。写真はちょっと載せておりませんでしたが、これは平成13年にFRP防水ということで、以前のアスファルト防水の上に一度補修をされておられます。そこの部分からの漏水ははっきりというところはございませんでしたが、ところが立ち上がりの部分にFRP防水の部分の補修ができていなかったために、立ち上がりの部分を足で押さえますとぶよぶよの状態で水がたまっております。逆にそれがたまっているということは下に流れていないので、漏っているといえば漏っているのかもしれませんが、補修をしていく上では、上からの漏水をとめることもですし、このままでほうっておきますと、せっかくされた補修の防水の間にも水が入っていくということで、ここも改修をしていくべきではないかというふうに委員会のほうではまとめております。
その下に3.5で、第3章のまとめということで、またまたしつこいようですが、ここに書いておりますので読ませていただきたいと思います。
今までの調査結果の解説と漏水の原因について考察いたしました。本物件の各所で漏水を起こしていますが、原因はシーリングに頼った設計によるものがほとんどであった。問題は、シーリング材料の経年変化のほかに、主体構造体が鉄骨で、仕上げにアルミなどの熱膨張率の大きい材料が多用されていることから、通年の膨張、収縮が大きく、シーリングにとって過酷な条件となっていることである。また、建物の形状が複雑で、異種材料の取り合いが多く、さらに埠頭に面する立地から風も強く、外壁に吹きつけた雨は、強風時には外壁を駆け上がる動きすらします。このようなことをかんがみると、材料の取り合いや納まりについて、原設計時点でももっと配慮されなければならなかったが、現時点の状況から見ると十分ではなかったと考えられます。
押し出しセメント成形板による斜め部分は、防水機能がなく、屋根下地としての機能しか有しておらず、アルミパネルで構成された外壁も、吹きつける雨と流れをとめるステンレス見切りによって水は内部内部へと誘導しているとしか言えません。また、ガラスの納まりも外装用の納まりとはなっておりません。
これらのことから、原因は単純ではありますが、本物件の外壁(押し出しセメント成形板、アルミパネル、ガラス)面のどこからも漏水することができる状況にあると言えるということを結論として報告書にまとめた次第でございます。
きょうは、そのことを説明させていただいたということです。ありがとうございました。
◎藤縄委員長
ありがとうございました。
それでは、皆さんのほうで。
○藤井委員
シーリング材の劣化だけではなくて、漏水に対しては全く無防備な建物だったという感じを今の説明で受けるわけですけれども、本来こういう建物をつくるときに工程会議なるものが開かれていくわけですが、私程度の常識からしてもその段階でチェックできることが多々あったかに思えるのですけれども、それが十分に機能しなかった理由というのは何か考えられるのでしょうか。総体的には、これはやはり設計ミスということだろうと思いますけれども、今言ったような意味で、施工上で対応できないほどの設計上の問題ということで結論づけるものなのでしょうか。
◎藤縄委員長
清水参考人、お答えできる範囲で結構ですので。
●清水参考人
元施工さんのヒアリング調査もさせていただきました。ただ、現場担当の方ではございませんでしたので、何ともはっきり把握したわけではございませんけれども、まず、この建物自体がランドマーク的なシンボル的な建物ということで、そういう設計を意図にされた設計事務所の設計であったということで、そこをやはり多分経緯的には尊重されて施工されたのではないかというふうに思いました。とはいっても、当時の設計の方、監理の方、施工者の方は、やはり施工に当たる前に十分なある程度の検討はされたものと思われます。打ち合わせ議事録を全部見たわけではございませんけれども、施工図なども上がっておりましたので当然のことであると思いますが、私どもが今調査して結果を報告させていただいたとおり、それでもやはり少し配慮が足らなかったのではないかというふうに思います。すべてが考えにくいようなことであるというような判断ではないのですが、もう少し配慮があってもいいのではなかったかということと、我々も設計する立場としてあれですが、やはり1次側のシーリングだけに頼って漏水をとめるということは普通は余りしない場合も多いです。2次側的にももう少し配慮するとかということが非常に多いわけですけれども、そういう意味は、やはり設計もでしょうし、施工に関しても配慮が十分ではなかったのではないかというふうに個人的には思います。
○稲田委員
稲田寿久でございます。お久しぶりでございました。
何点かお聞きをしたいと思いますが、まず、清水さんからお話を伺って思ったことは、私たちは今まで執行部からずっと話を伺ってきておりまして、これは既に時効にかかっておることですから問題にすることではないのですが、当初は瑕疵担保のことを私が一番最初に考えたのですね。ところが今ずっと聞いておって、これは瑕疵担保というような生易しいものではなくて、不完全履行、債務不履行の問題だろうと思うようになりました。多岐にわたる非常に問題点の多い欠陥工事なのです。したがって、本来からいえば、瑕疵担保でしたら3年時効なのですが、不完全履行、債務不履行に基づく損害賠償の請求ということになりますと、これは請求権ですから10年時効になるわけです。そういったものでありながら、執行部がそれになぜ気づかなかったのだろう、もうちょっと方策があったのではないかということを今思った次第です。この前ちょっと端緒だけは執行部には話したのですけれども、もう一回執行部を呼んで、そこのところは聞きただしたいという気持ちを清水さんの話から感じたようなことです。
そこで、そういったようなことを踏まえながらお話ししますと、この建物が建ってから10数年たつわけですが、今清水さんがお話しになったようなことを執行部は今までの流れの中でどの程度の認識があったのか――清水さんがその当時建設のそういう調査にかかわってはおられないかもしれませんから、何とも申し上げようがないとおっしゃるかもわかりませんが、その辺はどうなのかなということを思いました。
今回の聞き取りの中でも、専門家の建築士のお話を執行部がどういうような受けとめ方をしておるのかなということも一つ疑問に思ったようなことです。話はジョイントだとか、接合部だとか、水切りだとか、取り合いの部分だとか、膜板の部分だとかという、そういう非常に複雑な、普通の民家にでもありがちな場所が、やはり……。
◎藤縄委員長
稲田委員、済みません。御感想は、いろんな思いはよく理解します。
○稲田委員
そうですか、わかりました。それでは、2点だけまとめて。
◎藤縄委員長
清水参考人に私が伺った中で、足りない部分があればということで。
○稲田委員
わかりました、失礼しました。
そうすると、いわゆる外装材のメンテナンス改修計画なるものをもとの設計の方が出しておられるのですが、この中に洗浄という言葉が出てくるのです、洗浄しなさいと。その洗浄をすれば、さき方から話が出ておりましたシーリングの自然劣化というものに多少歯どめがかかるのではないかということを思うのですが、その辺の関係を御専門の立場からちょっとお聞かせいただきたいと思います。
やはり改修計画の中に、何か非常に文学的な表現が出ておる文章がずっと書いてあって、その中に不確実性というような言葉も出てまいります。非常に科学的かつ合理的に行わなければならない建築というものの中に、そういった不確実性であるとか情緒的な言葉がたくさん出てくるのですが、その辺はこういう工法というのはあり得るものなのかどうか、その辺を御専門の立場からお聞きしたいと思います。
◎藤縄委員長
清水参考人、答えられる範囲で結構です。
●清水参考人
1番目のメンテナンスに関する洗浄に関してですが、これは通常はメンテナンス事項を書かせていただくときに、やはり外装面に関して、外装というか外部に関する洗浄という言葉はよく書かせていただきます。それはシーリングにとっても、いろんなものにとっても外からのものの不純物がまざるとか、影響されるようなものが、特に塩害などの場合はよく書かせていただきますが、やはり落としておくということは大事なことだと思いますので、そういう意味合いが多分元設計の方のメンテナンス事項にあったのではないかというふうには考えます。それ以上の真意はちょっとわかりませんが、でも非常に大事なことであるというふうに思います。ただ、そのことによって、すべてがメンテナンスできるということではないというふうに、前段階としてやはり必要な事項だというふうに私も思います。
不確実性についてということですが、これは私どもも設計をさせていただく上で十分に配慮しながらいろんなことではやりますが、予測できないということの部分に関しては、やはり不確実性ということはあり得ることであると思います。でも、ゼロにはなりませんが、やはり想像し得る、予測できるものはできるだけ配慮していくというのは、設計する者も施工する側も皆同じ気持ちで向かっておられると思いますし、この建物がどうであったかというのは私もちょっとわかりませんが、私の個人的な意見であれば、ゼロではありませんし、やはりそういうものはあり得ることであると思います。
○稲田委員
今まで清水さんが御経験になった中で、長い建築士生活の中で、こんなような建物というのに出会われたことはあるのでしょうか。
◎藤縄委員長
稲田委員、あらかじめお知らせしておいたとおり、質問させていただく項目はお届けさせていただいておりますので、それを超えるものについては、きょうは参考人さんのほうにはお伝えしておりませんので。お気持ちは重々わかりますけれども、御了解いただきたいと思います。
○稲田委員
わかりました。
○興治委員
きょうはどうもありがとうございます。
先ほど言われた中で理解はしているつもりなのですけれども、これはシーリングの劣化だけが原因ではないのだと、要するに設計上の問題が多々ありますよということだと思うのですけれども、県のほうの資料によりますと、平成13年と平成17年に大規模修繕をやっているのです。平成17年に大規模修繕をやってからは、今回の緊急修繕がそれに匹敵するような修繕になるかと思うのですけれども、6年ほどたってしまっているのですが、シーリングについては3年から5年で取りかえなさいという話は聞いているのですけれども、仮に3年でシーリングを全部取りかえをしたというようなことにしても雨漏りは抑えられない、多少のものはやはりあるというようなものなのでしょうか。
●清水参考人
先ほどの説明の中にもありましたとおり、現調査の中では、補修履歴から見てシーリングで4年ぐらいたったところに関しても切れていたというところがありますので、本来シーリングだけの劣化だけであれば、3年、4年というようなことはないような気はいたします。ですから、いろんな要件や条件があって、いろんな複雑な揺れとか、それから熱膨張率を含めて、材料の性質だけでは持ちこたえられなかったということもあったのではないかというふうには私は考えます。お答えになったでしょうか。
○興治委員
わかりました。
◎藤縄委員長
次に玉井参考人から、現在の設計・工法の選定が最善なものかどうかについて御意見をお聞かせいただければと思います。
委員の皆さん、ホワイトボードを用意しておりますので、先生が使われるかもしれませんので御了解をください。
それではよろしくお願いいたします。
●玉井参考人
まず、この委員会が立ち上がったときに、私が最初に県のほうへ質問したのが、みなとさかい交流館はランドマークとして残していくのですかというのが最初の出発点です。
報告書の全文は皆さんのお手元には多分ないと思いますけれども、その序文、委員会の設立趣旨のところに、これは先ほど委員からも質問があったとおり、2回の大規模修繕が入っています。けれども雨漏りはとまらない。その補修内容とかをかんがみると、やはりランドマークとしての性質とか建物の地域への重みというのを考える余り、抜本的なところまで手をつけ切れていないというところがあって、それで最初にこの委員会を運営する前にその話をしました。
県のほうからは、今回は抜本的にやりたいので、改善手法を考える上で、基本的には今の形を残すことありきではありませんと。なので、委員会を運営していく上で、改善手法を考える上では、意匠にこだわらずにやってくださいという話があってこの委員会の運営を最初に進めました。
今回、設計図等々をいただきまして、当初にこちらのほうから提示した改善案のとおりには必ずしもなっていません。ただ、私たちが目指したのは、やはり先ほどのとおりシーリングに頼らないというか、小手先に頼らずに、材料と材料がきちんと設計の中で水が流れていく、それをやはり基本に考えていく上で、実施設計の中で新しい材料だとか、現実的な材料を見つけ出されてきていて改修されていますので、基本的には私たちが考えた内容と方向性としては変わっていないというふうに考えています。
特に、清水のほうも話をしましたけれども、まず、駅側から見える南側については、斜めの屋根ですね。ちょっと立ち上がって失礼します。図面が見られれば一番いいのですけれども、先ほど言ったとおり、押し出し成形板というふうなものは上端、下端、真っすぐ切られています。これは製品上そんなものなのです。現場でこんなふうに加工したというわけではなく、売られているものはこういう形なので、斜めの屋根のところにこの2つの材料がこういうふうにくっついています。裏側に何もない中に、今ここにシーリングがされていて、一時的にも水をとめましょうと。
皆さん御存じのように、シーリングは今の品確法の関係でも頑張って10年はもってくださいと言っているわけですけれども、現実はやはり7年から8年ぐらいで一定の更新というか、修繕をしてくださいというのが持ち主側に課せられたことですけれども、言ってみたら、ここはある一定時間たったらなくなりますと言っているわけです。こういうふうになっているわけです。なので、当然ながら、ここから水が入りますと。普通の建物だと、ここから水が入れば、ここに水が落ちて、ここにバケツを据えて、ああ雨漏りしたなというので終わりなのですけれども、この建物を難しくしているのは、まず一つは、この裏側を水が回って、回って、回って下の階まで落ちるというのが一つ。だから、その場で落ちるのもあれば回っていくのもあります。もう一つそれを助長しているのが、この中にある中空の穴ですね。ここから入ったものが中空の中に入れば、この穴の中をトンネルのように伝わっていって、どんどんどんどん中に入っていって、もうどこへ出てくるかわからないと。なので、一般的な雨漏りの調査の場合は、例えばこの天井から漏れましたといえば、ここをはぐって、ここの上を直せばいいという話なのですけれども、この建物の場合は、漏れた場所がどこであっても、実は物すごい上のほうかもしれないというような特殊な物件です。これは南側の話です。
もう一つ、北側の話も同じように、パネルの縁がこう曲がっています。パネルの縁がこうやって曲がって、ここをビスで下にとめています。こちらから風が吹きつけると、水がこう入ってきて、ここから入っていくと。これはどこで入ってもどんどんどんどん下へ流れていって、どこかで漏ってくると。だから3階が漏れたから3階が悪いというわけではなくて、2階が漏れたからといって2階が悪いというわけでもない、もうどこで入ったかわからない。同じようなつくり方が北側すべてで施工されているというのが現状なので、ここが悪いのでここを直したらいいですねというふうにして直らないというのが実はこの建物の難しいところです。
今回、改善手法を見せていただいたときに、私の報告書の中でもそうでしたけれども、まず南側のこの斜めですけれども、これは屋根ではありませんと書いています、屋根下地ですと。本来はこの上に屋根を張るべきようなところで、これにはある意味穴があいているわけですから、ゴムみたいなので埋めても漏れるのだから、これは屋根になっていませんと。だから、改善手法の中では屋根をかけてくださいと。
だから、方法としてはいろんな方法があります。例えば貧相にといいますか、例えば自転車置き場みたいな斜めの折板をかけるのもありでしょうと。今回、平設計さんのほうが実施設計されて提案されているガルバリウム鋼板を張るのもありでしょう。例えばアルミを張るのもありでしょう。それは屋根としてつくってくださいと。この趣旨に沿っていれば改善提案としては十分満たしているのだろうと思っています。
ただ、難しいところが、一断面だったらこうですね。上から見たときに困るのが、ここに三角屋根の三角塔がありました。ここの隅っこからもやはり入ってしまうのです。それで、当初、実は私どもはこの三角塔を取ってしまいましょうと、ここから入るのだったら危ないよねと。ただ、ここも問題だよねという話は、実は実施設計ができる前に打ち合わせをさせていただいたときに激論がありまして、どうやったら水が横から入らないかという話をするのにちょっと大変だったのですけれども、平設計さんはこれを英断されたのだと思います。ここも壁材、屋根材と同じものでふさいでしまおうと。そうすることによって、水が下から入るところがなくなってくるのですね。ここまで真っすぐ来たときに、横が受けてしまったら必ず外へ流れていくようにつくれますので、どちらかというと僕らは目からうろこのような、もう三角塔を取ってしまえというふうなのはそのまま方針としては残っていて、ただ形は残すのだけれども、周りを囲ってしまって、そこから絶対水を漏らさないのだと、中に入れないと。流れてきたものは必ず屋根で受けてしまって、谷のところはきちんとした水切りで補修をしてしまいましょうと。水がこの中に入らないようにしましょうということで設計をされているというのは、僕らもここまでさすがにこの委員会の中では提案できていなかったのですけれども、すばらしいと思いました。
今度は北側のアルミパネルで構成されているところなのですけれども、これは真っすぐのところを先ほどかきましたけれども、実際は地面がこうあって、ちょっと極端にかきます、丸く半円、そして真っすぐこうなっていると、こんな建物なのですね。雨が降ると、ここへ垂れたのが駆け上がるというこんな現象をしています。滞留して中に入る。もう一つは、既に上のほうで中に入った水は、この外壁をこう伝って1階の待合室のところへ出てきてしまうと、こんなふうになっています。当初ここも屋根材を全部張ってしまって、このアールを残そうかという話もありました。委員会の中では、外からとめるということは外壁を全部かえないと多分無理だろうというふうな提案を一つしてあります。もし外壁がかわらないのだったら、中にはちょっと水を呼び込むかもしれないけれども、排水するところをつくりましょうというふうな提案を委員会のほうでしていました。ただ、今回、見てみると、ここのアール、これも私たちが事前に話をしたときに、この張る屋根材がよくなくて、これはだめだよという話をしていて、そんなのだったら、それこそお金の話になりますけれども、コストがアップするかもしれないけれども、この丸くなったところが悪いのだったら、もうやめてしまったらどうだと。ここを真っすぐにしてしまったら、外を流れるのも外を流れる。もし中に入ったとしても、この下から出てくるのは普通と一緒と。今回は屋根材みたいな形を使われているので、多分外からの入り込みはほとんどないと思いますけれども、そういう意味では、ここの大きな空間をやめてしまって外に外壁をつくる、なおかつ、今までは伝ってきた水が必ず出てくる1階部分の事務所として使われている部分ですね、これについてもこういうことにすることで改善されるということで、非常にいい案になっていると思います。大きな変更点はここの部分なので、あとは質問の時間に当てたいと思います。
◎藤縄委員長
ありがとうございました。
私から1点お願いしたいと思いますけれども、上のほうに複雑な構造部分がありますね。これを取り除くとかといった単純な構造のことはどういったお話がありましたか。
●玉井参考人
円形の部分、それから涙目の部分、それと三角形の部分、3つの突出部分があります。実は鉄骨造で鉄骨で主な骨組みはつくってありますので、場所によっては切れないことはないということで、床、はりがつながっている上で切断すれば、それは多分いけるだろうということで委員会の中では一応決めておったのですけれども、実際に実地調査、再度、詳細なことを見てみると、実はその手前にいろんなものがつながっているとか、下のほうの仕上げ材を上のほうの構造部材がつっている形でつながっているとかということもあって、なかなか切断するのは難しいというふうなことは後から聞きました。
◎藤縄委員長
はい、わかりました。
それでは、皆さんのほうから。
○藤井委員
構造上のことを冒頭ぴしゃんと言われました。ランドマークとしての価値は必要ないという方針で貫かれたわけですから。ただし、先生の気持ち中には、それを冒頭言われるということは、ランドマークとしての機能を残したいという、価値を残したいという気持ちがあったのかなと想像をしたのです。
実は、先日私も現地に行って見ていまして、確かに奇妙な建物だという意見の方もありますけれども、ランドマークとしての価値というのは相当あるなという印象を持ちましたし、同時にあれは鬼太郎ロードの起点になっているのです。ラッピング列車が建物から出てくるわけです。ある意味では非常に大切な建物なのではないかというふうに思いつつ帰ってきたのですけれども、こういう形になって、そして先生自身はそういった価値が幾らか残っているというふうに考えられるでしょうか。
●玉井参考人
まず、最初のランドマークとしての価値ですね。私がやはり聞いたのは、これは新築時もよくある話なのですけれども、デザイン性の強い建物の場合は、設計者の方がやはりデザインをすごく主張されます。先ほどの水切りにしても、例えばこの部分に内側にといがあるとか、外側に何かがあるとか、それから三角の屋根の上の排水にしても、普通であれば外側にといが出ていていいはずですね。けれども、デザインにこだわっていますので、全部それを内側に引き込んでいっている。そういうような建物の場合、水切りが出るとか、目地の大きさが変わるとかいうことについて、設計者の方が変えてくれるなと非常に保持される場合のほうが多いですね。多分そういう形ででき上がってきた建物ではないかと僕は思っています。
そういうふうな形で、ランドマークとして今まであったわけです。それをこの委員会の中では、冒頭に言ったとおり、それを残してくると多分雨漏りはとまらないかもしれないと思ったのです。それで県のほうに僕が聞いたのは、ランドマークとして残したいですかという言葉を言いつつも、本当に抜本的に直すつもりがありますかという趣旨のほうが僕としてはちょっと強かったです。それで、そうではないと、今回は直したいという話だったので、それで三角塔を切ってもいいのではないかという話まで出たのも現実ですね。
もう一つは何でしたか。
○藤井委員
それで答弁になっていると思います。要するに、鬼太郎ロードとの関係からいって、これがつくられたときには鬼太郎ロードはなかったわけです。だけれども、今はそれとかなりマッチしている部分が逆にあるので、これによって価値というか、要素が残っているのかなということをお聞きしたのです。
●玉井参考人
今の設計では、材料だとかは指定されているのですけれども、色とかの指定はまだきちんと終わっていないと思いました。実際は、例えばシルバーではなくて黒っぽい色なのか、またシルバーなのか、それから斜めの屋根の部分と真っすぐな部分の色を変えるとか、多分そういうところで、もう一度、新たにランドマークとして使えるような形になるのではないかなと。それはまた今後決められる設計者の技量だとか、そういうところと相談されるといいと思います。
○興治委員
ガルバリウム鋼板を今回選定されているのですけれども、この材料は、費用対効果も含めて最高の材料であるのかどうかという点と、前の委員会でちょっと話が出たのですけれども、とりあえずシーリングを交換して、その上にガルバリウム鋼板で覆うという考え方だと思うのですけれども、二重にする必要があるのだろうかという話がありました。だからシーリングも交換する必要があるのだろうかというところなのですけれども、その2点をお願いします。
●玉井参考人
まず、ガルバリウムが最適かという話です。どこを最適かというのは非常に難しいのできちんとした明言をできるだけ避けたいと思いますけれども、ただ、今回は特にガルバリウムという面よりは、屋根材をきちんと使ってくれたというところのほうが僕らとしては非常に重いと思います。特に屋根材と屋根材のつなぎ合わせの部分に、中に入っても溝から水が流れるように、それからそれが入らないようにキャップがある。その下には、実は溝からまた水が漏れても受けられるだけのゴムシートが入っていたりとか、当然海にも近いこともありますし、民間の建物でもないので、雨漏りがしたらすぐ改装しましょうというわけにもいかないので、例えば屋根としてみるとちょっと穴があいたよといった段階でも、裏のほうのシールが、特に紫外線が当たっていなければ劣化が随分遅いはずなので、そこでもう一度とめてくれるかもしれないということもあって、今回、裏側のシールのやりかえというのは、長い目で見て、すぐに大きな予算がつきにくい建物としてみるといい方法だと思っていますけれども。
○国岡委員
先ほどから話がありましたけれども、排水ですね、これで屋根材を使って中に入らないように外部へ流す。ただし、もとの設計は排水というのは中にありますし、オーバーフローという話がありましたけれども、その辺の点については、今回設計されている中での考え方というのはどういうことになっているのか教えていただけますか。
●玉井参考人
オーバーフローのほうは、特に先ほど清水のほうから話があったのは、今展示ホールとして使っている部分の谷どいの部分ですね、あそこは、たしかこの中でもオーバーフロー管をわきにつけると。余りに大きな雨が降った場合は、外にいる人も当然傘を差しているわけでしょうし、そこのから谷からざっと水がこぼれるようにしましょうということにはなっておりました。それと、そのほか、既存の屋根の部分で内側に入っているという部分については、このままになっておりました。それから、展望台のところについては処理をするという話を聞いておりますけれども。
◎藤縄委員長
参考人の方でつけ加えることがありましたら。(なし)
それでは、意見も尽きたようですので、質疑を終了いたします。
参考人は御退席いただいて結構ですので、どうぞ御退席ください。どうもありがとうございました。(参考人退席)
次に、その他ですが、委員の方から何かございますか。(なし)
参考人招致をさせていただいたということで、15日の常任委員会までにどのようにさせていただきましょうか。(「附帯意見だ」と呼ぶ者あり)
○興治委員
過去のことについて。(前田委員「過去はいけない」と呼ぶ)いわゆる県の対応というか。(前田委員「そんなことを言ってどうするのだ。今の予算をどうするかという話だ。それはまた別個で言ってください」と呼ぶ)
○藤井委員
これは反対するべきではないではないですか。
○前田委員
予算を認めるかどうかの話だ。
○藤井委員
県の説明よりも理路整然と非常によくわかった。(「わかりやすかった」、「よくわかった」と呼ぶ者あり)だから、附帯意見は、ここまでやったのですから、これについてはつけるという……。
◎藤縄委員長
ではその方向で。後ほどで結構ですので言っていただければ……。
○興治委員
最後に稲田委員が言われたように、債務不履行だとか瑕疵担保責任について県が過去きちんとした手続をしていないということについて触れるというのはおかしいですか。
○前田委員
なぜだ。今回徹底的に調査してようやくわかったのだ。そのときには調査していないのだから、上辺だけだ、対症療法しかしていなかったから瑕疵があるかないかということはわからなかった。だから、過去のことはいけない。今後二度と起こすなよだから。
○銀杏委員
漫画についてもそうなのですけれども、ここにきてやっとよくわかりましたけれども、これまできちんと執行部が説明できていないという、何でここまでこなければいけないのかという……。
○前田委員
だから、それは委員長が別途おしかりをすると。報告書は県に出ている。これを勉強していない。勉強していれば一回目からきちんと説明ができていたのだ。それを、漫画と一緒で5億幾らを一ページでやろうというのだから。だから、こちらが追及してばらばらばら資料を出してくる。このスタイルが悪い。(「いけない」と呼ぶ者あり)
◎藤縄委員長
附帯意見についてはもしもあればあらかじめ出していただいて、15日の採決までに委員会としてはよろしいですね。15日の当日を迎えれば。
○前田委員
それはいい。それで附帯意見を持ってこさせて調整してつければ。だけれども、しからないといけない。要はもっと説明しろと。採決のときに一言委員長から……。(興治委員「委員長がまとめて採決のときに言えばいい」と呼ぶ)採決の前に、常任委員会の委員長として一言申し上げると、漫画にしてもこれにしても。
◎藤縄委員長
皆さん、委員長になったつもりで案があったら届けていただければ。
○銀杏委員
きょう玉井教授がおっしゃっていた外装をどうするかという藤井委員の質問に対して、これからの設計者の技量のような話をされましたでしょう。ということは、これだけのお金をかけてやるのですから、きちんとした年数、しかもランドマークとして十分ふさわしいようにこれからするようにというようなことはだめなのですか。今後の活用ですから。(「いいではないですか」と呼ぶ者あり)
◎藤縄委員長
あした、あさって皆さんと調整させていただきますということでよろしゅうございますか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○前田委員
よく意味がわかった。だけれども、2回目くらいで説明しないといけない。要は、シーリングにすべて頼っていたのだ。
○稲田委員
あの図を素人が見ただけでもわかる。
○前田委員
押し出し成形などは家に使うものだ。その裏に普通はモルタル吹きつけをきちんとするのだ。それをそのまま使ったというのだから。だから、それを請け負っていた県も悪いのだ。完成検査しているのだから。
○興治委員
指摘するくらいしてもいいのではないか。
○前田委員
そんなことをしても何になるのか。(興治委員「これからの教訓にしてもらう」と呼ぶ)教訓はよくわかっている。(藤井委員「とにかく原案を見て、何か問題があれば」と呼ぶ)余りつついて、蛇を引っ張り出して、後始末に困らないように。否決するのだったら何でもやればいいけれども、認めるのだったら余り……。
◎藤縄委員長
それでは、以上をもちまして企画県土警察常任委員会を終了させていただきます。お疲れさまでした。
午後4時49分 閉会
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