1 調査日時・箇所・内容
- 平成24年4月27日(金)
- ○まなびタウンとうはく(琴浦町)
- 鳥取大学と琴浦町の共同研究等の概要について
- ○逢束観音寺く(琴浦町)
- 津波シミュレーション、文献箇所の現地確認
- ○備蓄倉庫(琴浦町)
- 災害備蓄品の状況
- ○境港市役所(境港市)
- 津波避難ビルの指定状況等について
- ○大港神社(境港市)
- 津波シミュレーション、文献箇所の現地確認
- ○NTT津波避難ビル(境港市)
- ビルの概況、屋上までの避難経路の確認
2 調査委員
- 斉木委員長、濵辺副委員長、鉄永委員、伊藤(美)委員、前田委員、内田(博)委員、興治委員、谷村委員、坂野委員
3 随行者
- 鳥取県議会事務局調査課 梅林係長、西村主事
4 調査報告
平成24年3月22日に開催された第4回津波対策検討委員会において、LPデータを用いた新たな浸水予測図が示された。震源は、
・新潟県の佐渡島北方沖プレート境界(マグニチュード8.16)
・鳥取沖東部断層(同7.30)
・鳥取沖西部断層(同7.05)
と想定し、堤防が地震で壊れた場合も含めて検討したもので、各市町村では、このデータをもとに更なる津波対策に乗り出しているところである。
今回は、県内でも先駆的に津波対策に取り組んできた琴浦町・境港市において聞き取り、現地調査を行った。
まなびタウンとうはくにおいて、琴浦町の取り組みを聴取。町では鳥取大学と共同で、沿岸部の避難経路上の45箇所に標高表示看板を作成・設置している。沿岸部に集落が多い同町にとって、これらは「○メートルの津波が来たとの情報に対しその場が安全か」の判断材料として大いに役立つものである。
避難ルートについても集落の意見を聞きながら見直しを進め、ハザードマップや避難マニュアルを全戸配布していく予定とのことである。産官学が連携し、実効性の高い津波対策が進められてることが窺えた。
また、文献で「1854年に大地震により観音寺の門前に波が打ちつけた」と記された逢束観音寺、保存食や水、毛布、簡易トイレ等を保管した備蓄倉庫に案内いただき、概要等について説明を受けた。
境港市では、津波発生時に市民等が緊急的に逃げ込む「津波避難ビル」の確保を進めており、4月27日現在で公共・民間施設あわせ68箇所が同ビルとして指定され、約8万4千人が収容できるという。同市役所で、その経過等を伺った。
協定に当たっては、どの所有者も快く協力いただき、5月にはさらに13箇所の一時避難所を確保するとのことである。現在の予測によれば、波高は最大3.23メートル、浸水面積5,453平方キロメートル。水木しげるロードへの観光客も多いことから、こうした避難ビルの指定拡大に積極的に取り組んでいることが窺えた。
今年度は、津波避難ビルの案内板や誘導標識の設置、地域防災計画の見直し及び津波対策編の新設、市民向け研修会及び避難訓練等を通じ、更なる津波対策の充実が図られていくという。6月には津波ハザードマップが全戸配布されるとのことである。
また、文献で「1833年、海岸線から約132mあまりのところまで海水が押し寄せ、大港神社の鳥居から境内まで海水が浸入した」とされている大港神社を視察し説明を受けた。
続いて、民間施設の避難ビルとして平成23年9月に同市で初指定されたNTT境港ビルも視察した。鉄筋コンクリート3階建て、高さ約15mの頑強な同ビルは、市民及び観光客等にとり、いざというときに心強い存在であろう。
上記が今回調査の内容・所感である。各委員から積極的な発言、質問があり、調査は大変充実・有意義な内容と実感している。こうした琴浦町、境港市の取り組みが他市町村に波及し、全県を挙げた津波対策、安全・安心のまちづくりが着実に進むことを期待したい。