午後4時08分 開会
◎浜田委員長
ただいまから福祉生活病院常任委員会を開会いたします。
本日の日程は、お手元の日程のとおりでありますので、この順序に従って議事を進めさせていただきます。
はじめに会議録署名委員を指名いたします。本日の会議録署名委員は小谷委員と市谷委員によろしくお願いいたします。
議題に入ります。
本日の議題は、とっとりの豊かで良質な地下水の持続的な利用に関する条例についてです。
本条例に関しましては、委員の皆様から、原案では調査が必要なさまざまな問題点があると御意見をいただいております。そこできょうは、幾つかの疑問点について執行部からお答えいただき、議論を進めさせていただきます。
なお、本日は会議時間がとても短いため、十分に議論が尽くせないときには、この条例に関してはしっかり勉強しなければという御意見がありましたので、後日、時間を設けることも視野に入れながら、進めたいと思います。
では、執行部の皆様につきましては、簡潔明瞭な説明をお願い申し上げます。
それでは、議題、とっとりの豊かで良質な地下水の持続的な利用に関する条例につきまして、広田水・大気環境課長の説明を求めます。
●広田水・大気環境課長
それでは、お手元の資料1ページをお開きいただきまして、先日の9月21日にも御提出した資料から説明させていただきます。
まず、特色のある都道府県の動きということで、平成23年3月時点でございますが、2ページに国土交通省が調査した地下水採取規制・保全等に関するその条例や要綱等の制定状況を示したものがございます。青印が都道府県とその管内の市区町村、それから緑が都道府県のみということで、都道府県レベルでは東日本のほうが多いという傾向は見られるところです。
鳥取県の場合については、鳥取市が一つ上がっておりますが、鳥取市は水道水源保護条例ということで、産廃処分場やゴルフ場などをつくるときに、水道水源を守りますよという条例の規定を取り上げられているものでございます。
3ページに地下水の採取規制を持つ都道府県条例の一覧ということで、北海道から熊本県までの24都道府県で定められております。それぞれの条例名の次に水源保全目的ということで、地盤沈下等の支障の防止のみならず、水の保全という規定が記載されているのが、丸がついている都道府県でございまして、委員の皆様にもその条例はお渡しさせていただいたところでございます。
規制の種類でございますが、10都道府県については許可制がとられ、右欄のほうに地域指定ということで、おおよその都道府県が地盤沈下等の支障が生じている区域の中での地下水の採取について、届け出なり許可などの手続を課しているのが、この整理でございます。
吐出口の断面積を数字で記載させていただいておりますが、6平方センチが結構多いです。後ほど説明いたしますが、工業用水法等の法律で規制されている一定の断面積が6平方センチでございまして、こちらを引用しておられる都道府県が多く見られるところでございます。静岡県が14平方センチということで、鳥取県の場合についてもこれと同様な値を採用しているところでございます。
後は、罰則等についていくらかの差はございますが、およそ命令違反なり届け出義務違反等に罰則が規定されているところでございます。
戻っていただきまして1ページですが、今申し上げたように、枯渇なり地盤沈下が一番多うございますが、そういった支障が生じている、また生じるおそれのある地域を指定して規制しているのが大部分の23都道府県で、設定当時というか、条例の制定された時点で、支障のおそれのない地域で定めたのが熊本県のみです。現在では、その熊本県もそういう水位の低下や亜硝酸性窒素、山側のほうで放牧などが実施されていて、ふん尿なども影響しているのではないかと。窒素などの関係で亜硝酸性窒素等の地下浸透などの課題もあって、ことし4月1日に一部改正が施行されて、この10月1日からは許可制も一部導入されたところです。
山梨県のほうは、私どもが参考にさせていただいたのですが、従来は要綱でそういう手続等を規定されていたところでございますが、この9月議会で条例制定するという動きも見られるところでございます。
4ページをお開きいただけますでしょうか。私ども鳥取県がかなり参考にさせていただいたのが、先ほど申し上げましたように、制定当時では特に問題が生じていなかった熊本県と塩水化が問題になって条例制定していた静岡県、それから地盤沈下等が発生して要綱等でそういった指導基準等を定めていた山梨県、この3県を多くの面で参考にして今の条例案を付議させていただいているところでございます。
少し各県の状況等の差異を説明させていただきますと、条例の特色としては、まず熊本県は、このたびの条例改正で公共水という位置づけをいたしました。それが一つ大きな点でございます。それともう一つは、制定当時では届け出のみでございましたが、地下水位の非常な低減も見られる重点地域については、許可制を導入することとしております。静岡県については、塩水化の防止ということで、採取量等の取水基準を設定している。山梨県については、要綱ということもあって、指定地域ごとに指導基準を設定しているところでございます。鳥取県は、そういう指定地域なり、顕在化した支障は見られませんので、県下一律に一定以上の採取者の届け出を義務づけようとするものでございます。
あとは、事業者、県、県民の責務について、関係者の責務を熊本県も明確にしているところでございますが、静岡県や山梨県には規定されていないものの、鳥取県でもそういった関係者の責務は明確にしたところでございます。
地下水の範囲についてですが、温泉法なり天然ガスの溶存する地下水、また河川水等の除外についてはいずれも一緒でございます。
採取の届け出や許可制をとったにしても、その内容等については、ほぼ同様な内容になっております。
さき方申し上げましたように、届け出対象が吐出口の断面積のところで若干違っておりまして、熊本県の場合は吐出口が6平方センチ、これは指定地域内であり、指定地域外だと50平方センチということで、結構大きな吐出口面積で届け出させております。先ほど言いましたように、静岡県は鳥取県と同様に14平方センチ超を対象としております。
採取量の報告については年1回の報告で、山梨県の場合はそういった規定はございません。あと罰則等については、若干違いはあれど、命令違反なり無届け、虚偽届けに対して刑事罰を規定しております。
地域の指定でございますが、さき方申し上げましたように、熊本県の場合は市町村の意見を聞いて、採取障害のあるまたはおそれのある地域を重点地域なり指定地域として指定していると。それから、静岡県の場合も、規制地域なり適正化地域を設定していると。山梨県の場合も同様ですが、鳥取県の場合は現時点で準備しておりますが、制限地域の指定は条例上の規定にはありますが、実際にはないということでございます。
もう一つとしましては、次のページの別紙4でございますが、地下水に関する自治体の条例制定状況ということで、熊本県はさき方説明したとおり許可制度を導入したところでございます。北海道、埼玉県、群馬県では、土地取引行為について、森林法の一部改正では実施されてから届け出するということですが、この1道2県については新たな事前届け出制を導入され、水源地の土地取引に関しての規定が設けられているところでございます。
それと、開いていただいて6ページですが、水源地保全に関する最近の話題ということで、北海道のニセコ町の記事を掲載させていただいておりますが、ニセコ町では、雪質がよいスキー場が外国人に人気があるということで、そちらの買い占めといった動きがあって条例制定がなされたところです。県内で一番最初に条例制定された日南町が、こちらのニセコ町の条例を参考に制定され、その後智頭町やそのほかの町村もこれらの条例を倣って県内5町が設定されているところでございます。
また、もう一つの別紙6ですが、神奈川県の秦野市において1970年ごろから湧き水がかれ始めたということで、早くから環境保全条例なりで対応されてきたところでございますが、2000年には地下水保全条例を定めて、井戸水のくみ上げを原則禁止して対応されてきたところでございます。最近ですが、その地下水の量と質の確保にようやく見通しが立って、持続可能な利用を考える余裕ができたということで、地下水を利用する企業からの協力金を徴収して、水源林の育成や雨水浸透升の設置費用などの水源涵養等の対策に充てて、水源水量の確保に努めてこられた事例でございます。
あと、市町村の状況です。
開いていただいて、別紙7でございますが、さき方少しニセコ町のお話をさせていただいたところですが、県内5町の状況の比較表がこちらです。
制定日は、さき方申し上げましたように、日南町が昨年12月で、ことしになってからは大山町、江府町、智頭町、日野町で制定されているところでございます。
責務規定については、町、町民等、事業者、三者に対して規定しているのが大山町で、あとの4町については採取者、あるいは町を含めたところの責務規定のみとなっております。
事業の適用除外でございますが、ごらんのように生活用水なり、国、地方公共団体のもの、それからまた江府町は、町の公共用のもののほか、町の活性化となるようなものについては対象から外しておられるところでございます。
周辺への事前説明会でございますが、これは大山町のみが規定されているところです。私ども鳥取県の場合については、市町村長に意見聴取という格好にさせていただいているところです。
事前影響調査と掘削の届け出等でございますが、事前影響調査等の規定は、大山町以外にはないところでございますが、中間的なところに許可基準で支障がないことという基準が定められているので、周辺に何らかの支障がないことを証する、そういった調査等は必要ではなかろうかと。そういう事前影響調査の実施という文言はございませんが、許可基準に適合しようとすればそういったことが必要かと考えられます。
あとは、申請等の要件でございます。吐出口ですが、さき方言いましたように、県の場合は
14平方センチ超ということで、大山町、日南町、日野町、智頭町は6平方センチ以上の場合は、許可制をとっておられます。また、吐出口が6平方センチ以下の場合は、届け出ということです。江府町は8平方センチという規定を設けておられます。
あと、許可基準は先ほど言ったとおりでございますし、影響調査として、大山町の場合に半径1キロメートル以内の井戸や水道水源を調査するという規定になっております。
あと、採水量の報告、水量測定器の義務づけもひっくるめてだと思いますが、大山町と鳥取県の場合は年1回の報告を義務づけておりますが、日南町、智頭町については毎月1回と日野町は3カ月ごとという、非常に短期での報告が義務づけられております。
そのほかは、制限地域の指定についてでございますが、許可申請がなされるところでは町全域が基本的でございますが、江府町の場合について、国立公園内と水道水源の半径250メートル以内は取水ができないと規定されているところでございます。
あと、最後の段になりますが、各町とも推進組織を持っておられないところでございまして、前回の条例の概要を説明したときにも申し上げましたが、届け出なり許可申請の手続について、この5町は条例から外しておりますが、この14平方センチ以上の事業者については、この推進組織なり利用協議会に参画していただくことで、条例を適用させていただいているところでございます。
あと、9ページの国の調整の状況でございますが、9月現在では議員立法により、1法案は国会に提出され、1法案が提出を検討されているということです。提出されているのが上段に書いております地下水の利用の規制に関する緊急措置法で、自民党のほうが森林法の一部改正とセットで提出された事案でございます。こちらのほうは、規制地域の指定なり届け出等も規定されているところですが、閉会中の審査となっております。それから、水循環基本法案については、平成24年の通常国会に提出予定でございましたが、未提出という状況でございます。
これについては、13ページに水循環基本法案の概要ということで、水循環というのは、水が蒸発、降下等により海域に至る過程の中で地表水、地下水として河川の流域を中心に循環することとの定義を受けて、水循環の重要性や水が国民共有の貴重な財産であり、公共性の高いものであるということで、水の公共性がうたわれているところでございます。
あと、下側に政府のほうで水循環基本計画、基本的政策とその推進本部として水循環政策本部について規定が設けられているところでございます。理念法でございまして、特に何らかの許可なり届け出などといった実態的な規定はなされていないところでございます。
戻っていただきまして、9ページは今申し上げたような2法案が検討されているところでございます。
今のその状況を国土交通省にも確認しましたが、やはり議員立法のため情報がないということで、なかなかそれ以外の情報は私どもも入手できないところでございました。
下側の各県の動向でございますが、さき方御説明をさせていただきましたとおりでございますので、省略させていただきます。
開いていただいて10ページは、土地所有者と地下水制限の問題点ということで、国土交通省とも協議しながら次のとおり考えているところです。地下水採取によりまして、一たん支障が生じると回復には非常に長期間を要しますし、また経費も多額となるということで、支障が生ずることを未然に防止することが必要と判断して、条例化により一定の義務を課し、権利を制限する条例を制定しようと考えているところでございます。
判例としましては、戦前の判例ですが、上段に書いているとおり、明治29年に土地所有権に付随する地下水は土地所有者の自由な使用を当然の条理とするというのがあります。また、戦後の判例としては、下段ですが、松山地裁宇和島支部の判決では、一定の土地に固定的に専属するものではなく、地下水脈を通じて流動するものであり、土地所有者に認める地下水利用権限も合理的制約を受けるということで、つながっているものを共同で使用するものだとされているところでございます。
あと、関係法令としましては、憲法第29条において、私有財産権はこれを侵してはならないということと、財産権の内容は公共の福祉に適合するよう法律でこれを定めるということで、公共の福祉の観点からもこのたびの条例制定は可能であろうという観点に立っているところでございます。
あと、民法206条と207条等の所有権、土地所有権の範囲等についても、法令の制限内において自由に権利を有すなり、法令の制限内において土地の所有権についても上下に及ぶという規定があるところでございます。
県の条例と、既に条例化した県内の自治体との関係でございますが、さき方申し上げましたように、県内の5町の条例においては、吐出口が6平方センチ、あるいは8平方センチということで、県の条例よりも面積も小さく、対象者も多いと。町条例は許可等を行う手続になっているところから、県条例の影響調査や採取の届け出、採取量の監視といった報告、制限地域の指定については適用除外としているところでございます。それから、14平方センチ以上の事業者については、県条例にも規定しながら、町への資料提出を要請して、県下全域の情報は収集することとしております。
開いていただいて11ページでございますが、農業用水とその利用権の問題でございます。
本県の農業用水というのは、河川水の慣行水利権なり許可水利権、河川水を利用されているものが多いという状況でございます。ただし、一部畑地等でそういった井戸を設置されている事例もございますので、吐出口の断面積が条例で定める面積を有する場合には、届け出対象と考えております。あと、農業関係では畜産、養鶏、養魚等の場合についても、面積が適合する場合については、届け出対象と考えているところでございます。
先ほどの河川法では慣行水利権という既得権が認められているところでございますが、地下水条例でも、採取による水位低下等の支障がなければ、基本的には既存事業者の採取量を制限することは考えていないところでございます。ただし、新たに採取される方や採取量を増加する場合については、御説明申し上げているとおり、周辺への影響調査により水位低下の支障が生じないことの制限等をかけるところでございます。
参考としまして、そちらのほうに、河川の流水は私権の目的となることができないという水利権等についても整理したところでございます。
続きまして、温泉法等の関連でございます。
温泉法は、法の目的にも掲げてあるとおり、貴重な資源であるその温泉を保護していく目的の中で、掘削、増掘、動力装置の設置に対して、知事の許可制がとられているところでございます。こういった規定があるところから、その持続可能な利用は担保されているところでして、私どもの地下水条例からも、先ほどの河川水と同様、対象から外しております。熊本県も同様な理由で対象から外しているところでございます。
また、こういった手続等なり、そういった許可制の中で資源保護が果たされているほか、温泉について、以前湧出していた特別な利用価値が認められておりますので、土地所有権とは別個の権利として、温泉権には慣行法上の物権も認められているようでございます。
あと、他県等の場合には、地盤沈下等が主な制定の理由になっておりますけれども、そこに掲げているとおり、鳥取県内では鳥取平野で昭和40年から45年の5年間で13.8センチも地盤沈下が観測されたところでして、平成16年まで調査してきたところでございますが、今、鎮静化が確認されているところでございます。その鎮静化の確認というのは、周辺への地下水の取水が停止されたことが主な要因だと考えているところでございます。
開いていただいて12ページでございますが、関連法としまして、工業用水法、これは工業用水として地下水の利用量が多いことにより地盤沈下が発生したことから、その合理的な利用を確保する必要がある地域ということで、そちらに掲げている10都府県63市町村においては、一定規模以上の工業用井戸について許可基準を定めた許可制をとっております。こちらの一定規模以上というのが、6平方センチとなっております。
建築用地下水の採取の規制に関する法律ということで、こちらも地盤沈下し、そういった出水等により災害が発生する地域を指定して、そこの4都府県4地域において、一定規模以上の建築物井戸について許可基準を定めており、こちらも6平方センチとなっております。
今のその全国的な地盤沈下の状況は、そちらに掲げているとおりですが、年間2センチ以上沈下している地域は大分減り、全国的にも鎮静化の傾向にあるようでございます。
◎浜田委員長
以上で説明が終わりましたが、皆様から御意見、御質問はございますでしょうか。
○市谷委員
私はこの条例の基本的な考え方ですけれども、一般の飲み水なり、県民が広く生活に必要とするものについては、規制するものではなくて、むしろ企業の利益目的で販売してどんどんとっていくことについて、きちんと規制する必要があると思っているのです。
それで、4ページで各県がいろいろ規制しているのですけれども、山梨県は具体的に地盤沈下なり、現実的に何か現象が起きているからという話がありましたが、熊本県の場合はそういうものはないものの、重点地域、指定地域というやり方をしているのですが、これはどういうものですか。現象が起きてないのに、重点地域なり指定地域を指定できるのかと思ったものですから。
●広田水・大気環境課長
説明が不十分だったかもしれませんが、熊本県が当初制定した時点では、まだそういった地下水の水位低下などの支障が生じていない時期にもかかわらず、条例で届け出制等を設けたということで、現在は熊本県もその水道水なり、かなり地下水に頼っているところでございます。現実にはそういった地下水低下等が見られて、確実に地下水低下が見られるところを重点地域として指定したり、それからそのおそれのある関連地域を指定地域としたりして、現在では支障が少し見られるところに地域指定制度がとられております。当初設定した時点は、私ども鳥取県と同様に、そういう顕在化した支障がない時点でそういった届け出制なりを設けていたということでございます。
○市谷委員
それで、工業用水の場合は吐出口を6平方センチメートルと規制しているけれども、最初に言ったように、私は企業の営利活動についてはきちんと規制しないといけないと思っているのです。14平方センチだと、工業用水の規制からも外れるというか、余りにも緩いことになるのですけれども、以前聞いたときに、14平方センチは相当部分の法令にかぶるという話を聞いたのですが、実際には、例えばほとんど撤退した三洋も地下水をとっていたと。これは影響があったのではないかと思ったりするのですけれども、企業の中で結構取水しているのですよ。だから、鳥取県内で工業用水として地下水をとったりしている場合で、この14平方センチでは網がかからないのではないかなと思ったのですが。
●広田水・大気環境課長
平成17年の事業者の調査の中で……(「19年」と呼ぶ者あり)19年でした。済みません。鳥取大学と共同研究の年ですから19年に、大山南西ろくの区域と鳥取平野の区域の事業者にアンケート調査を実施して、その吐出口の断面積等も調査したところでございます。その中で、90%以上が14平方センチ以上の吐出口面積でございましたので、取水量も当然ながらその9割以上がそこで把握できますので、14平方センチという規定を準用したところでございます。ちなみに、静岡県もそうだったというところです。
○市谷委員
仮に14平方センチと規定した場合に、そこから逃れようとすることもあるわけです。そうすると、他県が規定しているように工業用水の規制に合わせておかないと、規定をかいくぐってしていくことがあり得ると思うのです。だから、その辺をどう考えるかというのと、その14平方センチの意味がどういうことなのか。逆に言えば、6平方センチでなら一つの物差しが示されているのですけれども、14平方センチは何なのだろうと。実態がそうだったから14平方センチにしたという話は、その数字に根拠がないのです。実態に合わせただけで、それは実態を変えられる可能性もあるわけですよね。特別に根拠はないということですね。
●広田水・大気環境課長
そうです。
○市谷委員
ない。
それと、もう1点。この間やりとりしたときに、間違いだったというのは後で確認してわかったのですけれども、既にしている業者については、この届け出はするものの、新規のところは環境影響調査をした上で届け出するという格好ですが、既存事業者は届け出だけだと。調査は要らないと思っていたのですけれども、この間やりとりしていて、同じですと聞いたような気がしていたのですが、そうではなくて、既存業者は影響調査しないで届け出することになっていることはよくないです。町の分はきちんと規制すると、調査して届け出することにならざるを得ないと思うのです。影響を確認するわけですから。ただ、県の分がそれでいいのかなというのがあります。
それで、既に条例を制定している町は外すことになっているけれども、既にしているところに規制をかけるべきだと思いますが、影響調査しないことを確認させてください。
●広田水・大気環境課長
影響調査は実施しない。
○市谷委員
しないのですよね。
●広田水・大気環境課長
既存事業者はしません。私どもも市町村から県内でそういった支障が顕在化している事例はないかと聞いた中では、ないという認識を基本的には持っていて、そういう相隣関係も起きていない現状では、今のその利用状況でおよそ県内でつり合っているのかなと考えているところです。
ただ、もう一回こういう支障はないのかと聞いたときに、琴浦町や大山の一部で、専用水道なり、その事業者が設けられている井戸で、10年以上たったら取水量がすこし減ってきたという事例はありますとお聞きしました。それがメンテナンスの不備なのか、実際にその水位なりが低下しているのかは、みずから調査もしてみると聞いております。一部そういった情報はありますが、今おおよそそういった支障がない状況では、改めて既存事業者に再度そういう影響調査等の実施までは位置づけていないところでございます。
●中山生活環境部長
今の回答に補足させていただきます。
既存事業者と先ほどの14平方センチの話でございますけれども、今回、既存事業者の方は取水しながら既に営業活動などをしておられます。その中で、我々はこういった事業者が既に権益といいますか、そういった事業をしておられるところの調和をこの条例でどうするかをまず考えました。そのため、確かに6平方センチや工業用水という議論がございますけれども、我々は鳥取県の地下水を守るために、この地下水がどういった状況になっているのか、皆さん方がどういった形で井戸からくみ上げておられるのかをまず第一に把握させていただきたい。その上で、もし何かしらの水位が低下する議論や支障がもし仮にあるならば、制限地域などを定めて、そういった形で規制しようという観点に立っております。そのため、平成19年にさせていただきましたアンケートの中で、14平方センチの吐出口であれば大体90%ぐらいはカバーできるのではないかということですので、大口の事業用の井戸はほぼカバーできるのではないかということで範囲を定めております。
また、既存業者のアセスの件でございますけれども、今回既に取水等を行われているので、この条例ができた段階でまたさらにアセスをかけるというのは、事業者に非常に負担が多いのではないかということで、アセス自体かけておりません。ただ、この場合に当然、広田課長がせんだって申し上げたのは、例えば井戸がどんな形であるのか、取水をどんな形でするのかという届け出は既存事業者からも出していただきます。その段階で、例えば取水量について報告以上の取水がなされているなり、あるいはその地域において、井戸の水位の低下があるなどといった場合には、当然その部分については規制をかけることにいたします。その意味で、現在の状況を踏まえながら、あくまで合理的な制限をかけるという形で条例を制定していただきたいという趣旨で、こういった規制にしていることを御理解いただきたい。
○市谷委員
新規事業者にはやらせて、既存事業者にはやらせないというのは、すごく差別だと思いますし、それに影響が出てしまってからでは遅いために事前規制として条例をつくるわけなので、くみ上げて営業しておられる方に影響調査してもらい、その結果を提出されるぐらいのエチケットを求めてもいいと思うのです。しかも、するところとしないところがあるというのは、平等ではないと思います。既にとっているところは多いわけですから。
●中山生活環境部長
反論させていただきますと、この条例設定で不利益を新たに課すことになりますので、既存事業者のうち、当然大きな企業などはアセスなり水位調査をしておられるところはあると思います。ただ、一律にこの条例ができたからといって、既に取水しておられるところに一律に不利益を課す。これは我々ども条例設定させていただく立場といたしまして、そういったさかのぼりで不利益を課すことは適当ではないと思い、今はこの条例の設定にしております。
○森委員
吐出口の大きさの話がいろいろと出ていますけれども、私も6平方センチというのが何の基準なのかもわからずに今まで聞いていたのですが、きょうは、工水に一定規模の大きさのという、この一定規模が6平方センチだとはっきりしました。この6平方センチで、例えば24時間で目いっぱいくんだ場合にどれぐらいくめるのか、それからこの14平方センチで24時間目いっぱいくむと大体どれぐらいくめるものなのかがあると思うのです。
どこの県の条例も平方センチですけれども、一般的にこういうパイプは直径でやっていますよね。直径でいうとどれぐらいかも教えてください。
さっきの話で、市谷委員がおっしゃるように、この14平方センチにしたことによって新たな事業者は、それよりも小さいところで規制を逃れるため、例えば井戸を1本掘るところを、この14平方センチ以下の井戸を3本掘るなどという形での対応はあると思うのです。例えば、生活環境部でよくあるのは、今、事業者が持っている焼却炉で、ある一定規模以下は規制対象外となっていて、売れているのは全部そればっかりだと、勝手にぼんぼん燃やしているのです。だから、その規制以下になるものをねらってくるので、どれだけ6平方センチでくめるのか、また14平方センチでどれだけくめるのかは大きなところだと思うので、そこのところをもう一回お願いしたい。
それと、今回初めて、きょうから施行されている熊本県の条例の話を聞いたのですけれども、前にも議論したのですが、地下水が基本的には土地についているものだということで、表流水は公水としてできるものの、地下水は公水とはできないのだと。こういう議論をここの中でもしたのを覚えているのですけれども、熊本県はここで公共水だとうたっている。ここのところで熊本県はどういう論理立てしているのかをお聞きしたいです。
◎浜田委員長
計算ができていますでしょうか。
●広田水・大気環境課長
いや、特に計算はできていませんが、6平方センチですと70~80立米ぐらいです。
○森委員
70~80立米。24時間で。
●広田水・大気環境課長
1時間当たりの標準的な揚水量としては、70立方メートルから80立方メートルぐらい。
○森委員
毎時ね。
●広田水・大気環境課長
毎時です。6平方センチの場合です。
○森委員
70~80立米ね。
◎浜田委員長
14平方センチでは。
●広田水・大気環境課長
14平方センチであれば、約200立米ぐらいです。
その揚水の高さなどが関係するものですから、揚水量としては150立米ぐらいから250立米までの幅がありますが、おおよそ200立米ぐらいと認識しております。
それと……(発言する者あり)口径ですが、一般的に1本でいきますと、吐出口は水道管の
40ミリは対象にならず、50ミリになったら対象になると思っていただいて結構です。直径でいくと、約45ミリぐらいです。
○森委員
はい。14平方センチがね。
●広田水・大気環境課長
14平方センチです。それで、さき方3本の場合はどうかという話について、この条例の中にも記載しているのですが、吐出口の断面積で、吐出口が2つ以上あるときはその断面積の合計を14平方センチにしているので、2本なり3本の合計で14平方センチを超えれば、トータル的にはさっき言った200立米ぐらいは上がるものだろうということで、複数あっても14平方センチと規定しております。そこの中で規制を公平にかけようとしております。
このたび熊本県が公共水として位置づけたというのが、熊本県は昭和50年ぐらいから長年にわたって県下というか、熊本市を中心とした地域の地下水管理という面でかなりデータ集積というか、地下水位の測定などをしてこられてて、ここの水がこのような水脈で流れているなど、河川法で河川管理者が維持管理できるというか、そういった情報をみずからある程度持っておられるものですから、公共水と位置づけて、県のほうで、その地下水自体は管理ができると判断されたものだと思っております。
○森委員
情報をたくさん持っていたからできるのだということですね。要するに、これまでの話だと、公水とするのは法的に難しいという話だったので、もしかしたら熊本県で訴訟になるかもしれないけれども、よそでもこういった公水という形にできるということは、私は大きなことだと思いますので、そのことは今後も頭の中に入れていきたいと思います。
それと、既存のものと今後のものというところで、例えばこれは微妙なのですが、米子にできた日本高度紙工業は、自分のところに大きな井戸を掘っているわけです。そのすぐ横に消防学校があって、そのすぐ横に米子市水道局の水源地があるのです。これは多分、あれだけくめば影響が出てくると思うのですけれども、これはまだ営業していない、まだくんでいない状態なので、こういったものはこの条例でいくとどういうふうになるのか。もう既に掘っているので、単なる届け出だけとなるのかどうかを教えてください。
●広田水・大気環境課長
日本高度紙工業の分は、今現在、1次計画の事業に応じた……(「6,000トン」と呼ぶ者あり)そうですね、6,000トンぐらいです。取水するということで、今、米子市や専門家の目も加わった中で影響調査を実施しておられると。そういった影響調査によって設置されたものという扱いになれば、第1弾の初期計画については既存事業者の届け出という扱いになると思います。
次の段階で拡張するときには、新増設の規定になりますから、改めてその影響調査の計画から県のほうに届け出していただく条例の適用を受けます。
◎浜田委員長
時間のほうがなくなってきましたので、簡潔にお願いします。
○砂場副委員長
何点かあるのですけれども、前にも議論したのですが、取水のときの直径、熊本県の条例を見ると、自噴とくみ上げでは規制が届け出と許可は分けていますよね。ということは、結局直径だけであっても、自噴の井戸であったり、くみ上げる流水のスピードが違っていたりすると、当然のことながら今言った計算は簡単に変わってきてしまうので、そういう意味では直径で規制するのに合理性があるのかどうか。簡単に言えば、取水量で規制するほうがわかりやすいような気がするのですけれども、取水量での規制というのは何か問題があるのでしょうか。それが1点目。
2点目は、熊本県は今回届け出制から許可制に変更しましたけれども、何か具体的に許可制にしなければならなかった理由、届け出制にしなければならなかった理由というのがあるのかどうか。もし御存じだったら教えていただきたいというのが2点目。
僕は、地下水で一番大事なのは、涵養量と取水量のバランスだと思うわけです。このバランスがとれていれば何の問題も起こらないのだけれども、涵養量よりも取水量が多かったら、地盤沈下など起きてくるです。涵養量についてはこの前の委員会であったけれども、そんなの複雑過ぎてわからないとおっしゃったのですが、そうすると周りでモニタリングするしかないですよね。鳥取県の条例の場合は、モニタリングは地下水利用協議会がするようになっているのだけれども、これを事業者に義務づけることはできないかということです。とったのだから、せめて自分の半径何キロのところに幾つかのモニタリングポストを、もちろん大規模なところだけでいいです。大規模なところだけでも義務づけて、せめて水位ぐらいきちんと調査して、バランスがとれていることぐらい示すような条例はできないものかと思うので。
最後は、市谷委員が言われたのは、事後法だから法治国家では無理ですよ。だけれども、大規模事業者に対してはその危険性が大きいので、せめて環境アセスなりについても協力を求めるぐらいの条例をつくってもいいと思うのです。事後法であれば後出しじゃんけんだから、そんなものは法治国家ではない、無理だけれども、せめて協力を求めるような条文はあってもよさそうに思うのですが、そこまでやってもまずいですか。
◎浜田委員長
申しわけございません。きょうは15分までにどうしても終わりたいと思います。またチャンスがありますので、簡潔にお願いできますでしょうか。
●広田水・大気環境課長
取水量の規制については、先ほど言いましたように、地下にどれくらいあるかなど、そういう賦存量の部分がよくわからない。その量でもってはなかなか規制できないところが、ほかの工業用水法などの法令を見ても、みんな断面積で一定規模以上の量を引くところを対象にしていることを参考にしたものでございます。
熊本県の許可制については、さき方言いましたように、地下水位の低下などの支障が見られるところで、一層厳しいというか、原則禁止する体制をとられたのかなと推察されます。
大規模事業者のみでもモニタリングを義務づけるところについては、私どもが考えているのは、地下水利用協議会の中で皆さんが協力金的にお金を出し合って、自分だけの事業所の水位だけではなくて、みんなで協力して県下全体の水位を把握して、例えば少なくともその流域ぐらいの状況なり、関連している事業者皆さんが一緒になって調査、分析することにしております。今、砂場副委員長がおっしゃられた個々の取り組みはしておりませんが、事業者全体で県下の水位の状況を調査することで、事業者の取り組みとさせていただいているところでございます。
○砂場副委員長
最後です。事後法に対する協力義務について。
◎浜田委員長
協力してくださいと入れたらどうかと。これは、御検討いただくということで。
●広田水・大気環境課長
そうですか。
●中山生活環境部長
要は、実際的にアセスをしておられるところも多いので、あえてこの義務づけの条文までは入れてはおりません。そのあたりは御理解いただけたらと思います。
○山口委員
実はうちの会派の中でも今言われたような問題点もありまして、持ち帰って対応しなければならないということで、問題点をこういう形で出させてもらったけれども、これ以外にもあるかもわかりませんが。一応これで。
◎浜田委員長
本委員会ですることになりましたので、まだまだ勉強して、しっかり深めていかなければならないかと思いますので、またこれからも御協力いただきたいと思います。
きょうはお時間いただきましてありがとうございました。
委員の皆さんはしばらくお待ちください。
(執行部退席)
本条例の審議に係る今後の進め方でありますが、……。
○山口委員
いろいろな問題もありますので、うちは持ち帰って協議してみたいと思う。
◎浜田委員長
そうですね。それでは各会派持ち帰っていただきまして、協議していただき、方針を決めていただけたらと思います。
仮に継続して審査すると言うことになれば、……。
○山口委員
勉強は勉強で今したわけですが、私ども以外の方でいろいろと問題に思っていることもあるので……。
◎浜田委員長
その話を伺ってからにさせていただきます。それに、3日にも時間がありますので、そのことを踏まえて検討してください。
また、アレルギー疾患の陳情の件ですが、先方と日程調整したところ、どうしても都合が付かないということになりましたので、代わりに参考資料を皆様にお配りいたします。この資料をしっかり読んでいただきますようお願いいたします。
では、本日の福祉生活病院常任委員会は閉会いたします。
午後5時13分 閉会
|