午前10時00分 開会
◎野田議長
ただいまから議員全員協議会を開会いたします。
まず、会議録署名議員に藤井省三議員、福間裕隆議員を指名いたします。
本日の議題は、原子力発電所の新規制基準についてであります。
原子力規制庁から、技術基盤課田口達也課長補佐と島根原子力規制事務所庄司直人所長にお越しをいただき、御説明をいただきます。
田口様、庄司様には、御多忙中にもかかわらず遠路お越しいただきましたことに対して、鳥取県議会を代表して心からお礼を申し上げます。
それでは、7月8日に施行されました原子力発電所の新規制基準について、田口様、説明をお願いいたします。
●庄司島根原子力規制事務所長
おはようございます。
島根原子力規制事務所の庄司と申します。最初に私のほうから一言御挨拶申し上げます。
平素から原子力の保安行政というものにつきまして御理解と御協力を賜りまして、本当にありがとうございます。また、本日はこういった場を御提供いただきまして、あわせてお礼申し上げます。
このたび、福島第一原子力発電所の事故の教訓などなどを盛り込みました新しい基準ができました。7月8日施行ということで、検討の最初の段階から携わっておりました担当者を今回東京の本庁のほうから呼んでまいりました。技術基準を担当しております田口と申します。田口のほうからわかりやすく説明をさせていただきたいと思いますので、少しばかりお時間をいただければというふうに思います。よろしくお願いします。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
おはようございます。
原子力規制庁の技術基盤課の田口でございます。本日はお時間をいただきましてありがとうございます。新しい基準について、なるべくわかりやすく御説明をしたいと思います。
座って説明させていただきます。
資料ですけれども、パワーポイントを使って御説明をしてまいります。時間としては30分ぐらいまず御説明をして、その後、質疑をいただきたいと思います。
そうしますと、まずページをおめくりいただきたいと思います。1ページ、2ページ目に基準を検討するに当たっての前提となる背景について少し書いております。1ページ目に書いておりますのが、福島事故以前の規制のどこに問題があったかということで、国会の事故調とか政府の事故調から指摘をいただいていることを書いております。
特に私どもが大きな点だと思っているのが、下に線を引いてあります丸の1個目と2個目でして、1つ目にありますように、従来シビアアクシデント対策、設計基準事象を大きく超える事象への対応ですけれども、これは規制で要求をしておりませんで、事業者の自主的な対応に委ねると、こういう判断を平成4年にしておりました。当時の考え方としては、シビアアクシデントを起こさないための基準がしっかりとできていて、安全性が十分に確保されているのでそれで十分であろうと。したがって、もし起きたときの対策というのは、これはやったほうが望ましいのですけれども、事業者が自主的にやっていただくということにして、規制としては法令に基づいて要求はしないという判断を過去にしていたと。これが大きな問題の一つでございました。これは私どもも大きな問題だったと思っております。
2点目が、一旦設置を認められた原発については、認められたのが昭和40年とか50年とか、それぐらいの古いものであっても、その後新しい知見が出てきても過去の許可については常に有効のままということになっておりまして、新しい知見が出てきたので昔の判断をもう一度検証したいと我々が思っても、それをできる法律上の規定がございませんでした。したがって、新しい知見が出てきても古い原発の許可は有効のままで、取り消したりとかそういうことはできない仕組みでございました。以上2点が法律上の大きな問題でございます。
これらについては、2ページ目にありますように去年の6月に法改正を行いまして、いずれも解消されております。2ページ目の下の丸の2点目にありますようにシビアアクシデントが法令上の要求になりましたし、古い原発に新しい基準をさかのぼって適用するということができるようになりました。これらによって、基準を検討する前提が整ったということでございます。
それで、上の四角の2点目に書いておりますように、去年の6月に法改正が行われたときに、新しい法律の施行日が規制委員会が設置されてから10カ月以内ということも当時決定されておりまして、規制委員会が設置されたのが昨年の9月19日ですので、10カ月以内ということで、ことしの7月18日を期限として基準をまとめるようにということが去年の段階で既に決められておったものでございます。我々はこのスケジュールを踏まえて基準の検討を行いました。
3ページ目をお願いします。こちらは検討のプロセスの流れを書いております。真ん中の一番上の四角に基準検討チームでの検討(公開)と書いておりますけれども、基準は検討チームで会合を開く形で検討いたしました。この検討チームには規制庁の職員、規制庁を支える独立行政法人JNESの職員、大学の先生などの有識者の方に入っていただいて、全て公開で行っております。検討会議は全てインターネットで同時中継を行いまして、かつ、そのときの動画というのは今もホームページに残っておりますので、誰でも後からどういう議論があったかというのは検証できる形で検討を行いました。計23回会合を開きまして、基準をまとめたものでございます。
下のほうを見ていただきますと、黄色い四角が2つございます。黄色い四角はパブリックコメントをかけたのですけれども、1つ目のパブリックコメントが、今後ろにお配りをしているワードの文書の形式でパブリックコメントをいたしました。これは我々は骨子というふうに呼んでおりますけれども、基準は最後は法令の形式になりまして、委員会規則なのですけれども、法律の下の政令の下の省令というレベルの規則で書くのですけれども、法令の形なので縦書きの文書でかえってわかりにくいので、一旦骨子の形でまとめてパブリックコメントいたしまして、内容を固めた後で2回目のパブリックコメントは法令の形式に書きかえてやったものでございます。
続いて、4ページをお願いします。ここから基準の内容に入ってまいります。まずここには福島原発事故の進展についておさらいを兼ねて書いております。ピンクの文字で1番から7番まで書いてあるのが事故の進展でございまして、黄色い四角2つ書いているのがそこから学ぶべき教訓としてまとめたものです。
事故の進展を見ていきますと、まず1番目、地震により外部電源が喪失いたしました。これで外からの電源はなくなりました。その後、こうした場合には中に非常用の発電機が2台ありまして、それが動いて電気を供給する仕組みになっているのですけれども、これが2番にありますように津波が来たことで中の非常用自家発電機もとまってしまって、原発を動かす電気がなくなってしまいました。次に右のほうを見ていただきますと、原発の原子炉自体は制御棒という棒が下から挿入されてまして、これは地震が起きた瞬間に挿入されまして、核分裂反応はとまっているのですけれども、臨界状態はとまっているのですけれども、そういう状態であっても崩壊熱という熱がずっと出続けますので、この熱を取るために原子炉の中に注水を続ける必要がございます。原子炉の中に注水をするための設備というのは通常電気で動くのですけれども、電気が全てなくなったことで注水ができなくなりました。注水ができなくなりますと炉内の水位が下がりまして、燃料が空気中に露出をして、露出をすると溶けます。溶けると水素が発生をいたしまして、これが原子炉、それから格納容器の外に漏れ出して、7番にありますように水素爆発に至ったというのが大きな事故の流れでございます。
ここから学ぶべき教訓を2つに集約しておりまして、まず1つは左の四角ですけれども、今回は地震・津波が原因でしたけれども、1つの原因で複数の安全機能が同時に倒れてしまうということが起きてしまいました。これは設計上は起こしてはならないものなのですけれども、これが起きてしまいましたので、これを防ぐべきであるというのが1点目です。2点目が右の四角ですけれども、シビアアクシデントがいざ起きてしまったときに、事故がどんどん進展をしていく過程で途中で食いとめることができなかったというのが2点目の教訓でございます。したがって、基準の検討は、これらの2つの教訓をもとに検討しております。
次のページをお願いします。この1枚が基準の全体像を模式的にあらわしたものです。左の黄色い雲の1つ目が、1つの原因で複数の安全機能が喪失することを防ぐべきであったという1つ目の教訓。2点目が、シビアアクシデントを食いとめるべきであったという2点目の教訓です。3点目に書いておりますのは今回の福島事故とは直接関係ありませんけれども、アメリカなどでされている取り組みとして、9・11のような航空機衝突のテロに対する対策も、この際要求していくべきだろうということで入れております。したがって、この黄色い雲の3つから右に展開していくような形で、詳細な項目は一番右の水色の形になりますけれども、検討しております。
もう少し見てまいりますと、緑色の1つ目をごらんいただきますと、こちらは1つの原因で複数の機能が失われることを防ぐための対策ということで、やはりそういうことを起こす原因というのは自然現象であろうということで、緑色の四角の右を見ていただきますと、今回引き金になった地震・津波に対する対策を強化しているのは当然なのですけれども、それに加えて少し考えを広げまして、地震・津波以外にも同じく自然現象で今回のようにいろんなものが同時に壊れるということを起こし得るものということで、火山、竜巻、森林火災、こういったものについても対策を強化しております。
緑色の2つ目を見ていただきますと、今度は自然現象以外でも1つの原因で複数の安全機能を同時に失わせるものがほかにあり得るだろうということで、こちらも考えを展開しまして、火災、これは建物の中で火災が起こりますといろんな機器が同時に焼けて壊れます。それから、内部溢水というのは、水の入った容器や配管が破裂、壊れることで建物の中が水浸しになって、同様に複数のものが壊れてしまうというものでございます。それから、福島で問題になりました停電、このように、1つの原因でいろんなものに影響を及ぼすものを防止していこうということも改めて強化しております。
緑色の下のほうにまいりますと、こちらはシビアアクシデントが起きたときに食いとめる手だてを多層に用意するということで考えております。
水色の詳細は後ほど個別のイメージを使っての御説明してまいります。
次のページの6ページ、7ページに基準を検討するに当たっての考え方を書いておりますけれども、ここは文字で書いておりまして、イメージがわかりにくいかと思いますので飛ばして、後ほど必要に応じて戻ってまいりたいと思います。
8ページをお願いします。こちらで参考として、従来の基準と新しい基準の比較を書いております。左が従来の基準、右が新しい基準です。従来からある基準は、シビアアクシデントが起きるのを防ぐための基準だけがありまして、もし起きたときにどうなるかということは従来は考えておりませんでした。
右のほうを見ていただきますと、黄色いところ、これはシビアアクシデントが起きたときの対策ですけれども、これが上乗せをされているというのがまず大きな特徴です。それから、従来からあるシビアアクシデントを起こさないための基準そのものについても、それぞれ内容を強化しているという構成になります。
従来の基準の考え方をもう少し説明いたしますと、文字で単一の機器の故障を想定しても炉心損傷に至らないことを確認と書いております。
従来の設計の方法というのは、まず設計の案をつくって、その設計でいいかどうかというのをシミュレーションします。このシミュレーションをするときに、従来は仮想として、例えばあるポンプが1つ壊れたときに、それでも原発が安全に停止できるかどうかというのをシミュレーションでチェックをします。あるいは、Bという配管が何らかの原因で壊れたときに、それでも原発が安全に停止できるかということをチェックをするのですけれども、シミュレーションのときに想定するのは、壊れる場所はあくまで1回につき1カ所という前提で、そういうルールのもとにシミュレーションをしておりました。壊れたらどうなるというふうに想定をする箇所そのものは20カ所も30カ所も、Cというポンプが壊れたらどうなるかという感じでどんどんやるのですけれども、それらが同時に複数壊れるということは考えないと。これがシビアアクシデントを起こさない設計の従来の考え方でございます。したがって、今回の福島事故のように外部電源が2本ともなくなって、かつ所内の非常用ディーゼル発電機も2台ともなくなるというような、かつバッテリーもなくなってしまったのですけれども、複数のものが同時に壊れるというのは、これまでの設計で想定していなかったということでございます。
続いて、9ページをお願いします。ここから以降、一つ一つの対策についてイメージを御説明してまいります。
まず、1点目が津波対策でございます。津波については、従来から想定される自然現象に対して原発の安全が損なわれないようにという形で、当然津波を含めて設計で安全が損なわれないようにという要求はしていたのですけれども、では、津波としてどういうレベルの津波を想定をするのかというところについて、必ずしも国が基準を出しておりませんでした。その結果として、福島で大きく想定を上回る津波が起きてしまったことでございます。
したがって、この教訓を踏まえまして、発電所ごとに地震と同じような形で基準津波というものを想定をしていただきます。この基準津波、いわゆるそこで起こり得る最大の津波を発電所ごとに考えてもらうのですけれども、この基準津波の想定の仕方のガイドラインを今回国が出しまして、そのガイドラインに基づいて、発電所で起こり得る最大の津波を基準津波として設定をしていただきます。この基準津波に対して、敷地に浸水をさせないというのが今回の基準の要求になります。基準津波よりも敷地の高さのほうが高ければ浸水はしないということになるのですけれども、津波のほうが敷地よりも高いものが来るということになると、防潮堤をつくって敷地への浸水を防ぐ必要がございます。下の写真の左側が浜岡発電所でつくっている防潮堤のイメージですけれども、このような防潮堤をつくって、津波が敷地に入ってこないようにということを要求をしております。
自然現象ですので、想定外のことが起きて防潮堤を越えることもあり得るということで、そうした場合に備えて、右の写真のように建物についても傍聴扉をつけていただいて、水が敷地に来ても建物の中に入らないようにということを求めております。これが津波対策でございます。
続いて、10ページ、11ページ、12ページに地震対策を要求しております。地震も津波と同様の考え方でして、発電所ごとに起こり得る最大の地震というものを想定をして、その地震が起きても安全性が損なわれないようにしっかり耐震補強をしていただくというのがまず基本でございます。
津波のところで説明しませんでしたけれども、津波の想定の仕方のイメージですけれども、近くの海の底にある断層、海底の活断層などを特定をして、その断層が動いたときにどれぐらいの津波が敷地に来るかというのをシミュレーションによって算出をしていただくというやり方でございます。それで、地震のほうも敷地の中、あるいは周辺の断層を特定して、その断層が動いたときにどれぐらいの揺れが建物に発生するかということを計算をしていただきます。この揺れに対して、施設が壊れないようにあらかじめ確認をしていただくというのが大きな流れです。
この大きな枠組みは従来から変わっておりませんけれども、3点ばかりより明確化した点がございます。
1つが、10ページにありますように、断層の露頭といいまして、断層が地表に表出している部分を露頭といいますけれども、この露頭が重要な施設の真下にあってはならないということを基準として明確化いたしました。そのような場合ですと、右の絵にありますように、断層が動いたときに施設が壊れてしまう可能性は否定できないということで、こうしたことはあってはならないと、そうした場には立地してはならないということを基準として明確化しております。従来から認めてきたわけではございませんけれども、こうした考え方が内規のような形、文書に少しわかりにくい形で従来書いておりましたのをしっかりと基準として明確にしたというのが1点目でございます。
2点目、11ページをお願いします。こちらは断層らしきものがあったときに、それが活動するかどうかというのを評価をして、今後も動くという判断になればそれは活断層ということで設計上考慮する必要があるのですけれども、活断層かどうかの認定基準は、過去12万年から13万年前以降にその断層が動いた実績があるかどうかということで活断層かどうかを判断しようということになっております。この判断基準は昔から変わっておりませんけれども、今回明確化したのは、断層が12万年以降動いたかどうかを判断するためには、地層を調べて12万年前の地層を掘り当てて、そこの地層にずれた痕跡があるかどうかというのを見つける必要があるのですけれども、右の絵にありますように、ちょうどそのころの地層が侵食で失われていたりする場合に、判断がつきかねるということで、従来そこに時間がかかっておりましたのを、今後は12万年前ぐらいの地層がなければ過去40万年ぐらいまでさかのぼって調べて、それらのデータを踏まえて総合的に判断をするということを明確化いたしました。したがって、活断層かどうかの認定基準は12万年前以降というところは変わっておりませんけれども、調査の範囲として、必要に応じて40万年前までさかのぼって調査をするようにということが明確になっております。
続いて、12ページをお願いします。こちらも基準地震動を設定するときの評価のやり方をより精緻化するということを求めているのですけれども、上の絵をごらんいただきますと、1つの震源から出た揺れが、建屋が原子炉が3つ並んでいるうちの真ん中のところだけ大きくなっていることをあらわした絵でございます。こういうことが柏崎、それからほかの発電所にも現実に起きておりまして、同じ地震でも特定の建屋だけ揺れが大きくなっております。なぜこれが起こるかというのを調べましたところ、この絵にありますように地下の構造がゆがんでいたりして、特定の号機だけ揺れが増幅されるという現象があることがわかりましたので、今後は基準地震動をつくっていただくときに、下の絵のような車を使って地下構造まで三次元的に調査をして、地下がどれぐらいゆがんでいるかというのも踏まえて揺れを特定していただくということを求めたものでございます。以上が地震でございます。
続いて、13ページをお願いします。こちらは地震・津波以外の自然現象として、要求を厳しくしたものです。火山、竜巻、森林火災がございますけれども、ここでは火山を例として書いております。火山の評価の方法は、この絵にもありますように発電所の周囲160キロの範囲の中にある火山をまず特定をしていただいて、この火山がもし活動したときに発電所にどういう影響があるかというのを事前に予測をしていただきます。もし火砕流が直接到達するとなると、その発電所はそこに立地してはならないという評価になりますし、火山灰が来るということであれば、その火山灰が例えば10センチとか積もったときに、機器が動かなくならないようにする防止対策がとられているかというのを審査の中で確認をするというプロセスを踏むことにしております。
続いて、14ページ、15ページでございます。こちらは、自然現象以外で1つの原因でいろんなものが同時に壊れる事象への対策です。
1点目が、今回福島でも問題になりました停電への対策です。
電源というときに幾つかございまして、青い表をごらんいただきますと、1つは外部電源。これは鉄塔で外から送られてくる電源です。こちらは従来は2回線を要求していましたが、この2回線が必ずしも独立をしているということを求めていなかったので、せっかく2回線が来ているのですけれども、それが同じ鉄塔に乗っていたり同じ変電所から来ていたりして、その鉄塔や変電所1カ所が壊れることで2本ともだめになるということが今回起きましたので、右下の絵ですけれども、今回は外部電源がしっかり分離をしていると。2回線は同じですけれども、分離をしているということを要求をしております。
続いて、青い表の真ん中、所内交流電源でございます。こちらのほうは従来は非常用ディーゼル発電機というのがございました。これが2台あったのですけれども、福島では2台とも津波で壊れました。今回は従来の2台に加えまして、恒設という言い方を我々はしておりますけれども、常設のものをさらにもう1台、それから可搬式の電源、下に電源車の写真がありますけれども、こういうものをさらに2台ということで、数で言えば1つの原子炉当たり従来が2台であったのに対して今後は5台電源を追加をしていただくということが変更点でございます。
その下の直流電源、こちらは、バッテリーでございます。交流電源と直流電源の役割分担としては、交流電源はみずから発電をするものですけれども、仮に交流電源、発電機がとまったときでも下の直流電源、バッテリーで一定時間電源をつなぐ役割でございます。従来は交流電源の喪失というのは長時間のものは起きないということを前提に考えておりまして、このバッテリーも30分だけつなげればよいということが規制の要求でございました。今後については、長時間の電源喪失が起き得るということで、従来のものの容量を30分から24時間に変更しております。従来30分が1系統でしたけれども、今後は24時間を3系統、従来のものに加えて恒設のものを1系統、それから可搬式のものも1系統ということで3系統、かつ容量も24時間というふうに電源について強化をしております。
15ページをお願いします。こちらは火災対策の強化をあらわす絵でございます。下の絵では、ケーブルが燃えにくい性質があるかどうかということを試験をしている様子でございまして、発電所の中で使うケーブルについては燃えにくい、不燃性または難燃性のものを使っていただく、こういった火災対策の要求を改めて徹底をしております。
以上がシビアアクシデントを防止する対策でございます。
次以降が、シビアアクシデントか起きた場合にそれを食いとめる対策を書いております。
16ページをお願いします。こちらは炉心損傷を防ぐ対策として今回求めているものです。この絵の状況なのですけれども、圧力容器の水位が下がっております。福島でまさにこういうことが起きましたけれども、通常の方法で注水ができなくなります。しかし燃料から熱は出ますので、水位が下がっていきます。
炉心損傷を防ぐ対策というのは、水位が下がって炉心が空気中に出てしまいますと燃料が溶けますので、とにかく水を入れ続けて、燃料が水中にある状態を維持すると。水中にある状態を維持すれば燃料は溶けないということでございます。したがって、とにかく水を入れ続けるというのが炉心損傷を防ぐために必要です。
この絵のような状況になりますと、圧力容器の中の圧力が相当上がっておりまして、外から消防車で注水をしようとしても、中の圧力のほうが高いので外から水が入らないということが起きます。福島原発でまさにこういうことが起きて相当苦労したわけですけれども、こういった状況になりますので、手順としては、1番にありますようにまず圧力を下げるために弁を開放して空気を下に抜いて、圧力容器の圧力を十分に下げてから外から消防車で注水をすると、こういう二段構えの手順が必要になります。ただ、弁を開放するために通常の電源が使えなかったので、福島原発では2号機、3号機については車のバッテリーを外してきて、これを10個ぐらい直列でつなげたものを中央制御室につなぎ込んで、ようやくこの弁があけられたのですけれども、こういったことを事故が起きたときにスムーズにできるように、必要なバッテリーであるとか、あるいは手順書を整備していただいて、かつ訓練をしっかりやっていただくということを要求していくものでございます。
続いて、17ページをお願いします。こちらは格納容器の破損を防止する対策として要求しているものです。
絵をごらんいただきますと、想定をしていますのは圧力容器の中にあった燃料は溶けてしまった状態です。燃料が溶けて圧力容器の底が抜けた状態になった場合は、炉心は溶けてしまっていますけれども、その外にある格納容器の閉じ込め機能が維持されれば外に放射性物質は出ないということを達成できますので、炉心が溶けるのがとめられないとなると、今度は格納容器を守りにいきます。
格納容器がどのように壊れるかというと、この絵のような状況になりますと、格納容器の中の温度、圧力が上がってまいります。これが設計上の耐力を超えて上がりますと、やがて格納容器そのものが壊れてしまって、格納容器が破れてしまうと管理できない形で放射性物質がどんどん外に出ますので、格納容器が壊れる前に格納容器の中の温度、圧力を下げるというのが必要な対策になります。
やり方は幾つかございまして、1つは右にありますようにシャワー、注水を直接格納容器の中に外から水を入れてスプレーして、中の空気を直接冷やす方法がございます。もう一つは、左の絵にありますように、圧力が上がり過ぎる前に空気を意図的に抜いて、いわゆるベントをするということでございます。ただし、そのときにフィルターをかませることで、外に出る放射性物資の量を1000分の1ぐらいに減らすことを求めるというものです。
ベントのフィルターというのは、左にイメージの写真がございますけれども、大きな容器の中に水が入っていまして、空気が水の中をぶくぶくぶくと一旦くぐってから外に出るものでございます。それで、水の中をくぐるときに放射性物質がこし取られるという仕組みのものでございます。こういったものの整備を求めております。
以上が格納容器の破損を防止する対策です。
続いて、18ページは格納容器が壊れてしまったときのために、せめて敷地の外に出ていく放射性物質の量を抑制しようということで、この絵にありますような放水砲の設置も求めております。これで100%防げるようなものではありませんけれども、減らせる可能性があるので、そういったものも置いておこうというものでございます。
続いて、19ページをお願いします。基準の内容としては、こちらで最後になります。これは福島で起きたことではありませんけれども、アメリカの9・11のテロを想定した対策を求めています。右下の原子炉建屋に航空機が意図的なテロとして衝突をしたときを考えまして、そうしたときに離れたところから注水や電気の供給ができるように、左の絵にありますような、これは例えば100メートル離れた場所というふうに書いていますけれども、特定の常設の施設をつくっていただくというのが要求でございます。
その次の20ページをお願いします。これらの基準をいつから守ることを求めるかということですけれども、基本的に全ての機能を今回7月の時点で求めることにしておりまして、唯一、2点だけ例外がございます。この2点の例外については、5年以内に適合することを求めています。
この2点というのは、必要な機能が既にあった上で、そのバックアップとして上乗せとして考えられるものについては5年の間に適合を求めておりまして、1つが19ページの左の特定重大事故等対処施設です。こちらは5年間の間に適合することを求めています。5年の間は、右上の青い点線で囲まれたところにありますように、可搬型の設備での対応が可能なように求めています。これは、同じく航空機衝突が起きた場合にその影響を受けない、例えば100メートル離れた場所に電源車とか注水設備を分散配置をしていただいて、かつ接続口も複数設けていただくことで、かつ先ほどのページにありました放水砲で消火もできることを求めていますので、仮に、右のほうから1台航空機が衝突した場合には、消火をした上で左のほうの接続口から電源を供給すると、こういった可搬型設備による対策、これは7月の時点ですぐに求めた上で、さらに信頼性を上げるためのバックアップとしての左の常設の設備については5年の間に適合することを求めています。
もう1点が、ページで言うと14ページになりますけれども、青い表の一番下、直流電源の要求のうち、従来は1系統だったものを今回は3系統求めることにしております。この3系統というのは、従来のものの容量の増加と、可搬型のバッテリーの追加、さらにもう一つ、恒設、据え置き型のバッテリーを求めているのですけれども、3系統目の恒設のバッテリーについては、5年間の間に適合をすればよということにしております。したがって、先ほどの航空機衝突への常設の設備と直流電源の3系統目、こちらだけが5年間の間に適合すればよいということで、残りは全て7月から求めることにしております。
21ページをお願いします。審査・検査の進め方について書いております。従来は、上にありますようにまず設置許可という判断をした後、この設置許可というのは基本方針を確認します。基本方針がオーケーとなれば次に詳細な工事の計画を出していただいて、かつ、保安規定というのは手順書などソフト面のことを書いた規定ですけれども、それも出していただいて、順番に確認して最後はオーケーというのが従来の流れでございましたけれども、今回はこれを同時に出していただくことにしております。シビアアクシデントというのは設備だけではなくて、その設備を人がどう動かすかということも含めて、ソフト面、ハード面をセットで見たほうが全体像がわかるということで、まとめて出していただいて審査をすることにしております。
22ページに、今現在出てきております合計を書いております。こちらの審査は週3回のペースで毎週精力的に行っているところでございます。審査の様子も全てインターネットで同時中継しながら、動画もネットに残した状態で行っております。
23ページ、24ページをお願いします。こちらは基準ですけれども、少し観点が変わって、40年問題についての概略を御説明いたします。
従来から、高経年化した原発については、上の黄色い四角にありますように高経年化対策制度というのがありまして、これは設置以降30年目を迎えた時点で、今後10年間その原発を使っていいかどうかということを国がチェックするという仕組みでして、それを10年ごとにチェックをすると。したがって、30年目、40年目、50年目というふうにチェックをしていく仕組みが従来からございました。ただし、従来は廃炉にすべき年限というのは決められていなかったのですけれども、今回は従来の制度に加えて、40年目で原則まず寿命になって、そこから延長幅を1回だけ、最長60年の範囲の中で評価をするという仕組みが追加をされたものでございます。
その次の24ページに運転期間延長認可制度について書いていますけれども、やり方としては、40年目を迎えた時点で特別点検をしていただいて、従来の定期点検では見ないようなところまで網羅的に調べて、どれくらいの劣化が進行しているかというのを整理をしていただきます。その劣化の進行状況を加味して、今後何年間の間技術基準を満たせるだろうかというのを予測をしまして、その満たせる間の期間まで延長を認めると、こういう制度でございます。
最後、25ページをごらんいただきます。こちらは基準の内容そのものではありませんけれども、関連する取り組みとして御紹介いたします。基準とは別に、規制委員会の本体のほうで安全目標というのを議論しております。これは、規制委員会が規制をする上で、規制委員会という組織として目指すべき安全のレベルを議論しているものです。
ごらんいただきますと、炉心損傷が起こるような確率を1年につき1万分の1程度に下げたいとか、格納容器の機能が失われる確率は10万年に1回、このような議論をしております。これは諸外国でもこれまで議論をされておりますし、日本でも旧原子力安全委員会で途中まで議論していたのですけれども、中間報告だけまとめて最終的な決定はしていなかったものです。
この議論をする背景にあるのは、リスクはゼロにはならないということがまずベースにございまして、ゼロにならないリスクをどこまで下げることを目指すかというのが議論のスタートでございます。我々はリスクはゼロにならないという認識に立って、ではそれをどこまで減らそうかということで今規制を行っておりますので、関連することとしてこういった議論について御紹介をいたしました。
長くなりましたけれども、私からの説明は以上でございます。
◎野田議長
ありがとうございました。
ただいま田口様から新規制基準についての説明をいただきました。
皆さんのほうで御意見、御質疑等があればお受けいたします。
○山口議員
専門的なことでなかなかわかりにくいですけれども、想定しないことが起きているわけでございますけれども、島根で説明されたのはお二方ですか。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
そうです。私どもが説明しました。
○山口議員
気になりますのが、私どもの近くにあります島根原発なのです。休止中の1号機、2号機で新基準に沿って今稼働の準備をいろいろされていると思いますけれども、この基準に照らして問題点があるかどうか。
それから、新しい基準はできたのですけれども、それまでに対応されておるものがあると思いますけれども、まだ再稼働の申請がないわけですけれども、現状はどうなのでしょうか。新基準に沿って改良されて対応なされるような動きがあるのかどうか。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
御指摘いただいたとおり、まだ申請が出てきておりませんので、私どもの安全評価がスタートするのは申請が出てきたところからスタートしまして、そこから審査に月単位で何カ月かかけて、その上で個々の原発が設置をしてよいかどうかというのを判断するというプロセスになります。島根原発についてはまだ申請がなされておりませんので、我々はそこについての評価はまだしていないという状況でございます。
いつごろ出てくるかという見通しについては、少なくとも私はその時期については承知をしておりません。
○山口議員
事業者がこの基準によって判断されると思いますけれども、相当活断層があるのではないかとか、なかなか難しい選択を迫られるのではないかと思っているところですけれども。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
例えば、敦賀とかは敷地内に活断層があって、我々が非常に問題視して、みずから直接調査に乗り込んでいるような原発でございますけれども、島根については、現時点はそういうふうな対象とはしておりません。ただ、新しい基準に照らして、あるいは今回の福島原発事故に照らして、従来の活断層の評価もやはり変える可能性もございますので、つまり複数の活断層が連動する可能性とか、そういったものも考慮していただいて、あるいは地下構造も考慮していただいて、改めて申請をしていただく必要があるので、私どもとしては、出てきたときに今回の知見が全部入ったしっかりしたものになっているかというのは判断していきたいと思っています。
○山口議員
現時点での評価というのは、事業者がまず評価するわけですね。自己評価するわけですね。それで、規制庁のほうにはまだ情報は全然入っていないと。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
おっしゃるとおりです。私どもは、規制の基本的な立場として、まず原発の個々の施設の安全性についての一義的な判断、それから説明責任をしっかり事業者に負っていただくというのが前提でございまして、我々は独立した立場でそれが適切かどうかというのを判断するという立場ですので、まだ申請が出てきていない段階では、私どもとしてはここはいいとか悪いとか、そういう判断はしないということでございまして、まだ情報はございません。
○稲田議員
3ページをちょっと見ていただけますでしょうか。改正法の施行について、新規制基準というものを定める、検討を実施するのだという話になっているわけですが、括弧つきの委員会規則というのがあるのですが、これは多分原子力規制委員会の規則ということになるのだろうと思うのですが、新規制基準と規則の関係は、括弧つきになっているというところはどういう関係なのか、同一のものなのかどうなのかということをまず1点伺いたい。
もう1点が、これは数ページにわたるのですけれども、いわゆる新しい申請の基準が要求するところの設備をそれぞれの発電所がつくっていくわけですね。1つの設備をつくるのにどれぐらいの年数がかかるのか、それによって追って追って追ってということになっていって、結局今非常に老朽化した発電所もあるわけでして、そういうものについては追いついていかないということも考えられる。これは我々素人の想定なのですけれども、そういったことについても少し突っ込んでお話をお聞かせいただきたいと思います。
○上村議員
どのくらいのコストアップになるか、例えば5割アップになるのか、その辺もあわせてお願いしたいと思います。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
まず、規則ですけれども、実は今回の新規制基準と私たちが呼んでいるものは複数の規則類を束ねたものを総称として呼んでおりまして、法令上の整理に従ってつくりますと、文書自体は今回パブリックコメントをかけたのは40以上の文書をかけております。これは委員会規則と呼ばれる法律の下の政令のさらにその下の省令レベルのもの、こういった文書と、それから法令だけだと細かいことは書けませんので、細かいところは内規の形でつくったりガイドラインというものをつくったりしていまして、この組み合わせで基準の体系ができております。これらを全部足すと40以上になるのですけれども、そういう意味では規則そのものとされているものは10とか20とか、残りが内規類という構成でございます。
○稲田議員
そうすると、要するに申請の基準といわゆる原子力規制委員会の規則というものは、全くイコールのものではないということになるのですね。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
文書としては、委員会規則とそれを補足する解釈内規の組み合わせでございます。それらの内容を総合して規制基準と呼んでおりまして、内容としては同じものでございます。それを文書の形としては委員会規則プラス内規という形になるということを言いたかったものです。
2点目です。耐用年数がどれぐらいになるかということで、これは基準に適合するために何が必要になるかというのは発電所ごとに違ってまいります。例えば浜岡原発ですと、相当の基準津波を想定して、これが敷地に入らないようにしっかりした防潮堤が必要ですので、その防潮堤の建設に1年とかそれぐらい実際かけているわけです。ただ、日本海側の原発ですと、基準津波よりも敷地のほうが高いところにあったりすると、防潮堤が必要ないということになります。それから、PWRとBWRとでも、島根原発はBWRですけれども、求める設備が少し違ってきますので、そういったことで必要な年数は変わってくるだろうと。
現に、今出てきているものについては、我々の基準の検討というのはオープンでずっとやっておりますので、7月を待たなくても内容はわかるわけでしたので、そういうのを見ながら事業者のほうで自主的にどんどん、あるいは彼らの判断としてこれは必ず要るだろうというものをどんどん入れてきた結果、7月の時点でかなりの設備もそろった状態で申請が出てきているというものでございまして、早ければそういうスパンで出せますし、長くかかって、もし耐震補強も要るとなれば、これはこれで年オーダーでかかるというぐらいのばらつきがあるものです。
そういうことをやっていると、40年の期限に追いつかない可能性もあるのではないかと。これはあり得ると思っておりまして、今出てきているものは全て比較的新しい原発で出てきております。古い原発については、私どももそういう問題があるのだろうと推測をしておりますけれども、私どもとして今できるコメントはそこまでですが、そういうこともあり得ると思います。それを踏まえて、事業者としてそれでも投資をして動かすという判断をするのか、あるいは投資をしてもしょせんあと何年しか使えないからやめるという判断をするのか、あるいは40年からどこまで延長するかという別のファクターもありますので、あと設備の発電容量ですね、そういったことを加味して事業者のほうでまず判断をされるのだろうと。我々は出てきたものを評価するという立場でございます。
コストアップがどれぐらいになるかというのは、報道ベースでは何百億とか幾つか記事を見ますけれども、私たちはコストとかを余り考えずに純粋に安全ということでやっていますので、どれぐらいかというのは把握をしない形でやっております。
○稲田議員
前半の部分に大変こだわるようなのですが、規制基準というと、私たちはいわゆる原子力発電所のあり方というものについての内容的なものを非常にイメージするわけです。一方、委員会規則ということになりますと、委員会のあり方であるとか、委員会とは一体そもそもどんなものなのかという、そういうイメージの仕方をしてしまうわけです。
そうすると、新規制基準(委員会規則)ということになりますと、新規制基準に基づいてこれから原発を改革しようとしておられることと、いわゆる原子力規制委員会というものがそもそも一体どういうあり方なのか、それについて原発というものにまで踏み込んだ委員会ではなくて、原発にまで踏み込んだ書きっぷりを文章としてしていくと、何かちょっとジャンルが違うような気がして、同一のものなのかどうなのかということの御質問を申し上げたわけですが、そうすると、基本的にはこれは同一のものなのだけれども、いわゆる委員会規則の中に規制基準が含まれているという、大ざっぱに言うとこういう形になるわけですか。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
まず、内容としては同一でございます。それで、委員会規則と書いたときに、それが必ずしも委員会の組織について説明するものだけではありませんで、委員会が定める規則類は全て委員会規則になります。それで、委員会が原発の位置や設備に関する基準という名前の委員会規則を定めることができまして、したがって、委員会規則と書いておりますけれども、タイトルは原発の位置、構造、設備に関する基準を定める規則というような形で、内容は完全に基準そのものでございます。
○稲田議員
要するに、結局法律、政令、省令とだんだん下がっていけば、いわゆる秩序の体系からするとそれだけ下位になるわけですね。そういう重要な内容を含んだ規則が非常に下位のほうにあって、法としての地位が高い位置にあるものの中にそういうものが含まれていかないという懸念もあるということなのでしょうか。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
法令の構造としては、最上位にあるのは原子炉等規制法という法律があります。ここで設置の基準については、主要なことは考えとしてまず書いております。例えば位置、構造、設備が災害の防止上支障がないものであることとか、シビアアクシデントを取れる技術的能力があること。ただ、法律で余り細かいことを書けませんので、法律の中で位置、構造、設備が委員会規則で定める基準にのっとって問題がないことというようなことだけは法律に書いていまして、細かいところは委員会規則に委ねるというところも法律の時点で決めております。基準となりますと相当技術的に細かいことを書きますので、これを法律本体に書くのは、今の日本の法体系上はやはりちょっとずれてしまうということになりまして、そういうのはやはり下位のものに書くと。ただ、基本的な考え方は上のほうで縛っておりますので、安全上支障がないものというものはどういうものかということを細かく下のほうで書いております。
○錦織議員
まず第1に、福島原発事故というのはまだ収束していなくて、高濃度の汚染水問題なども日々報道されると、どんどんどんどん拡大していって、とても収束どころではないのですね。それで、原子炉の事故のあったところの中にも入れないし、具体的にそういうことが調査ができていない中でこういう新規制基準と。最初は新安全基準とかと出ていましたけれども、この基準ができたということに対しては、私はこれは規制基準たり得ないということをまず冒頭に言っておきたいと思うのですけれども、いろいろあるのですけれども、一番最後のページで安全目標についてということで四角くくくってあるのですけれども、これはすごくわかりにくい日本語だと思うのです。私は何回読んでも意図することがわからないのです。推測はできますけれども。規制というのは規制庁ですね。「実現しようとする目標として諸外国において設定がなされている「安全目標」に関しては」という、旧原子力安全委員会では諸外国で設定がされている安全目標がちゃんと決定されていなかったということなのだろうというふうに思うけれども、諸外国において設定がなされている安全目標というものよりも、今その上を行こうとしているわけですね。その点についてお聞きします。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
まず、私どもは今回の基準を世界最高基準になるようにということでうたっております。
今回基準をつくるに当たって、まず福島原発事故の教訓、これは政府事故調、国会事故調で指摘されたもの全てを基準の項目ごとに書き出しまして、かつIAEAの基準、それからアメリカの基準、フランスの基準、そのほかのヨーロッパの基準というのも比較しまして、基準の項目ごとにA3の紙にそういうのを並べて、それで福島原発事故のこれまでの明らかになった知見が全て入っているようにすることと、IAEAとか諸外国の基準に比べて抜けがないようにという形でつくりました。したがって、福島の知見、これまで明らかになったもの全て入っておりますし、諸外国に比べて抜けがない基準になっていると思っていますけれども、逆に言うと、諸外国よりかなり突出をして、必ずアメリカなどより上を行くのだというところまで目指しているものではありません。そういう世界最高レベルの基準と同等以上になるようにということでつくっております。
この安全目標そのものも、そういう意味では海外よりかなり上を行くというよりも、海外でも同様の目標が議論されておりますけれども、日本もそれらを参考にして同様の目標を、これはまだ検討を続けますけれども議論しているものでございます。
○錦織議員
今、福島原発事故の教訓、知見が全て入っていると。ただ、さっきも言ったように、これはこれまで明らかになったもの全てでしょう。まだ明らかになっていないところがあるのですね。あるのに、全て教訓にしたというような格好でつくるということ自体が、やはり命にかかわってくるわけですから、私はそこのところはやはりおかしいというふうに指摘しておきたいと思います。
基準地震動の問題ですけれども、平成19年の中越沖地震があったときに、刈羽原発がそれまでの基準地震動を上回ったので、その後に見直しが行われて、島根原発なども見直ししたのですけれども、そのときは見直されたのだけれども、今回の福島原発事故が起こったことを教訓として見直しがされているのかどうかというのを一つ確認したいというふうに思います。
島根原発のことが私たちも非常に気になるところなのですけれども、これまで活断層調査とか耐震性について、事業者が委託して行う活断層調査などは過小評価されてきたわけですね。そういう事実があるのは国も認めておられるところだと思いますけれども、その点ではどうでしょうか。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
まず、事故の原因がまだ明らかになっていないという点です。
これまで各種の事故調査でかなりの部分は明らかになってきていると思っていますが、他方で津波が来る前に地震の影響がその施設にあったのではないかと、こういった点については国会事故調でも調査を続けるようにという指摘を受けておりますので、私どもも分析を続けていまして、分析をする検討チームの会議も公開で開催しております。今まで3回開催しておりますし、線量の問題はあるのですけれども、必要に応じて近づけるところには職員が何回も行って現地調査もさらに続けて、データもとりながらやっております。そういったものが出てくれば基準のほうに反映していきたいと思っております。
基準地震動ですけれども、柏崎というお話がありましたけれども、柏崎だけに限らず全ての原発について、今回の基準の変えたところ、地下構造を把握するとかそういったことを加味するのと、それから福島で起きたようなことも想定して、地震の活断層がどれぐらい連動するのかというのもやはりもう一回評価をし直して改めて出していただいて、我々もそれを改めてチェックするということです。
島根についても同様に、知見が新しく反映されているかというのは、出てきたときに審査の中で確認をしようと思っています。
○錦織議員
それで、宍道活断層の東のほうですね、鳥取沖西断層だとか東断層とかといって3つが連動していると。だけれども、活断層が連動しているのではないというようなことを中国電力は主張しておられるのだけれども、今回、私たちも交渉してきたのですけれども、国が言われれば再調査するみたいなことを言って、非常に消極的なのです。では、申請と国の後からのチェックというのはどういう関係になるのかなと思って、私はそういう事業者待ちの姿勢でいいのかと。ここは鳥取市ですけれども、私は米子の人間なのですね。本当にみんな心配していますよ。だから怒っていますよ。これまで過小評価ということもあそこはずっと続けられてきていたので、そういうことはやはり国としてやらなければいけないではないかという姿勢を明確にあらわしてほしいと思いますけれども。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
手続としては、まず事業者に今回の基準を踏まえてもう一回基準地震動を精査をしていただいて、それを我々は独立した立場で確認をするというのが手続でございます。
ただ、幾つかの原発については、我々がこれまでの知見で調査が必要と判断をした敦賀2号とか、ああいうところについては、直接乗り込んで調査をしております。島根については、現時点ではそういう対象としては私どもは見ておりませんので、今回の基準を踏まえて申請があったときに、これまでの知見を全部反映されたものかどうかというのは判断をしていきたいと思っております。
○砂場議員
何点かお聞きしたいことがあるのですけれども、まず1点目は、今回のオリンピックでも問題になりました汚染水対策、地下水及び雨水がありますけれども、それについては出てきておりませんが、どういうふうな基準を考えておられるのかというのが1点目。
2点目は、原子炉建屋の中には原子炉以上に使用済み核燃料プールの中に大量の放射性物質があるわけです。これは水が循環しているからもっているわけであって、これも漏水をして露出すれば核融合が起こるわけですから、しかも量については格段に多いので、これに対する対策や基準はどうなっているのかというのが2点目。
3点目は、9ページにありますけれども、津波のところで女川原発でお話をお聞きしたところ、過去の経験からいって当初5メートルの想定をしていたと。ところが、実際に襲ったのは13メートルで、しかも牡鹿半島が1メートル沈下したので1メートル切ってしまったという話です。
それで、何が大事かというと、想定した値に対して設計裕度をどれぐらいにするのか。東北電力では3倍にしたからよかったですねというな話だったので、そういう基準値が、これが危険値ですよということで設計裕度をどういうふうに考えておられるのかというのがもう1点。
もう一つは電源の問題なのですけれども、14ページですけれども、福島原発の場合は、結局外部電源も交流電源も所内直流の電源も地下の同じところに並べてあったために津波をかぶって一斉に喪失をしたと。そうすると、一個一個が大事で規制をするけれども、トータルのマネジメントでそれぞれの高さだとか位置関係を変えていくようなトータルの原子炉全体としての安全設計をしなければならないという指摘があったのですけれども、それについての話がなかったのですが、どうなっているのかというのが4点目。
最後は、今島根原発は冷温停止状態で、まだ中には核燃料棒が入っていますし、使用済みのものもあるわけです。ところが、再稼働を前提としてきょう話がありましたけれども、現実にはテロの危険もあるし地震の危険もある。今停止中の原発、それからこれから廃炉するであろう原発にも核燃料棒が入っていますから、そういうものに対する基準とか安全をどういうふうに確保していくかということをどう考えているかについて教えてください。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
まず、汚染水への対策です。福島原発事故では、結局格納容器の外に放射性物質が出てしまって、それと地下水との関連で非常に問題が起きています。
我々が事故を防ぐというときに、一番大事なのはやはり燃料を溶かさないことであるとか、格納容器から出さないということがやはり一番重要でございまして、とにかく燃料を溶かさない、格納容器から出さないということを今回非常に求めております。
では、それでも突破されて格納容器から出てしまった場合にどうするのかということについて、これを基準に書かなくていいのかというのは、これは委員会の場でも議論しました。私どもの判断としては、福島事故でああいう形の事故が起きましたけれども、やはりシビアアクシデントみたいな事故が次にどういう形の事故が起きるのかというのは、全く同じ事故はむしろ起きにくいだろうし、これをあらかじめ予測をするのはなかなか困難であろうということで、とにかく格納容器から出さないための対策はしっかり求めた上で、それでも出てしまったときのことまでを基準で書くのは不適切であろうと。これはそのときに、今回の福島と同様に外からの支援によって対応すべきものだろうという判断をしております。それが1点目です。
プールへの対策ですけれども、大事なのは使用済み核燃料プールにとにかく注水を続けるということで、通常の方法で注水が続けられないときのために可搬型の設備を使って注水をできるシビアアクシデント用の系統を1つ用意していただくことと、もう一つ、プールの底が抜けたときのことも想定しますと、水を入れても水位が上がらないと。こういうときのことも考えて、このときは水をためるというよりも、むしろ上からスプレーを大量にすることで少しでも損傷を和らげられるだろうということで、普通の注水系統に加えてスプレーをする系統ももう一つ追加をしていただくというようなことをプールについては強化をしております。
裕度についてですけれども、津波について、例えば基準津波がこれぐらいだと確定をしたときに、それのさらに何%してくださいというような意味での裕度の要求というのはございません。基準の考え方としては、まず基準津波をつくるに当たって、さまざまな不確定な要素があるときには、例えば断層の長さがはっきりしないとかそういうときには、必ず保守的な安全側の判断をして、基準津波のつくり方そのものに十分な裕度を持たせた安全側に立った津波の設定をしていただきたいというのがまず1つ。そこに裕度が含まれます。
さらに、基準津波に対して防潮堤でブロックをしていただくわけですけれども、それでも防潮堤を越えた場合もあり得るということで、そのために建屋について精密化を求めています。ここも、ある意味予想外のことに対する対応としてそういうことを求めています。それでも建屋の中に水が入ってシビアアクシデントになったときのために、シビアアクシデント対策を多層に求めています。こういう形での想定外への対応というのを今回とっております。
トータルの安全性、一つ一つの設備ではなくてトータルでどうかということです。ちょっと説明の中に入れておけばよかったのですけれども、こういう設備を入れていただいた上で、この設備が入った前提で例えば福島のように全交流電源喪失が起きたと仮定をして、それで事故を収束できるかというのをシミュレーションいたします。これは今回の全交流電源喪失というシナリオ以外にも、原子炉の中の配管が何らかの理由で真っ二つに割れたとか、幾つかシナリオを設定して、そういう事故が起きても収束できるかというのをシミュレーションすることになっていて、これは審査の中で非常に細かく確認をしております。そのときには、例えば電源車を持ってくるというときに、その電源車を誰が運転して、その運転に何分かかって、接続に何分かかってというのも訓練などの結果から出していただいて、そういう時間の前提で燃料は溶けないだろうかということを解析、コンピューターのシミュレーションを使ってやってというようなことを審査の中で確認をしていくことにしています。
今回の基準は設置許可の基準ですので、原発を動かす動かさないにかかわらず、設置をし続けるという判断をする限りはこの基準を守っていただく必要があります。それから、廃炉する場合は、このときは廃炉した原発については廃炉計画というのをそのときに出していただいて、我々はそこで認可をするのですけれども、この廃炉計画を認可するプロセスの中で、この基準のどの部分は必要とか、廃炉するからここのパートは要らないでしょうというのは、認可のときにしっかり評価をしていくという考えでございます。
○砂場議員
汚染水の話なのですけれども、一番最初にお聞きしたときには、要するに今まではシビアアクシデントが起こらないことが大事で、その上で考えられていた。だから今回起こったことを前提に想定しようというのが基本だという非常にいい考え方だとは思うのだけれども、今聞いたのだったら同じようで、シビアアクシデントを起こさないようにといって起きてしまった。今度は原子炉建屋の中に封じ込めて出さないようにしようといって起きてしまった。だからその対策についてはほかに求めましょうではなくて、この考え方を全部通すのであれば、汚染水、地下水だけではなくて雨水の問題も起こっているわけですから、それについても基準をつくるべきではないかという議論があってしかるべきだと思うのです。だから、考え方がそこだけ落ちているというか、一貫性がないように思えたのですけれども、それはどうなのでしょうか。
もう一つは、私たちはやはり島根原発がどうしても頭にあって、1号機は多分廃炉されるのかな、どうなるのかなとわかっていない状態だけれども、いまだに危険な状態はある。それに対して、今回の問題は新しい基準だからではなくて、その判断をするまでの間でも安全性が確保されなければいけないので、そこら辺はどういうふうに考えておられますか。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
汚染水の基準というところですね。具体的なイメージを描きながら議論すべきだと思うのですけれども、例えばですけれども、汚染水が出たときのために遮水壁を置くのか、あるいは水をためておくタンクをあらかじめ施設内に設置をしておくというふうに具体的に考えていきますと、そういうことが果たして次の事故で同じように必要になるだろうかというところに相当不確定性があるのではないかということで、そういうのはその事故の形態に応じて外部からの支援で対応すべきだろうと判断をしたものです。
それから、停止をし続ける前提でも基準を満たすべきだと。設置をし続ける限りにおいては、今回の基準を満たす必要があります。新基準が7月に施行されまして、今、我々は、基本的に出てきたものから審査をしていくという、当面こういう方法でやっていこうというふうに判断しております。一遍に50基同時に出されても、こちらも審査能力というものがありますので、出てきたものを順番に審査をしていきます。いずれかの時点で、もし審査が来ないときにどうするかと。廃炉にするのかもわからない。しかし、とめ続けた状態で申請も出てこないとなると、我々のほうから意向を確認して、場合によっては命令をかけるということもそのときに判断したいと思います。当面はまずは出てきたものを審査をしていくというスタンスで取り組んでおります。
○藤井議員
17ページを見ると、福島の現状は原子炉格納容器を破ってしまっているということで理解していいのですよね。(「はい」と呼ぶ者あり)
やはり安全規制ということからすると、安全が破られた後のことを考えないと、一体誰がここを考えるのかということが問題になっているのでしょう。その辺についての御意見がありましたら。
それと、世界一の安全基準と言いつつ、例えば活断層についても専門家の意見は必ずしも一致していない。そういうときに、疑わしきは罰するといいますか、そういった原則みたいなものはあるのでしょうか。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
破られた後の対応ということで、私どもの基準による対応と、後は防災として人々の避難ですね、こういった組み合わせで安全を確保するという考えがまずございまして、今おっしゃっている破られた後の対応は、むしろ収束をどうするかという議論かと思います。
こちらについては、今回と同じ形態の事故になるとは必ずしも言えないという、やはりそういう評価をしまして、その都度必要な資機材、その事故の形に応じた資機材を外から持ち込んで対応すべきだろうと。済みません、繰り返しですけれども、そういう判断でございます。
○藤井議員
事故について、あらゆる事故を想定しておきながら、その安全が破られたときの想定は一体誰がするのですか。そういうことは考えられたのでしょうか。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
繰り返しですけれども、破られたときに最後どういうふうに収束、あるいは除染も含めてどういう形で持っていくかというところまでは今回の基準に入れるのではなくて、そのときに発生した形態に応じて判断をしていこうという立場でございます。済みません、繰り返しです。
○藤井議員
活断層について、専門家の間でいろんな意見が分かれている。そういうときに、やはり再稼働のプレッシャーというものはありますね。そこをやはりきちんと押しとどめるためには、疑わしきを罰するといいますか、そういう原則がないと、ずるずるずるずる押し込まれてしまうのではないかという心配があるのです。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
私どもとしては、純粋に科学的、技術的に判断をしていきたいと思っております。それで、組織としては完全に独立して、5人の委員の合議で純粋に科学的、技術的に判断できる準備は整っておりますので、もちろん我々の中に迷いがあれば安全側の判断をとるということになると思いますけれども、そうする場合においてもしっかりと説明責任を果たす必要があると思っていますので、得られたデータに照らして、とにかく独立して科学的な判断をしていくということだと思います。今はそういう判断をしていると私は考えています。
○市谷議員
まず感想から言わせていただきますけれども、リスクはゼロにならないということを前提にしましてこういう基準をつくること自体が第二の安全神話をつくり出して、このままで許可するということは本来やってはならないというふうに思いますので、そのことを前提にしてお話しさせていただきます。
先ほど福島原発のことについてはまだ全て解明されていないと、それについてはこれから出てくるであろうというお話がありましたけれども、そうであれば、新しく出てくるものでもって判断されるべきだというふうに思いますけれども。今出しているものがベストではないわけですね。そのことは認めておられるわけですから、その点についてちょっと確認させてください。
コンピューターでシミュレーションされるとか言われましたけれども、そうではなくて、福島の場合も想定していたように、シミュレーションしていたようにならなかったということがありましたね。ですから、実地訓練をぜひ。これをやらないままコンピューターだけのシミュレーションというのはいけないと思うのですけれども、その辺はどうでしょうか。
先ほど外部からの応援ということを、消防車で放水したのだというお話もありましたけれども、とてもではありませんけれども、放射能がそこに蔓延している状況で入れないことを想定されているのでしょうかということもお聞きしたいです。
先ほどシビアアクシデント、事故が起きるという前提で、防災計画、避難だとかそういうこととセットでとおっしゃいましたけれども、今多くの自治体が避難計画や防災計画ができていないのです。できていないのに許可されるのでしょうか。その点についても確認させてください。
あと、フィルターつきベントですけれども、これは全ての放射性物質が排除されるのでしょうか。私が新聞で見るのではセシウムしか見ておりませんで、一部の放射性物質だけが軽減されるということでもって、あたかもこれで放射性物質が軽減されるというふうに言われているのかどうか、その辺についても確認させていただきたいですし、このフィルターつきベントをつなぐ管ですね、ここにうまく放射性物質が流れてフィルターで除去されるというか、軽減されるというふうに言われるのですけれども、この管が切断されたりとか、そういうことについては想定されているのでしょうか。それも確認させていただきたいというふうに思います。
◎野田議長
皆さん、新基準についての説明でお越しいただいていますので、そこに関連した質問でお願いをしたいと思います。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
基準について、今がベストということでは全くございませんで、私どもはどこかで安全性に満足をしてしまうことが安全神話の始まりだと思っておりますので、この基準をさらに今後とも継続的に高めていかなければいけないと、そういう前提に立っております。
実地訓練は当然審査の中で確認いたします。例えばですけれども、電源車をつなぎ込むのに何分かかりますと電力会社が審査の中で言っていることについて、実際に彼らが訓練をした実績に基づいてそういうことを言ってきているのがまず前提になりますし、私どもも現地調査、場合によっては複数回行って、それが現実的かどうかというのは審査の中で、コンピューターシミュレーションだけではなくてしっかり見ていきたいと思っております。
事故が起きたときに、外部から支援したくても放射線が蔓延して入れないのではないかと。これは、基本的には作業員の被曝限度というのがありますので、その被曝限度を守る範囲の中で何ができるかと、被曝限度は守りながら必要な対応をとっていただくということでございます。したがって、もしある場所が蔓延して入れないとなれば、そこに入らない中で、ではどういうことができるかということを求めるものでございます。
今回の設置許可と避難計画との関係です。これは、制度として今回の私どもの設置許可の出てきた申請の判断というのは、あくまでオンサイトといいますか、電力会社の設備、あるいはシビアアクシデント対策ができているかと。これをもとに施設の安全性を判断するものでございますので、法律上の整理としては、避難計画を加味して許可を取り消すとか、そういうことにはならないものです。
ベントで全てのものを取れると申し上げているつもりはございません。粒子状のものであっても、もちろん取れるといっても100分の1とか1000分の1とか限度はありますし、それから、希ガスとかはベントでも水をくぐっても取れませんので、そういう意味では、そこも完全にゼロにできると申し上げているつもりではありません。
管が切断される可能性、これは地震などによってフィルターベントの今回のシビアアクシデントのための設備というのは耐震Sクラス相当という要求にしていまして、基準地震動に対して耐えられるということを審査の中で確認をしております。したがって、管が切断してしまうような設備ではないということを審査の中で見ていくことにしています。
○銀杏議員
基準津波と基準地震というのですか、おっしゃいましたけれども、両方とも敷地の下の断層が動いたときの最大の想定の津波であり地震だというふうにお聞きしたのですが、近傍でそれ以上の大きな地震なり津波が発生したとき、そうしたものは今回の想定には入れていないのかどうなのか、入れるべきではないかと思うわけですけれども、その点をお聞きしたいということと、原子力建屋の設置については書いていないのですね。免震構造というのが一時言われておりましたけれども、免震構造にする必要があるのかどうなのか。島根原発は直接岩盤に打ち込んだ構造になっているのですけれども、これは大丈夫なのかということと、運転期間の延長認可制度というのが最後に出てまいりました。これは基準ではなくて制度というふうになっておるのですが、これについて、現状この制度を使っていくのだと、のっとって考えていくのだということだとは思うのですけれども、これについての見直し等の話は規制庁の中ではありませんか。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
活断層は、敷地の中だけではなくて敷地の周辺も考慮することが前提です。したがって、敷地の離れたところの断層が動いたときに、そこからどういう津波が来るかということとか、そこが動いたときの揺れがどれぐらいになるかと、これも当然考慮することを求めています。
建屋について、必ずしも免震を求めているものではありませんので、直接岩盤に設置したがちっとしたものをつくっていただいて、要求としては基準地震動に耐えられればよいということです。
運転認可延長制度。この制度そのものは法律に書かれておりまして、これは国会で当時の自民、民主などの協議の結果まとめられた法律でございます。私どもとしては、この法律に従って規制を実施していく立場ですけれども、現時点でこれを変更しようとかいった考えは持っておりません。
○森議員
シビアアクシデント対策をこれまでは事業者任せにしていたものを今回入れたのだということなのですけれども、先ほどの質問の中から、シビアアクシデントというのはどういったものを想定してシビアアクシデントなのか、今回の福島原発の事故を上回るようなアクシデントを想定しているのか、今のお話だと福島原発の事故よりももうちょっと小さい事故を想定しているのではないかと思われるような節なのですね。どういったものを想定しているのかということ。
2点目としては、7月にこの基準は施行されたわけですけれども、その後、地下水の汚染水の問題が大きくなってきたのです。先ほどのお話からいくと、格納容器の中にとにかくおさまるようなことだと。だから、外に出たときには次の段階で、外からの支援でまた何とかするのだみたいな話なのですけれども、錦織議員の質問にあったように、事故の原因がはっきりしていない、それからどういったことになったのかということがまだわかっていない。そういうことによって基準をつくったことによって、地下水汚染水の問題というのが規制から外れていっているのではないか。新たに出てきたこういったことには、規制基準をどんどんどんどん変えていって新たな基準を加えていく必要があるのではないか、そういったことをお願いします。
あと1点、20ページですけれども、特定重大事故等対処施設ですが、これが5年の猶予がありますね。この5年の猶予というのは何なのか。要するに、シビアアクシデントというのはいつ起こるかわからないものなので、それに対処するための基準であるはずなのに、5年の猶予があるというのはどういう意味なのかお尋ねします。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
まず、今回の想定は福島より小さいというようなことは全くございませんで、まさに福島で起きたようなことを念頭に置いて基準をつくりましたし、私どもの審査の中でも、ああいう状況に至ってもとめられるかと、至る前にとめられるかということを確認をしていきます。したがって、炉心が溶けてしまうような、溶けかねない状況でそれをとめられるか、あるいは格納容器が壊れかねない状況でそれをとめられるかと、まさに福島で起きたような状況、それからそれ以外の状況も入っておりますけれども、それらを処理できるかというのを確認をしていきます。
原因がはっきりしていないというところですけれども、国会事故調などで問題にされているのは、津波でいろんなものが影響を受けているのは明らかなのですけれども、その前に、そもそも地震でもしかして何か壊れたものがあるのではないかと。彼らがそう言っている根拠の一つとして、福島原発で耐震補強が完了していなかったということが一つの論理になっております。それで、では本当に津波が来る前に地震で設備が壊れたものがあったのかどうなのか、ここの分析を我々続けておりますけれども、結局、ほかの原発で同様のことを防ぐ地震への対応としては、地震の想定をしっかりと厳しくした上で、それに対して耐震補強をすると。方向性はそういうことになると思っておりまして、福島では補強が終わっていなかったわけですけれども、今回の基準では地震に対してしっかりと補強していただくことが前提になりますので、そうしたことで地震への備えがカバーされるのではないかというふうに思っております。
5年猶予の件ですけれども、これは説明の中でも申し上げましたが、まず施行の時点で既にある機能は確保した上で、それのバックアップとしてもう一個追加してもらうようなものについてのみ5年間の間に適合するようにということを求めております。9・11で起きたような航空機テロへの備えとしては、そういうことが起きたときにまず可搬型設備で対応できるようにということは7月の時点で求めた上で、それを求めた上でさらに据え置き型の設備も追加して持ってくださいという要求、それから、直流のバッテリーも2系統は7月に持っていただいて、さらに3系統目ということで、あるもののさらに上乗せということについてのみ5年間の間に適合を求めるという考えをとっております。
○興治議員
まず16ページですけれども、弁を解放して減圧するということが書かれているのですが、これは可搬式電源等によりということなのですけれども、可搬式電源がきちんと接続できるかどうかというようなことについての基準といいますか、それで仮に可搬式電源が接続できない場合、電源なしで人力で解放するとか、そのような対策もされているのでしょうか。
18ページですけれども、格納容器が損傷して格納容器外に核燃料物質が出てしまったという場合の対策は屋外放水設備の設置ですよとなっているのですけれども、これで放水をして、その水の処理。今、福島の場合はどんどん海に流れていってしまうというような格好になっているのですけれども、そこの基準というのが必要ではないかと思うのですけれども、そのあたりはどうでしょうか。
それと、先ほどから格納容器内にとにかく閉じ込めるのだと、そのための規制基準であるということで、今福島で起こっているのは格納容器外に出てしまって、それが地下水に影響を及ぼしているということですね。先ほどから聞いていると、安全基準についてはその都度の知見に基づいて基準を強化していくのだというお話なのですけれども、格納容器外に出てしまったときに、新たにこういった対策をとらなければならないというような基準を今後つけ加えていかれるのかどうか。それと、現状、原子炉建屋内の地下水の状態がどうなっているのか、そういったことを調査して報告してもらうというようなことが義務づけされているのでしょうか。
●田口原子力規制庁技術基盤課課長補佐
まず、電源車が接続できるかと。これは先ほどもお答えしましたけれども、電源車がどこに置いてあって、それを誰が何分に運んで、当然接続の訓練も事前にすることが求められますので、実際にできるかどうかというのは審査の中でしっかり見てまいります。
電源が仮になくなってもということで、例えば先ほど申し上げた圧力を逃すための弁をあけるための操作などについては、電源なしでもできるようなことを基準として要求しています。
外からの普通の電源がなくなっても、従来は30分でしたけれども、24時間はバッテリーでつなげるようにということを求めておりますし、中の非常用ディーゼル発電機も外からの支援なしで7日間発電を続けられるようにというのが要求になっておりますので、時間稼ぎの部分の容量を相当に求めた上で、現実的にその間に電源車とかそういうものを接続できるだろうかということは審査の中で見ていこうと思っています。
放水した後の水の処理ということで、これは基準の検討のときに議論していまして、放水をした水はどうなるのですかと。これについては、その水が外に出ていかないようなことは基準として求めようということになりまして、一例としては、審査の中で、関西電力などは放水した水が海に出ることをブロックするために海中のカーテンのようなものを、シルトスクリーンといいますけれども、そういうものを設置しますとかというようなことを言ってきています。これらも実効的な対策がとられているかどうかは審査で確認していきます。
今回の福島の状況を踏まえて、汚染水に関連した基準をつけ加える予定があるかどうかと。 基準については不断に見直しをしていくというのが基本ですので、この基準で安全で今後は何も加えませんということでは全くありませんので、今回の福島を踏まえて、やはり何か入れるべきではないかという判断になれば、入れる余地はあると思っています。
ただ、我々が今回の基準に足りないものとして、課題として幾つか特定をしているものが既にあるのですけれども、その中には現時点で入っておりませんけれども、それを排除するものでは全くありません。
地下水が通常の運転でどうなっているかということについては、設置の審査のときに汚染水が出ると福島みたいな問題になるのですけれども、通常は地下水で何が問題になるかというと、建屋よりも地下水の水位が高かったりすると、浮力が発生して建屋の安定性が損なわれるというところが問題になりますので、地下水によって浮力で地盤の安定性が損なわれないかということを審査の中でチェックするというのが通常やっていることでございます。
◎野田議長
時間が参りましたので、これで終了させていただきたいと思います。
田口様、庄司様には新基準についての説明、ありがとうございました。また、議員の皆様方には真剣な質疑、御意見等、本当にありがとうございました。
以上で、議員全員協議会を閉会いたします。御苦労さまでした。
午前11時38分 閉会
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