平成25年度議事録

平成25年8月28日会議録

 開催概要、資料はこちらです。
出席者(8名) 委員長
副委員長
委員

伊藤 保
福田 俊史
坂野 経三郎
錦織 陽子
濵辺 義孝
野田 修
山口 享
横山 隆義

欠席者(1名)
小谷 茂 
 

傍聴議員 銀杏議員、国岡議員

説明のため出席した者
  日野障がい福祉課長、足立特別教育支援課長、関係職員

職務のため出席した事務局職員
  村中課長補佐 中倉係長 西村主事

1 開会 午後3時00分

2 閉会 午後4時15分

3 司会 伊藤委員長

4 会議録署名委員 山口委員 濵辺委員

5 付議案件及びその結果
   別紙日程表及び下記会議概要のとおり

 


会議の概要

                                午後3時00分 開会

◎伊藤(保)委員長
 ただいまから福祉生活病院常任委員会を開会したいと思います。
 本日の日程は、お手元の日程のとおりでありますので、この順次に従って議事を進めさせていただきます。
 初めに、会議録署名議員を指名いたします。
 本日の会議録署名委員は、山口委員と濵辺委員にお願いしたいと思います。
 それでは、議題に入ります。
 本日の議題は、鳥取県手話言語条例(仮称)の条例案及び関連予算案についてであります。
 本条例に関しましては、これまでの常任委員会におきまして、鳥取県手話言語条例(仮称)研究会の検討状況やパブリックコメント等の実施結果について報告をいただいたところでありますが、本条例案を9月議会に上程される予定であることから、所管常任委員会として、本条例案及び関連予算案の内容について、事前に情報を得ておくべきものと考え、本日の常任委員会を開催するところであります。
 次に、委員の皆さんにお諮り申し上げたいと思います。
 本日は、委員外議員の方にも御参加いただいておりますが、委員の皆さんの質疑等が一通り済んだ後、委員外議員の皆さんにも発言を許可することに御異議はございませんか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
 御異議はないものと認めますので、委員外議員の皆さんで発言を希望される場合は、私の指示の後、挙手をしてから発言していただきますようお願い申し上げます。
 それでは、執行部におかれましては、簡潔明瞭な説明をしていただきますようお願いいたします。
 なお、質疑につきましては、説明終了後一括して行っていただきたいと思います。
 それでは、議題、鳥取県手話言語条例(仮称)の条例案及び関連予算案について、日野障がい福祉課長の説明を求めます。

●日野障がい福祉課長
 障がい福祉課長でございます。
 それでは、お手元の資料をお開きいただきまして、1ページをごらんいただければと思います。下の手話言語条例制定に向けた取り組みとして、これまでの経緯を若干御説明させていただきます。
 2008年の将来ビジョンにおきまして、鳥取県では手話をコミュニケーション手段としてだけではなくて、言語として位置づけております。2009年11月にあいサポート運動が開始された中で、手話の取り組みについても取り組んでいるところでございます。そして、2012年6月からは議会の本会議中継で手話通訳を入れていただいております。こういったことが相まって、鳥取県は聾唖の方々から手話に対する取り組みが進んでいる県だと評価いただいていたところでございます。
 聾唖の方々は手話言語法案をつくりたいということで、国会に対する活動をされていたところでございますが、なかなか進まないことから、ことし1月に平井知事のところにろうあ連の方が来られて、手話言語条例をつくってほしいと要望されたところでございます。4月になりまして、日本財団からも協力表明がございましたので、そこから手話言語条例の検討を開始したところでございます。そして、6月、7月に研究会などを開催しながら、8月に取りまとめを行い、パブリックコメント等の手続を先般行ったところでございます。
 続きまして、2ページの上をごらんいただければと思います。手話言語条例の意義を書かせていただきました。
 この手話言語条例の関係を説明していて個人的に思っているのが、聾の方々の状況をお伝えするのがなかなか難しいところがございます。それで、聾の方々が置かれている状況は何かをヘレン・ケラーの有名な言葉からとらせていただきました。まず1つ目は、彼女は、耳が聞こえないことは人と人とを切り離すと言っております。それともう一つ、私たちの静けさは疲れている神経を休めてくれる静けさではないのです。他人との交渉を無残にも完全に隔離するところの静けさなのでありますと言っております。
 こういった聾の方々の抱える困難というのは、聾の方々はぱっと見、外見から障がいがあるようには見えないところもございますので、理解されにくい状況でございます。ただ、聾の方々も言語をきちんと習得して、その使いやすい環境が整備されないと、どうしても人と人を切り離す状態ですので、地域の中で孤立した存在になってしまうという問題がございます。このため、聾の方々が手話を習得して手話を使いやすい環境の整備が必要だと考えております。そのためには、手話に関する県民、事業者、聾者、行政等の関係者が協働した幅広い取り組みを推進していく条例が必要なのではないかと考えているところでございます。それは、県で進めていますあいサポート運動のより実践段階への進化と位置づけられるのではないかということでございます。
 その下に、ポイントを何点か書かせていただきました。
 手話言語条例のポイントの1つ目ですが、まず、手話を言語として正面から認めると、その上で、手話が使いやすい環境整備を進めていこうというのが1つ目のポイントです。
 2つ目は、県だけではなくて、県民、事業者の方、聾者といった方々と関係機関がそれぞれ役割を担って協働して取り組みを進めていこうということでございます。
 3点目は、福祉だけではなくて、教育も含めた幅広い分野で取り組みを進めていこうということでございます。
 4点目、こちらは障害者計画の中にしっかりと手話を位置づけて、総合的、計画的に取り組みを進めていこうということでございます。
 5点目は、外部機関を設置させていただいて、PDCAサイクルを回していきたいということでございます。
 6点目は、圏内の関係者、全日本のあろう連、それから日本財団といった方々に協力いただいて、研究会で検討させていただいた報告書をベースにつくっていると。
 7番目として、全国初の条例だということがポイントかと思います。
 それで、手話言語条例の中身につきましては、6ページをごらんください。こちらは、まだ最終的な決裁を受けていない現時点のものという前提でお聞きいただければと思います。
 この手話言語条例の案でございます。こちらの位置づけとしては、手話に関する基本条例という位置づけで考えております。それで大きく3つに分かれておりまして、総則、手話の普及、手話施策推進協議会でございます。
 最初に前文が書かれております。これは報告書でかなり長く書いておりましたけれども、コンパクトにさせていただいて、聾の方々を取り巻いてきた歴史、鳥取県の状況を書かせていただいております。前文の最後のところです。手話が聾者と聾者以外の者とのかけ橋となって、聾者の人権が尊重され、聾者と聾者以外の者が互いに理解し共生する社会を築くため、この条例を制定すると、これが前文の一番の肝でございます。
 それで、第1条以降でございます。ポイントだけ申し上げますと、まず、目的でございます。第1条、手話が言語であるという認識に基づくということで、まず手話を言語として位置づけております。その次に、手話の普及に関して基本理念を定め、関係者の責務及び役割を明らかにする。それと手話の普及のための施策を総合的、計画的に推進するための基本的事項を定めると。このことによって、共生社会を築いていくことがこの条例の目的でございます。
 次に、手話の意義ですけれども、手話は、独自の言語体系を有する文化的所産であって、聾者の方々が大切に受け継いできたものだと書かせていただいています。
 3条でございます。基本理念として、手話の普及は、聾者と聾者以外の者が相互に違いを理解し、その個性と人格を互いに尊重することを基本とするということでございます。
 4条から6条にかけましては、県及び関係者の責務や役割を書かせていただいています。
 4条は県の責務ですけれども、4条の第1項、県は、云々かんぬんと書いてありますが、最終的には1項の最後、手話を使用しやすい環境の整備を推進するということが役割でございます。2点目、県は、聾者及び手話通訳者の協力を得て、手話の意義、基本理念に対する県民の理解を深めるということ、この2点が県の責務でございます。
 県民の役割は3つに分かれています。まず、一般県民の方は、手話の意義、基本理念の理解に努めると。2項は、聾の方々です。手話の意義、基本理念に対する県民の理解の促進、手話の普及に努めるということで、聾の方々にも県の施策に御協力いただいて、手話及び聾の理解促進に努めていくということでございます。3項は手話通訳者ですけれども、こちらは聾者の方々と同じように、理解の促進、手話の普及に努めることを書かせていただいております。
 6条に民間事業者の方々の役割です。聾者が利用しやすいサービスを提供する。例えば障がい者のサービスなり、あとは小売店やレストランのいろいろなサービスがございますが、この部分を指します。それと、聾の方々が働きやすい環境の整備ということで、働くという場面における努力義務を書かせていただいております。
 次に、第2章、第7条以降ですけれども、こちらが施策に関する規定の部分でございます。
 第7条は障害者計画の中で、手話に関する施策を定めて、総合的かつ計画的に推進するということです。2項に、この施策を定めようとするときは、手話施策推進協議会の意見を聞くという手続を書かせていただいています。3項に、実施状況の公表と不断の見直し規定を書かせていただいています。
 8条は、県が行います手話を学ぶ機会の確保ということで、まず、あいサポート運動の推進、手話サークル、その他県民が手話を学ぶ機会の確保をすることが1点目。2点目としては、手話に関する学習会などを行い、県職員が手話を学習する取り組みを推進するということでございます。
 9条ですけれども、こちらは情報発信です。第1項は、県は手話を用いた情報発信に努めるということでございます。あと2項として、聾の方々が手話をいつでも使えて、手話による情報を入手できるように手話通訳者の派遣、聾者等の相談を行う拠点の支援を行うということでございます。
 10条は、県は、市町村と協力して、手話通訳者及びその指導者の確保を養成、手話技術の向上を進めていくという施策規定でございます。
 11条は、学校教育の場面における施策です。1項は聾児が通学する学校の設置者、こちらは聾学校と一般の小・中学校の難聴児学級を想定しています。この設置者、県及び市町村になりますけれども、手話を学び、手話で学ぶことができるように、教職員の手話技術の向上のために必要な措置を講ずるように努めると。第2項ですけれども、こちらも聾児が通学する学校の設置者ですけれども、聾児及びその保護者に対する学習の機会の提供並びに教育に関する相談、支援に努めるということ。3項は、一般の小・中学校の難聴ではない子供たちに対する手話の普及ということで、学校教育で利用できる手引き書の作成その他の措置を講ずるを書かせていただいております。こちらは、いきなり学校教育で手話をやるのはなかなか難しいので、そういうのが普及するように手引き書をつくるということを書かせていただいています。
 次に、12条は事業者への支援ということで、先ほど第6条で事業者には努力義務がかかっておりますけれども、それを後押しするということで、サービス提供と働きやすい環境整備のための取り組みに必要な支援を県が行っていくという規定を書いております。
 13条は、聾者及び聾者の団体が自主的に県民に対する普及活動に努めていただくということでございます。
 8ページでございます。14条、手話に関する調査研究でございます。手話はかなり方言といいますか、鳥取県には鳥取県独自の手話がございますので、そういったものが維持、発展するように調査研究を関係者の方々にしていただいて、それに対して県は協力していくということでございます。
 15条、財政上の措置ということで、県は必要な財政上の措置を講じますということでございます。
 第3章、16条以降は手話の施策推進協議会に関する規定で、組織、人員、あと委員の任期、会長の定め方といった手続的な規定を設けております。
 最後に附則の部分ですけれども、この条例は何か特別に規制をかけるというよりは、手話の普及を促進していくという側面がございます。ですので、公布日から施行するという形で実施してはどうかということでございます。
 また資料の3ページに戻っていただきまして、3ページの下の部分でございます。まだ最終的には決定されておりませんが、9月補正予算で担当部局として今要求している予算でございます。
 大きく分けて5つに分かれています。まず1つ目、普及啓発の関係で、手話言語条例が成立をした暁には、例えば県民に対してのシンポジウムやDVDなどの広報関係経費を要求しております。
 2点目は環境整備ということで、これはモデル的な事業ですけれども、ICTによる遠隔手話通訳サービスモデル事業と書かせていただいています。これはタブレット端末を使いまして、テレビ電話で遠隔地でも手話通訳を使えるサービスをモデル的にやってはどうかという事業でございます。テレビ電話を使った遠隔地の手話サービスはあるのですけれども、それをタブレットにすると聾の方がどこに行っても使うことができるということで、全国的にも例がないので、まず、こういうものができるのかどうか、モデル的にやらせていただきたいということで予算要求しております。次に、県民に対する手話の普及ということで、簡単な挨拶や自己紹介などから入れるように、ミニ講座的なものや地域の手話サークルに対する支援を行うことを考えています。あと3点目として、行政の窓口職員向け、県の職員、市町村の職員が手話に親しんで学んでいただくための手話講座の開催を考えております。
 3点目として、教育面における環境整備でございます。こちらは、聾学校における教職員の手話技術を向上させるための手話研修会の参加の支援なり、あとは県民に対する手話の普及という意味も込めまして、例えば聾学校と一般の学校との交流学習を促進したり、あとは一般の学校で手話に関する取り組みを進めるための手引き書を検討するための経費を要求させていただいているところでございます。
 4点目として、事業者への支援ということで、聾の方々を例えば雇っていただく、あと聾の方々が利用されているサービスの事業所が手話学習会などを行う際への支援を盛り込もうと思っています。
 5点目に、手話を用いた情報発信といたしまして、まず、平井知事の定例記者会見のインターネット中継で手話通訳を入れてみてはどうかと考えているところでございます。
 現段階では、総額2,211万円余りでございます。ただ、日本財団から8割ぐらいの助成が得られる見込みでございます。あと、これ以外にも、例えば聴覚障がい者の支援をするための拠点をつくろうという話もございます。ただ、これは市町村も絡みますので、予算的には来年度の当初予算になるかなと思っています。ですので、こういった来年度の当初予算でも必要な予算を計上していきたいと考えているところでございます。
 最後に、4ページでございます。今までつらつらと説明させていただきましたけれども、では、これによって具体的にどうなるかを簡単にイメージしていただくために資料をつくりました。
 手話言語条例が、仮に成立して施行されることになりますと、まず、地域におきましては、手話を学べる機会かふえてくると。次に、聾の方々にとっては、手話を使いやすい環境が整ってくるということになります。
 学校におきましては、聾の子供たちが手話を学んで、手話で学習していく取り組みが進んでいく。そして、聞こえる子供たちも含めて、全ての児童生徒が手話を学ぶ機会がつくられていくということでございます。
 あと、左下でございますけれども、県と市町村が手話による情報発信を進め、職員が手話を学習する取り組みを進めていくと。また、必要な財政支援も行っていきますと。
 事業者におきましては、聾者が働きやすい職場環境が整っていくと。それと、聾の方々が利用しやすいサービスを提供していくということで、聾の方々が日常生活に困らない形の地域社会をつくっていきたいと考えています。
 こういった取り組みを進めることによって、4ページ目の下のところでございますけれども、聾の方々が手話を獲得して、より多くの県民の方が手話を学んでいただいて、聾の方々とコミュニケーションを図り、同じ地域に暮らす友人として幸せに暮らしていける鳥取県をつくっていきたいと、こういうイメージで手話言語条例及び補正予算案を考えているところでございます。
 説明は以上でございます。

◎伊藤(保)委員長
 それでは、ただいまの説明につきまして、委員の皆様方から質疑等はございませんか。

○山口委員
 一つ。この鳥取県初だということですけれども、この日本財団からの補助が予算の8割ぐらいだということですけれども、なぜ全国的に進まなかった要因はどこにあるのか。この財団そのものの組織運営は、どういうものを対象にして……。

●日野障がい福祉課長
 一つ目の手話言語法案が国会で進まない理由ですけれども、多分、要因はいろいろあると思います。まず、手話言語法案の目的として、言語という位置づけであるということと手話の環境整備がありますが、言語という位置づけであれば文部科学省、一方の手話の施策という面では厚生労働省じゃないかという話もあり、他省庁にまたがってしまうという面が一つあると思います。
 それと、今、国のほうでは、障がい者の施策につきましては総合支援法の改正があったりして、障がい者のサービス全体の話をかなり優先してやっています。ですので、なかなか手話言語法というような……(「特化したもの」と呼ぶ者あり)特定的なものの検討が余り進んでいない状況ではないかと思っています。
 あと、日本財団の関係でございますけれども、日本財団は全日本ろうあ連が手話言語法案を制定するために取り組みを進めていて、そこに対していろいろな支援を日本財団が行っております。その中で、鳥取県が手話言語条例を検討するという話に対し、日本財団のほうから鳥取県に対して調査、研究に対する支援と必要な施策について支援させていただきたい、全面的に協力させていただきたいという申し出がことしの4月にありました。今の予算に対する補助にもつながっているところでございます。

○山口委員
 わかりましたけれども、突破口を開くことには大きな意義がありますけれども、この日本財団の財源はどこから来ているのか。

●日野障がい福祉課長
 日本財団の財源までは承知しておりませんので、調べさせていただきたいと思います。

○山口委員
 といいますのは、これが突破口になって、国会でなかなか法案が通りにくいという形になりますと、財団ではなく、やはり国の施策の一つとして厚生労働省がきちんと位置づけして対応する必要があるのではないかと思っております。突破口を開くことはいいことだと思いますけれども、この財団そのものの財源には限界がありますので。どういう形で財団の運営がなされておるのかなと思いますが。

●日野障がい福祉課長
 財源については調べさせていただいて、資料をお届けさせていただければと思います。
 あと、国の施策として位置づけるべきという御意見だったと思いますが、私どもとしても、将来的にはそうなっていくべきだろうと考えております。まず、県として手話言語条例が成立できたら、国に対して所要の財源措置なり制度化なりをしっかりと求めていきたいと考えております。

○山口委員
 次ですが、6ページに総則がありますけれども、ここに目的と基本理念とありますね。どちらを優先しているのか。そこに書いてあるのは、最初に理念が書いてあって、それから目的が書いてあるのですよ。目的と理念の順序ですけれども。

●日野障がい福祉課長
 通常の条例の場合、第1条に目的を持ってまいります。それは、この条例が何をしたいのかを明らかにするためでございます。基本理念につきましては、これは条例のタイプによって置くものと置かないものがあるかと思いますけれども、第3条のところで、手話の普及におきまして聾の方と聾者以外の方の相互の違いを理解した上で、お互いに尊重する、わかり合うことを基本に手話の普及を進めなければいけないということで、手話の普及に関する一番の考え方を書かせていただいたところでございます。もしかしたら、1条と3条が少しごちゃごちゃして見えるかもしれませんが、3条はあくまで手話の普及の基本的な考え方を書かせていただいたと。1条は、この条例の目指すところを書かせていただいたと御理解いただければと思います。

◎伊藤(保)委員長
 そのほかございませんか。

○野田委員
 まず、鳥取県が全国初の手話言語条例を制定されようとすることが新聞に掲載された関係で、私の住んでいる国府町にそういう学校がありますことから、近所の方々も、本当にきちんとやっていただけるものだろうか、ありがたいことだなという話がありました。まず、それはお礼を言いたいと思います。
 きょうの説明の中で疑問に感じたのが、ヘレン・ケラーの言葉を利用しながら、その言葉こそ意義として認めながらも、タブレットでテレビ電話をというお話がございました。聾の方がテレビ電話というのは可能なことなのだろうかと、素人な疑問ですけれどもお答えいただきたいと思います。
 県内については、先般の説明の中でも、日本語や英語も弁論大会があるように、一般の方々でも手話の弁論大会を開催するようになればすばらしいなというお話がございました。ところが、たまたま鳥取県発のハートフル運動がございますね。これが全国になかなか広まりにくかったものの、やっと広まりつつある。では、この手話言語条例を鳥取県が初めて制定しようとなさるのだけれども、全国的にはどのような形で進めていかれるのかを教えてください。

●日野障がい福祉課長
 まず、テレビ電話につきましては、例えばタブレット端末、このくらいの端末ですね。これにカメラがついていて、オペレーターのほうのパソコンなどにカメラがついていて、画像が映るという形になっています。テレビ電話であれば、手話をこういうふうにやることによって、オペレーターの方と聾の方が意思疎通ができることになります。逆に、テレビ電話でないと手話通訳者が聾者の横にいて、その人の手話を見ながら手話通訳者が話をするという形になるので、その手話通訳者がそばにいないといけないことになります。ですので、テレビ電話を使うことによって、手話通訳者の方が隣にいなくても、聾者がふらっと行った銀行でたまたま手話通訳が必要になった場合に、テレビ電話を使って手話通訳による意思疎通ができることになります。
 あと、全国展開につきましては、今の状況を申し上げますと、全国的に手話言語条例なるものをつくろうとしているのは、都道府県レベルでは鳥取県のみでございます。市町村レベルでいいますと、北海道の石狩市が今検討作業をしているところでございます。
 全日本ろうあ連としましては、鳥取県が制定したら、それをいろんな県に普及していきたいお考えをお持ちだと聞いておりますので、私どもとしても関係する団体といいますか、例えば連携してあいサポートをやっていただいている県などに対して働きかけしていきながら、まず、手話条例を都道府県でもより多く策定していただくと。その上で、国に対しても必要な要望をさせていただいて、最終的には手話言語法がつくられることが一番ベストだと思いますので、そういったふうに進めていくことが必要かなと思っております。

○野田委員
 理解しました。
 次に、そのタブレットの話に移りますけれども、2,211万円という予算を9月補正で要求しておられるものの、聾の方々がタブレットを持つための費用が必要だと思いますが、そういうところまできちんと見てあるものなのかどうか。企業やいろんなところに行けば、それは当然そこにはありますから心配ないのでしょうけれども、皆さんにそれを提供できるだけのものがあるのかどうかが心配でありますので、そのことについてお答えください。

●日野障がい福祉課長
 今、ICTでやろうとしているモデル事業ですけれども、まず、きちんと使われるのかといったところも含めた政策効果を検証させていただいて、実効性があるということであれば制度化するイメージでおります。あくまでモデル事業でございますので、利用していただく聾の方々に対しては、それなりに支援する必要があると思っています。ですので、リースという形にするのか、購入費助成という形にするのかはありますけれども、そういった端末の購入もしくはリースも含めて予算措置したいと考えております。

○錦織委員
 それでは、何点か質問したいと思います。
 私が聾唖団体の方とお話しさせてもらうようになったのは県議会議員になってからでして、余り県内の実態を知らなかったのですけれども、聾唖者が鳥取県内で何人くらいおられるのかをお聞きしたいです。それから小・中学校にある難聴者の学級には、どのくらいの子が通学しているのかを教えてください。
 この3ページ目で交流学習もしたらということですけれども、現状は全くないのか、やられているのかもお聞きしたいと思います。
 言語条例のポイントの2ページの(5)で、外部機関を設置するというのは、この条例の一番最後のページで、手話施策推進協議会のことを指しているのかどうか確認させてください。
 聾唖団体の方とお話ししたときに、西部はふくろうのコミュニケーション対応がきちんとしてあるので、病院に行ったりするときも費用の部分で非常に助かっていると聞いていますけれども、例えば東・中部の方が鳥取の医大に診察に行ったりするときに、実費を払わないといけないため非常に大変だと聞いたりしたことがあるのですが、例えばそういうことが条例によってどの程度解消されるかなと思うのですけれども、どう考えておられるのかを教えてください。

●日野障がい福祉課長
 まず最初に、聾唖者の方の実態として、どの程度いらっしゃるかでございます。まず、県内の聴覚障がいの方について、聾以外の難聴者や中途失聴者も含めてですけれども、大体3,000人ぐらいいらっしゃいます。その中に、高齢者になって耳が聞こえなくなる方も含めてです。ただ、実際に聾の方が何人いるのかですけれども、これはあくまで見込みだと考えていただければいいと思いますが、大体600人ぐらいではないかと考えています。というのも、身体障害者手帳をお持ちの方でも、例えば1級や2級によっても聾の方が入るケースもあるし、難聴の方が入るケースもあるので、その手帳所持者の数だけでは聾の方の数を正確にはじき出すことができません。恐らく県といたしましては、大体600人ぐらいいらっしゃるのではないかと考えております。
 次に、外部機関が協議会を指すのかというお話でございます。5番の外部機関を設置しというのは、手話施策推進協議会のことを指すと御理解いただければと思います。
 あと最後に、西部の方々はいいのだけれども、東部、中部の……(「どういうわけが」と呼ぶ者あり)それはちょっと、では……。東部の方々が医大に行くときに手話通訳者がという話でございます。それで、今の状況を申し上げますと、県内では中部と西部の市町村は一括してふくろうに委託していますので、統一的な取り扱いが行われております。ただ、東部のほうは市町村によってまちまちでございます。ただ、この手話言語条例にも若干絡みますけれども、今、東部、中部、西部、各地圏域に聴覚障がい者の支援センターを設けようと思っていまして、市町村や関係団体と調整中でございます。そこで、東部の市町村も一括して委託する形にできないかなと思って調整中ですので、そういうふうになれば、そこの格差はなくなる方向に進んでいくと考えています。実際に今やりとりもそういう感じになりつつありますので、そういう方向で進めたいと思っています。

●足立特別支援教育課長
 特別支援教育課です。
 今の児童生徒の状況について、お答えさせていただきます。
 聾学校の生徒につきましては、小・中・高校を合わせて36名でございます。これは鳥取市にあります本校と米子市にありますひまわり分校を合わせての数字でございます。それから、市町村の難聴学級に通っておられる方の状況でありますけれども、小学校につきましては10校で
12名の児童、中学校は4校で4名の生徒が難聴学級に通っておられる現状でございます。
 交流の状況でございますけれども、聾学校における交流の状況としましては、今、小学部で本校と分校を合わせまして、小学校と2つの学校で交流しております。具体的には八頭郡の隼小学校と米子市の福生西小学校とで交流しております。それから、中学校1校と高等学校1校ということで、国府中学校と岩美高校と交流しているところでございます。

○錦織委員
 そういう交流というのは学校の先生が特別に関心などがあって交流しているのか、それとも指定校みたいなことになっているのですか。

●足立特別支援教育課長
 個別の学校の先生が関心があってということでもございますし、あとはその地域の出身のお子さんがいるために交流しているところでございます。

○横山委員
 5ページで口話法推進の訓示というものがあり、そのときに手話教育を禁止したという話がありますね。これから並行して口話法をやるのですか。まず、それが一つと、それからあいサポート運動の実践段階ということで、やはり実践が一番大切です。言うだけだったら誰でも言う。だから、実際に施策としてやっていただくことは大変うれしく思います。
 先ほど出ました障害者計画で、予算案の要求に8割程度の助成があると、また来年度の当初予算についてはこれからですよね。(「そうです」と呼ぶ者あり)これも努力をしてほしいと思います。
 あと、2ページの5番目のPDCAというのはどういうものか。

●日野障がい福祉課長
 まず、口話法を並行してやっていくのかということですけれども、例えば聾学校の現状を見させていただきますと、さまざまな手法を使いながら生徒とコミュニケーションをとっております。それは手話を使うことはもちろんありますし、映像を使ったり、口話を使う方もいらっしゃいますし、あと人工内耳という方もいらっしゃいます。ですので、そこは、その子供たちや障がいをお持ちの方の特性に応じて、いろいろなコミュニケーション手段を講じていくことが基本的な姿勢ではないかと。

○横山委員
 両方ともですか。

●日野障がい福祉課長
 そういうことだと思っています。
 あと、来年度の予算の話でございますけれども、日本財団との話においては、少なくとも来年度も助成いただく方向で話をしているところでございます。

○横山委員
 本当か。

●日野障がい福祉課長
 はい。それとあとPDCAというのは、プラン・ドゥ-・チェック・アクションということで、まずプランは計画です。ドゥ-は実行するです。チェックは進捗状況を見ると、アクションはそのチェックに基づいて実施していくということで、要するに計画を立てて、実施して、見直して、またさらに反映させて実施していくという、政策を見直すプロセスの略称で最近時々出てくる言葉です。

○福田副委員長
 手話言語条例によって鳥取県はこうなりますなどがあって、この間、この委員会の中で、市町村の窓口でどれぐらい手話を使える方がいるのかという質問をさせてもらったら、ほとんどないと教えていただいたのですが、学校や市町村の窓口で手話が使えるようにするというのは、当たり前にしていかなくてはいけないと思います。大事なのは事業所でこれが普及してきたり、学習していくことが大事だと思うのですけれども、事業者の手話学習会の支援や検定料を助成するというメニューはあるのですが、メニューはあってもなかなか難しいと思うのですが、どういうふうに事業所に普及されようと考えておられるのか教えてください。
 あと、市町村なども含めて世界初だということですけれども、条例はないものの、例えばこういう手話言語の政策が進んでいる県や市町村がほかにはあるのでしょうか。

●日野障がい福祉課長
 事業所への普及のところでございます。それで、聾の方々のお話を聞いていても、結構問題になるのは、サービスの利用という面での話と職場の面がございます。それで、今回の9月補正には検討が間に合わない感じですけれども、来年度予算で、例えば手話や聾の方を理解するようなジョブコーチといったものも少し考えなければいけないなと思っているところでございます。
 あと事業所でサービスを利用することにつきましては、おっしゃるとおりなかなか非常に難しいところでございます。そこも今後何かできないのか、少し考えさせていただきたいと思います。
 あと、条例を制定せずに政策を行っている市町村はという話ですけれども、私の聞いている範囲ですと、北海道の新得町において住民の方が手話を普通に使ったりしているという話は聞いたことがございます。ただ、そこが施策でどういうことをしているかまでは承知しておりませんが、そういった町があることは承知しています。

○濵辺委員
 条例をつくるに当たっては、いろいろ検証されて作成されていると思うのですけれども、個人的に大切だと思っていることは、現場の人たちや地域で役立つ条例になることが必要だと思うのです。
 それで、今現在の実態として、聴覚障がい者の方が3,000人なり、そのうち600人ぐらいは聾の方であるという話がありました。その辺の検証を今後進めるに当たって、指導者の問題や支援センターなどをどうするのかなと思うわけです。例えばいつまでに指導者を養成するなり、体制を整えるなど、それぞれの部分でしっかり整理して、検証しながら進める必要があるのかなと思うのです。今回、日本で初めてこの条例に取り組んでいくということで、鳥取県民の皆さんがこの条例のもとに、これからしっかり障がい者と向き合うための条例にしていくためにはそういうことを感じるのですけれども、そこの考え方について教えてもらいたいと思います。

●日野障がい福祉課長
 おっしゃるとおりだと思っております。研究会の中でも、濵辺委員がおっしゃった計画的にやっていくための仕掛けが必要じゃないかなり、いろんなチェックが必要じゃないかという御意見がございましたので、この条例の中に、障害者計画という計画の中にしっかりと位置づけて、あと、その進捗状況もしっかりと見ていくと。そういった意図もございまして、その手続を入れさせていただいたものでございます。
 実際問題として、施策を推進する上ではいろいろなネックが出てくると思います。例えば、手話通訳者の方の数や質の問題など、いろんな問題があるので、そこはしっかりと工程表を組みながら進めていきたいと考えております。

○野田委員
 4ページに返らせていただいて、上の丸の部分に手話言語条例で鳥取県はこうなりますというところがございますね。よく理解できるのだけれども、ぽつのところに聾学校等教職員の手話技術の向上というのがありますね。これは聾学校の先生方はほとんど手話技術の向上というよりか、自分自身がそういう技術を持っておられるのです。では、何で私がこれを質問するかというと、国府町では町内の水泳大会や国府中学校の運動会にもいらっしゃいますが、その中で、そこの先生が手話でやっても、一般の先生はほとんど理解ができないのですね。よって、そこの普及が進まないと、聾学校の先生方や子供たちだけでは全国に普及することがなかなか難しいと思いますね。ここのあたりはどういう思いでもって普及を図っていかれようとしているのか、お聞かせください。

●足立特別支援教育課長
 まず一つ、聾学校等の教職員の手話技術の向上ということで、委員からもお話がありましたが、まだ異動したての先生方はなかなか手話の技術ができない状況がありますので、そこは授業の中できちんと手話ができていくように、まずは学校の中での手話の技術を高めていくため、手話教室を開催したり、研修会への派遣を行っていきたいと思っております。
 地域の学校での生徒や教職員への手話技術の普及といった部分につきましては、下の丸で少し書いておりますけれども、聾学校の手話技術を持った先生方に出前講座へ出ていただいたり、こういう科目の中で手話の授業が取り組んでいけるような教材もつくっていきまして、普及を図っていきたいと考えているところです。

○野田委員
 説明はわかりました。しかしながら、県下全域に普及させようと思えば、やはり一般の学校の先生方が手話を学んでくださることが普及につながっていくと思いますので、この点をひとつ力を入れてやっていただきたいと思います。お願いです。

◎伊藤(保)委員長
 要望ですね。

○横山委員
 例えば手話を普及させたいけれども、誰でもわかる初級の手話から段階的に広めていき、最低でもこのくらいの手話だけは、例えば県議会議員も全員がそのぐらいはできるように普及を考えてもらいたいですが、どうですか。

●日野障がい福祉課長
 おっしゃるとおりでございまして、施策の中にあります県民向け手話ミニ講座をやろうと思っています。それは挨拶や自己紹介程度などといった本当の初級レベルで、間口を広げて、より多くの人に入っていただくというイメージで予算要求しております。あと、上級編や中級編なども考えていきたいと思っております。

○横山委員
 期待しとるよ。

○山口委員
 実際に、この条例は理念です。本当を言うと法律やこういう条例がない社会というのが基本だと思っております。こういう条例をつくってやらなければならない以前の問題だと思っておりますので、条例に反対するわけじゃないですけれども、そういう立場の人とお互いに理解し合う地域社会をつくることが基本だと思っております。それができなかったのか、あるいはそれ以上のことをやろうと思ってやるのかを考えて、きちんと皆さん方に説明されたほうがいいのではないかと思います。(「おっしゃるとおりです」と呼ぶ者あり)

◎伊藤(保)委員長
 日野課長、いいですか、一言。

●日野障がい福祉課長
 おっしゃるとおり、条例がなくても、より多くの方々が手話を使っていろんな方とコミュニケーションがとれ、聾の方が地域のコミュニティーの一員になる社会が一番の理想的な姿だと思っております。ただ、あいサポート運動をこれまで何年かやってきておりまして、正直申し上げるとなかなか実践段階まで踏み込めていないのが担当部局として、ネックになっているところだと思っています。今回、手話を通じて、そこをひとつの突破口にして一歩踏み出して、山口委員がおっしゃる地域社会が当たり前になるように踏み出していきたいということで、この手話言語条例をつくらせていただいたと御理解いただければと思います。

○山口委員
 理解はしますけれども、基本的には県民の責務として当然やらなければならないことして、お互いにそういうことを啓蒙、啓発しながら理解を進めていくと。こういうことが皆さん方の県民の責務だと思っておるのですよ。だから、そういうことを基本にしながら取り組んでいただきたい。

◎伊藤(保)委員長
 御意見ですね。
 そのほかございませんか。

○坂野委員
 日本初に誇るすばらしい条例案だと思うのですけれども、この条例案と本日の資料を踏まえて、1点、視点が抜けているのじゃないかと思ったところがありますので、意見を申し上げます。今、病院で医者が一方的に治療法を決めていくだけではなくて、医師が症状などをきちんと説明した上で患者と治療法などを選んでいく、インフォームド・コンセントがありますが、ただでさえ言葉が通じ合っても、医師の言っている言葉がよくわからない場合がある中で、聾の方がそういう医療を受けられる体制にあるのかを非常に危惧しております。実際に鳥取県内でも、聾の方が病院に来られたときに、専門の手話通訳者がいないために、聾として働いていらっしゃる方が手話通訳者として仕事を兼務することがありますので、そのあたりの視点をぜひ入れていただきたいと思うのですが、そのあたりの御意見を。

●日野障がい福祉課長
 医療の関係について、例えば県立病院で申し上げますと、中央病院には今3人か4人、厚生病院には1人、手話ができる事務職員が診療や受診のときの調整、あと手術の立ち会いなども含めて、手話通訳者としていろいろ活躍されていると聞いております。民間の病院でも、手話通訳者を置いているところも幾つかあるそうです。ただ、全部が全部ではございませんし、特に診療所みたいな小さいところになりますと、市町村に依頼して、個人派遣で手話通訳者に来ていただくというのが基本的なパターンになります。ただ、手話通訳者の派遣となりますと、通訳者がころころかわったりなどもありますし、医療はプライバシーの問題がありますので、そこを何とかできないかという御意見もあったりします。あとは、個人のプライバシーにかかわるので、固定的にやってほしいという声が強いみたいで、そこら辺のやり方を市町村も含めて考えなければいけないなと思っております。今すぐにこうだということは言えませんけれども、何らかの手当ては考えていきたいと思っております。

○坂野委員
 先ほどおっしゃったように、事務職員が手話通訳を兼務されているわけですけれども、実際、その職員にお話を伺う機会があったのですが、専門的な医療知識も不足しており、手話に関してもその部分について専門的な知識があるわけでもない中で、患者に対して自分のする手話がきちんと伝わるか伝わらないか、大きい責任を担っているというプレッシャーも感じていらっしゃいます。ですので、そのあたりの体制をきちんとしていくことと、プライバシーの問題がありますから、そういう部分におきましては、病院に手話通訳者がいなくてもどこか1カ所に手話通訳者がいてICTを使ってやれば、各病院などとも連携がとれるわけですので、そういったところの観点もぜひ入れていただきたいです。これは要望です。

◎伊藤(保)委員長
 要望ですね。

○錦織委員
 坂野委員からもいい要望が出たと思うのですけれども、手話通訳者は実際にはボランティアみたいな感じでやっておられるようですが、その身分というのは、現状、正規職員なのか、それともパートなのか、実態としてはどうなのでしょうか。県内でやはりきちんと進めていくには、こういう方たちの身分保障がなされないと、本当に進んでいかないのではないかと思いますし、それから、山口委員がおっしゃったように、条例がなくてもやったらいいのだと、つくってやるようではいけないと言われるのですけれども、何かしら自分の身近なところで障がいを持った子供が生まれると、そこで、障がいに関心を持ってするきっかけにもなったり、健常者ばかりのところであれば、意識の外にあったりするので、今回、この手話条例ができることは、県民が初めてそういうことを理解するきっかけになるとてもいい機会だし、そのことでは本当に評価したいと思っていますので、一言つけ加えておきます。

●日野障がい福祉課長
 手話通訳者の方の身分でございますけれども、例えばコミュニケーションセンターのふくろうなどに雇用されているケースもございますし、あとは派遣要請に基づいて派遣される形の方が多いので、介護のヘルパーみたいな感じの方も多いのではないかと思っております。
 それで、今の派遣料金の話をさせていただくと、県が派遣する料金は、1時間2,000円と単価が決まっています。市町村は、中部と西部が1,800円で、東部は1,800円から1,400円ぐらいで、ばらつきがあり、いずれも1時間程度です。これに交通費の実費が上乗せされ、手話通訳者の方の収入になっていくという構造になっております。

○山口委員
 今、あいサポート運動の支援者が10何万人いらっしゃいますが、子供などを除くと6割か7割ぐらいの人が義務じゃないのですけれども、こういう形で自分の責任としてやっておられるわけでしょう。ですから、基本的にはこういうものが限界に来ていると、そのためにこういう条例はつくらないといけないなり、こういう形になるのが普通じゃないかという意味のことを言ったわけです。私が言うのはわかるでしょう。こういう運動というのは、条例などではなく、健常者とそういう方とがお互いに助け合ったり、無意識のうちにやっていくということだと思っております。そういうモーティブをつくることはさらにいいと思いますけれども、そういう意味で私は言ったのです。

◎伊藤(保)委員長
 いいですか。(「はい」と呼ぶ者あり)
 私のほうから1点。先ほど委員の質疑の中にありましたけれども、条例もそうですが執行部側の資料に聾者という表現がありますね。それで、質疑の中にも聾唖者という表現がございました。委員の皆さんに改めて理解してもらうために、聾者と聾唖者の違い、それとこの条例の中で、聾唖者の皆さんには政策的にどうオーバーラップしていくのかについて、日野課長、お答えください。

●日野障がい福祉課長
 聾者と聾唖者の違いでございますけれども、唖というのはしゃべれないことを指します。あと聾者は、定義上、手話を第一言語とされている方になりますので、実を言いますと、聾者というカテゴリーの中でしゃべれない方がいらっしゃるということですから、聾者よりも聾唖者のほうが狭義的な意味になります。(発言する者あり)

◎伊藤(保)委員長
 皆さん、御理解いただけましたか、よろしいですか。
 これからも質疑していただくときには、今のことをしっかりと踏まえて議論していただきたいと思います。
 そうしますと、委員外議員の皆さん方で何か質疑等ありますか。

○銀杏議員
 条例そのものは手話の普及を目指すということですが、この県の責務に手話の普及という言葉が入っていないのですね。その後の県民の役割に手話の普及ということで、聾唖者は手話の普及に努めると、それから3番が手話通訳者は手話の普及に努めると書いてあるのです。事業者については、働きやすい環境を整備することが責務なり、役割だということですが、県の中にも手話を使用しやすい環境の整備が定めてあるのですが、手話の普及という言葉も入れるべきではないかなと思いますし、同時に第4条にも手話の普及という言葉が入っていないということです。
 あと、市町村その他の関係機関と連携してと第4条に書いてあります。今回、予算要求されている事業などは、市町村の協力が必須のものも多分あるのだろうなと思うわけですけれども、市町村の責務がありませんので、市町村その他の関係機関と連携しとしか書いていないということは、市町村が協力いただけない場合もこれだとあるなと思っています。県の責務に加えて市町村の責務を入れていただいて、手話の普及も入れていただきたいなと。もしくは、市町村はそれらを推進していくのだということも入れていただきたいなと思いました。
 あと、これまで聾者の支援体制というのは、東・中・西部で県内格差があったように思うのですけれども、今後、支援センターを設けて格差をなくしていこうということで安心しているわけですが、ただ、手話には外国語もあるということで、外国に行くと手話も少し違うということも聞きましたし、国内でも方言があると聞いています。もしかして鳥取県内にも方言があるのだろうかと心配をしているわけです。ということで、県内にもしも若干なりそうした方言があるようでしたら、鳥取県内で統一した手話を考えていく必要があるのじゃないかなと、国内では統一した標準手話はあるのかもわかりませんけれども、先駆的に条例をつくるのであれば、そういうことも先導してやったらどうかと思うのですが、どうでしょうか。

●日野障がい福祉課長
 1点目でございます。手話の普及を県の責務に入れるべきという話でございますが、私どもといたしましては、手話をしやすい環境の整備が幅広い概念としてあって、その中に例えば手話の県民への普及だったりICTの環境整備があったりということで、手話の普及よりも幅広い概念としての環境整備と考えているところでございます。
 あと2点目の市町村の責務の規定でございますけれども、県といたしましては、例えば手話通訳者の派遣事業は、例えば県は団体派遣、市町村は個人派遣という形で、県と市町村が役割分担して連携しながらやっていくべきものだと考えております。ここの県の責務に、あえて市町村の話も組み込まさせていただいたのは、当然のこととしてやっていただけるものではないかということで、書かせていただいたところでございます。ただ、そういう御意見もございますので、少し検討させていただきたいと思います。
 最後に、県内で手話に方言があるかどうかという話でございます。県内にも多分あるのではないかなと思いますけれども、条例の第14条に手話に関する調査研究という条を入れております。この趣旨は、手話で新しい用語が必要になったとき、例えば鳥取市と米子市で違う手話が生まれてしまうというケースがございます。ですので、ここは手話の関係者に集まってもらって、例えば新しい手話をどうやって定義するのかなどを決めていただいたり、調査研究みたいなのをしていただいて、そこに対して県も必要な支援をしたり、あと成果の普及に協力したりするということで、14条に基づいて県内の手話がある程度統一化できるような取り組みをやっていきたいと考えているところでございます。

○銀杏議員
 それで、市町村の責務については、現状でもやっていて、それも当たり前のことなのでということでしたが、9月補正予算の要求部分の中に、例えば行政等の窓口職員向け手話講座とありますが、どちらかというと、より住民が行政とのかかわり合いの多いのは市町村でありますので、市町村行政の窓口などでも、そういう職員向けの手話講座をしていく必要がある可能性があると思います。ところが、それらの予算を県が100%出すというのなら別ですけれども、なければ市町村によっては、財政的に無理ですということにもなりかねないです。ある程度、市町村の責務についても書いたほうがいいのではないかと、どの程度書けるかはまた別問題ですけれども、何かしら入れたほうがいいのではないかと思っております。これまで県がつくった条例には、市町村の責務が結構入っておりますので、書けないものではないかと思います。

●日野障がい福祉課長
 検討させていただきます。

◎伊藤(保)委員長
 そのほか委員外議員の皆さん方でございませんか。(「なし」と呼ぶ者あり)
 ないようであります。
 そうしますと、その他の事項に入りますけれども、執行部と委員の皆さん方で何かございませんか。(「なし」と呼ぶ者あり)
 意見もないようでありますので、以上をもちまして福祉生活病院常任委員会を閉会いたしたいと思います。

                                午後4時15分 閉会

 

 

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