会議の概要
午前10時26分 開会
◎興治委員長
ただいまから農林水産商工常任委員会を開会いたします。
本日の日程は、お手元の日程のとおりでありますので、この順序に従って議事を進めさせていただきます。
初めに、会議録署名委員を指名いたします。
本日の会議録署名委員は、浜崎委員と砂場委員にお願いいたします。
それでは議題に入ります。
本日の議題は、鳥取県産業技術センター中期目標についてであります。
9月定例会で報告された当該センターに係る業務実績報告を踏まえ、現地調査を実施し、委員よりさまざまな問題提起がなされてきました。
本議題については議決事項であることから、所管常任委員会としてその内容について事前に情報を得ておくべきものと考え、本日の常任委員会を開催するところであります。
執行部におかれましては、簡潔明瞭に説明していただきますようお願いいたします。
なお、質疑につきましては、説明終了後に行っていただきます。
それでは、議題、鳥取県産業技術センター中期目標について、西村産業振興室長の説明を求めます。
●西村経済産業総室産業振興室長
資料の1ページをお願いいたします。産業技術センターの中期目標についてでございますが、中期目標につきましては、地方独立行政法人法に基づき、県知事がおおむね3年から5年を期間とする中期目標を定め、それに従って産業技術センターが業務運営を進捗するという関係のものでございます。現在、第2期中期目標期間中でございますが、今年度3月末にこの期間が終了いたします。そのために県としましては、第3期に向けた中期目標を定め、産業技術センターに指示する必要がございます。産業技術センターは、この目標を達成するために中期計画を策定し、今年度末までに県の認可を経て、来年4月から事業を実施する必要がございます。
その下にスケジュールを書いておりますが、本日、集中審議していただきまして、来年の2月議会に中期目標を提案させていただきたいと考えております。3月には中期計画を産業技術センターから提出いただきまして、それを認可、公表というスケジュールで進めたいと考えております。
2番目でございます。第3期中期目標のポイントでございますが、今回、中期目標で県が産業技術センターに求めたい重点的な取組項目について、主要なものを並べてございます。上に見出し的に書いておりますが、県内産業界への波及効果、結果重視の総合的支援に少し重点を置いた施策にしたいと考えております。その意図は、企業の出口戦略を見据えた総合的な技術支援を展開してもらいたいという狙いでございます。主な項目としましては、まず各企業の技術の有用性なり、将来性を踏まえた高度な企画力を強化してもらいたいということで、具体的には機動性や高度なプロデュース力を産業技術センターに求めたいと考えております。
2点目でございますが、企業の製品化や実用化を念頭に置いた関係機関との連携、必ずしも産業技術センターだけで解決できる課題ばかりではございませんので、隣接します産業振興機構や鳥取大学などと幅広く連携をとって、そういった中で技術的な面ではコーディネート機能を発揮してもらいたいといった考え方でございます。
3点目でございますが、成長分野、県の経済再生成長戦略等でのテーマにつきまして、新事業展開を企業に促すような技術支援を行ってもらいたい。それから、海外展開等に向けた国際基準企画への対応を求めていきたいと考えております。
その下に1期、2期の重点項目を掲げておりますけれども、1期につきましては19年度から
22年度でございましたが、こちらは地方独立行政法人が発足しました草創期に当たる時期でございます。いろんなテーマなりに幅広く対応していくため、迅速かつ柔軟な業務運営ということで、幅広い組織の対応力を求めてきた状況がございます。それから企業人材の育成にも特化してきた時期でございます。
県としましては、交付金のルールの1つとして、産業技術センターにインセンティブを与えるために、毎年度1%の業務費の減を前提としながら、評価成績に応じてプラスマイナス1%というインセンティブを設けて、予算のめり張りを確保してきたところがございます。
第2期になりましては、経済成長戦略を定めて、こちらの分野への取り組みを促す目標を設定いたしております。それで効率化のルールは継続しながら、インセンティブルールはプラス・マイナス2%と少し枠を広げて、めり張りをつけた交付金の措置を実施しております。
続きまして、先ほど申し上げました第3期中期目標のポイントとなる背景でございますが、まず1番目としては、県内製造業の現状につきまして、リーマンショック以降、御承知のとおり三洋CEなり、国内、県内の大手電機メーカーの事業再編等がございました。また、国内全般的な海外シフトということで、製造業の需要確保が非常に厳しい状況でございました。最後に書いておりますが、19年から24年にかけまして県内の製造品の出荷額が4割減と、非常に大きな減少となっております。
2ページ目でございますが、こういった厳しい状況を踏まえまして、産業技術センターに期待する役割として3分野挙げております。電子・有機素材分野におきましては、基盤的に技術開発を強化していく必要があるなり、先端的な技術の支援を強化しようと。それから、大学、高専との連携による付加価値の高い医療機器やソフト部門を強化していく必要があるのではないかと考えております。次に、機械素材分野につきましても、3Dプリンターなどの先端技術を導入し、県内企業のそういった製品の付加価値向上を図っていきたいと考えております。食品分野につきましても、県版フードバレー推進のために食品加工技術に対する支援体制を強化したいといった考え方を持っております。さらに、食の安全・安心なり国際認証を意識した取り組みを促したいと考えているところでございます。
同じく、評価委員の意見も3期の目標には取り入れておりまして、評価委員会から、やはり重視すべき方向性としましては、センターの技術面でのコーディネート機能の発揮なり、企業が売れる物づくりを意識した支援に取り組んでもらいたいという意見がございました。こういった背景を勘案いたしまして、前述の3期の目標のポイントを定めたものでございます。
詳細につきましては、3ページの資料1でこれまでの1期、2期、3期の中期目標の流れを明示しております。ちなみに中期目標におきましては、第1期の欄でございますが、ローマ数字で1.、2.、3.、4.、5.と書いてあります。中期目標の期間や県民に対して提供するサービス、その他の業務の質の向上に関する事項など、この5項目は必須項目でございまして、その中で中項目的に各地方独立行政法人に対し各県で項目をまとめていく流れでございます。第3期は先ほど申し上げた内容を明記したところでございます。御参考いただければと思います。
めくっていただきまして4ページでございますが、先ほど申し上げました県内製造業を取り巻く厳しい状況を主な業種分野ごとにまとめてございます。これについては御参照いただければと思います。
◎興治委員長
ただ今の説明について、委員の皆様から質疑等ございますか。
○銀杏委員
1ページの県内製造業の現状で、センターが地独化後の5年で出荷額が約4割減少したということですけれども、こういう書き方をすると、地独化したことによって4割減ったような書き方がされているのですが、原因は何ですか。
●西村経済産業総室産業振興室長
主には鳥取三洋CEの事業再編によるものでございます。
○銀杏委員
どのくらいありますか。
●西村経済産業総室産業振興室長
ほぼこれに匹敵するぐらいと認識しております。
●岡村商工労働部長
補足しておきます。1,000億円はJTの廃止です。三洋電機関連は3,000億円強です。
○銀杏委員
わかりました。
○砂場委員
まず、中期目標のポイントの3ですけれども、環境エネルギーをやると書いてあるのですが、これはどこでやるのですか。
●西村経済産業総室産業振興室長
この環境エネルギーにつきましては、環境エネルギーをベースとした各企業の取り組みを促したいという意向でございまして、大きなプロジェクト的なものという趣旨ではございません。この分野につきましては、県の経済成長戦略でも分野的に……(「鳥取のほうでございましたか」と呼ぶ者あり)場所ですか、若葉台のセンターの応用電子で取り組んでいくという考え方でございます。
○砂場委員
でも、応用電子では、炭素を使った電池化の研究だけしかやっていないではないですか。トータルでやるのであれば科の再編なども考えてやらないと、担当者一人にこれを全部やれというのは無理ですし、やっておられる方は研究分野外だと思うので、やるならやるで体制を整えなければいけないと思うのです。今回、中期目標について、先日視察した際に産業技術センターが出してきたペーパーの中に、体制整備のことが書いてあったのです。県のほうはいいですよ、いっぱい言っても。でも、現実には各科の科長の下に研究員が2名、技術スタッフが1名いるかいないかの3人体制でやられているわけで、いろんな目標を掲げたとしても中途半端になるのではないかと思うわけです。
思ったこととして、環境エネルギーといって炭の電池について有機の担当者はしているけれども、やるのであればいろんな分野があるわけですので、新しく科をつくって人を入れるなりしない限りは難しいと思うのです。ですから、1つは科の再編等々をどういうふうに考えているのかが1つ。
もう一つこの人数で足りるのかなと思ったのが、現場の研究員と話してみて実感したこととして、大学が少ないということです。東京や大阪であれば大学がいっぱいあって、いろんな研究室があるから、そこが基盤研究などをしていて、その基盤研究などと連携しながら企業を支えるということをやるのだけれども、鳥大の工学部1つしかないではないですか。そうすると基盤研究みたいなことも一方でやりつつ、もう一方で企業を支えるというやり方を取ることで、現場の負荷が非常に高くなっていますので、おっしゃっていることはそのとおりですが、よっぽど人材の手当てをしてあげないとできないと思います。聞いたところによると、今でも随分残業をしていたり、それからまずは企業を回れ回れという指示が出ていて、企業を回って帰ってきた後に自分の研究をやっていますという話もさんざん聞きました。かわいそうというか、本当に彼らが輝けるような研究環境にあるのだろうかといったときに、各科3人体制という今のやり方で、また新たな研究課題を投げることが可能かどうかを考えると、実感としては難しいと思うのですけれども、そこは県がしっかりフォローしてあげないといけないと思いますが、どうですか。
●岡村商工労働部長
最初に環境エネルギーについて、例えばマイクロ水力発電などは米子市日下でもしておりますので、実証などは米子施設の機械素材がやって、制御のところは鳥取施設の応用電子がやってという形のプロジェクト型だと思うのです。そのための科の再編もあり得ると思うのですけれども、何年か前に環境エネルギーの専門研究員も採用されたりなどをしてやっていますが、圧倒的にスタッフの数が足らないというのはおっしゃるとおりです。今回、フードバレーや6次産業化に対応するために食品開発研究所の施設整備もやりますので、そこに関してはこちらのほうで定数増を考えたいと思っています。定数をふやすということであれば、これは本課のほうで要求しなければいけない問題になりますので、議会にも相談しながら検討したいと思います。
それと基盤研究についてはおっしゃるとおりですけれども、独法化を検討するときに一つ参考にしたのが、長野県の諏訪にあります精密工業試験場でして、ここがある程度、周りの集積企業と一体化して、独自のテリトリーをつくっているのです。この分野はいわゆる大学にも負けない、例えば企業を支えているような技術集積、研究者の集積があるので、そういうのもモデルかなということで参考にしたことがあるのです。ただ、産業技術センターは当時、工業試験場の重要な役割として、中小企業の基盤強化というのがどうしてもありました。なおかつ今、事業所数が減っているなり、出荷額が戻っていないというところであって、いろいろ考えたのですけれども、今の定数の中でインセンティブを与えながら、採用の裁量権も今までは県で採用していましたが、今は全て産業技術センターに渡していますので、ニーズに合った形の採用ができる仕掛けにしてきたところです。
おっしゃるとおり、我々も中期目標の中で余りにも総花的なものを言っても中期計画をつくるときに困ると思っていますので、そこはまた委員の意見も参考にしながら、絞れるものはなるべくターゲットを絞って構想の中に入れ込んでいくという作業にしていきたいとは思っています。やはり、その地域にある産業集積を生かす、底上げするというところがポイントですから、そこの実態を踏まえた上で、中期目標を出さないといけないのかなという認識でおりますので、もう少し時間をいただけたらと思います。
○前田委員
産業技術センターは、今、部長がおっしゃったとおり、県内の中小企業の支援がまず一番だと思います。ところが、この中期計画を見ると、何か独法の存在価値を高めようとするための研究開発がかなりあるのです。今、見せてもらった資料で、例えば2ページ右側の研究開発を見てください。26年度計画の研究テーマとしてAがあり、それから3ページ以降、B、C、D、E、F、G、Hまである。要は研究員のテーマを見ると上げるだけ上げてありますが、対応できるのですか。
何が言いたいかというと、この研究開発は産業技術センターが独自で技術開発していこうというのか、中小企業を支援していくのか、どっちなのですか。この研究テーマはHまでありますが、できないですよ。企業は存立を守るために、研究開発に必死ですよ。企業は役人とは違うわけですから。開発しなければ倒産するのだから。その辺どうですか、部長。
●岡村商工労働部長
まさに、長野県の諏訪がそうでして、事業所数が半減したのです。鳥取県の比ではなく、
4,000社の事業所数が2,000社になったときに諏訪の精密工業試験場がどういう役割を果たすかということで、試験場の研究員を企業と一緒に、企業の現場で課題解決する。そこに奔走し、正直言うと自分たちのやりたい研究は二の次という形でやっていました。ただ、それだと若い人たちがやる気をなくしてしまうので、次の研究を自分たちはしなければいけないと。それは正直言いまして、時間外などの限られた時間を使ってやっていますと、これは上から指示されたのではなくて、科長以下みずからがやっていると言っていました。なぜかというと、それだけその業種が、その地域が疲弊して大変な状況になっているというのを彼らも感じ取っていたわけです。それを支えるにはどうしたらいいかというマインドが非常に参考になったのです。
実は、独法化したときはリーマンショックの時代でありましたけれども、まだそこまでの危機感はなかったと思います。どちらかというと、独法化することによって業務効率を上げて機動的なというのだけれども……。
○前田委員
答弁はその辺でいいです。修飾語が多いのでごまかされるのだけれども、ずばり言ってください。どちらであるのですか。
●岡村商工労働部長
わかりました。とにかく企業の支援です。
○前田委員
でしょう、そこを一つ通さなくてはいけないところなのです。やはり県内の中小企業を支援していく、強化していく、そこに的を当てて、この中期計画をどうするかという戦略がこれを見るとないです。この研究テーマを見ると総花ではないですか。こんなものを開発して実用化できると思っているのですか。企業はそんなに甘くないですよ。どうですか。
●岡村商工労働部長
そこは、私も同じ考え方です。ただ、この計画はまだ素案でありますし、今度は次の計画をつくっていただかなければいけませんので、中期構想に基づいて計画を練るということになります。中期構想の中でその辺を明確に打ち出すことは、ある程度……。
◎興治委員長
部長、中期目標です。
●岡村商工労働部長
中期目標です、すみません。中期目標をある程度絞ることによって、計画をある程度限定することはできます。その中期目標は議会の議決がないと認められませんので、そこはまさにここのやりとりをぜひ参考にさせていただきたいと思います。
○前田委員
そこで、研究テーマです。たくさん書けばいいというものではないです。やはり中小企業を支援する今、どういったニーズがあるのか、何を研究してほしいのかを調査されましたか。
●西村経済産業総室産業振興室長
このテーマ設定などについては、県があらかじめ調査しておりませんけれども、昨年、中期目標を定めるに当たって、企業のニーズ等は伺っております。
○前田委員
どういうニーズがあって、産業技術センターがどういう役割をするのかという議論を踏まえた上で、こうして研究テーマの案が出てきたものだと思っているのですが。
◎興治委員長
では、今の企業ニーズをどう把握して、それがどうテーマ設定につながっているのかを説明してください。
●西村経済産業総室産業振興室長
県のほうも県内企業から聞き取りを行っておりまして、例えばナノファイバーやキチン・キトサンの活用、鳥取ならではの研究成果を活用して市場化していくような取り組みができたらいいという御意見をいただいたりしております。そういったものにつきましても、産業技術センターのほうでは研究テーマに持ってきている状況もございます。
○前田委員
それはA、B、C、D、E、F、Gのどれですか。
◎興治委員長
前田委員が言っているのは26年度計画ですね。
○前田委員
26年度計画でした。
●西村経済産業総室産業振興室長
26年度計画の研究テーマにつきましていかがかという聞き取りはいたしておりませんで、今申し上げたのは、第3期の中期目標を進めるに当たって、企業からいただいた意見のことでございます。
○前田委員
それはおかしいと思います。きょう議論するのは、議会にかかわる26年度計画ですよね。
◎興治委員長
いや、かかわってくるのは第3期の中期目標です。
○前田委員
26年度計画はかからないわけですか。
●西村経済産業総室産業振興室長
これは今、進行中のものでございますので、あくまで参考としてお示ししたところでございます。
○前田委員
ならいいです。計画に行きましょう。中期目標はどうされますか、研究テーマはどうされますか。
●岡村商工労働部長
整理させてください。これは参考資料です。今回、議会に第3期中期目標を審議いただいて、議決をしていただきます。その議決に伴って、4年間の中期計画を産業技術センターが出してきますので、それは県が承認します。年度ごとの計画は別途出てきまして、それは具体的なテーマが出てきます。基本的には、主に産技センターが企業との共同研究をやっていますので、全く自主的な研究というよりも、企業との共同研究テーマを26年度にも掲げておりますから、何らかの形で企業のニーズあるいは課題解決につながるものが、このテーマとして上がっているという状況です。
○前田委員
そうすると、私は商工労働部長と今、議論したようなことを中期目標に入れてもらわないといけないということです。やはりミッションは中小企業の支援だから、そこはぶれたらいけない。それと、とても限られた人員と予算ですから、研究テーマをたくさん挙げてもできるはずないですので、的を絞ってやるべきだと思うのです。これから鳥取県は産業の何をターゲットにしていくかということでしょう。この鳥取県の産業振興はどうですか、部長。
●岡村商工労働部長
出荷額は減りましたけれども、県内に残っていただいている企業、製造業の業種を見ると、やはり満遍なくあります。基本的には電子・電気・デバイスは応用電子がやっていますし、機械・金属も当然ベースにありますし、それから事業所が多いのはやっぱり食品分野です。そういう鳥取県の産業構造に合った中小企業支援という形でそのターゲットを絞っていくと。そこから、中期計画レベルになりますと今度は研究課題やテーマまで入らなければいけませんので、企業が今抱えているニーズを産技センターで吸い上げてもらって、計画に落としていただくと。今の作業は、我々としての方向性の指示ですので、ここにきょう掲げさせてもらっている分野ごとのものでして、一応網羅していると思っております。出荷額は減っていますし、企業の数も減っていますが、集積の度合いはそんなに変わっていません。やはり県内の特徴としている電子・デバイス、機械・金属、それから食品あたりがベースになると思います。
ただ、電子・デバイスは、例えば自動車方面に向かったり、航空機分野に向かったり、医療機器分野に向かったりなどという、新分野があります。その新分野を少しサポートするような役割も必要かなと思っております。
○砂場委員
今、前田委員が指摘されたのですが、現場の話を聞いていると、前さばきをする人が弱いのです。食品分野などは、料理のレベルの話まで持ち込まれていて、それをみんな真面目に受けてしまうのです。次に、素材研究などで何が大変なのかと聞いたら、クレーム処理だと。部品などのいろんなクレーム処理に追われてしまって、本来やるべき研究ができないと。幾つかの研究を企業と一緒にやっていることに力を入れたいのだけれども、まずそのクレーム処理を対応してあげないといけない、目にさわったものを対応していくと。加工している途中に、加工がうまくいかないということの対応ばかりに追われながら、一方でみんな受けてしまうわけです。企業回りしてクレームを何件受けたという話ばかりがどんどんたまっていき、やらなければいけないことがどんどんたまっているけれども、処理がなかなかできていないということがあります。私は、センターがコーディネート機能を果たすことは無理だと思います。コーディネートをするのは、産業振興機構です。産業振興機構に聞きに行くと、産業振興機構もやると言っているわけです。本来は、研究員が全て受けるのではなく、ここでまず前さばきをしてあげて、産業振興機構が以前の研究でここの企業だったら処理しますよということで処理してあげないと、全部担当者が受けているという状況ではハード過ぎる気がします。
そこの仕組みづくりをきちんとやらないといけないです。確かに中小企業の支援をするというけれども、今のは支援ではなくて、クレーム処理対応係みたいになっている感じがするのです。だから、まずきちんと前さばきをして、その中で前田委員が言われたように、どこがやれるのかという研究をやっていかないといけないと思うし、もう一つは成果の企業移転ができていないのではないのかと思うわけです。例えば、米子施設のほうでできたOKシートは、6年かけてやっと開発ができて、学会賞などをたくさんとっているにもかかわらず、売り上げは800万円ではないですか。ケースは終わっていて、あとはそれが市場開拓などとうまく連携できていないのです。本当に研究者はよくやっていますので、全て産業技術センターが悪いなどをいうより、まず前さばきは機構にやらせておいて、できたらできたで、あとの市場開拓はいろんなところが応援をしてあげると。
もう一つは、彼らは企業回りをしているので、たくさん知識を持っているわけです。ですから、産業技術センターが全部やる必要はなくて、これはどこどこの企業がやってくださいといって振らせればいいので、そういう意味のコーディネート機能はあるかもしれないけれども、全部持ち込ませるという今の中期計画はもうやめたほうがいいと思うのですが、どうですか。
●岡村商工労働部長
その指摘はよく理解できます。まず、クレーム処理の話が一つあるのですけれども、実は技術的なクレーム処理というのは、逆にそれをニーズにかえることができます。実は、長野県の精密工業試験場も同じことを言っていまして、クレームの中にニーズがあり、課題があり、その技術課題を解決することによって売り上げに貢献するようなものは、やはり対応しなければいけないと言っていました。ですから、何でもがクレームだから別の機能で対応するのではなくて、それを見分ける力が要るのだろうなという気がします。ただ、何でもかんでも受けていると確かに非効率になりますので、その辺の体制は必要かなと思います。
それと、コーディネート機能が産業振興機構にあるというのはおっしゃるとおりでして、この産業振興機構と産業技術センターと本課の密接な連携会議は、独法化する前からずっと持っていたのです。それをもう一回復活させなければいけないのかという気がしていますが、産業振興機構に機能を持っていくといいましても、今、産業振興機構もいろんな仕事を抱えてやっていまして、大変だと思います。ここは県として、ある程度イニシアチブをとって、産業技術センターと機構とをどうやってまとめていくのか。あわせて、先ほどおっしゃった知的財産の管理についても、知財マネジメント委員会というのを県で持っているのですが、産業技術センターが独法化したときに県から切り離しているのです。ですから、そのような仕掛けももう一回戻してみて、県全体として、成果が産業技術センターにもあって、企業の売り上げも立っていくような仕掛けを考えなければいけないという気がします。
まさにいい御指摘をいただきましたので、コーディネート機能というのは安易に捉えずに、具体的に書き方も考えたいと思います。
○砂場委員
よろしくお願いします。基本的に研究開発をしなければならないクレーム分野であればセンターがやればいいのだけれども、機械をきちんと動かせば問題解決するようなレベルまで持ち込まれているのが現状なのです。食品開発であれば料理のレベルまで持ち込まれているので、それはきちんと整理してあげてやるべきだと思いますし、今いる人たちが何ができるのかということをベースにしないと、前田委員が言っているように、一から研究ができるわけないですが、得意分野を持っているわけです。キチン・キトサンなどは何年も研究していて、蓄積もある分野ですから、「よし、それをバイオ食品でやろう」となれば多分うまくいくのだろうけれども、県が成長戦略、環境エネルギーといっても、実際やっている人がいないのに、ではこれから科をつくって、専門の研究者を置いてやるぞというのであれば中期目標に入れたらいいですが、そこを整理しないといけません。一つは先ほども言いましたが、企業ニーズを全部羅列してしまうとこういう状況になってしまうので、そこはきちんと整理して、現場の声もよく聞いて、皆さんが持っている得意分野で処理できるのであれば、そこでやっていただくと本人の研究そのものが中小企業の技術に生きていくではないですか。中期目標をつくる上で、皆さんの研究がどういう内容であって、どういうところに専門家がいて、どういうところだと勝負できるのかをしっかり密接に考えてつくらないと、絵に描いた餅になります。
●岡村商工労働部長
独法の仕組みとして評価委員制度がありますが、これは公的な機関としてそれなりの見識をお持ちの方に役割を担っていただいています。そこの意見も参考にしますし、当然研究員というよりも、業界や企業の声、製造業の生の声を聞く機会がたくさんあります。特に経営者から聞く機会もありますので、そこで課題があれば、それは県の政策として産業技術センターにしてほしいと。今回の食品開発研究所の整備も、これは我々のほうからリクエストした課題なのです。それはいろんな持ち込みなり、もっと簡単な作業などもサポートしてほしいという企業のニーズがあって、それが商品展開につながるのであれば、それはやるべきだということで、独法の計画ではなくて県の施策として押し込んだという経緯があります。
ただ、それは体制を維持しなければいけませんので、そこにマンパワーが足らなければ、議会にも相談しながら定数をふやしていくという作業は、この場で議論させてもらおうと思っていますので、我々はどちらかというと、県内中小企業の実態にもう少し入り込んで、そのために今の産業技術センターのマンパワーでできることを、それから今はできなくてもやるのであれば、定数をふやすなり、特別研究員みたいな制度をつくるなどのやり方も検討する必要があると認識しています。
○砂場委員
では、必要であれば体制の強化なり、再編も含めた上で中期計画という形を見直していくというのが1点と、先ほどのニーズに関して言うと、半端ではないぐらいセンターは企業回りをしていて、企業の方と会っているのです。ですから、その声が商工成績に反映されることが必要だと思うのです。先ほど会議がなかったと聞いたことが意外だったのですけれども、上の人たちだけではなくて、本当に現場に行っている人は毎日毎日回っているので、本当のニーズを現場で把握していますから、その声をうまく集約できる仕組みづくりも、中期目標の中に入れてほしいのが1つです。結構いいものをつくっていながらそこでとまってしまっているということがあるので、できた企業に技術移転するだけではなくて、その後どうフォローアップしていき、雇用が生まれるほどの生産増につながっていくのか、売り上げ増につながっていくところまで見据えた中期目標の設定にしないと、「はい、やりました、終わりました」ではだめなのです。ここは大学ではないですから、研究発表すれば終わりというわけにはいかないので、そこまで見据えた仕組みづくりなり、スタッフなども要るかもしれないし、産業振興機構に戻すようなルートがあるのか、または市場開拓と連携するルートがあるのかなと思いますけれども、最終的には中小企業の売り上げがアップして雇用が生まれるところが着地点ですから、研究開発だけではだめです。そこら辺もしっかりフォローするような体制づくりも、できればではなくて、必ず中期目標に盛り込んでいただきたいと思います。
●岡村商工労働部長
その議論は、産業技術センターの研究員といいますか、科長レベルと話をしたことがあるのです。彼らも実際に現場に行って、どちらかというと技術的課題のニーズなどの解決に動くのです。ところが、自分たちが今やっている中小企業の課題解決によって売り上げに貢献するかもしれないと思っていても、それをうまく変換して伝えるテクニックというのが、研究員のレベルではなかなか難しいとはっきり言っていました。私もそうだろうと思っていて、その技術を課題解決するという点ではあり得ても、それを売り上げに転化していくところまで持っていくことを彼らに求めています。いいところまで持っていけても、それをうまく経営側に伝えるなり、売り上げにつながるようにするところは非常に難しいと言っていまして、まさにそうだと思うのです。それが産業振興機構のコーディネートの役割かなということで一回議論したことがあるのです。でも、それは中途半端に終わってしまったのですけれども、もう一回何かそういう仕掛けができないか、もっと密接な連携がとれるような体制を、これは県がコーディネートしなければいけないと思っておりますが、検討しながら、産業技術センターの今のマンパワーでできる範囲をきちんと見据えて、それが効果的に全体につながっていくような仕掛けをすることが我々の役割だと思っておりますので、もう少し時間がありますから検討したいと思います。
○砂場委員
例えばあそこで開発されたレーザーを使って、プレパラートみたいな非常に薄いガラスでもセラミックでも切断する技術などができていて、聞くところによると、それは内部基盤をつくる会社と共同だったから、そこで終わっているのですけれども、これはいろんな分野に応用ができる研究だろうなと思うのです。ですから、今言われたような仕組みづくりをぜひともやっていただいたら、研究員の成果がうまく伝わって、本当にいろんなものが研究開発されると思います。長年研究されて成果を生んでいる部分もあるのだけれども、それがそこの実体経済につながらないのは少し寂しいものがあるので、そこは本当に真剣に考えて、逆に言うと今回の地域目標の最大のテーマとして設定してもいいくらいかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
◎興治委員長
今のやりとりを聞いていて、きょう報告があった1ページの第3期中期目標のポイントの(2)では、企業の製品化、実用化等々のためにセンターが中心的なコーディネート機能を発揮となっているのですけれども、今の部長の答弁を聞いていると、産業振興機構がそのコーディネート役をしたほうがいいなり、あるいは県がコーディネートしたほうがいいなどという言葉も出ていたので、そのあたりを整理していただいたほうがいいのではないかと思うのですが。
●岡村商工労働部長
同じような御意見が評価委員会の評価委員からありました。やはりそういうマーケティング機能も含めたコーディネート機能を、いわゆる技術だけではなくて技術マーケティングを含めて市場開拓できるような機能を持つべきではないかという議論があったのです。ところが、今までのやりとりなり、産業技術センターの今の発展の過程を見ながら、そこまで加えてしまうと、また別のスタッフを入れ込んでいくのか、あるいは産業振興機構の役割をどうするのかなど、まだ議論しなければいけない部分があったものですから、今の交付金制度の体制の中では、少し過大で難しいなと思います。コーディネート機能も技術的なものに特化したようなものということで、ここには言葉が足りていませんけれども、入れ込んでいこうかと思います。ざっくりしたコーディネートという意味ではなくて、焦点を絞って、この分野のコーディネートなり、技術を中心とした書き方にしなければいけないという気がしております。
◎興治委員長
わかりました、表現を変えるということですね。
●岡村商工労働部長
はい。
○前田委員
もう一回確認しておきます。きょうの議論は、この1ページの(2)のポイントで、ここの1、2、3ですよね。そうすると、2ページの産業技術センターに対する役割、評価委員会の意見、特に僕は研究開発に的を絞って議論しているのだけれども、こういうことが1ページの1、2、3にどういうふうに表現されているのですか。要は何が言いたいかというと、物すごくいい言葉が書いてあるので、泥臭い表現にしてほしいのです。これは国の何かの白書みたいです。
●岡村商工労働部長
1期では非常に細かく、泥臭くいこうというのがスタートだったのです。基本的にはそうしたいと思っています。3期になると、先ほど申し上げたように、相当製造業が疲弊してきていますので、売り上げを立てるためにどうすべきかというところを、個別具体的に書き込むぐらいのことがあってもいいと思っています。ただ、余り指示し過ぎると、産業技術センターの柔軟性などを損ねてはいけませんので、その辺のかげんを考えながら表現しなければいけないと思っていますけれども、まさに泥臭い世界的な表現をする必要があるという認識でおります。
○市谷委員
今ずっと話を聞いていたのですけれども、その中期目標は県が定めるわけですから、県がセンターの方向性について責任を持って目標設定するので、独法化されているからといって何か人ごとみたいに言われるのは、おかしいと思うのです。中期目標は県が出すのでしょう。先ほどから前田委員も言っていますけれども、県内業者のニーズがどこにあって、だからこういう目標なのだという説明が、これでは不十分だと思いますし、センターが考えることではないと思います。細かくはセンターが考えたり、融通をきかせる部分はあるかもしれませんけれども、これは県が目標を設定するのですから、もう少し県内業者のニーズがわかるような書きぶりにしてもらわないと、これでは全然議論できないです。
それから、前回も言ったことがあるのですけれども、成長戦略の成長分野というのはあくまでも県が設定しているものであって、県内業者が必ずしもこの成長分野でやりたいと思っているかどうかわからないわけです。だからその辺の兼ね合いもこれでは見えませんし、独法化されていますから、成果主義なのですよ。成果が見えないと研究成果も、お金の面でもなかなかやりづらいという点が出ると思いますけれども、単純に成果主義でやっていいかどうかという問題もあるので、もう少し県内業者のニーズとの関係で、なぜこういう目標を提起しているのかを説明していただきたいし、わかるように書いていただきたいと思います。これではわからないです。
●岡村商工労働部長
これは一つのたたき台ですけれども、ただ、第1期、第2期がそれぞれどういう形で動いてきたかというのは、まず御理解いただくという意味で今回、資料提供させてもらいました。第3期に関しては、ここで案として出していますけれども、ここからどうやって深掘りしていくのか。中期目標のレベルをどのレベルにするのかによって、より精緻なものを産業技術センターがつくらなければいけないのです。確かに、ここでの中期目標が一つの基準になりますので、鳥取県の今の産業構造に合った基準をつくらなければいけないのです。その目標値をどこに求めて、4年の間に産技センターでどういう役割を果たしてもらうべきかを、ここで議論しなければいけないのです。それを出すには、まだ少し足りていないと思っています。そこについてはもう少し時間がありますし、中期目標の打ち出し方についても、先ほど前田委員にもいろいろと御意見をいただきましたので、もう少し泥臭く県としての表現の仕方をぜひ検討していきたいと思います。
◎興治委員長
ほかにはないですか、ないですね。
それでは、執行部にお願いしたいと思います。ただいま各委員からさまざまな意見、修正意見等が出されました。また、その旨の答弁もありました。それらを踏まえて修正いただき、修正後の中期目標の全文を、議案上程予定の2月定例会前までに再度本委員会に報告いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。(「はい」と呼ぶ者あり)委員の皆様もよろしいですか、ではそのようにさせていただきたいと思います。
それでは、再度委員会を開催し、修正後の中期目標の全文について報告していただくこととします。
なお、日程につきましては、正副委員長に一任いただきまして、追って御連絡いたします。
次に、その他ですが、執行部、委員の方で何かございますか。(「なし」と呼ぶ者あり)ありませんね。
意見がないようですので、以上をもちまして農林水産商工常任委員会を閉会いたします。
午前11時15分 閉会
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