平成26年度議事録

平成27年2月2日会議録

開催概要、資料はこちらです。
出席者(6名) 委員長
副委員長
委員

伊藤 保
福田 俊史
坂野 経三郎
錦織 陽子
濵辺 義孝
山口 享

欠席者
(2名)
森岡 俊夫
稲田 寿久 
 

委員外議員 出席なし

説明のため出席した者
  中山生活環境部長、森川生活環境部次長、広田環境立県推進課長、
    松本明治大学ガスハイドレート研究所特任教授

職務のため出席した事務局職員
  村中課長補佐  山根課長補佐 梅林係長

1 開会 午後1時30分

2 閉会 午後2時42分

3 司会 伊藤委員長

4 会議録署名委員 山口委員 錦織委員

5 付議案件及びその結果
 別紙日程表及び下記会議概要のとおり

会議の概要

                                午後1時30分 開会

◎伊藤(保)委員長
 そうしますと、ただいまから福祉生活病院常任委員会を開会いたしたいと思います。
 本日の日程は、お手元の日程のとおりでありますので、この順序に従って議事を進めさせていただきたいと思います。
 初めに、会議録署名委員を指名いたします。
 本日の会議録署名委員は、山口委員と錦織委員にお願いをいたします。
 それでは、報告事項に入ります。
 本日の報告事項は、メタンハイドレートの最新の調査状況についてであります。
 さきの11月定例会におきまして、日本海沖メタンハイドレート調査促進事業に対しまして、研究成果を地域に還元できるシステムを構築に努めるよう附帯意見を付して可決するなど、次世代のエネルギーとして期待されるメタンハイドレートに強い関心をお持ちの委員の方もございます。
 そのような中で、あす、県民の方々に向けて行われるメタンハイドレート講演会に講師としておいでになりました、明治大学ガスハイドレート研究所の松本良特任教授と意見交換の機会を設けることはできないだろうかと執行部から提案がありました。そういうことで、本日、常任委員会を開催するものであります。松本教授から、後ほど説明を受けることといたしております。
 次に、委員の皆さんにお諮りをいたします。
 本日は委員外議員の方にも御参加をいただくよう御案内をいたしておりますので、そのときには、委員の皆様の質疑等が一通り終わった後に委員外議員の皆さん方にも発言を許可することといたしたいと思いますけれども、御異議はございませんか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
 御異議がないものと認めます。
 委員外議員の皆さんで、発言を御希望される場合は、私の指示の後で挙手をお願いいたします。
 なお、質疑につきましては、説明終了後、一括して行っていただきます。
 まず、松本教授の紹介と、本県事業へのかかわり等につきまして、広田環境立県推進課長の説明を求めます。

●広田環境立県推進課長
 それでは、本日の資料をお開きいただけますでしょうか。メタンハイドレートの最新の調査状況ということで、国、県の取り組み状況、また、ただいま御説明のあったとおり、明治大学の松本先生と県のかかわりについて御説明申し上げます。
 まず、国の調査状況についてでございますが、平成25年から3カ年にわたって日本海側のメタンハイドレート資源調査が行われているところでございまして、平成26年度、今年度につきましても隠岐周辺等広域的に調査等が実施され、表層型メタンハイドレートの存在の可能性がある構造、これをガスチムニー構造、また後ほど御説明があると思いますが、746カ所存在することが確認されたところでございます。詳細は後ほど松本先生から御説明をいただきたいと思います。
 県のメタンハイドレートの取り組みでございますが、鳥取県沖にも存在するということで、1番の普及啓発ですが、地理的優位を生かしまして地域振興へとつながるよう平成24年度から講演会を実施する、あるいは研究会を設置したり、また、学生向けの講義等も通じて普及啓発に努めているところでございます。
 また、人材育成といたしまして、せんだって11月補正でお認めいただきました鳥取大学大学院での寄附講座の開設準備にただいま取りかかっているところでございます。
 また、環境基礎調査の促進としまして、水産試験場の定例検査に付加する形で海洋定点観測なども実施しているところでございます。
 明治大学の松本先生と県のかかわりにつきましてでございますが、松本先生は東京大学時代からメタンハイドレートの研究の第一人者として国の調査のプロジェクトリーダーを務められているところでございますが、こういった研究のみならず、平成24年度に日本海沿岸の10府県で構成されております海洋エネルギー資源開発促進日本海連合におきましても、地方での取り組み等について御指導、御助言を賜っているところでございます。
 また、平成25年の2月には、鳥取県議会エネルギー・雇用促進調査特別委員会への講義を初め、いろいろな面で御指導、御助言をいただいております。明日も講演会を企画しているところでございますが、そういった講演会、意見交換会への御出席、また、ただいま鳥取大学に委託しておりますカリキュラム作成とかについても御助言、御指導をいただいております。
 また、産学連携の推進としまして、明治大学、鳥取大学、鳥取県の3者連携で産学官連携を進めているところでございますが、昨年の明治大学の学術調査には鳥取大学はもとより水産試験場の研究員も乗船をさせていただいて、そういった調査の一環に加わることにも御尽力いただいたところでございます。
 下の参考のところに松本先生の御略歴を記載しておりますので、御参考になさってください。
 開いていただいて、裏面ですが、本日、松本先生からは、メタンハイドレートの概要から国の調査状況、それから鳥取県沖の状況や調査概要について本日御講演をいただくこととしております。

◎伊藤(保)委員長
 そうしますと、松本先生、よろしくお願いします。

●松本教授
 御紹介いただきました、明治大学の松本です。
 鳥取県議会にハイドレートについてお話しするのは、2回目になりまして、リラックスした気分でお話ししたいと思います。
 鳥取県議会のハイドレートに対する熱意をひしひしと感じておりますけれども、あのころより状況はさらに一歩も二歩も進んで、現在は国が中心となって、全面的に後押しをして、日本海のハイドレートの調査が進んでいるところです。2カ年の調査が終わって、今は相当のことがわかってきたところです。
 ハイドレートをしているというと、ハイドレートは夢があっていいですねと言われるのですが、もう夢ではないと、夢と言わないでくれと言っているところです。
 夢ではない、現実がどうなっているかをお話ししたいと思いますが、お手元の資料、これは30枚あるので、余り一々詳しく話をしていますと最後まで行かないので多少飛ばすところはありますけれども、話の流れとしては、今、課長さんのほうから説明があったような内容について、それにほぼ従った形でお話をしたいと思います。
 パワーポイントでスクリーンにも出しますが、全部お手元の資料にありますので、こちらをごらんになればよろしいと思います。1枚ひっくり返すとこの2ページ目に、そこにメタンハイドレートはどんなものかという、これは前にも御説明したことですけれども、氷ですね。これは今回、昨年の夏に日本海の沖からとれたものですけれども、こういうかりんかりんの氷です。これに火をつけると、このように燃えるということ、ホワイトコールというのが一番いいです。
 これは大量のガスを中に取り込んでいて、この大きさの160倍のガスがそこの中に入っているということです。凍ったガスと、固体状のガスといっています。とはいっても、これはガスですから、メタンですから、これは天然ガスと同じもので、特別なガスではないと。天然ガスがある条件で氷状になったということです。
 今もお話ししたように起源は天然ガスです。これは、海底から1,500メートルまでの断面で、その断面を見るという調査があるのですが、ここに白く抜けているところ、こういうところに天然ガスはたまっていて、それがじわじわ上がってきて、海底から100メーター、200メーターぐらいの比較的浅いところに、今度は氷としてたまるということです。ここではガスですけれども、ここになると固体状の氷として固まってくる。これがメタンハイドレートなのです。ですから、普通に使っている天然ガスと何ら変わるものはない。こちらはガス状態、これは固体状態というものです。
 起源も大昔の生物が分解したものですから、その意味で言うと化石燃料で、今や悪者扱いですけれども、化石燃料の一つであることは間違いありません。
 次のページです。最初に下のほうを説明したほうがいいと思うのですが、なぜ今メタンハイドレートなのか、その背景と、その期待するところですが、上のほうにグローバルな問題としては、石油埋蔵量が減少している。これはいわゆるピークオイルなどという言葉がありますが、もう石油の埋蔵量はピークを打っていて、あとはもう下る一方であると。20~30年たつとどんどん減っていくので、もう石油には期待できないということで、石油からガスへ移行する。これは世界的な傾向で、もう既に10年、20年前から動いていて、ヨーロッパやアメリカでは天然ガスの割合が大変高くなっています。ただ、日本はそうでもない。これは、日本で買うガスは大変高いからということです。それが一つの理由です。
 もう一つは、化石燃料の燃焼によって大気中のCO2、二酸化炭素が増加、温暖化が進むという、こういう地球環境の問題です。こういう点からいっても、化石燃料の中では相対的に
CO2の排出量が小さい、CO2の排出量が3分の2ぐらいですね。この天然ガスへ移行する、石油、石炭から天然ガスへ変えるだけで、同じエネルギーをとってもCO2の排出量が少ないわけですから、これは大変効果的、実効的なCO2削減策になるわけです。だから、化石燃料といって余り毛嫌いしてはいけない。これが世界的なグローバルな、誰しも考えなければいけないことです。
 さらに日本の国内の状況としてはもっと深刻で、今、原油に換算して5億トン、原油換算熱量で5億トンを輸入している。輸入に94%依存していて、その輸入代金は24兆円。総輸入金額の34%が油で消えてしまっているということです。
 次に、エネルギー構造を見ると、震災直前は石油、石炭、天然ガス、原子力と、こういう感じだったのですね。それがその直後、原子力がもうほとんどゼロに近くなって天然ガスがどんと上がってくる、石油もどんと上がると。これによって原子力のドロップをカバーしているわけですが、こういう状態になってるわけです。
 一つ戻しまして、これが長いエネルギー供給構造の変化ですが、この73年から2003年までのこの30年間に石油の割合は、このとき約80%だったのがここで約半分になっている。半分になっているけれども、これは全体のパイも大きくなって、これは3.6億トンから5億トンに変わってるわけです、ふえている。ふえたものの大部分は天然ガスと原子力が担っていたのです。これでこうなったわけです。
 そういう格好で2010年、11年と。10年で少し下がった、ちょっと下がった。これは省エネの効果によってちょっと下がっているのですが、全体のバランスは余り変わらない。ところがここで2011年に起きたのが3.11、ここで原子力はとまってしまった。これは1年間の統計ですから少し入っているわけですけれども、2012年になるともう原子力は1%って、もうちょっとだけ残っていて、この分を石炭、天然ガス、石油がじわっとふやしている。特にこの天然ガスによって原子力のドロップをカバーしているということは御存じのとおりです。
 それで、こういう状況をどうするかというので、つい最近、総合エネルギー調査会での提言もありましたけれども、省エネルギー、これは非常にいいのですが、これはもう限界になると。再生可能、これは今1.6%なのを30%にできるのではないかという、かなり楽観的な提言をする人もおります。原子力、原発、これは今はゼロだけれども、これは15から25という、豪語する人もいますけれども、こういう数字。化石燃料は現在90%になっているのを、これを50に下げてという、こういうようなエネルギーミックスが提案されていますけれども、この中で、まず短期的というか、これに対応して何をしたらいいかというときに、国産の非在来型の天然ガスであるメタンハイドレート、これを資源化する。これは多くの点でこれらの問題に応えることになると言えるということが、この今の背景と、それからエネルギーとしてメタンハイドレートへの期待を語っていると言えます。
 もう少しこの点をしつこくお話ししますと、先ほど伊藤(保)委員長からもちょっと雑談でお話があって、これは油の値段がどおんと下がって、シェールガスも何かやばい状態で、ここまではおっしゃいませんでしたけれども、こんなときにハイドレートかという、そういう意見はあります。実際アメリカは、非常にそういう点は敏感に反応して、今やハイドレートの研究はほとんどとまってしまっている。
 ここに書いてありますが、シェールガス革命のためにハイドレート研究はとまり、さらに油の油価が落ちたために今度はシェールガスの開発もとまってしまったと。非常にレスポンスが早過ぎて、何か信頼できないのです。しかし我が国では短期的な価格競争力がないことをもって新資源の開発を停止するような考え方はせず、次に述べると書いてありますが、ハイドレート資源開発を促進、推進していくと。これは、30日にフォーラムを明治大学で開いたのですが、そこに経済産業省の担当の企画監も来られて、彼が最初の基調演説で話してくれました。そのときに使った図がこれなのですが、値段は、油価は上がったり下がったりしている。これは
2002~2003年には油価はここで言うと5ドルだったのが、どんと上がって20ドルまで上がって、20ドルがまた15ドルに下がった。上がるのだけれども、こんなことに一々影響されて開発を進めたりとめたりするということは我々はしないということを明言されていました。
 その期待としては、埋蔵量は枯渇して進んでいるということです。それから、二酸化炭素の問題に対して天然ガスとして重要であると。やはり国産のハイドレート資源、これは調達先の情勢に左右されない、国産エネルギーであるから、中東でありロシアでありどこでありという、そういうことに左右されない、国産エネルギーをつくるということは非常に大事であるということ。それから、国産であるから、これは恐らくこの議会での懸案とも関係あると思いますが、資源開発を通じた雇用、経済発展に寄与すると、これは大きなことだと思うのです。それから5番、これは価格の問題ですが、資源国からの調達に際してのバーゲニングパワー。これは、我々は何も持っていない、足元を見られる。それが多少高いものでも、持っていれば交渉の切り札になると。これは、直接ロシアから油やガスを買うときには、これはもう大きくきいてくるのは明らかです。それから、最後に小さいことですが、為替に影響されないということです。
 7番目に、ここにまた書きましたけれども、価格競争力がないものはどうなのかという、それはさっきも言ったとおりです。
 これが背景であり、期待であるということです。
 この下に書いてある図は、これは説明しませんでしたが、ピークオイルをもう過ぎて、油ががくんと落ちてしまうという話です。それから、これは環境負荷です。石油、石炭、天然ガスでもって、どれくらい影響するかということです。CO2だとこれだけ。これが石炭、石油、天然ガスです。
 ここまでに、まず、メタンハイドレート、天然ガスに対する期待と、その背景についてお話をしました。この後、少しこういう図が2枚ありますが、これは、それでは日本の我が国のメタンハイドレート開発、これはメタンハイドレート資源開発促進事業というのが2001年に立ち上がりまして、この事業の中で、皆さんも御存じの有名な南海トラフの砂層型のメタンハイドレート。これはもう既に20年近く調査、開発努力をしていて、膨大な国費が投入されているわけですが、その中での、あるいはそれとの関係がここに書かれているわけですが、ここには上に砂層型、これは南海トラフの砂層型と呼びます。表層型がここにはっきりと一つの柱として一昨年から入っていたのですが、こういう事業の中で2つ柱があるということを経済産業省として宣言したということです。
 それ以前にも、この砂層型の中の一部として、ほんの少しスタディーをするということはありましたが、表層型メタンハイドレートの資源量把握プログラムを立ち上げ、2013年の4月に新たな海洋基本計画が閣議決定されたという背景、根拠を得まして立ち上がったのが表層型。ですから、こういう事業の中に2つあって、一つは既に20年近くやっているものです。片や、まず3年間。最初の3年間で資源量を把握して、それに基づいて、その先の技術開発に進むという、そういうものとしてここに位置づけられているというものです。
 それがどのように実施されているかといいますと、資源エネルギー庁から経済産業省の中の研究機関である産業技術総合研究所を通って、明治大学がこれを受け、明治大学の中のガスハイドレート研究所、GHLと言っていますが、そこでコンソーシアムをつくり、明治大学だけではなくてほかの大学、研究機関、産業技術総合研究所も含めた研究コンソーシアムをつくって、これが全体としてこの日本海表層ハイドレートの資源量評価をしているということです。これとは別に、その外に南海トラフのプログラムがあるという形になっています。
 では、いよいよ実際の日本海の表層ハイドレートはどのようななものなのかということを、要点だけご説明します。これを話し始めると何時間もかかってしまうのでエッセンスをお話ししますと、まずここに書かれたのは、表層型のハイドレートと砂層型。砂層型は南海トラフのこの赤いところです。皆さんの図にもある赤く書いた、ここを南海トラフといいます。そのごく一部、ここに砂層型といって砂の中にハイドレートが詰まっているというものがある。これがこちらのプロジェクト。それに対して表層型というのは、このグリーンで描いた、日本海にずっと広がっていますけれども、こういうところに海底付近、海底から数十メートル、比較的浅いところにごろころと固まったハイドレートとして出ている、それが表層型です。
 だから、どこにあるかということも違うし、海底の中でのあり方も違う、それからそれの海底からの深度も違う。メタンハイドレートという言葉は同じだけれども、同じものなのだけれども、資源としては別物と言ってもいいぐらいです。こちらの技術や経験は、こちらにはすぐには生かせない。これを独自に、先ほど申し上げた調査研究コンソーシアムで進めているということであります。
 2004年から発掘調査をしていますけれども、これが最初に発見された、ほとんどそのころの写真です。最初に見つかったのは上越沖です。こういうごろごろとした大きなものが海底の数メートルのところからとれたということです。とれた場所の周辺には、この図のように、ここに穴ぼこがある、ここに山がある、山がある。高さがせいぜい30~40メートル、深さが30~40メートルの穴や山、この直径は500メートルですから、そのようなものですね、数百メートルぐらいの山です。それが海底に山がたくさんあって、その山の上からこういうハイドレートの塊がとれるということがわかりました。これが2004年、表層型のハイドレートの最初の確認、学術的な調査のスタートになっているわけです。そういう意味では、2013年からの国のプロジェクトというのは、この学術調査から既に10年を経ている。まだ国の調査が本格的に始まる前に皆さんは関心を持って東京まで話を聞きに来てくれたので、私としては大変感激したものです。
 今の穴ぼことか山が、その断面を見るとこのように見えて、こういう潜水艇を使って調べるのですが、ちょこっとした山が、大した山ではないのだけれども、小さな山があると。その下は白くすとんと抜けている。これはよくわからなかったのですが、この中には地層があるのだけれども、地層の中に水やガスがたくさんしみ込んでいる。ほかの地層と比べると、ここはガスや水が多いところ、流体の多いところ、流体が動きやすく、ここにたまっているという、そういうものなのだということがわかってきました。
 これをニックネームとしてガスチムニーと、煙突状という意味でガスチムニーと呼んで、このガスチムニーこそ表層ハイドレートが存在する海底地質構造であるということを明らかにしたわけです。
 そのころに国のプログラム、我々自身も進めていましたけれども、日本海にどれだけのガス、ハイドレートがあるのかということを調べる作戦です。我々が調査する中で、一番基本はガスチムニーの数。これ点々とありますが、日本海全体でガスチムニーがどれくらいあるのか。これがまず基礎数ですね。それから、そのガスチムニーの中にどれくらいハイドレートが入っているのか。ここに図がありますけれども、さっき書いたガスチムニー、この白く抜けている中に、これは全部塊であるわけはないので、そこにどれくらい入っているかということを掘削によって調べると。数と中身、これを掛けてハイドレートの量を出すという極めて素朴なやり方ですが、これを基本にして調査をしようというと、これがエネ庁とも話した作戦の基本です。それに加えて物理的な、物理探査によって、この広域的なガスチムニーの数やその程度を見ていくということがありますが、基本はこちらです。
 これが過去2年間の、13年度、14年度の調査範囲ですが、ちょっとここは白く抜けていますので、お手元の地図のほうがわかりやすいかもしれません。南のほうからいくと、西日本からいくとこれは対馬海盆。ここに隠岐島があって、その西のほうですね、このあたり。それから、隠岐トラフという、この県の前。鳥取、兵庫、京都沖合ですね、ここに深い海がある。それから富山湾、それから上越沖のあたり、佐渡の西のほうですね。それから、秋田、山形沖のこの最上トラフ、少しだけ日高沖、日高、胆振沖をちょっとやりました。これがこの2年間にやった範囲で、ここでいうと最初の年に約1万1,000平方キロ、今年度は1万9,000平方キロを踏査してガスチムニーの数を数え上げました、確認しました。これは一番基本中の基本の調査になります。
 そのほか、ガスチムニーの形を詳細に精度よく出す調査、それから電気的な性質から海底下のハイドレートの存在を予測する調査、そして4番目、これが掘削です。ガスチムニーに穴をあける調査。これが、この矢印が書いてあるところでやった。これがこの2年間の調査ですが、何度も言うように、ガスチムニーがどこにどんな大きさのものがあるのか、それを調べるのが本当に基本の基本でして、それをこういう船を使って調査しています。昨年も一昨年も約2カ月間、日本海の沖合を走り回っていろいろ調べたのですが、海底からこういう細かい、船のそこからビームを出して海底の地形を出す。地形を出したら、地形からそのちょっと高いところとか穴があいているとか、その変な地形をピックアップして、今度はその上を、海底に真っすぐぴゅうんと落ちる強い音波によって海底の中の構造を出すと。こういうダブルの調査をして、ガスチムニーの発見に努めたわけです。
 これを広域調査と呼んでいて、このあたりに即して言いますと、このお手元の地図でここに青い線がありますが、これは水深500メートルなのです。ここが境港、鳥取です。沖合のこういうへこみ、これを隠岐トラフと言います。トラフというのは舟形の底を持った、船底型のくぼ地といいますか、大きな長細い隠岐トラフ。それから、こちらにあるのは対馬海盆というところですね。これがずっとこちらのほうに続いていますが。それから、正確にいうと、ここにちょっと派生して、そんなに深くないけれども1,000メートルぐらいの深いものがここにあります。こういうところが500メートルより深いところで、これは温度、圧力、その物理的な関係から、メタンハイドレートはこの水深より浅いところではまずできない。水温にもよりますけれども、まず500メートルよりも深いところというのが調査対象になります。ですから、これより浅いところを調べても、それは何の意味もないようです。この深いところで、しかも有機物、泥をたくさん蓄えているものです。ここも可能性はあるので、ひょっとしたら来年やってもいいのではないかと思っていますが、まだ来年の計画ははっきりしていません。そういう調査ですね、これがここまでやったところです。
 ちょっとこれは余りまだ出してはいけない図なのですけれども、今の隠岐トラフの中のある場所です。ある場所で調べて、この点は全てガスチムニーの可能性のある場所です。この数に最初はちょっとびっくりして、星の数ほどあると電話で言い合ったのですけれども、とにかく無数にあります。こんなところは初めてのことです。
 ただ、これは全てこれがガスチムニーがあるどうかというのはわからなくて、これは山でマウンド、三角形は海底のちょっとした突起、丸いのは海底のぽこんとした穴ぼこ。これらの経験から、ちょっとした突起とか穴ぼこ、そういうところに下にガスチムニーがあって、そこにハイドレートがあるという、そういう経験をしていますので、まずこういう地形的な異常をピックアップして抽出して、その上で、この上をもう一度別の調査でもって一個一個走り回る。もうシラミ潰しに潰していくわけです。それで下にあるかどうかを調べるという、少し大変な作業をしました。
 この3つの箱を注目しますと、この線が、これが抽出されたライン、異常な点の上を走った跡ですけれども、赤い丸で囲ってあるところ、例えばこの三角形ですね、黄色い三角です。この辺に黄色い三角がありますが、この三角の上、丸がいっぱいついています。これはこういう小さな山の下にはガスチムニーがあったという印です。これはみんなありました。この辺になると、この辺は三角とか、これですね、これはバッテン。これは赤い三角形の小さな小山があったけれども、その下にはガスチムニーはなかったということです。これは、このSBPと呼んでいる調査をしないとわからないので、これはしようがないのですけれども、なるべく前倒しで前広に抽出して、たくさんピックアップしておいて、その上を走って改めて確認するという、そういう戦略でやっていたわけです。それにしても非常にたくさんの候補点があって、かなりこの丸の数が多いということがおわかりいただけると思います。それが一つです。
 もう一つは、これだけあると全ての点の上を一筆書きでもって走るわけにいかない、相当の数がここに残ってしまうということです。これを全部埋めるには、これはさらに何日間もこの場にとどまらなくてはならず、そうするとほかの地域ができないという、結局それはリソースの問題、時間的な兼ね合いもありますので、こうやって調べて、この周辺でもって同じような格好のものが丸だったら多分これもこれも丸なのではないかとか、ある程度想像しながら、これは推定丸だと、これは推定バツだということも考えて効率的に調査をしようとしていますが、まず今の段階では確実に上を調査して、丸かバツか判定したものだけをガスチムニーとして確認しています。
 ちょっとこれはまた小さな図なので恐縮ですけれども、ここにも赤い三角がありますし丸いものがある。これも地形調査でもって小さな山がいっぱいあるのがここでわかったと。こういう山の上を走ってみると、例えばこれは5番、6番ですね。5番、6番、7番、8番、この山の上を走ってみると、このように、山と言っても小さい山ですが、その下は大きく白く抜けています。それは大きなガスチムニーがここにあるということが示唆されています。しかもここからここまでべったりと白く抜けている。これが900メートルですから、3キロか4キロ。非常に大きな、幅もここは1キロぐらい、そういうガスチムニーがここにあるということがこれから見えるわけです。こうやって、まず地形で見て、この上を走ってガスチムニーを探すという捜査をしました。
 この調査は、昨年の4月の10日から始めて、ここの境港を出港して延々と北へ北へと上がっていって、最後は八戸で終わりという、2カ月間の調査でした。
 ほかにもいろいろと調査したのですが、これはもっと詳細な、海底直上を無人潜水艇で走って、高分解能のガスチムニー探査をするというので、今と同じところですが、ここを走るとはっきりしたこの幅が見えるし、この発達状況がわかるのです。こうやってガスチムニーを予見していく。
 これが一つの結果、昨年度、今年度までの結果ですが、先ほど広田環境立県推進課長からも紹介されましたように、これまでに全部で971個のガスチムニーをこの調査範囲で確認しています。去年は225個だったのですね。ことし新たに746個発見したと。去年、1万平方キロで
225個、ことしは2万平方キロで746個、2倍以上、3倍近いです。それはなぜこんなに多くなったかというと、これは詳細な数字は申し上げられませんが、隠岐トラフ、この沖合の海に大量のガスチムニーがあったからです。さっき場所は特定されないとお示しした、あのたくさんの点です。そういうものが隠岐トラフの中にはあって、それでこのような数になってるわけです。結局合計で971個のガスチムニーがあることが確認されたわけです。
 この971個の意味ですけれども、これは2年間で4,408個、これが候補点として抽出されたものです。先ほどの図でいいますと、黒い線が引いてなくて全体にべたっといろんな黄色とか赤とか紫の点がちりばめられている、あの図です。ああいうものを全部数え上げて4,408個ありました。この中から1,680個の上を船が走っていって、それがイエスかノーかを仕分けていく。その結果、971個は、これは確実にガスチムニーがありましたと。ただ、残りの709個は、これはなかったということがわかります。これはもうバツです。
 ここで、調査したのは1,680ですから、結局2,700個、まだ調査し残っているわけです。これは上を走っていないからわからない。わからないというのが正確です。ただ、この中から推定して、周りの地質状況から、これは似ているからいいだろうとか悪いだろうとかということは言えますけれども、厳格に言えばこれはだめです。このうちの何百個かがある可能性は十分にあるわけです。何百どころか1,000個ぐらいこちらに入るかもしれない。それは時間との兼ね合いで、来年度どういう調査をするかによっています。
 これが基本的な調査で、特にこの隠岐の沖合で関係しそうな話をしました。
 そのほかの調査として、これは海底に潜水艇を入れて海底の様子をモニタリングしたものですね。これは海底の崖です。これも大変決定的な写真なのですが、海底に崖があって、崖に白いものがいっぱい出ています。これはレンズ状、あるいは層状に入っていて、ここでもって多分2メートルぐらいあります。全体で4~5メートルの壁が白いハイドレートでべったり埋め尽くされている。これはたまたま壁がそうなっているので、この壁の奥のほうにずっとこの白いものがある可能性もあると考えたほうがいいです。そうすると、数メートルの厚さの純粋な格好のハイドレートがここにあるということがわかるわけです。
 これは、ことしの調査からのハイライトで、こういう「白嶺」という船を使って、このやぐらですが、このハイドレートを回収して、ここは燃えてるところです。
 もうこれで終わりにしたいと思うのですが、これが来年度考えていることです。来年度は、当初やろうとして時間的にできなかった、このグリーンの部分です。隠岐トラフの一部はまだやり残しがあります。それから、この隠岐の西のほうの対馬海盆もやり残しがあるので、ここは早い段階で片づけたい。それから、最上トラフと北海道の2カ所、これはあるいは場合によっては3カ所、これを来年度の課題にして、これをやれば日本海におけるハイドレートの分布の調査が完了するということです。
 これはちょっとまた詳し過ぎますけれども、ガスチムニーの中に、ことしは1本の穴を掘って、これはもう見事なたくさんのハイドレートがとれたのですけれども、来年は一つのガスチムニーに複数の穴を掘って、その三次元的な分布を見ようという計画を立てています。それから、異なる海域。海域によっても出方は違うだろうから、昨年は上越沖と最上だけだったのですが、隠岐トラフについてもできたらと思っています。全体の日数を考えながらやろうと思っています。これだけたくさんここにはあるので、これはやりたいとは思っています。
 1つ掘るのに4~5日かかるので、どのようにこれを穴を配置するか、これから考えなくてはいけませんが、有効に成果が出るような場所をやっていきたいと思っています。
 結局、穴をあける場所と、それから詳細調査をする、これは全くのプランで、今後、成果をもう一度精査した上で来年度の計画を組もうと思っています。これはまだ希望、このあたりの線は、これは昨年度です。ああ、いや、今年度です。来年度についてはまだ場所はまだできていません。
 さて最後に、短くなりますけれども、県に対して、これまでいろいろと県の方ともお話をし、その以外の方ともお話をして、いろんな実質的な共同、コラボレーションはもう始まっているのですけれども、それも踏まえて、何ができるか、何をしていただきたいかというと、まず第一に、メタンハイドレートを賦存する海域を目の前に持つ県として、今後の精密調査、探査と、その後の開発を担うことのできる高度な技術者、海洋調査ができる技術者をこの県から輩出するということは非常にインパクトもあるし、地元活性にもつながる。目の前で起きている出来事ですから、それは若い人も大いに関心を持つと思うのです。
 それをさらに実質的なものとして保障するために、県内の大学や水産試験場等の公的な研究機関、調査機関はいいと思うのですが、明治大学を拠点として今、進んでいるプロジェクト、これに参加すること、大いに期待されます。実際これは既にケーススタディーの例として、昨年度や今年度の夏には鳥取大学から2名の教員の方、それから水産試験場から2名の研究者の方が調査に乗船をされて、どのように調査をするのか、ハイドレートについて、一緒に行って情報を共有したことです。これをさらに進めていければと思っています。
 3番目は、これはアウトリーチ、啓蒙活動です。多くの人が理解してくれているということがこういう調査をする上では大事で、あしたの講演会もそうですが、それについて私たちも最大限のお手伝いをしたいと思っています。
 そしてさらに、いずれにしてもこの3つは今、喫緊の問題ですが、その次のフェーズとして、これはそういう話ではありませんけれども、次のフェーズというのは3年間で資源量調査がほぼ終わる。これはもう誰が考えても間違いなく大変大きな成果で、前へ行く力になる。その後、資源回収技術の本格的な調査、研究開発をするということです。これは先ほどお示ししたMH21事業計画の中にも書かれていますけれども、それを切れ目なく速やかに進めていくということが大事だと思うのです。そういうことに対して国へ要請して、同時に鳥取県としてそれを受け入れるだけの体制強化です、これは大学、研究機関、あるいは研究会、そういうところでしっかりと成果を出していくということも同時にやると思うのですが、そういう形で、国と一体となって隠岐トラフ、日本海でのハイドレートの資源探査が進めばいいと思っています。

◎伊藤(保)委員長
 電気をつけてください。
 松本先生、ありがとうございました。
 ただいま松本先生から、わかりやすく説明いただきましたけれども、委員の皆様方のほうで何かございますか。

○山口委員
 すばらしい講義を聞かせていただきました。実は、化石燃料からエネルギー転換しなければならないと、こういう大きな地球温暖化の問題で対応しなければならない時代が来ているのですけれども、どういう形でエネルギーシフトをするかというのが今の課題だと、こう思っております。問題として、この1ページに書いてありますように生物の死骸、生物ですね。ですから、生物ですから、恐らくみんな有機物みたいなものではないかと思います。有機物、人間の体であるとか。そういうものが海底深くですね、何年前か、地球の歴史からいくと。圧力とかそういったものによって堆積して、それが分解をしてメタンやそういった有機化学物質に変化するわけです。そうしますと、地球の生成上からいきますと地球上どこでも、海底だろうがどこだろうがこれは存在するわけですよね。
 問題は、海底であるからして、発生するメタン、堆積するメタンを採掘して実用化するということが、コスト的に有利であるかどうかということだと思いますし、それから投資的な効果からしてもこれは有利な開発コストだと、それから持続可能だと思っておりまして、いかにしてコストと、永久的なエネルギー供給ができるかどうかということだと思っておるのです。世界的に実用化しているところがあるのかどうか、それから投資と、化石燃料とかこういうものに対しては、これはCO2発生上からいくと、これは問題になるわけですから、実用化の問題はコストの問題だと、こう思っております。それから半永久的でなければいけないということと、それから地球の生い立ちからしますとどこでも、陸上でも、先ほども申し上げましたように海底だろうがどこだろうが埋蔵されていると、こういうことにもなるのではなかろうかと思いますけれども、やはり……。

●松本教授
 では、2~3の要点で私の知っている範囲でもってお答えすると、有機物が地層の中で熱や圧力で分解してメタンになると、そのとおりなのですけれども、それはほとんどの場合、そのまま海底から海水へ逃げて大気へ逃げていく、あるいはそれこそ山などで出ているわけです。もうほとんど逃げてしまっている。
 ところが海底で、さっき申し上げたような水深500メートルより深い海底の泥の中では、圧力と温度の関係で、そのメタンのガスが氷になってしまうのですね。氷になると、もう逃げないで、海底から何十メートルかのところに塊としてトラップされているのです。そういう場所は世界中どこにでもあるわけではなくて、日本だと日本海の今言った隠岐トラフとか最上トラフとか、そういうところに限定されるのです。それがわかったというのが私たちのこの調査の成果で、世界的にどこにでもあるということではありません。
 広いところに分布しているというのは、南海トラフ、太平洋では分布していますけれども、それは余りにも深過ぎて資源としてはまず使えないということで、世界的にもその深いものを使うという動きはないです。使うとしたら、浅いところにあるこの表層型だろうと。しかし、ほかの国ではまだちゃんとその調査はされていないと。日本がその点ではトップランナーとして調査をしている。日本海のこの調査は、もうみんなが注目しているというところです。もし資源として使えるとしたら、ここが最初だろうと私は個人的には思っているし、皆さんもそのように期待していると思います。
 化石燃料です。これはそのとおりなのです。ただ、この図をごらんになり、あるいは何ページ目かにこの図があると思うのですが、これで2012年を見てもらうと、これは化石燃料が90%なのです。その前にしても化石燃料が80%以上で、これを少なくすることは、それはもう地球環境からいったらいいに違いないのだけれども、これはすぐ銭にはならない。この間の総合エネルギー調査会でも半分に何とかしたいというような話がありました。その半分にするというときにどれを減らすのかというと、これは石炭、石油を減らして天然ガスをふやすと、そういうことによって……(「エネルギーシフト」と呼ぶ者あり)ええ、エネルギーシフトを大きくしてCO2排出量を減らすことができる。天然ガスをふやせば、CO2排出量はそれで3分の2になりますから、30%減になるわけです。ですから、全体に減らしながら、かつ天然ガスはふやすと。天然ガスをふやすということはハイドレートを使うということ。国産のハイドレートを使うということ、これは非常に理にかなっているだろうと思います。
 もう一つ、再生可能エネルギーを30%までにしようという元気のいい声もありましたけれども、現状を考えて、それができるかどうか、非常にまだ夢のお話だと思うのです。それと比べると、CO2排出量の小さな化石燃料である天然ガスを使うことは、これは理にかなった、非常に現実的な選択ではないかと思っています。それが背景としてあるのです。それがあるからこそ、国もそれに相当の熱意を持っているのだと思います。

◎伊藤(保)委員長
 そのほかございませんか。

○山口委員
 メタンとエタンとは、どのぐらいの割合ですか。

●松本教授
 99.9%、メタンです。

○山口委員
 メタンですか。

●松本教授
 ええ。エタンはほとんど入っていないです。ですから、エネルギー、熱量が高いです。

○山口委員
 もう一つ。エネルギー転換をするということはよくわかっておるのですけれども、問題は、実用化するということになりますと、投資ということがあるのです。投資効果と、転換することは当然、化石燃料を使用することによる今の地球の温暖化ということはわかっておりますけれども、やはり経済的な効果とかいうと、投資的な実用化するまでにおける投資と効果、それから永続性です。こういうことからすると、埋蔵量にもよると思いますけれども、そういう点も調査されて、隠岐というのは有望な埋蔵量もありますし。

●松本教授
 そうですね、埋蔵量、ガスチムニーの数が圧倒的に多いということは、これは間違いないです。それぞれのガスチムニーの中にどれくらい入っているかは、できたら来年か再来年か幾つか穴を掘ってやっていこうと思うのですが、一つ、再生可能、永続性ということについて、山口委員がおっしゃっていますが、これはとてもおもしろい話で、化石燃料というのは、地下に埋まっている油にしろガスにしろ、抜いてしまったら終わるわけです。間もなくこのガス田は終わりですというところがあちこちにあります。ところが、これはまだアイデアというか、ガスチムニーの上に、この図でもって上にガスチムニーが上がってきて、海底付近に氷として固まる。氷として固まった氷をほじくってとる。下からまた継続的にガスの流れはあるのです。とれば、そのあとを埋めるように、またハイドレートができると、論理的にはそのように考えられています。このガスチムニーを通して、常にもっともっと深いところにある大きなガスだまりからガスが供給されているので、これはある種、再生可能な化石燃料であると。非常に長期的に考えたらそうではありませんけれども、何十年とかなどというオーダーで考えた場合には、ガスチムニーのトップにあるハイドレートをとってできた穴を10年後に戻って見たら、またハイドレートができていたと、そういうこともあり得るのではないかと。それがこれまで地質調査をしていて得た感触です。

○山口委員
 ちょっと委員長、私ばかりやりますけれども、よろしいでしょうか。
 世界的にこういう研究も進んでいると思いますし、先生のところは専門的な役割を果たしておられるのですけれども、日本海や太平洋のほうも含めて、実用化というのがここが最初ぐらいになるのでしょうか。
 それと、鳥取大学にもう一つの研究機関を設けようというのですけれども、これはやはり地質学で、何をまず最初に鳥取大学で基礎的な研究をするべきかどうかです。あるいは実用化に向けてまでそういう工程を描きながら大学は研究するのかどうかと、こういうことについてはいかがでしょうか。

●松本教授
 はい、わかりました。
 一つは、ハイドレート資源として商業化するという、最初にも言ったようにここが一番近いと私は思っています。ただ、国のプロジェクトとしては南海トラフで砂層型をもう20年やっていますから、そこは生産試験をやったり、一歩先を行っていますけれども、誰が考えても恐らく生産コストは圧倒的にこちらのほうが安いだろうと。そういうパフォーマンスからいっても、とりやすさからいっても、こちらのほうが先行するのではないかと、これは個人的な我田引水もありますけれども、そう思っています。
 もう一つ、今おっしゃった鳥取大学ですが、地質学がベースになくてはならないことは確かです。特に今の段階ではそうですけれども、次のフェーズで生産、開発、そういうところにいくと、もう少し土木工学的な、地盤強度を調べるとか、それから海底に構築物をつくるときの周りの環境への影響とか、それからもちろん漁業との共存とか、そういうことにもう少しフォーカスを当てた調査研究がされなければいけなくて、今の段階ではハイドレートがどこにあるかということを広域的に調べる段階ですから、地質的なセンスや関心でいてもいいのですが、もう次の段階になったらもう少し工学的なセンスが必要です。ただ、工学的とはいっても、やはり地質学の知識がベースにないと上滑りしますから、そこがうまくリンクした形で研究、教育ができると、それこそ非常に大きな、このプロジェクト全体への寄与になると思います。
 そういうところは日本にどこにもないのです。私がこんなこと言うのは変ですけれども、大学の中でハイドレートを研究しているところはほとんどないといっていい。私が東大にいたときには、東大で学生を育ててやっていましたが、リタイアして明治大学では、これは研究組織であって学生を教育する場所ではないのです。ですから、学生や若手研究者を教育して人材をつくる場所というのはほとんどないと言っていいです。そういうときに、そういう場所としてここができると、これは物すごく大きなインパクトがあると思います。

○山口委員
 もう私は最後ですけれども。
 先生のところ、明治大学ですね、今のハイドレートですが、どのような範囲で取り組んでおられるのか、それからまた一歩進んで実用化に向けての対応というのは今後の課題なのですか。

●松本教授
 そうなのですね。大学を東大から移って、その前、人をずっとつけて移ってきたので、基本的には理学的な地質学的な研究チームで、それにプラス産業技術総合研究所の人などを呼んで形をつくっていますけれども、どうしても理学、サイエンスが中心で、それに環境をするためにお魚屋さん、漁業ですね、海底制御の人にも加わってもらっているという、今はそういう段階です。エンジニアリング的な部分は全く今はないので、そういう拠点ができると、これは全体のバランスからいってもそれはぜひ欲しいと思っています。

○錦織委員
 松本先生、きょうはありがとうございます。
 いろいろ可能性を秘めたものなのだと改めて教えていただいたと思うのです。
 今、本当に再生可能エネルギーということでは、なかなか30%には行かないだろうということで、ドイツなどが26~27%ぐらいまで今上がってきたというところで、私は原発はやめたほうがいいということなので、本当にかわるもののエネルギーとしては非常に希望の持てる、展望の持てるエネルギーだと思いますし、それから自然環境や漁業などの影響がないということであれば、これをどんどん進めていくべきだと思いました。
 それで、今は学術的というか研究の段階なのですけれども、これを国策としてやられるわけですけれども、その実用化に向けては、例えば日本企業で、虎視たんたんと何かこういうのを狙っているのではないかと、それからまた、外国の企業などがやはり本格的になれば利益も上げられるというようなことで狙っているのではないかと思うのですけれども、そのあたりの動きとかというのは、今の研究の段階で余りないのでしょうか。

●松本教授
 学術的な関心やそういう視点での研究は終わっていないけれども、それから既に探査ですね、開発に向かったところにもう入っている、日本も乗り込んでいる今、開発に向かっての第2ステップにいると言っていいと思います。
 これから次のフェーズに行くところで、それこそ商業生産にどのようにバトンをタッチしていくかという話が出ると思うのですが、そのあたりで、本当だったら民間の開発会社、石油開発会社とかゼネコンとかですね、興味を持って虎視たんたんと来てくれればいいのですけれども、日本のそういう会社の方は非常にコンサバティブで、残念ながら夢のあることに投資してやろうという人が出てこないです。

○錦織委員
 ああ、まだないのですか。

●松本教授
 非常に残念ですけれどもね。南海トラフなども20年もやっているのだけれども、誰も手を挙げてこない。すぐに利益がリターンしないと手は出さないのかもしれません。
 だから、ある程度、まだ国がリードしてやらなければいけないし、それからさらに言うと、これは世界で最初、全く最初の例ですから、何もオールジャパンで日本だけに限ることなく、英知を結集して、どうしたらとることができるのかと、安全かつ効率的にできるのかということは、それこそ国際コンソーシアムをつくってもいいと思うのです。まず第一に安全にとることを世界に示すと。それで日本がそれをリードするということでやればいいので、日本の特定の企業がどう利権をとるかという、そういう話ではないです。そういうことができるほど、まだ甘くはないと思っています。

○錦織委員
 一つの利権というか、そういうことになってはいけないと。広く安全に使われるということで、ぜひそういう方向に向いてほしいと思っているのです。
 それで、私たちの議会でも、常任委員会でも、これは大体国が人材育成というか、そういうことでもやるべきではないかと。これは小さい県でやるべきことではないのではないかという意見もあったのです。そういう面では、国の支援というのが、そういう人材を育成するという点では、私はもっともっと国がお金出してもいいのではないのではないかと思うのですけれども。

●松本教授
 全くそう思いますね。

○錦織委員
 何か一地方、小さい地方で出していくというのは。夢もあるし、実益も兼ねているということだとは思うのですが。

●松本教授
 おっしゃるとおりなのですけれども、逆に言うと、国がやっていないし、名立たる国立大学のどこもやっていなくて、そういうところをばっとつかんでここでやってしまえばいいのではないかということもあると思うのです。最初は小さな投資でも、最初のうちは非常に大きな効果が上がります。そこに経済産業省ではなくて、これは教育、人材育成だったら文部科学省の方だと思いますけれども、そういう形で拠点として手を挙げると、そういうむしろこれは国のマターだからというよりは、もっと積極的に出てもいいし、そういう絶好のチャンスではないかという気もします。
 驚くべきことに、本当に今、日本の大学の中ではどこもないのです。アメリカ、外国と比べても非常に悲惨な状態です。にもかかわらず南海トラフにしろここにしろ、プロジェクトは動いているのです。ですから、学生とのリンクがないということですから、それをつけるような仕組みをつくったら、これは大変大きなインパクトがあります。

◎伊藤(保)委員長
 そのほかございませんか。
 濵辺委員、いいですか。大丈夫ですか。坂野委員もいいですか。

○山口委員
 一つですね、これは地質学の分野でやるのか、化学の分野でやるのか、総合的にやるのかと。どういう対応が一番望ましいのでしょうか。

●松本教授
 いや、総合的ですね。総合的にやるしかないと思います。
 ただ、順番があって、地質学がまず先兵として走ってるので、その後ろを地球物理学とか海洋学とかがついていって、それから化学とか工学がついていってというかたちです。

○山口委員
 鳥取県でどこまでやるかということには、これで一つ、鳥取大学の中で限界があります。今も先生が言われましたけれども、やはりそういう分野の専門性が必要だと、こういうことだと思います。

●松本教授
 それに関して言うと、やはり全く何もないところに更地に何かつくるというのは大変だけれども、鳥取大学には海洋の土木、海洋工学という専門家が何人もいらっしゃるので、その人たちの研究リソースと、それから我々明治大学が持っている地質学におけるハイドレート研究の成果と、それがここで統合されれば、非常に効果的、実質的な拠点ができると思います。

◎伊藤(保)委員長
 ありがとうございました。
 松本先生にはお忙しいところを本当にありがとうございました。
 また、夢のあるお話もさらに聞かせていただきました。

●松本教授
 夢ではないですから。(「現実です」と呼ぶ者あり)

◎伊藤(保)委員長
 現実になるようにしていただきたいと思います。
 本当にきょうは大変忙しいところありがとうございました。
 またお世話になりますけれども、よろしくお願いします。ありがとうございました。
 以上をもちまして福祉生活病院常任委員会を終わりたいと思います。ありがとうございました。お疲れさまでした。

                                午後2時42分 閉会

 

 

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