インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の一部を改正する法律等の…

インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の一部を改正する法律等の施行について(例規通達)

 平成20年12月18日
 鳥少例規第10号
 改正 平成30年鳥務発第3号、令和2年鳥務例規第3号
 今般、インターネット異性紹介事業の規制強化を目的として、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の一部を改正する法律(平成20年法律第52号。以下「改正法」という。)、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律施行令(平成20年政令第346号。以下「令」という。)及びインターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律施行規則の一部を改正する規則(平成20年国家公安委員会規則第21号。以下「改正規則」という。)が施行(改正規則第2条(児童でないことの確認方法の変更)については平成21年2月1日から施行。)されたところであるが、これら法令の趣旨及び概要並びに運用上の留意事項については、下記のとおりであるので、事務処理上遺漏のないようにされたい。
 本例規通達において、「新法」とは改正法による改正後のインターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(平成15年法律第83号)を、「旧法」とは改正法による改正前のインターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律を、「新規則」とは改正規則第1条による改正後のインターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律施行規則(平成15年国家公安委員会規則第15号)をいうものとする。
                      記
第1 改正法等の制定の趣旨
  改正法は、インターネット異性紹介事業の利用に起因する児童買春その他の犯罪が多発していることにかんがみ、インターネット異性紹介事業者(以下「事業者」という。)に対する届出制の導入等の規制の強化を行うとともに、児童によるインターネット異性紹介事業の利用を防止するための民間活動の促進に関する措置を講ずるために制定されたものである。
    また、改正法の施行に伴い、及び児童によるインターネット異性事業の利用を防止するための措置を強化するため、令及び改正規則が制定されたものである。
第2 各改正規定の趣旨及び概要
  1 総則
  (1) 目的(新法第1条関係)
     インターネット異性紹介事業の規制の強化に伴い、新法の目的規定において、「インターネット異性紹介事業について必要な規制を行うこと等により、インターネット異性紹介事業の利用に起因する児童買春その他の犯罪から児童を保護し、もって児童の健全な育成に資すること」と明記された。
  (2) 定義(新法第2条第4号関係)
      「登録誘引情報提供機関」とは、事業者による、禁止誘引行為に係る異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができないようにするための措置(以下「公衆閲覧防止措置」という。)(新法第12条第1項)の実施の確保を目的として誘引情報提供業務(新法第18条第1項)を行う者として国家公安委員会の登録を受けた者をいうこととされた。
 2 事業者等の責務(新法第3条関係)
  (1) 事業者の責務(新法第3条第1項関係)
     旧法は、児童によるインターネット異性紹介事業の利用の防止に係る責務について、事業者とインターネット異性紹介事業に必要な役務を提供する事業者を同様に規定していた。
     しかし、インターネット異性紹介事業の利用に起因する児童被害に係る犯罪が多発している現状に対処するため、事業者は、児童が児童買春等の犯罪被害に遭いやすい事業を行っているという点において相対的に重い責務を負っていることを法文上明確にする必要があり、新法第3条第1項において、事業者はその行うインターネット異性紹介事業に関し、この法律その他の法令の規定を遵守するとともに、児童によるインターネット異性紹介事業の利用の防止に努めなければならないこととされた。
  (2) インターネット異性紹介事業に必要な電気通信役務を提供する事業者(以下「役務提供事業者」という。)の責務(新法第3条第2項関係)      
     「インターネット異性紹介事業に必要な役務を提供する事業者」は、電気通信役務を提供する事業者に限定されていないが、インターネット異性紹介事業そのものの成立に不可欠な役務を提供する事業者を意味するものであり、基本的にここでの役務は、電気通信役務を念頭に置いていたものであることから、今回、本法の対象となる事業者の範囲をより明確化する観点から、「役務」を「電気通信役務」とした。
     新法では、アクセスプロバイダ、アクセスプロバイダとしての携帯電話会社、レンタルサーバー事業者等役務提供事業者は、児童の使用に係る通信端末機器による電気通信についてフィルタリングを提供すること等により、児童によるインターネット異性紹介事業の利用の防止に資するように努めなければならないこととされた。
     この他、事業者及び役務提供事業者は、児童の健全な育成に配慮するよう努めなければならないこととされた。(新法第3条第3項)
 3 保護者の責務(新法第4条関係)
   役務提供事業者の責務と同様に、保護者についても、フィルタリングを利用する責務を負っていることを法文上で例示することにより、その責務の内容を明確化することとした。
   すなわち、児童の保護者は、児童の使用に係る通信端末機器による電気通信についてインターネット異性紹介事業の利用を制限するフィルタリングを利用すること等の児童によるインターネット異性紹介事業の利用を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならないこととされた。
 4 児童に係る誘引の禁止(新法第6条関係)
   旧法施行後、インターネット異性紹介事業の利用に起因する児童被害のうち、旧法第6条第1号から第4号までに掲げる誘引行為を契機とするものの割合は減少したが、それ以外の性交等又は対償の供与を伴わない異性交際の誘引行為を契機とするものの割合は増加した。
   これらの性交等又は対償の供与を伴わない異性交際の誘引行為についても、インターネット異性紹介事業を利用して行われた場合には、これに応じ、又はこれを見て同様の異性交際の誘引行為を行うという形で不特定多数の児童に被害を及ぼすおそれがあることから、新たにこれらの行為を禁止する必要があった。
   そこで、従来から禁止されていた誘引行為のほか、児童を異性交際の相手方となるように誘引し、又は人を児童との異性交際の相手方となるように誘引することが禁止された。
 5 インターネット異性紹介事業の規制
  (1) インターネット異性紹介事業の開始の届出(新法第7条第1項関係)
      ア 旧法では、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)が事業者の連絡先等を把握する制度が定められておらず、事業者に対する警告や行政処分が十分にできない場合があるという問題が生じていた。
          そこで、インターネット異性紹介事業を行おうとする者は、氏名又は名称、住所、当該事業を示すものとして使用する呼称、事業の本拠となる事務所の所在地等のほか、事業の本拠となる事務所の電子メールアドレス、異性交際希望者が児童でないことの確認の実施の方法、ウェブサイトのURL等新規則で定める事項(新規則第1条第4項及び第5項)を、事業の本拠となる事務所の所在地を管轄する公安委員会(以下「管轄公安委員会」という。)に届け出なければならないこととされた。
         なお、届出は、新規則第1条第3項で定める書類を添付して、同条第1項において定める様式の事業開始届出書により行うものとされた。
      イ アの届出は、事業の本拠となる事務所の所在地を管轄する警察署長を経由して、インターネット異性紹介事業を開始しようとする日の前日までに事業開始届出書を提出しなければならないこととされた(新規則第1条第2項)。
          ただし、改正法の施行の際現にインターネット異性紹介事業を行っている者は、改正法の施行の日から起算して一月を経過する日までに届け出ればよいこととされた(改正法附則第2条)。
  (2) インターネット異性紹介事業の廃止等の届出(新法第7条第2項関係)
      ア (1)の届出をした者は、事業を廃止したとき、又は届出事項に変更があったときは、管轄公安委員会(公安委員会の管轄区域を異にして事業の本拠となる事務所を変更したときは、変更した後の事業の本拠となる事務所の所在地を管轄する公安委員会)にその旨を届け出なければならないこととされた。
     なお、廃止又は変更の届出は、新規則第2条第3項において定める書類を添付して、同条第1項において定める様式の事業廃止届出書又は届出事項変更届出書により行うものとされた。
      イ アの届出は、事業の本拠となる事務所の所在地を管轄する警察署長(警察署長の管轄区域を異にして事業の本拠となる事務所の所在地を変更したときは、変更した後の事業の本拠となる事務所の所在地を管轄する警察署長)を経由して、当該インターネット異性紹介事業の廃止又は届出事項の変更の日から14日以内に届出書を提出することにより行うこととされた。ただし、事業者が法人の場合であって、当該届出書に事業者たる法人の登記事項証明書を添付すべきときは、20日以内に提出すればよいこととされた(新規則第2条第2項)。
  (3) 欠格事由(新法第8条関係)
        旧法では、事業者として不適格な者による事業を防止することができないという問題があった。
        そこで、禁錮以上の刑に処せられて執行を終わった日から起算して5年を経過しない者、新法による停止・廃止命令に違反した者、暴力団員等は、インターネット異性紹介事業を行ってはならないこととされた。
  (4) 名義貸しの禁止(新法第9条関係)
        名義貸しは、事業者に対する届出義務違反を助長するものである。
        そこで、事業開始の届出をした者は、自己の名義をもって、他人にインターネット異性紹介事業を行わせてはならないこととされた。
  (5) 児童による利用の禁止の明示方法(新規則第3条第2号関係)
        事業者が広告又は宣伝を電子メールにより行う場合の児童による禁止の明示方法として、従来から規定されていた当該電子メールの表題部に「18禁」の表示をすることに加え、同表題部に児童が当該インターネット異性紹介事業を利用してはならない旨の文言を表示することが認められることとされた。
  (6) 児童の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止措置(新法第12条第1項関係)
        旧法では、禁止誘引行為をすることは罰則をもって禁止されていたが、禁止誘引行為に係る情報について公衆閲覧防止措置をとることは事業者に義務付けられていなかったため、いったん禁止誘引行為が行われた場合、当該禁止誘引行為に係る情報がウェブサイトに掲載され続け、不特定多数の児童の被害を招くこととなり、児童保護の観点から問題であった。
        そこで、事業者は、その行うインターネット異性紹介事業を利用して禁止誘引行為が行われていることを知ったときは、速やかに、当該禁止誘引行為に係る異性交際に関する情報について公衆閲覧防止措置をとらなければならないこととされた。
 6 事業者に対する監督
  (1) 指示(新法第13条関係)
        新法では、事業者に対して届出義務及び公衆閲覧防止措置義務が新たに課されるところ、事業者の義務の範囲の拡大に伴い、事業者に対する監督を強化する必要がある。
        そこで、事業者がその行うインターネット異性紹介事業に関し新法若しくは新法に基づく命令又は他の法令の規定に違反したと認める場合において、当該違反行為が児童の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該違反行為が行われた時における管轄公安委員会は、必要な指示をすることができることとされた。
        これにより、事業者に法令違反があった場合、旧法における改善命令とは異なり、当該違反行為により生じた違法状態が継続しているときのみならず、当該違反状態が解消されたとしても、その違反の原因となった事由が残存し、その違反が繰り返されるおそれがあるときには、違反行為が繰り返されないようにするための措置を命ずることができることとなった。
        なお、指示は、新規則第7条において定める様式の指示書により行うものとされた。
  (2) 事業の停止等(新法第14条第1項関係)
        旧法では、法令違反行為を行った事業者による事業の継続を防止する手段が規定されていないという問題があった。
        そこで、事業者がその行うインターネット異性紹介事業に関し新法(新法第31条の罪及び同条の罪に係る第35条の罪を除く。)、児童福祉法第60条第1項若しくは児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律に規定する罪又は児童の健全な育成に障害を及ぼす罪として令に定める罪(令第1条)に当たる行為をしたと認めるときは、当該行為が行われた時における管轄公安委員会は、6月を超えない範囲内で期間を定めて、当該インターネット異性紹介事業の全部又は一部の停止を命ずることができることとされた。
        なお、停止命令は、新規則第8条において定める様式の命令書により行うものとされた。
  (3) 事業の廃止(新法第14条第2項関係)
        事業者が欠格事由(新法第8条)に該当することが判明したときは、その時点の管轄公安委員会は、当該インターネット異性紹介事業の廃止を命ずることができることとされた。
        なお、廃止命令は、新規則第8条において定める様式の命令書により行うものとされた。
  (4) 処分移送通知(新法第15条関係)
      ア 新法では、違反行為を行った事業者に対する指示又は停止命令は、当該行為が行われた時における管轄公安委員会が行うことが原則とされているが、管轄公安委員会が事業者の違反行為を認知した後に事業者が事業の本拠となる事務所を他の公安委員会の管轄区域内に変更する場合も予想される。
         そこで、公安委員会は、指示又は停止命令をしようとする場合において、当該事業者がその事業の本拠となる事務所を他の公安委員会の管轄区域内に変更していたときは、当該処分に係る事案に関する弁明の機会の付与又は聴聞を終了している場合を除き、速やかに、現に当該事業者の事業の本拠となる事務所の所在地を管轄する公安委員会に処分移送通知書を送付しなければならないこととされた。
         なお、処分移送通知書は、新規則第9条において定める様式のとおりとされた。
      イ 処分移送通知書が送付されたときは、当該処分移送通知書の送付を受けた公安委員会は、指示又は停止命令をすることができるものとし、当該処分移送通知書を送付した公安委員会は、これらの処分をすることができないものとされた。
      ウ アの規定は、公安委員会がイの規定により処分をしようとする場合について準用することとされた。
  (5) 報告又は資料の提出(新法第16条関係)
        公安委員会は、新法第7条から第15条まで(第12条第2項を除く。)の規定の施行に必要な限度において、事業者に対し報告又は資料の提出を求めることができることとされた。
        新法では、公衆閲覧防止措置義務が新たに課せられるなどしたため、事業者の適切な監督のため、旧法が規定する報告を求めるだけではなく、事業者が通常業務上保存している資料等の提出を求めることができることとされた。
        なお、報告又は資料の提出は、新規則第10条において定める様式の報告等要求書により求めるものとされた。
  (6) 国家公安委員会への報告等(新法第17条関係)
      ア インターネットの特性から、インターネット異性紹介事業は当然にすべての都道府県をまたがって行われるため、管轄公安委員会以外の公安委員会が当該インターネット異性紹介事業が既に届出されたものであるかどうかを確認する必要がある。
          そこで、公安委員会は、届出の受理、指示又は停止命令をしたときは、当該事業者の氏名又は名称、住所、当該事業を示すものとして使用する呼称、事業の本拠となる事務所の所在地、届出受理番号等新規則第11条第1項において定める事項を国家公安委員会に報告しなければならないこととされ、国家公安委員会は、当該報告に係る事項を各公安委員会に通報するものとされた。
      イ インターネットの特性から、管轄公安委員会以外の公安委員会が事業者の違反行為を認知する場合があり得る。
         そこで、公安委員会は、事業者が指示又は停止命令の事由となる違反行為をしたと認めるとき、又はこれらの処分に違反したと認めるときは、当該違反行為が行われた時における当該事業者の事務所の所在地を管轄する公安委員会に対し、当該事業者の氏名又は名称、住所、当該事業を示すものとして使用する呼称、事業の本拠となる事務所の所在地、届出受理番号等新規則第11条第2項において定める事項を通報しなければならないこととされた。
  7 登録誘引情報提供機関制度
      事業者による公衆閲覧防止措置の実施を確保するためには、禁止誘引行為に係る誘引情報を事業者が速やかに認知することが必要となる。そこで、当該情報を収集して事業者に提供する活動を支援するため、登録誘引情報提供機関制度を導入することとされた(新法第4章)。
  (1) 登録誘引情報提供機関の登録(新法第18条関係)
     ア 事業者による公衆閲覧防止措置(法第12条第1項)の実施の確保を目的としてインターネット異性紹介事業を利用して行われる禁止誘引行為に係る異性交際に関する情報を収集し、これを当該事業者に提供する業務(以下「誘引情報提供業務」という。)を行う者は、国家公安委員会の登録を受けることができることとされた。
      イ 登録を受けようとする者は、国家公安委員会に申請をしなければならないこととされた。
      ウ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日から起算して2年を経過しない者、登録を取り消された日から起算して2年を経過しない者等は、登録を受けることができないこととされた。
      エ 国家公安委員会は、登録の申請をした者が、一定の要件のすべてに適合しているときは、登録をしなければならないこととされた。
      オ 登録は、登録誘引情報提供機関登録簿に登録年月日、登録誘引情報提供機関の氏名又は名称及び住所等を記載してするものとされた。
      カ 登録誘引情報提供機関は、その氏名又は名称及び住所等を変更しようとするときは、その旨を国家公安委員会に届け出なければならないこととされた。
  (2) 表示の制限(新法第19条関係)
        登録誘引情報提供機関でない者は、誘引情報提供業務を行うに際し、登録を受けている旨の表示又はこれと紛らわしい表示をしてはならないこととされた。
  (3) 情報提供(新法第20条関係)
        国家公安委員会又は公安委員会は、登録誘引情報提供機関の求めに応じ、必要な限度において、当該登録誘引情報提供機関に対し、事業者の事業の本拠となる事務所の電子メールアドレス等一定の届出事項に関する情報を提供することができることとされた。
  (4) 誘引情報提供業務の方法(新法第21条関係)
        登録誘引情報提供機関は、登録のための要件(法第18条第4項)、誘引情報提供業務が専任の管理者の管理の下で行われること等新規則第14条において定める基準に適合する方法により誘引情報提供業務を行わなければならないこととされた。
  (5) 秘密保持義務(新法第22条関係)
        登録誘引情報提供機関の役員、職員等は、誘引情報提供業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないこととされた。
  (6) 業務の休廃止(新法第23条関係)
      ア 登録誘引情報提供機関は、誘引情報提供業務を休止し、又は廃止したときは、その旨を国家公安委員会に届け出なければならないこととされた。
      イ 誘引情報提供業務を廃止した旨の届出があったときは、当該登録誘引情報提供機関に係る登録は、その効力を失うこととされた。
  (7) 登録誘引情報提供機関に対する監督
     ア 改善命令(新法第24条関係)
          国家公安委員会は、登録誘引情報提供機関が新法第21条の規定に違反していると認めるときは、当該登録誘引情報提供機関に対し、必要な措置をとるべきことを命ずることができることとされた。
      イ 登録の取消し(新法第25条関係)
          国家公安委員会は、登録誘引情報提供機関が、変更届出義務違反、改善命令違反等に該当するときは、登録を取り消すことができることとされた。
      ウ 報告又は資料の提出(新法第26条関係)
          国家公安委員会は、誘引情報提供業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、登録誘引情報提供機関に対し、報告又は資料の提出を求めることができることとされた。
  (8) 公示等(新法第27条関係)
   ア 国家公安委員会は、登録をしたとき、変更届があったとき等には、その旨を官報に公示しなければならないこととされた。
   イ 国家公安委員会は、公示をしたときは、当該公示の日付及び内容をインターネットの利用その他の方法により公表するものとされた。
  8 罰則
      届出義務違反、停止命令違反、廃止命令違反等に対し、所要の罰則を設けるとともに、登録誘引情報提供機関の役員等に係る秘密保持義務違反をした者等に対する過料に係る規定を設けることとされた。
  9 その他
  (1) 行政処分の適用関係(改正法附則第3条関係)
       新法の指示及び停止命令に係る規定は、新法施行後にした行為について適用することとされた。
  (2) 行政処分の適用関係(改正法附則第4条関係)
       旧法の規定によってした処分、手続その他の行為は、新法の相当規定によってした処分、手続その他の行為とみなすこととされた。
  (3) 罰則に係る経過規定(改正法附則第5条関係)
       新法の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によることとされた。
第3 平成21年2月1日施行分の改正規定の趣旨及び概要(改正規則第2条による改正後のインターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律施行規則(以下「第2次改正後規則」という。)第5条関係)
  新規則では、インターネット上で簡便かつ確実に相手方の年齢確認をする方法が普及していないこと等の理由から、利用者の自主申告に基づく確認方法が認められているが、インターネット異性紹介事業に関係した事件の被害児童数が高水準で推移している状況がある。
  そこで、第2次改正後規則では、事業者による異性交際希望者が児童でないことの確認の方法が厳格化されることとされた。
  ただし、他の異性交際希望者と出会うことができないように役務が制限されている場合には、従来の自主申告に基づく確認方法で足りることとされた。
 1 児童でないことの確認の方法
   異性交際希望者が児童でないことを確認する方法は、
  ○ 運転免許証その他の当該異性交際希望者の年齢又は生年月日を証する書面の当該異性交際希望者の年齢又は生年月日、当該書面の名称及び当該書面を発行し又は発給した者の名称に係る部分の提示、当該部分の写しの送付又は当該部分に係る画像の電磁的方法による送信を受ける方法
又は
    ○ クレジットカードを使用する方法その他の児童が通常利用できない方法により料金を支払う旨の同意を受ける方法
によることとされた(第2次改正後規則第5条第1項第1号及び第2号)。
      また、あらかじめ上記の方法により児童でないことの確認を受けた異性交際希望者に対し識別符号を付与している場合は、それ以降の利用の際に当該識別符号を送信させる方法により行うことでも足りることとされ、当該識別符号の付与に関する事務については、一定の者に委託することができることとされた(第2次改正後規則第5条第1項第3号及び第4号)。
     なお、平成21年2月1日以前に、新規則第5条第2項第1号イ又はロで定める方法により児童でないことの確認をした異性交際希望者に対し識別符号を付与し、それ以降の利用の際は当該識別符号を送付させる方法により児童でないことを確認している場合の同日以降の児童でないことの確認は、改めて第2次改正後規則第5条第1項第1号又は第2号に掲げる方法により児童でないことの確認を行うことなく、既に付与している識別符号の送信を受ける方法で足りる。
  2 特定情報の提供を受けない異性交際希望者についての児童でないことの確認方法
      異性交際希望者が、
    ○ 異性交際希望者が特定情報(異性交際希望者と他の異性交際希望者が出会うために指定する日時及び場所に係る情報並びに住所、電話番号、電子メールアドレスその他の連絡先に係る情報をいう。以下同じ。)を電子掲示板上に書き込めるようにする役務
    ○ 異性交際希望者が他の異性交際希望者に係る特定情報を電子掲示板上で閲覧できるようにする役務
    ○ 異性交際希望者が電子メールその他の電気通信を利用して他の異性交際希望者に特定情報を伝達することができるようにする役務
のいずれについても提供を受けない場合は、事業者が当該異性交際希望者が児童でないことを確認する方法は、1の方法だけでなく、
    ○ 異性交際希望者に対し、インターネットを利用してその年齢又は生年月日を送信するよう求め、当該年齢又は生年月日により当該異性交際希望者が児童でないことを確認する方法
又は
    ○ 異性交際希望者に対し、インターネットを利用して児童でないかどうかを問い合わせ、その回答により当該異性交際希望者が児童でないことを確認する方法
で足りることとされた(第2次改正後規則第5条第3項及び第4項)。           
第4 運用上の留意事項
  1 届出に関する留意事項
    (1) 届出については、形式上の要件に適合した届出が経由先とされている警察署長に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとすること。
    (2) 改正法の施行の日(平成20年12月1日)から起算して一月を経過した日が地方公共団体の条例により地方公共団体の休日とされているか否かを確認し、地方公共団体の休日とされていた場合には、改正法の施行の際現にインターネット異性紹介事業を行っている者の届出の期限は、当該地方公共団体の休日の翌日(これも地方公共団体の休日である場合には、更にその翌日)とみなされることに留意すること(地方自治法(昭和22年法律第67号)第4条の2参考)。
    (3) 平成21年2月1日から、改正規則第2条(児童でないことの確認の方法の変更)の規定が施行されるところ、児童でないことの確認方法は届出事項となっている(新規則第1条第5項第1号)ことから、事業者に対し変更の届出を促すこと。
         ただし、事業開始の届出において、平成21年2月1日以降の児童でないことの確認方法をあらかじめ記載していた場合であって、平成21年2月1日以降当該記載内容どおりに確認を行っているときは、変更の届出は必要ない。
  2 公安委員会間等の連携等に関する留意事項
    (1) 公安委員会の管轄区域を異にして行われる事業の本拠となる事務所の変更に係る届出を受理した公安委員会は、変更前の管轄公安委員会に、当該事業者の指導監督に必要な書類等の送付を求め、当該求めを受けた公安委員会は、変更後の管轄公安委員会に現存する当該書類等の写しを送付すること。
    (2) 処分の移送の際には、処分に係る事案に関する資料その他処分を行うために必要となる書類を、処分移送通知書と併せて送付するなど、関係公安委員会間で緊密な連携を図ること。
    (3) 公安委員会が停止命令に違反したと認めたときは、当該違反行為が行われた時の管轄公安委員会に対して通報を行うこととされている(新法第17条第2項)が、通報を受けた公安委員会が現に当該事業者の事業の本拠となる事務所の所在地を管轄する公安委員会と異なる場合には、廃止命令の的確な実施のため、当該通報を受けた公安委員会は、現に当該事業者の事業の本拠となる事務所の所在地を管轄する公安委員会にも通報を受けた事項を連絡すること。
         また、管轄公安委員会以外の公安委員会が、事業者が停止命令に違反にしたこと以外の欠格事由に該当すると認めたときは、廃止命令の的確な実施のため、当該事由に該当することを管轄公安委員会に連絡すること。
    (4) 事業者の監督を行う所属以外の所属(同一の都道府県警察内にある他の所属のほか、他の都道府県警察の所属を含む。)が取締り等を通じて指示、停止命令又は廃止命令の事由となる行為等を把握した場合は、事業者の監督を行う所属が確実にこれを把握できるよう、それぞれ緊密な連携を図ること。
  3 インターネット異性紹介事業の実態把握の推進
      新法の趣旨にかんがみ、届出をしてインターネット異性紹介事業を行う者について、相談受理、サイトの閲覧を通じた当該サイトの内容又は利用申込み方法等の確認、事件捜査、報告の徴収等を通じて、届出内容が実態に合致しているか否かの確認を行うとともに、法令上の義務の履行状況を把握すること。
      また、サイバーパトロール、事件捜査等を通じて届出をしないでインターネット異性紹介事業を行う者の実態把握も徹底して行うこと。
  4 法令違反行為等に対する迅速かつ的確な行政処分等の実施と厳正な取締り
    (1) 事業者の法令違反行為については、必要な措置を講ずるよう警告等を行うとともに、是正されないものについては迅速かつ的確な行政処分を行い、また、違反の態様が悪質なものについては厳正な取締りを行うこと。この際、ある法令違反行為が行政処分の対象となるとともに取締りの対象となることもあり得ることに留意すること。
     なお、ある法令違反行為が指示及び停止命令のいずれの要件も満たす場合には、これらをそれぞれ単独に、又は併せて行うことができる。
    (2) 警告等は、行政手続法に定める行政指導に当たることから、警告等に際しては、その趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならないことに留意すること。
     なお、警告は、文書によるほか、電子メール、電話等適宜の方法で行うこととし、警察署長又は生活安全部生活安全企画課長(以下「生活安全企画課長」という。)の名義で行うこと。
    (3) 事業者がインターネット異性紹介事業に関し総務省が所管する法令の規定に違反したと認める場合において、当該違反行為が児童の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認め、必要な指示をするに当たっては、事前に生活安全企画課長が警察庁に連絡すること。
    (4) 欠格事由に該当する者でインターネット異性紹介事業を行うものを把握した場合には、確実に事業廃止命令を行い、欠格事由該当者による事業継続の防止を徹底すること。
    (5) 事業者が事業の停止又は事業の廃止を行うに当たり、当該事業者が電気通信事業法(昭和59年法律第86号)で定める電気通信事業者である場合には、同法に基づく休廃止の届出及び利用者周知が必要となることから、停止・廃止命令の手続を開始する際には「相当な期間をおいての利用者周知が必要である」旨及び停止・廃止命令を発する際には「電気通信事業法に基づく休廃止の届出が必要である」旨を教示すること。
       もとより、これらを教示することにより停止・廃止命令の発出が遅れ、その結果として当該インターネット異性紹介事業に関係した事件の児童被害が発生することのないよう注意すること。
    (6) 報告又は資料の提出の要求を行うに当たっては、通信の内容(電子掲示板やホームページに掲載された情報等不特定者に向けて表示されることを目的としたものを除く。)、通信回数、通信当事者の識別符号等通信の秘密に該当する事項を対象とすることはできないことに留意すること。
    (7) 新法に規定する指示、停止命令、廃止命令及び報告又は資料の提出の求めは取消訴訟を提起することができる処分であり、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)第46条の規定により、取消訴訟の提起に関する事項を教示しなければならないことから、これらの処分をする場合には、「行政事件訴訟法の一部を改正する法律の概要及び書面による教示制度について」(平成17年3月10日付け警察庁丁総発第31号)に基づいて必要な事項を教示すること。
    (8) 新法第33条に規定する罪はインターネット異性紹介事業を利用して行われることを成立の要件としていることから、当該サイトがインターネット異性紹介事業に該当することの疎明に十分配意すること。当該罪が無届のインターネット異性紹介事業を利用して行われた場合は、その点を特に留意した上で取締りを行うこと。
       また、禁止誘引行為に係る異性交際に関する情報については、新法第12条第1項に基づく事業者の公衆閲覧防止措置の対象であることから、新法第33条に規定する罪に係る取締りを行うに当たっては、早期の証拠保全に留意すること。
  5 関係者に対する広報の徹底
      改正法等の制定の趣旨を踏まえ、事業者、役務提供事業者、児童及び保護者等に対する広報を徹底し、法の内容、児童がインターネット異性紹介事業を利用することの危険性等について周知を図ること。
  

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