鳥取県議会基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会の役割及び機能(第3条-第8条)
第3章 議員の役割及び活動(第9条-第12条)
第4章 議会と県民との関係(第13条-第18条)
第5章 議会と知事等との関係(第19条-第23条)
第6章 議会事務局等(第24条)
第7章 補則(第25条・第26条)
附則
鳥取県議会は、県民から直接選挙される議員からなる合議体の議決機関であり、知事とともに二元代表制を構成する機関として、知事と対等な関係に立ち、互いに緊張関係を保ちつつ県政の運営に取り組む責務を負っている。
地方分権の進展に伴い、地方公共団体の自己決定権が拡大する中で、とりわけ県民の様々な立場の代表からなる議会には、県政における最高議決機関として、審議の場に県民の多様な意見を反映し、積極的な論議を経て民意を集約する役割がますます期待されている。県民の視点に立ちつつ、議会としての自立性を高め、政策立案機能や監視機能のさらなる充実強化を図ることによって、住民自治を実現することが求められている。
鳥取県議会は、これまで、議場での活発な議論を通じて数多くの政策的条例を制定すること等により積極的な政策提言を行うとともに、本会議・委員会の放送、政務調査費の使途の公開その他の方法により情報公開を推進する等、他の都道府県議会に先んじて改革を断行し、議会の活性化に努めてきたと自負するものである。
今後は、これまでの経験を生かしつつ、議会自ら、より一層の自己改革の取組を推進することにより、地域における民主主義の伸展と本格的な地方分権時代にふさわしい、県民の立場に立った、公平・公正で透明性の高い議会をさらに目指すものである。
ここに、鳥取県議会は、日本国憲法及び地方自治法の範囲内において、議会に関する基本的事項を定めることにより、県民の負託に全力でこたえることを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、鳥取県議会(以下「議会」という。)に関する基本理念を定め、議会及び議員の役割等、議会と県民又は知事その他の執行機関(以下「知事等」という。)との関係その他の議会の基本となる事項を定めることにより、県民の負託にこたえ、もって県民福祉の向上及び県勢の発展に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 議会は、地方分権の時代にふさわしい議会を目指し、県民を代表する県政における最高議決機関として、真の地方自治の実現に取り組むものとする。
第2章 議会の役割及び機能
(議決)
第3条 議会は、議決により、県又は議会の意思を確定するものとする。
(政策立案及び政策提言)
第4条 議会は、議員提案による条例の制定、議案の修正、決議等を通じて、政策立案及び知事等に対する政策提言を積極的に行うものとする。
2 議会は、議員提案による条例を制定しようとするときは、議員相互で十分に討議し、合意形成を図るとともに、知事等とその内容について調整を行うよう努めるものとする。
(監視及び評価)
第5条 議会は、知事等の事務執行が適正に、かつ、公平性及び効率性をもって行われているか監視するものとし、必要と認める場合には、適切な措置を講ずるよう求めるものとする。
2 議会は、知事等の事務執行の効果及び成果について評価し、必要と認める場合には、適切な対応を講ずるよう求めるものとする。
(議員相互の討議)
第6条 議員は、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)並びに議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場(以下「協議等の場」という。)において、積極的に議員相互の討議に努めるものとする。
(委員会活動の活性化)
第7条 委員会は、議会の閉会中又は議事堂外における開催、県内外における調査活動の実施等を通じて、県政の課題に対応した機動的な運営を行うものとする。
(議会改革)
第8条 議会は、真の地方自治の確立に向け、自らが地方分権の時代にふさわしいものとなるため、継続的に議会改革に取り組むものとする。
第3章 議員の役割及び活動
(議員の職責・職務)
第9条 議員は、それぞれが県民の直接選挙により選出されているという高い独立性の下、県民全体の奉仕者、県民から選挙により選出される代表者及び合議体の構成員としての職責を果たすため、次に掲げる職務を行うものとする。
(1) 県又は議会の意思を確定させるための本会議における議案の審議
(2) 議会の適正かつ効率的な運営及び管理のための委員会及び協議等の場における審査、協議等
(3) 県の政策形成に関わる調査研究、企画及び立案
(4) 知事等の事務執行が適正に、かつ、公平性及び効率性をもってなされているかどうかの監視及び必要な措置の要求
(5) 知事等の事務執行が当初の意図どおりの効果を上げたかどうかの評価及び必要な対応の要求
(6) 県政についての県民への広報及び県民の意見の聴取
(7) 議会活動に必要な見識を高めるための研修への参加その他の自己研さん
(8) 国、県及び市町村が主催し、又は共催する記念式典等公的行事への出席
(政務調査費)
第10条 議員が行う前条各号に掲げる職務(鳥取県議会議員の議員報酬、期末手当及び費用弁償に関する条例(平成19年鳥取県条例第47号)第6条に規定する費用弁償の支給の対象となるものを除く。)のうち調査研究に資するものに対し、鳥取県政務調査費交付条例(平成13年鳥取県条例第9号)に基づき政務調査費を交付するものとする。
(会派)
第11条 議員は、議会活動を円滑に行うために、基本的政策が一致する2人以上の議員をもって会派を結成することができる。
2 会派は、政策立案及び政策提言に努めるものとする。
(政治倫理)
第12条 議員は、県民の厳粛な負託により、県政に携わる権能及び職責を有することを自覚し、県民の代表として公正性及び高潔性を保持しなければならない。
第4章 議会と県民の関係
(県民意思の把握と県政への反映)
第13条 議会は、議員の様々な議会活動を通じて、県民の多様な意見を的確に把握し、県政に反映させるものとする。
(県民参画の機会確保)
第14条 議会は、委員会における公聴会、参考人招致等の制度を積極的に活用するとともに、政策立案等に際して県民との意見交換の場を設ける等県民の議会活動に参画する機会の確保に努めるものとする。
第15条 議会は、県民から請願書又は陳情書が提出されたときは、誠実に処理するものとし、必要に応じて、県民の意見を聴く機会を設けるものとする。
(意思決定過程の透明化)
第16条 議会は、意思決定過程を透明化し、県民に対する説明責任を果たすため、本会議、委員会等を原則として公開するとともに、公開に当たっては、県民が傍聴しやすい環境を整備するものとする。
第17条 議会は、本会議及び委員会の状況についてインターネットを利用した配信等を行うとともに、会議録を広く県民の閲覧に供するものとする。
(広報活動)
第18条 議会は、県民に対し、その諸活動について、多様な広報媒体を用いた積極的な情報提供を行うものとする。
第5章 議会と知事等との関係
(基本原則)
第19条 議会は、地方自治における二元代表制の一翼として、知事等との立場及び権能の違いを踏まえ、対等かつ緊張ある関係を保ちつつ、県民福祉の向上及び県勢の発展のため、議会活動を行うものとする。
(提案に対する措置の要求)
第20条 議会は、知事等に対し、議会からの提案の誠実な処理及び実現を促し、必要と認める場合には、適切な措置を講ずるよう求めるものとする。
(議会への説明等)
第21条 知事等は、予算を調整したとき、及び県政に係る基本計画等の重要な政策又は施策について、基本方針、素案その他これらに類するものを作成し、又は変更したときは、議会に対し、その内容を説明しなければならない。
2 知事等は、予算の調整又は県政に係る基本計画等の重要な政策若しくは施策の作成若しくは変更に当たっては、これらに関連する議会の政策提案の趣旨を尊重するものとする。
(調査活動に対する協力)
第22条 知事等は、議員の県政に関する調査活動に誠実に協力しなければならない。
(知事等の質問等)
第23条 知事等(知事にあってはその補助機関である職員を、知事以外の執行機関にあってはその事務を補助する職員を含む。)は、本会議又は委員会における議員の質疑及び質問に対して、議長又は委員長の許可を得て、質問し、又は意見を述べることができる。
第6章 議会事務局等
(議会事務局等の充実)
第24条 議会は、その政策立案能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の機能の強化及び組織体制の整備を図るものとする。
2 議会は、議員の調査研究に資するため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第100条第18項の規定により附置される図書室の資料を整備する等機能の強化に努めるものとする。
第7章 補則
(他の条例等との関係)
第25条 この条例は、議会の基本的事項を定める条例であり、議会に関する他の条例、規則等を制定し、又は改廃する場合にあっては、この条例との整合を図るものとする。
(検討)
第26条 議会は、この条例の施行後、県民の意見、社会情勢の変化等を踏まえ、この条例の施行の状況等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。