議員提出議案第5号
原子力発電所に係る安全法制の整備及び防災体制の強化等を求める意見書
この議案を別紙のとおり提出する。
平成24年3月19日
原子力発電所に係る安全法制の整備及び防災体制の強化等を求める意見書
昨年3月11日に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故においては、地震発生から、約27時間後に周辺20キロメートル以内の住民には域外に避難、約92時間後に20~30キロメートル以内の住民には屋内退避の指示が出されるなどの措置が適宜とられており、このことにより、防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ)を原発周辺10キロメートルとする現在の範囲では住民の安全を確保するためには不十分であることが明らかになった。
現在、内閣府原子力安全委員会専門部会の防災指針検討ワーキンググループにおいて、EPZ(8~10キロ)を見直し、緊急時防護措置準備区域(UPZ)の導入等について検討が進められているところである。また、原子力災害対策特別措置法改正法案(原子力事業者からの防災業務計画の協議や原子力発電所等への立入検査等の対象の「関係隣接都道府県」から「関係周辺都道府県」への変更等)が1月、国会に上程されているが、同法案は国会審議のめどさえ立っていない状況である。しかも、被害は自治体の区域で区切られるものではないにもかかわらず、原子力事業所の区域を管轄する都道府県と関係周辺都道府県という枠は残ったままである。
本県においては、島根原子力発電所に係る原子力防災対策として、平成24年2月、従来の島根県と松江市のほかに鳥取県及び境港市、米子市等も加わった新たな枠組みで防災訓練の実施等を行ったところである。このような防災対策には、モニタリングポストや防護服などの防災資機材の整備等に多くの経費を要するほか、専門的知識を有する職員の配置も必要である。
よって、国においては、国民の安心・安全に対する信頼を一刻も早く回復するため、原子力災害対策特別措置法を速やかに改正するとともに、原子力防災対策に必要な経費は国で負担されるよう強く要望する。加えて、今後は原子力事業所の区域を管轄する都道府県と関係周辺都道府県という壁を取り除き、原発事故の被害想定を基礎に法制度の整備を進められるとともに、これまで立地自治体中心に行われてきた原発増設・原発稼動・再稼動等にかかる地元同意を関係周辺都道府県の範囲とするよう求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成24年 3月19日
鳥取県議会
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣 様
文部科学大臣
経済産業大臣
原発事故の収束及び再発防止担当大臣
原子力行政担当大臣
防災担当大臣