議員提出議案第1号
鳥取県議会基本条例
この議案を別紙のとおり提出する。
平成24年6月25日
鳥取県議会基本条例
鳥取県議会は、直接、県民から選挙される議員からなる合議体の議決機関であり、知事とともに二元代表制を構成する機関として、知事と対等な関係に立ち、互いに緊張関係を保ちつつ県政の運営に取り組む責務を負っている。
地方分権の進展に伴い、地方公共団体の自己決定権が拡大する中で、とりわけ県民の様々な立場の代表からなる議会には、県政における最高議決機関として、審議の場に県民の多様な意見を反映し、積極的な議論を経て民意を集約する役割がますます期待されている。県民の視点に立ちつつ、地方議会としての自立性を高め、監視機能や政策立案機能等の更なる充実強化を図ることによって、地方自治の本旨を実現することが求められている。
鳥取県議会は、これまで、議場での活発な議論を通じて数多くの政策的条例を制定すること等により積極的な政策立案及び政策提言を行うとともに、本会議及び委員会の放映、政務調査費の使途の公開その他の方法により情報公開を推進する等、他の都道府県議会に先んじて改革を断行し、議会の活性化に努めてきた。
今後は、これまでの経験を生かしつつ、より一層の自己改革に取り組むことにより、地域における民主主義の進展と地方分権を推進すべく、公平かつ公正で透明性が高く、県民に信頼され分かりやすい議会を更に目指すものである。
鳥取県議会は、ここに、議会に関する基本事項を定めることにより、県民の負託にこたえることを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、鳥取県議会(以下「議会」という。)の基本理念、議会の役割、議員の職務等を明らかにするとともに、議会と県民又は知事その他の執行機関(以下「知事等」という。)との関係その他の議会の基本事項を定めることにより、県民の負託にこたえ、もって県民福祉の向上及び県勢の発展に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 議会は、地方分権の時代にふさわしい議会を目指し、県民を代表する県政における最高議決機関として、真の地方自治の確立に取り組むものとする。
第2章 議会の役割及び機能
(議決)
第3条 議会は、議決により、県又は議会の意思を確定するものとする。
(監視及び評価)
第4条 議会は、知事等の事務執行が適正に、かつ、公平性及び効率性をもって行われているか監視するものとし、必要と認める場合には、適切な措置を講ずるよう求めるものとする。
2 議会は、知事等の事務執行の効果及び成果について評価し、必要と認める場合には、適切な対応を講ずるよう求めるものとする。
(政策立案及び政策提言)
第5条 議会は、議員提案による条例の制定、議案の修正、決議等を通じて、政策立案及び知事等に対する政策提言を積極的に行うものとする。
2 議会は、議員提案による条例を制定しようとするときは、議員相互で十分に討議し、合意形成を図るとともに、その内容に関し知事等の意見を聴取するよう努めるものとする。
(議員相互の討議)
第6条 議員は、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)並びに議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場(以下「協議等の場」という。)において、積極的に議員相互の討議に努めるものとする。
(委員会活動の活性化)
第7条 委員会は、議会の閉会中又は県庁外における開催、県内外における調査活動の実施等を通じて、県政の課題に対応した機動的な運営を行うものとする。
(継続的な議会改革の推進)
第8条 議会は、真の地方自治の確立に向け、議会の役割及び責務を適切に果たすため、継続的に議会改革に取り組むものとする。
第3章 議員の役割及び活動
(議員の職務)
第9条 議員は、直接、それぞれが県民から選挙により選出されているという高い独立性の下、県民全体の奉仕者、県民の代表者及び合議体の構成員としての職責を果たすため、次に掲げる職務を行うものとする。
(1) 県又は議会の意思を確定させるための本会議における議案の審議及び県政の課題に関する議論
(2) 知事等の事務執行の監視及び評価並びに必要な場合の適切な措置及び対応の要求
(3) 委員会及び協議等の場における審査、協議等
(4) 県の政策形成に関わる調査研究、企画及び立案
(5) 県民の意見の聴取並びに議会活動についての県民への広報及び説明
(6) 議会活動に必要な見識を高めるための研修への参加その他の自己研さん
(7) 国、県及び市町村が主催し、又は共催する記念式典等公的行事への出席
(議員の調査活動)
第 10条 議員は、知事等に対し資料の提出又は説明を求める等県政に関する調査活動を行うものとし、知事等は、鳥取県情報公開条例(平成12年鳥取県条例第2号)の趣旨にのっとり議員の求めに応じなければならない。
(政務調査費)
第11条 議員は、議員の調査研究活動の充実を図り、もって監視、政策立案等の議会の機能を強化するため、鳥取県政務調査費交付条例(平成13年鳥取県条例第9号)の定めるところにより、政務調査費の交付を受けるものとする。
2 政務調査費については、使途を公開し、透明性を確保しなければならない。
(政治倫理)
第12条 議員は、県民の厳粛な負託により、県政に携わる権能及び職責を有することを自覚し、県民の代表として高潔性及び公正性を保持しなければならない。
2 議員の政治倫理に関しては、別に定める。
第4章 議会と県民との関係
(県民意思の把握と県政への反映)
第13条 議会は、議員の様々な議会活動を通じて、県民の多様な意見を的確に把握し、県政に反映させるものとする。
(議会活動における県民参画の機会確保)
第14条 議会は、公聴会、参考人招致等の制度を積極的に活用するとともに、政策立案等に際して県民との意見交換の場を設ける等県民の議会活動に参画する機会の確保に努めるものとする。
2 議会は、県民から請願書又は陳情書が提出されたときは、誠実に処理するものとし、必要に応じて、県民の意見を聴く機会を設けるものとする。
(意思決定過程の透明化)
第15条 議会は、意思決定過程を透明化し、県民に対する説明責任を果たすため、本会議、委員会等を原則として公開するとともに、県民が傍聴しやすい環境を整備するものとする。
2 議会は、本会議及び委員会の状況についてインターネットを利用した配信等を行うとともに、会議録を広く県民の閲覧に供するものとする。
(広報活動)
第16条 議会は、県民に対し、その諸活動について、多様な広報媒体を用いた積極的な情報提供を行うものとする。
第5章 議会と知事等との関係
(知事等との関係の基本原則)
第17条 議会は、地方自治における二元代表制の一翼として、知事等との立場及び権能の違いを踏まえ、対等であり、かつ、緊張ある関係を保ちつつ、県民福祉の向上及び県勢の発展のため、議会の役割及び責務を果たすものとする。
第6章 議会事務局等
(議会事務局等の機能の強化等)
第18条 議会は、監視、政策立案等の議会の機能を発揮し、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の機能の強化及び組織体制の整備を図るものとする。
2 議会は、議員の調査研究に資するために設置する図書室を適正に管理し、運営するとともに、その機能の強化に努めるものとする。
3 知事は、この条例の趣旨を十分に尊重し、議会が行う議会事務局等の機能の強化等について適切に対応するものとする。
第7章 補則
(他の条例等との関係)
第19条 この条例は、議会の基本事項を定める条例であり、議会に関する他の条例、規則等を制定し、又は改廃する場合にあっては、この条例の趣旨にのっとりこの条例との整合を図るものとする。
(検討及び見直し)
第20条 議会は、県民の意見、社会情勢の変化等を踏まえ、この条例の施行の状況等について検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。