平成21年5月29日
鳥生環例規第6号
改正 平成22年鳥生環例規第3号、27年鳥務例規第2号、30年第3号、令和2年鳥務例規第3号、令和4年鳥生企例規第1号
このたび、銃砲刀剣類所持等取締法に基づく申出の取扱いに関する規程(平成21年鳥取県公安委員会規程第10号。以下「規程」という。)の制定に伴い、その解釈及び運用について次のとおり定め、平成21年6月1日から施行することとしたので、適正な運用に努められたい。
記
1 趣旨(第1条関係)
この規程は、銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号。以下「法」という。)第29条の規定に基づき、鳥取県公安委員会(以下「公安委員会」という。)に対して申出があった場合の当該申出に対する必要な調査及びその調査結果に基づく措置等の取扱いに関し、必要な事項を定めるものである。
2 定義(第2条関係)
(1) 申出の趣旨及び内容
銃砲等又は刀剣類は人を殺傷する能力を有する危険物であることから、不適格者がこれを所持する場合には、凶悪犯罪に悪用されるおそれがあるのみならず、付近の住民に著しい不安感を与え、国民の安全・安心に対する重大な脅威となる。そこで、付近住民等の不安感の解消を図るとともに、不適格者に関する情報を早期に把握し、銃砲等又は刀剣類による危害を防止するため、何人も、付近に居住する者等で銃砲等又は刀剣類を所持するものが、その言動等から当該銃砲等又は刀剣類により人の生命、身体等を害するおそれがあると認めるときは、公安委員会に対し、その旨を申し出ることができることとしたものである。
(2) 解釈
ア 法第29条第1項中「同居する者」とは、同一の住居において日常生活を共にしている者であり、親族には限られない。「同居」とは、法第5条第5項の「同居の親族」と同じ概念である。具体的には、同一の家屋であっても、中が壁等で仕切られており、家計、炊事等を一切別個にしていて全くの別世帯とみなされるものは、同居とは認められないが、家計は別でも食事や入浴等は共にしているなど、共同生活の実態がある場合には同居と認められると考えられる。
イ 法第29条第1項中「付近に居住する者」とは、申出の対象者の近くに居住する者をいい、その範囲は社会通念により判断される。
ウ 法第29条第1項中「勤務先が同じである者」とは、通常勤務している場所が同じである者をいう。ただし、申出制度の趣旨が自らの「身近」に銃砲等又は刀剣類所持者がいることに係る不安感の解消等にあることにかんがみれば、例えば、同一の建物内にある別会社に勤務している場合や同一の会社法人であるが支店が異なる場合は「勤務先が同じ」には当たらないと考えられる。
エ 法第29条第1項中「他人の生命、身体若しくは財産若しくは公共の安全を害し、又は自殺をするおそれがあると思料する」とは、銃砲等又は刀剣類を所持させることが他人の生命、身体、財産や公共の安全に対する脅威を与えること又は自殺のおそれがあると思料する事情があれば足り、欠格事由に該当することについて、客観的・合理的な根拠があることを必要とする趣旨ではない。
オ 申出は、許可を受けて銃砲等又は刀剣類を所持する者に係るものに限られず、例えば、指定射撃場の設置者又は管理者等許可を受けずに銃砲等又は刀剣類を所持する者に係るものも含まれ得る。
カ なお、申出とは、進んで言って出る行為を意味することから、例えば、警察が調査をした際に聴取した不適格者に関する情報のすべてが法第29条の規定による申出に該当するわけではない。調査の際に聴取した情報については、情報が提供された際の経緯に着目し、積極的に情報が提供された場合にはその他の要件を満たせば申出に該当すると認められる。また、そうでない場合でも住民から申出として処理をしてほしいとの意思があるか否かにより、判断することとする。
(3) 警察安全相談や苦情の申出との関係
銃砲等又は刀剣類を所持する者に関し、公安委員会に対して提供される情報は、必ずしも法第29条の規定による申出である旨を明示した形で寄せられるわけではなく、警察安全相談や警察法(昭和29年法律第162号)第79条の苦情の申出等の形でなされることも想定される。そこで、これらの相談や苦情の申出等への対応に際しては、提供された情報の内容を実質的に判断し、法第29条の規定による申出に該当するものであれば、同条に従った適切な処理も行わなければならない。
3 事務処理(第3条関係)
生活安全部生活安全企画課(以下「生活安全企画課」という。)は、申出に関する事務を行うほか、公安委員会の指示に基づき、次に掲げる事務を行うものとする。
(1) 申出に対する処理状況の集約及び報告
(2) 申出を行った者(以下「申出者」という。)に対する処理の結果の通知(通知の必要性を認めた場合に限る。)
4 申出の受理及び報告(第4条関係)
(1) 申出は、申出者の利便性に配慮するとともに、不適格者に関する情報を早期に把握して銃砲等又は刀剣類による危害を防止するため、警察本部及び警察署はもちろんのこと、幹部派出所、交番及び駐在所においても受理できることとし、警察本部においては生活安全企画課が、警察署においては生活安全(刑事)課が、それぞれ申出の窓口として申出を処理するものとする。
(2) 申出は、文書、口頭その他適当な方法により行うことができるものとする。
なお、申出の受理に当たっては、次の点に留意すること。
ア 文書により申し出ようとする者には、次に掲げる事項を記載した申出書を提出させること。
(ア) 申出者の氏名、電話番号及び住所又は勤務先
(イ) 申出の対象者の氏名等対象者の人定に関する事項
(ウ) 申出の趣旨
(エ) その他参考となる事項
イ 口頭による申出を受け付ける場合には、アの事項を聴取するよう努めること。
ウ そのほか、全体の内容からして申出に該当するものであれば、Eメール、ファクシミリその他適当な方法による申出も受け付けること。
(3) 申出を受理した警察本部の所属長及び警察署長(以下「受理署長等」という。)は、申出受理票(様式第1号)を作成し、受理した申出書(文書による申出を受理した場合に限る。)及び添付資料(以下「申出書等」という。)とともに生活安全企画課を経由して公安委員会及び警察本部長(以下「本部長」という。)に報告するものとする。この場合において、受理署長等は、当該申出に係る事実関係の調査及びその措置について、急を要すると認めた場合は、生活安全企画課を経由して本部長に速報するものとする。
(4) 生活安全企画課は、申出取扱簿(生活安全企画課用)(様式第2号)を備え付け、受理署長等が受理した申出ごとに一連番号を付し、その受理・処理状況を明らかにして申出書等とともに管理するものとする。
(5) 受理署長等は、所属ごとに申出取扱簿(受理所属用)(様式第3号)を備え付け、受理した申出ごとに生活安全企画課から受理番号の指定を受けるとともに、申出受理票及び申出書等の写しを作成して簿冊に編綴保存するものとする。
5 申出の処理及び報告(第5条関係)
(1) 本部長は、生活安全部生活安全企画課長(以下「生活安全企画課長」という。)に対し、法第29条第2項に規定する必要な調査及びその結果を踏まえた適当な措置について指示を行うものとする。
「必要な調査」とは、申出の内容により異なるものの、例えば、
・ 申出を行った者から、申出の詳細な内容等を聴取すること
・ 申出の対象となった者の粗暴な言動が問題となっている場合に、近隣住民や、必要に応じて家族から平素の振る舞いについて聞き取り調査を行うこと(法第13条の2)
・ 申出の対象となった者がアルコール中毒者の疑いがある場合に、病院への照会を行うこと(法第13条の2)
等が考えられる。
また、「適当な措置」とは、申出に対する調査の結果により異なるものの、例えば、
・ 申出の対象となった者が自殺をするおそれがある場合に、必要に応じて本人に病院への通院の有無等を報告させること(法第12条の3)
・ 実包等を保管委託するよう行政指導を行うこと
・ 許可に条件を付すこと(法第4条第2項)
・ 危害予防上必要な措置をとるよう指示すること(法第10条の9)
・ 立入検査を行うこと(法第10条の6第2項)
・ 許可を取り消すこと(法第11条)
・ 銃砲等又は刀剣類の提出を命じ、これを保管すること(法第13条の3第1項)
等が考えられる。
(2) 生活安全企画課長は、申出の対象者の住所地を管轄する警察署長と連携し、速やかに当該申出に係る事実関係の調査を行い、その処理の結果を申出処理結果報告書(様式第4号)により公安委員会及び本部長に報告するものとする。
6 処理の結果の通知(第6条関係)
原則として、公安委員会からの申出者に対する処理の結果の通知は行わないものとする。ただし、個別具体の事例に即し、申出者に対して処理の結果を通知することが適当と認めた場合は通知するものとする。この場合、申出の対象者や調査に協力した者等の信用、名誉、プライバシー等への配慮の必要性や通知した場合の影響等を総合的に勘案し、その必要性を適切に判断すること。
7 その他の事項
(1) 他の都道府県公安委員会の管轄に係る申出を受理した場合の取扱い
他の都道府県公安委員会(以下「管轄公安委員会」という。)が処理すべき申出を受けた場合は、申出者に対し、管轄公安委員会を教示の上、改めて管轄公安委員会に申出をしてもらうこととなるが、申出処理の円滑化を図るために、管轄公安委員会に対し、当該申出について連絡するものとする。
(2) 申出に係る情報の取扱い
申出を行った事実が申出の対象者等に知られ、新たなトラブルが発生することがないよう、申出者の氏名その他その特定に資する事項に係る情報の取扱いには慎重を期すこと。
(3) 法第29条の申出に該当しない申出に対する誠実な対応
申出の対象者が「同居する者若しくは付近に居住する者又は勤務先が同じである者で銃砲等又は刀剣類を所持するもの」に該当しない場合や匿名のためにこの要件に該当するかが判断できない場合には、当該申出は法第29条の規定による申出には該当しない。ただし、このような場合であっても、銃砲等又は刀剣類所持者の不適格性に関する情報については、同条の規定による申出に準じ、誠実に処理すること。
(4) 銃砲管理業務への入力
生活安全企画課は、申出に係る情報のうち、調査を行った結果事実がないと分かったものを除き、申出を受け付けた日時、申出対象者を管轄する警察署名及び申出の概要を、警察庁情報管理システムによる銃砲登録照会業務(以下「銃砲登録照会業務」という。)及び警察庁情報管理システムによるクロスボウ登録照会業務(以下「クロスボウ登録照会業務」という。)における猟銃・空気銃・クロスボウ等管理ファイル(銃砲登録照会業務及びクロスボウ登録照会業務の用に供するため、警察庁において保有されるファイルをいう。)へ登録するものとする。
8 申出の受理・処理手続き
別添のとおり。
別添及び様式 省略