議員提出議案第2号
鳥取県議会議員の政治倫理に関する条例
この議案を別紙のとおり提出する。
平成25年3月22日
鳥取県議会議員の政治倫理に関する条例
県民の厳粛な負託を受け、県民の税金の使途を決定する我々議員は、自らの行動を厳しく律し、議員としてふさわしい品位及び品格と識見を養うよう努め、その職責を全うしなければならない。
しかるに、近年、議員が関与する社会福祉法人の不祥事が相次いで生じ、鳥取県議会は政治倫理に関し多くの県民から批判を受けてきた。
ここに、鳥取県議会は、議員としての責務及び遵守すべき行為規範を明らかにすることにより、議員一人一人が一層高い倫理観をもって行動し、政治倫理の確立を通して県民に信頼される議会を目指すため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、鳥取県議会議員(以下「議員」という。)の責務及び行為規範を定めること等により、議会政治の根幹をなす政治倫理の確立を図るとともに、県民の厳粛な負託に応え、もって公正で民主的な県政の発展に寄与することを目的とする。
(責務)
第2条 議員は、議会が果たす役割と権限の大きさを認識し、法令を遵守することはもとより、公正な職務と高い倫理的義務が課されていることを自覚して、自らの行動を厳しく律しなければならない。
(行為規範)
第3条 議員は、次に掲げる行為規範を遵守して行動しなければならない。
(1) 議員としての品位を著しく損なう行為により、県民の議会に対する信頼を失墜させてはならないこと。
(2) 自己の利益又は特定の者の利益若しくは不利益を生じさせるため、その地位による影響力を不当に及ぼす行為をしてはならないこと。
(3) 自らが役員をし、又はそれと同等の影響力を有している法人その他の団体(以下「法人等」という。)が法令を遵守することを徹底させ、県民に疑念を抱かせることのないようにしなければならないこと。
(4) 県又は県の関係団体の役員又は職員(以下「県等の役職員」という。)に対し、公正な職務の執行を妨げるため、その地位による影響力を不当に及ぼす行為をしてはならないこと。
(5) その地位を背景に、職務の適正な範囲を超えた言動又は性的な言動により、県等の役職員に対し、精神的又は身体的に苦痛を与えてはならないこと。
(6) 公正を疑われるような金品その他経済的利益を与え、又は得てはならないこと。
(7) 公正を疑われるような公金の支出の請求をしてはならないこと。
(8) 道義的な批判を受けるような政治活動に関する寄附を受けてはならないこと。
(9) 議員の資金管理団体及び後援団体に、道義的な批判を受けるような政治活動に関する寄附を受けさせてはならないこと。
2 議員は、前項各号に掲げる行為規範に関し、県民の批判を受けたときは、真摯かつ誠実に事実を説明し、その責任を進んで明確にする義務を負うものとする。
3 議員の職を離れた者は、第1項各号に掲げる行為規範に関し、議員在職中の行為について県民の批判を受けたときは、真摯かつ誠実に事実を説明し、その責任を進んで明確にする義務を負うものとする。
(兼業の自粛)
第4条 議員は、県から財政的援助を受ける法人等の役員に就任することを自粛するよう努めるものとする。
(審査の請求)
第5条 議員は、他の議員において第3条第1項各号に掲げる行為規範に反する疑いがあると認めるときは、議員定数の3分の1以上で、かつ、2以上の会派の議員の連署により、理由を明らかにした文書をもって、議長に審査を請求することができる。
2 議長は、前項の規定により審査の請求があったときは、審査の請求をされた議員(以下「被審査議員」という。)に対し、その旨を通知するものとする。
(審査会の設置)
第6条 議長は、前条第1項の規定により審査の請求があったときは、これを審査するため、鳥取県議会に鳥取県議会政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置する。
2 審査会は、委員10人以内をもって組織する。
3 委員は、議員及び弁護士その他の学識経験を有する者のうちから議長が任命する。
4 委員の任期は、当該審査が終了するまでとする。
5 審査会に委員長及び副委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。
6 委員長は、審査会を代表し、その事務を総理する。
7 委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、副委員長が委員長の職務を行う。
8 委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。委員でなくなった後も、同様とする。
9 委員は、その職務を遂行するに当たっては、公正不偏の立場で、審査しなければならない。
(審査会の会議)
第7条 審査会の会議は、委員長が招集する。ただし、委員長が選出されるまでの間にあっては、議長が招集する。
2 審査会は、委員の半数以上が出席しなければ会議を開くことができない。
3 審査会の議事は、委員長を除く出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
4 審査会の会議は、原則として非公開とする。ただし、被審査議員から請求があったときは、公開とする。
5 審査会の運営に関し必要な事項は、その都度、委員長が会議に諮って定める。
(審査の方法)
第8条 審査会は、まず、審査の請求対象とされた行為が第3条第1項各号に掲げる行為規範に反するか否かを審査し、当該行為規範に明らかに反しないと認めるときは、直ちに当該請求の審査を終了するものとする。
(意見の聴取等)
第9条 審査会は、審査のため必要があるときは、議員その他関係人に対し、出席を求め、意見若しくは事情を聴取し、又は報告を求めることができる。
2 被審査議員は、審査会から出席の要請があった場合は、審査会に出席し、質問に誠実に答える義務を負う。
3 被審査議員は、審査会に対し口頭又は文書により弁明することができる。
(必要な措置の要求)
第 10条審査会は、審査の結果、被審査議員につき、第3条第1項各号に掲げる行為規範に反すると認めるときは、第7条第3項の規定にかかわらず、出席委員の3分の2以上の多数による賛成により、次に掲げる措置のいずれかを講ずるよう議長に求めることができる。
(1) 鳥取県議会会議規則(昭和31年鳥取県会規則第1号)別表に掲げる議員全員協議会(以下「全員協議会」という。)における戒告
(2) 全員協議会における陳謝
(3) 議長若しくは副議長、委員会の委員長若しくは副委員長又は議会運営委員会若しくは鳥取県議会会議規則別表に掲げる協議等の場(全員協議会を除く。)の構成員の辞任の勧告
(4) 鳥取県議会会議規則別表に掲げる代表者会議又は政策調整会議への出席(構成員としての出席を除く。)の停止
(5) 一定期間の出席の自粛
(6) 議員辞職の勧告
(7) 前各号に掲げるもののほか、審査会が必要と認める措置 。
(議長への報告及び名誉回復措置)
第11条 委員長は、審査の結果を文書により議長に報告するものとする。
2 委員長は、審査の結果、前条の措置を講ずるよう求めるに至らなかった場合で、被審査議員の名誉を回復することが必要であると審査会が認めるときは、第3条第1項各号に掲げる行為規範に反する事実が存在しない旨を前項の報告に併せて議長に報告するものとする。
(審査の結果の通知、公表等)
第12条 議長は、前条の規定による報告を受けたときは、審査の請求をした議員及び被審査議員に対して審査の結果を通知するものとする。
2 被審査議員は、前項の規定による通知を受けたときは、審査の結果について、議長に対し意見書を提出することができる。
3 議長は、審査の結果及び前項の規定により提出された意見書を公表しなければならない。
(措置)
第13条 議長は、第11条の規定による報告を受けたときは、審査会が必要と認めた措置を講ずることができる。
2 議長は、前項の措置を講じたときは、これを公表しなければならない。
(委任)
第14条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。