新たに関係周辺都道府県となった自治体等の原子力防災対策の財源確保を求める意見書
鳥取県は、平成24年9月の原子力災害対策特別措置法等の改正及び同年10月に設定された「原子力災害対策指針」により、UPZ(おおむね30キロ:緊急時防護措置準備区域)が定義されたことから、新たに「関係周辺都道府県」として位置付けられた。
これまでは、事実上隣接県であるにもかかわらず、防災対策上必要な最低限の情報の提供を受ける権利さえ保証されなかったが、福島第一原子力発電所事故を契機として、急きょ、40年以上の防災対策経験を有する立地自治体と遜色のない原子力防災対策を極めて短期間に実現する義務を負うこととなった。
このような状況から、鳥取県では、島根原発立地県である島根県と連携を図りながら、県境が安全の境目とならないよう、安全対策に取り組んでいるところである。
原子力発電は国のエネルギー政策に基づいて取り組まれているにもかかわらず、その意思を問われることもなく、原子力の危険に向き合わざるを得ない立場となった関係周辺都道府県が、原子力防災の取組に対する財政上の責任を負うこととなれば極めて理不尽である。
また、各種交付金などの国庫負担制度は、原子力災害対策指針設定以前と変わらない規模であり、新たに設定されたUPZ全域において、防護措置を準備していくためには極めて不十分である。
よって、国においては、次の財源対策を早期に実現するよう強く要望する。
1 原子力発電事業が国のエネルギー政策として行われていることに鑑み、原子力発電所に対する防災対策の構築及び維持に要する経費は、人件費を含め、すべての財源を国が負担する制度を構築すること。
2 原子力発電所立地自治体との防災対策の格差を早期に是正するため、原子力発電施設等緊急時安全対策交付金及び放射線等監視交付金について、新たにUPZに設定された関係周辺都道府県に対しては、初度整備をその計画に沿っておおむね3年以内に実現できるよう十分に財源措置すること。
また、一のUPZ内では、県域にかかわらず切れ目のない防護措置を早期に準備する必要があることから、原発立地県に対しても同様に十分な財源措置をすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成25年 3月22日
鳥取県議会
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 様
総務大臣
財務大臣
経済産業大臣
原子力防災大臣