TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加に関する意見書
本年3月15日、安倍首相は、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加を表明し、4月20日には、既に交渉を進めている11か国全てから日本の交渉参加支持が取り付けられた。
TPP交渉は、農業だけでなく、医療制度や知的財産など、国民の健康やくらしなど国民生活に直結する広範な分野を対象に、原則として関税を全て撤廃することとされており、日米首脳の間では「聖域なき関税撤廃が前提ではない」との合意を得たとのことであるが、その詳細はいまだ不明確である。
このため、TPPは、関税の撤廃とISD条項により、食糧安全保障の確保、国民皆保険制度の維持、食の安全・安心や公衆衛生、環境問題及び人権に関連した日本独自の制度などに対して、大きな脅威になるのではないかという不安が国民の間には存在している。加えて、政府調達への外国企業の参入や雇用環境の改悪などを心配する声もある。特に、我が国農業への影響は計り知れず、国内農業が壊滅的な打撃を受ける強い懸念がある。
一方、TPP交渉に参加しなければ、アジア太平洋地域の成長を十分に取り込むことができず、我が国がこれまで築き上げてきた国民生活の水準、国際社会における地位を保つことができないとの懸念する声も大きい。
日本がTPP交渉参加国から正式に交渉参加が認められるのは7月になると見込まれる中、既参加国はTPPを本年中に妥結することを目指しており、この短期間の内に日本の主張について理解を得るには相当な困難が予想される。
このような状況で、TPP交渉に参加するのであるから、国民の不安を払拭すべく、農林水産分野の重要品目や国民皆保険制度などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断したときには脱退も辞さないなど断固たる姿勢で交渉に臨み、日本の繁栄につなげるものとする必要がある。
よって、国においては、TPP交渉に当たっては、地方の意見を十分に聴き、影響が甚大な農産品等をはじめとした国益を確実に守り、国内農業対策に万全を期して、産業の競争力強化・経済活性化、国民生活の向上が推進されるよう尽力するとともに、交渉に関する方針及び状況、地域の産業経済及び国民生活全般に与える影響等について、国民に対し詳細な情報提供を行うよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成25年6月27日
鳥取県議会
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 様
総務大臣
外務大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣
経済産業大臣
経済財政政策担当大臣