手話言語法(仮称)の制定を求める意見書
手話は、音声ではなく、手や指、身体などの動きや表情を使い、独自の語彙や文法体系をもつ言語であり、ろう者にとって、聞こえる人たちの音声言語と同様に、大切な情報獲得とコミュニケーションの手段として大切に守られてきたものである。
しかしながら、昭和8年にはろう学校での手話の使用が事実上禁止されるなど、ろう者の尊厳が著しく傷つけられてきた長い歴史がある。
平成18年に国際連合総会で採択された障害者の権利に関する条約では、言語には手話その他の形態の非音声言語を含むことが明記され、フィンランドの憲法をはじめ、世界では憲法や法律に手話を規定する国が増えてきており、これは世界的な潮流となっている。
我が国では、平成23年に障害者基本法が改正され、手話が言語であることは明確に位置付けられているものの、この規定だけでは音声言語中心の社会から、ろう者が暮らしやすい社会へと変革する推進力としては不十分であり、手話に関する施策も含めた個別法が必要である。
鳥取県では、本年10月に、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及に関し基本理念、手話の普及のための施策の総合的かつ計画的な推進に必要な基本的事項等を定めた手話言語条例を制定したところである。
これが契機となって、他の自治体でも同様の条例制定に向けた取組が進みつつあるが、このような取組を着実に根付かせるためには、手話が音声言語と対等な言語であることを国民に広め、聞こえない子どもが手話を身につけ、手話で学べ、自由に手話が使え、更には手話を言語として普及、研究することのできる環境整備を目的とした、手話言語法(仮称)を制定することが必要である。
よって、国におかれては、手話の重い歴史を踏まえつつ、ろう者、手話通訳者、事業者、行政機関等の意見を聴きながら、手話言語法(仮称)を制定するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成25年12月17日
鳥取県議会
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 様
文部科学大臣
厚生労働大臣