鳥取県警察条件付採用職員の免職等処分の取扱いに関する訓令の運用及び解釈について(例規通達)

鳥取県警察条件付採用職員の免職等処分の取扱いに関する訓令の運用及び解釈について(例規通達)

平成25年12月9日
鳥務例規第23号
改正  平成28年鳥務例規第9号、31年第4号

 鳥取県警察職員(以下「職員」という。)のうち、条件付採用期間中のもの(以下「条件付採用職員」という。)に対する免職又は降任処分(以下「免職等処分」という。)の取扱いについて、この度、鳥取県警察条件付採用職員の免職等処分の取扱いに関する訓令(平成25年鳥取県警察本部訓令第19号。以下「訓令」という。)を制定したことに伴い、訓令の運用及び解釈を下記のとおり定め、平成26年1月1日から施行することとしたので、誤りのないようにされたい。   

1 目的(第1条関係)
 条件付採用職員の免職等処分を、厳正かつ公正に行うために必要な手続等を定めたものであり、その趣旨に反することなく運用しなければならない。
2 条件付採用期間(第2条関係)
(1) 職員の条件付採用期間は、職員の任用に関する規則(昭和27年鳥取県人事委員会規則第11号。以下「任用規則」という。)に定められているとおりであり、原則6月間である。この期間については、採用日を算入し、暦に従って計算した6月後の前日をもって満了する。この期間が6月間より短縮されることはない。
(2) 6月間において実際に勤務した日数が90日に満たない場合又は鳥取県警察学校(以下「警察学校」という。)において初任教養中の警察官の条件付採用期間が6月を超える場合については、条件付採用期間を延長するものとして、既に任用規則に規定されていることから、鳥取県人事委員会の承認を得る手続は要しない。
(3) 第3項中「その者の能力の実証が不十分と認めるとき」とは、もう少し指導等を行うことでその職に求められる能力(学力、知識、人物性行、体力、健康状態等をいう。以下同じ。)の標準的水準に達することが見込まれるときをいい、これが見込まれない場合を含まない。
3 免職等処分事由(第3条関係)
(1) この条に規定する免職等処分事由(以下「免職等処分事由」という。)及びこれに該当する例は、別表のとおりである。
(2) 第1号の規定に該当するか否かについては、単一の事実や行動のみをもって判断するのではなく、一連の行動を相互に有機的に関連付けつつ、諸般の要素を総合的に検討して判断するものとする。これらの状況に対して指導等を行った日時、内容、該当者の対応状況等については、細大漏らさず記録化しておかなければならない。
(3) 第2号の規定に該当するか否かについては、罹(り)患した傷病や主治医の診断等によるところが大きく一律的な判断基準を策定することは困難であることから、職員、主治医、健康管理医師等と相談して判断することを要する。また、主治医等に職員の職場における実情や警察職員の職務の特殊性を説明するなどして適切な診断を求めることに配意する必要がある。
(4) 第3号の規定に該当するか否かについては、単一の事実や行動のみをもって判断するのではなく、具体的事実等諸般の要素を総合的に検討して判断するものとする。これらの状況に対して指導等を行った日時、内容、該当者の対応状況等については、細大漏らさず記録化しておかなければならない。
4 所属の長の責務(第4条関係)
(1) 条件付採用期間は、条件付採用職員が正式採用となるために能力の実証を行うための期間であることから、所属の長は、当該条件付採用職員の能力を確認し、引き出すように努めなければならない。
(2) 第2項の規定による報告は、免職等処分に付する可能性がある事案を認知した場合、その状況等を組織的に共有するために事実関係の調査に先立ち行うこととした。当該報告は、免職等処分事由該当事案認知報告書(様式第1号)により行うものとする。
(3) 第2項ただし書の規定については、行為の反復等により免職等処分事由に該当する場合であって、第3項の規定による調査の必要性のないときに限り適用するものとする。
(4) 第3項の規定による調査は直ちに行い、免職等処分事由に該当することを客観的に疎明できる事項について調査するものとする。
(5) 第4項の申立ては、免職等処分申立書(様式第2号)に次に掲げる疎明資料を添えて、速やかに行わなければならない。
ア 身上調査書(様式第3号)
イ 職員の人事評価の結果が他の職員と比較して明らかに劣る事実を示す記録
ウ 職員の勤務実績が他の職員と比較して明らかに劣る事実を示す記録
エ 職員の職務上の過誤、当該職員についての苦情等に関する記録
オ 職員に対する指導等に関する記録
カ 免職等処分に該当すると認める条件付採用職員の聴取書又はてん末書
キ 監督者等の事実調査書
ク 関係人の聴取書又は陳述書
ケ 訓令第3条第2号に規定する免職等処分事由に該当すると認められる場合は、警察本部長(以下「本部長」という。)が別に指名する医師2人の診断書
コ アからケまでに掲げるもののほか、免職等処分に付する必要があると認めるに足りる資料
(6) 第5項の規定による報告は、免職等処分事由事案調査結果報告書(様式第4号)に疎明資料を添えて行うものとする。
5 警察学校長の責務(第5条関係)
(1) 警察学校長は、警察行政職員の初任教養を行うことから、条件付採用職員のうち、警察学校において初任教養中の警察行政職員の能力について確認し、免職等処分事由に該当するおそれがあると認めるときは所属の長が執る措置と同様の措置を執るものとする。
(2) 警察学校長は、初任教養中の警察行政職員について、所属の長が能力の確認を行えないこと及び入校中の状況をその後の所属における教養等に活用する必要があることから、入校中の生活状況、勤務状況から判明した能力について、当該警察行政職員が所属する所属の長に通知することとした。
6 警務課長の責務(第6条関係)
 警務部警務課長(以下「警務課長」という。)に条件付採用職員に関する事実関係の調査を行う責務を定めたのは、所属の長が行う調査及び申立てを補完するためであり、警務課長は、所属の長からの申立ての有無にかかわらず、条件付採用職員を免職等処分に付する必要があると認めるときは、独立して本部長に申立てを行うことができることとした。
7 監察官の責務(第7条関係)
 警務部監察官が警務課長に通報を行う責務を定めたのは、監察、規律違反の調査等の過程で把握した免職等処分に付すべき職員については、所属の長ではなく警務課長が訓令第6条に規定する措置を執ることを明らかにしたものである。
8 勤務に関する指示等(第8条関係)
 免職等処分事由に該当するおそれがある条件付採用職員の勤務について所要の指示を行う必要があると認めるとき、又は当該条件付採用職員に制服、警察手帳、拳銃等の支給品若しくは貸与品を所持させておくことが適当でないと認めるときは、事故の発生を防止するため、速やかに所要の措置を執ることについて規定したものである。
9 委員会の設置(第9条関係)
 条件付採用職員に対する免職等処分は、本来、任命権者である本部長の裁量行為であるが、免職等処分をより慎重かつ公正に行うため、本部長の諮問機関として鳥取県警察条件付採用職員免職等処分審査委員会(以下「委員会」という。)を設置したものである。
10 委員会の組織(第10条関係)
 委員会の組織に関して定めたものであり、第4項において、委員長に事故があった場合に備え、その職務を代行する委員をあらかじめ指名しておくことにより、遅延なく委員会を開催することができるようにした。また、第5項において、免職等処分を厳正かつ公正に行うために必要である場合は、委員以外の者を委員として指名する権限を委員長に与えたものである。
11 委員会の庶務(第11条関係)
 委員会の庶務は、警務部警務課が行うこととした。
12 審査の下命(第12条関係)
(1) 第1項の規定は、免職等処分の必要があると認めた場合において、その種別及び程度について、より慎重な審査を行う必要があるときは、委員会に審査を命ずることとしたものである。
(2) 本部長は、免職等処分を必要と認める事案のうち、その内容が定型的で、事実関係、免職等処分の種別及び程度が明白であるものは、委員会に審査を下命することなく、免職等処分の手続を行うこととした。
(3) 本部長は、訓令第4条から第6条までの規定による申立てを受けた場合において、その調査内容が不足しており、更に調査を行う必要があると認めるときは、警務課長にこれを行わせるものとする。
13 審査の通知(第13条関係)
(1) 免職等処分の手続に付すべき旨を申し立てられた条件付採用職員(以下「被申立者」という。)に対する通知は、免職等処分審査通知書(様式第5号)により行うものとする。
(2) 委員会に審査の下命があったときに被申立者にその旨を通知することとしたのは、条件付採用職員が免職等処分の手続に付されていることを知らずに免職等処分が行われることがないようにするための配慮及び訓令第14条第1項の口頭審査を要求することができることの告知のためである。
14 審査の方法(第14条関係)
(1) 委員会の審査は書面審査を原則とし、被申立者が口頭審査を要求した場合に限りこれを行うこととした。したがって、被申立者からの明示がない限り審査は書面により行うものである。
(2) 審査を行うに当たっては、厳格を期すため委員長及び委員の総数の3分の2以上が出席することを原則としている。
(3) 委員会の意思決定は、委員の多数決により決定される。これは、書面審査、口頭審査のいずれにも共通することである。また、審査の公平性を担保するため、被申立者が所属する所属の長である委員に対しては、議決権を与えない。
(4) 委員会の審査は、非公開で行うものとする。
15 除斥(第15条関係)
 審査の公平性を担保するため、委員長若しくは委員又はその親族が被申立者であるときは、委員長又は当該委員を除斥することとした。
16 口頭審査の要求(第16条関係)
(1) 第1項に規定する口頭審査の要求は、口頭審査要求書(様式第6号)により行うものとする。この要求は、被申立者の権利に配意しつつ厳正な審査を行うために規定したものである。
(2) 第2項の規定は、免職等処分審査通知書の受取を拒み、又は第1項に規定する期限内に口頭審査要求書の提出を行わない場合に、口頭審査の要求がなかったものとみなして手続を行うことを明示したものである。
(3) 第3項の規定による通知は、口頭審査通知書(様式第7号)に免職等処分申立書の写しを添付して送達することにより行う。
(4) 第4項の規定は、口頭審査を行うに当たり、原則として被申立者を出席させて行うこととしたものであるが、これを正当な理由なく欠席した場合は、書面審査に切り替えることを明示したものである。
17 関係人及び資料(第17条関係)
(1) 関係人として委員長が委員会への出席を求め、又は被申立者が呼出しを要求できる者は、職員(出向中の者を含む。)に限るものとし、当該関係人の呼出しは、委員長が口頭又は書面により行うものとする。
(2) 第2項に規定する委員長に対する関係人の呼出しの要求及び資料の提出は、関係人呼出要求・資料提出書(様式第8号)により行うものとする。
(3) 被申立者が、委員長に対して関係人の呼出しを要求し、又は必要と認める資料を提出することができることとしたのは、被申立者の権利に配意しつつ厳正な審査を行うためである。
18 委員会の答申(第18条関係)
 本部長への答申は、答申書(様式第9号)により行うものとする。
19 免職等処分(第19条関係)
(1) 本部長は、委員会の答申に基づき免職等処分を行うものであるが、必ずしもこの答申に拘束されず、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第6条の規定に基づく任命権者として、免職等処分を行うことができるものとする。
(2) 第2項の免職等処分を受けるべき者(以下「被処分者」という。)への書面の交付は、免職等処分書(様式第10号)により行うものとする。
(3) 免職等処分書の効力は、書面(意思表示)が相手方に到達した時期に発生するが、この到達とは、必ずしも相手方がこれを現実に受領することを要件とせず、相手方が了知できる状態にあれば足りるものである。例えば、被処分者の不在中、在宅する家族に交付した場合はもとより、免職等処分書の内容について説明した後、被処分者が受取を拒んだためこれを差し置いた場合は、効力が発生することとなる。
(4) 被処分者の所在を知ることができない場合は、家族に免職等処分書を交付しても当該被処分者が了知し得ないことが明らかであることから、このような場合は、公示送達又は当該被処分者の所属、階級及び氏名、免職等処分の種別等を鳥取県公報に登載することにより告示を行うことができることとした。
なお、当該告示の日から起算して14日を経過したときは、免職等処分書が被処分者本人に交付されたものとみなす。
(5) 相手方が書面の内容を了知しようとしない場合においては、いたずらに時が過ぎ、免職等処分の目的を果たすことができないことから、被処分者の所在を知ることができない場合に準じて手続を行うこととした。
(6) 免職等処分書を交付した場合は、被処分者から受領書(様式第11号)を徴するものとする。
 なお、家族に交付した場合については、当該家族に被処分者の所属、氏名等を記載させた上、被処分者の氏名の下に受領者本人の氏名を記載させ、印を徴するものとする。
(7) 免職等処分書は、辞令書とともに交付するものとする。
(8) 第6項の規定による記録は、案件ごとに一括して記録するものとする。
別表
免職等処分事由
該当する例
1 鳥取県警察職員
の人事評価に関する
訓令(平成28年鳥取
県警察本部訓令第10
号)で定める特別評
価の全体標語が下位
の段階である場合又
は勤務の状況を示す
事実に基づき勤務成
績が良くないと認め
られる場合において、
その職に引き続き任
用しておくことが適
当でないと認められ
るとき。
○特別評価を実施した際、全体標語が標語C又は
標語Dとなったとき。
○平素の勤務の状況や特別評価を行うまでの能力
(学力、知識、人物性行、体力、健康状態等をい
う。以下同じ。)の実証段階において、他の条件
付採用職員と比較して著しく警察職員としての必
要な能力が低い場合で、その能力向上のための補
完措置を執っても標準的水準に達し難いとき。
○警察官として必要な授業において、懈(け)怠
行為(授業中の睡眠等)を行い、又は術科、体育
等の身体的訓練についていけず、見学等の措置を
繰り返すなど、警察官として必要な能力を習得で
きないと認められるとき。
○初任教養中に取得する警察職員としての必要な
資格等をその取得のための補完措置を執っても取
得できないとき。
2 心身の故障があ
る場合において、そ
の職に引き続き任用
しておくことが適当
でないと認めるとき。
○本部長が別に指名する医師2人により、90日以
上の療養又は休養によっても治癒し難い程度の心
身の故障があると診断され、職務の遂行に支障が
あり、又は職務に堪えないと認められるとき。
3 客観的事実に基
づいてその職に引き
続き任用しておくこ
とが適当でないと認
められる場合
○鳥取県警察職員の服務に関する訓令(昭和49年鳥
取県警察本部訓令第1号)に抵触する行為を行い、
その行為により警察の信用を失墜させるおそれが
あるとき。
○割り当てられた業務の不履行、業務命令の不履行、
不完全な業務処理、上司等に対する暴力、暴言、誹
謗(ひぼう)中傷、同僚等に対する協調性の欠如、
反復した報告の遅延及び業務上のミス、警察職員と
しての品位を疑われる言動などについて矯正を試み
たが、持続性を有する素質、能力、性格、性癖等の
要因により職務の円滑な遂行に支障があると認めら
れるなど警察職員としての適格性を欠き、簡単に矯
正することができないとき。
○採用試験又は採用時に行う各種提出物等に採用条
件の要素となる経歴その他の事実を詐称し、又は不
採用の原因となるような状況を詐称したとき。
○正当な理由なく、無断で、又は指示を無視して勤
務を欠き、又は勤務放棄したとき。
○勤務中たびたび、職務に専念することなく徘徊
(はいかい)し、又は勤務外の私用の要件を処理
したとき。
○警察学校入校中、所在不明となったとき。
4 地方公務員法
(昭和25年法律第
261号)第28条第1
項第4号に規定する
事由に該当する場合
 ○職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により
廃職又は過員を生じたとき。
様式 省略
  

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