鳥取県警察職員の分限の取扱いに関する訓令の運用等について(例規通達)
平成15年10月8日
鳥務例規第10号
改正 平成25年鳥務例規第12号、平成28年鳥監察例規第2号、令和2年鳥務例規第5号
このたび鳥取県警察職員の分限の取扱いに関する訓令(平成15年10月鳥取県警察本部訓令第16号。以下「訓令」という。)を制定したことに伴い、その解釈及び運用上留意すべき事項を次のとおり定めたので、その適正な運用に努められたい。
記
1 適用範囲(第2条関係)
鳥取県警察職員(条件付採用期間中の者、臨時的に任用された者及び非常勤職員(特別職)を除く。)に対する分限については、地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)、職員の分限に関する手続及び効果に関する条例(昭和26年鳥取県条例第39号。以下「条例」という。)等に基づいて行われるが、訓令は、その細部的な取扱いを定めたものである。
「条件付採用期間中の者、臨時的に任用された者」とは、法第22条及び第22条の3に規定する職員をいい、これらの者には、法第29条の2の規定により、法第27条第2項及び第28条第1項から第3項までの規定が適用されないことから、訓令の適用も除外される。
なお、非常勤職員(特別職)の分限については法第4条の規定により法の規定が適用されないことから、地方警察官の分限については任命権者が異なることから、訓令は適用されない。
2 根拠法令等
(1) 分限処分事由
法第28条第1項及び第2項
(2) 手続
ア 法第49条
イ 条例
ウ 職員の分限に関する手続及び効果に関する規則(昭和26年鳥取県人事委員会規則第7号)
エ 「心身の故障による休職の取扱要領の制定について(例規通達)」(平成20年6月27日付け鳥務例規第11号)
オ 「処分説明書の様式および記載要領について」(昭和26年10月31日付け受人委第27号)
カ 警察職員の任免発令に関する訓令(昭和48年鳥取県警察本部訓令第7号)
(3) 審査請求
ア 法第49条の2及び第49条の3
イ 不利益処分についての審査請求に関する規則(平成8年鳥取県人事委員会規則第13号)
3 所属長等の責務等(第3条及び第4条関係)
(1) 所属長は、所属の職員が分限対象事由に該当すると認める場合には、客観性を担保しつつ事実を調査し、その上で、分限手続に付する必要があると認められる場合には、分限処分の申立てを行うものとした。警務部警務課長(以下「警務課長」という。)を経由させたのは、警務課長に所属長からの申立てについて不足がないかを審査し、必要な補填をする責務を負わせるものである。
(2) 警務課長については、特に全職員の中で分限処分に付すべき職員を把握した場合、独自に警察本部長(以下「本部長」という。)に対して申立てを行うものとした。
(3) 首席監察官が警務課長への通報を行うことを定めたのは、監察及び規律違反の調査等の過程で把握した分限処分に付すべき職員については、所属長ではなく警務課長が第4条第1項の処置を行うことを明らかにしたものである。
4 委員会の設置(第5条関係)
分限処分を慎重かつ公正に行うため、本部長の諮問機関として鳥取県警察職員分限審査委員会(以下「委員会」という。)を設置し、これに分限に関する審査を行わせることとした。
5 審査の下命(第8条関係)
分限処分は、分限処分を申し立てられた者(以下「被申立者」という。)の意に反する処分であるところから、慎重を期すため、原則としてこれを委員会の審査に付することとした。
6 審査の通知(第9条関係)
委員会は、本部長から審査の下命があったときは、被申立者に対し、その旨を通知することとした。これは、職員が分限手続に付されることを知らずして分限処分が行われることのないようにとの配慮からであり、加えて、口頭審査を要求しようとする者にその機会を与えるためである。
なお、この通知は、職員の身分保障の重要性を考慮し、文書によることとした。
7 審査の方法(第10条関係)
(1) 委員会の審査は書面審査を原則とし、被申立者が口頭審査を要求した場合に限り口頭審査を行うこととした。したがって、被申立者からの明示がない限り審査は書面審査により行うものである。
(2) 職員の意に反した身分の処分を審査するに当たっては、厳格を期すため委員長及び委員の3分の2が出席して審査することを原則としている。
(3) 委員会の意思決定は、委員の多数決により決定される。これは書面審査、口頭審査のいずれにも共通することである。
8 口頭審査の要求(第11条関係)
被申立者が第9条の規定により通知を受けた場合において、委員会に出席して意見を述べようとするときは、口頭審査要求書を所属長を経由して委員長に提出することとした。これは、5と趣旨を同じくするものであり、被申立者の権利に配意しつつ厳正な審査を行おうとするものである。
9 口頭審査の開催通知等(第12条関係)
口頭審査の要求があったときは、被申立者に対して、審査の期日及び場所を通知することとしているが、この通知は審査期日の7日前までに行うこととした。これは、被申立者が証人の出席を要求したり、必要な証拠を提出するための準備を行うために若干の期間を置くことにより、被申立者に口頭審査を受ける準備をする時間を与えようとするものである。
10 書面審査への移行(第14条関係)
被申立者の要求により、口頭審査が行われることとなったにもかかわらず、同人が正当な理由なく審査期日に出席しない場合には円滑な分限審査手続の進行が阻害されることとなる。このような場合が生じたときには、委員長の権限により、口頭審査から書面審査に切り替えることとした。
11 除斥及び回避(第15条関係)
審査の公平を担保するため、委員長及び委員は、自己又はその親族に関する分限処分については、その審査から除斥することとした。また、委員長又は委員は、これ以外の場合においても審査に当たることが不適当と認めるときは、委員会に対してその理由を明らかにし、審査を回避することができるものとした。
12 分限処分(第17条関係)
(1) 本部長は、委員会の答申に基づき分限処分を行うものであるが、必ずしもこの答申に拘束されず、法第6条に基づく任命権者として、その分限処分の種類及び程度を軽減又は加重することができるものとする。
(2) 分限処分は、分限処分書及び処分説明書を交付して行うものとする。
分限処分を行おうとするときは、法及び条例により書面の交付という要式行為が定められている。その効力は、書面(意思表示)が相手方に到達した時期に発生するが、この到達というのは、必ずしも相手方がこれを現実に受領することを要件とせず、相手方が了知できる状態にあれば足りるものである。例えば、本人の不在中、在宅した家族に交付した場合又は本人の面前において手交する場合には、仮に本人が受け取ることを拒否したとしても、交付があったものとして効力が発生することとなる。
なお、被処分者の所在を知ることができない場合には、例え家族に交付したとしても本人が了知し得ないことが明らかであるから、このような場合は、鳥取県公報に登載することとなる。
(3) 分限処分を受けた者がその処分に対して不服があるときは、法第49条の2及び第49条の3の規定により、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に所定の手続により鳥取県人事委員会にその処分についての審査請求をすることができる。ただし、処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、これをすることができないものとする。
13 復職等の手続(第18条関係)
所属長は、休職中の職員から復職の申出があったとき又は休職の事由が消滅したと認めるときは、速やかに本部長に対して復職の申立ての手続をとることとなるが、この場合において分限対象事由の消滅にかかる申立てであるところから、職員の身分を早期に回復するためにも委員会における審査手続を省略できるものとする。
14 分限手続の特例(第20条関係)
法第28条第2項第1号に該当する職員が休職を承諾している場合は、「心身の故障による休職の取扱要領の制定について(例規通達)」に定める手続により処理をするものとする。