現場鑑識活動実施要領の制定について(例規通達)

現場鑑識活動実施要領の制定について(例規通達)

平成28年6月29日
鳥鑑例規第6号外
 近年、公判において、客観証拠を重視する傾向が一層強まっていることに加え、従来以上に初動捜査段階から客観証拠を適正な手続により幅広く押収することが求められているところである。
 そのため、この度、各種事件又は事故に共通する基本的な現場鑑識活動について、別添のとおり「現場鑑識活動実施要領」を制定し、平成28年6月29日から施行することとしたので、効果的な運用を図られたい。
別添
   現場鑑識活動実施要領
第1 目的
 この要領は、現場鑑識活動を実施するために必要な基本的事項を定めるとともに、その徹底を期し、もって客観証拠を重視した捜査を推進することを目的とする。
第2 心構え
1 警察職員は、事件又は事故(以下「事件等」という。)が発生した場合、いかにその規模、態様等が異なっても、この要領で定める事項が現場鑑識活動の基本となるものであることを認識し、平素から現場鑑識活動に関する正しい知識及び技術の習得と鑑識資器材の効果的な活用に努めなければならない。
2 現場鑑識活動は、捜査活動と別個に、かつ、独立して進められるものではなく、現場捜査及び鑑識・科学捜査を組織的かつ効果的に進めなければならない。
3 現場鑑識活動に当たっては、予断に走り、又は先入観にとらわれることなく常に客観的かつ周到綿密に行って、現場における各種資料(証拠物件を含む。以下「現場資料」という。)を漏れなく発見及び収集し、科学的かつ合理的な判断の下に事実の真相を明らかにするよう努めること。また、発見した現場資料は、的確に採取又は押収し、これを迅速適正に活用して捜査に役立たせるとともに、公判審理において証拠としての証明力を保持できるよう配意しなければならない。
第3 臨場体制の確立
 刑事部鑑識課長、刑事部科学捜査研究所長及び警察署長(以下「鑑識課長等」という。)は、事件等が発生した場合に迅速適正な現場鑑識活動が実施できるよう、要員の確保並びに車両及び鑑識資器材の整備に努め、常時臨場できる体制を確立しておかなければならない。この場合において、現場鑑識員として鑑識係員を必要数充てることが困難なときは、「鑑識代行員制度について(例規)」(昭和42年1月31日付け鳥鑑発第118号)で定める鑑識代行員を活用するよう配意すること。
第4 鑑識班長
1 鑑識課長等は、事件等の発生により現場鑑識活動を実施するときは、現場鑑識員のうちの上席者を鑑識班長に指名するものとする。
2 鑑識班長は、捜査主任官又は検証官(以下「捜査主任官等」という。)の指揮を受けて現場鑑識員を直接指揮監督し、次に掲げる現場鑑識活動を実施するものとする。
(1) 現場鑑識員への任務付与
(2) 現場保存
(3) 現場写真の撮影
(4) 現場観察
(5) 現場資料の採取及び押収と採取方法等の具体的指揮
(6) その他現場鑑識活動に伴う措置
第5 現場鑑識活動の順序
 現場鑑識活動は、原則として次の順序で行うこと。
(1) 現場保存
(2) 現場写真の撮影
(3) 現場観察
(4) 現場資料の採取及び押収
第6 現場鑑識活動の実施
1 現場保存
 現場保存は、事件等の発生現場を発生当時の状態で一定期間保存し、現場資料及びその証拠価値が滅失しないよう保存する活動であることを十分に認識して、的確に実施すること。
2 現場写真の撮影
 現場写真は、事件等に関係ある場所、物及び人の状況等を現状のまま撮影し、捜査資料及び証拠資料に利用するものであることを認識して、正確かつ効率的に撮影すること。
3 現場観察
 現場観察は、事件等の発生現場において、事件等に直接又は間接に結び付いている現場資料を発見及び収集するとともに、五官の作用によって物の存在及び状態を観察して事件等の真相を明らかにするものであることから、検証及び実況見分に並行して統制と秩序をもって周到に行うこと。
4 現場資料の採取及び押収
(1) 現場資料は、立証三原則(立会人の確保、写真撮影及び関係記録への明示をいう。)を確実に履行することにより、その証拠価値及び証拠としての証明力を保持しつつ、対象に応じた最良の方法で的確に採取するとともに、適切な保管管理を徹底すること。
(2) 採取した現場指掌紋・足紋及び足痕跡以外の現場資料については、押収手続をとり、証拠物件化すること。
第7 警察犬の活用
 事件等の発生現場及びその周辺の現場鑑識活動においては、犯人の足跡、遺留品等の原臭の発見及び確保に努め、警察犬の積極的な活用を図ること。
第8 似顔絵の作成
 面接犯その他目撃者がいる事件等の現場鑑識活動において、犯人の人相、特徴等の記憶状況等から判断して似顔絵の利用による効果が認められるときは、積極的な似顔絵の作成及び利用を図ること。
第9 現場鑑識活動実施後の措置
1 鑑識班長は、現場鑑識活動を終了したときは、その状況を速やかに捜査主任官等に報告し、その指揮を受けて現場保存を解除すること。
2 鑑識班長は、現場資料を採取又は押収した場合は、現場指掌紋・足紋、足痕跡その他現場資料の区分に応じ、それぞれ別に定める書面の様式により、捜査主任官等を経由して警察署長に報告すること。
3 採取資料及び押収資料の取扱い
 鑑識班長は、採取又は押収した現場資料を速やかに整理し、関係書類を作成の上、捜査主任官等の指揮を受けて必要な鑑定、検査等の措置を講ずること。
第10 鑑識教養の推進
 鑑識課長等は、この要領に定めるもののほか、最新の知識、技術等を含めた現場鑑識活動の実施要領について計画的に教養を行うとともに、当該知識、技術等を捜査担当部門の職員はもちろんのこと、地域部門を含め、広く関係部門の職員と共有し、現場鑑識技術の高度化及び普遍化に努めること。 
  

Copyright(C) 2006~ 鳥取県(Tottori Prefectural Government) All Rights Reserved. 法人番号 7000020310000