所管事項にかかる県外調査(8月16日~18日)

1.日時
 平成28年8月16日(火)~18日(木)

2.調査箇所及び調査事項
○平成28年8月16日(火)
 (1)公立はこだて未来大学(函館市)
   ・公立大学の運営状況等について
 (2)函館市役所(函館市)
   ・観光客誘致の取組みについて
○平成28年8月17日(水)
 (3)日本原燃 株式会社(青森県六ヶ所村)
   ・原子燃料サイクル施設について
○平成28年8月18日(木)
 (4)青森県庁(青森市)
   ・中山間地の投票所確保について
・青森港の整備状況とクルーズ船誘致等の観光振興について
 (5)青森県警察本部(青森市)
   ・青森県警の交通施策について

3.調査議員(8名)
 福田委員長、野坂副委員長、森委員、長谷川委員、浜崎委員、前田委員、横山委員、澤委員

4.随行者
 鳥取県議会事務局 調査課 宇畑課長補佐
              尾崎係長
5.所管
○ 公立はこだて未来大学(函館市)
 はこだて未来大学は情報科学分野に特化した大学で、「open space,open mind」という教育理念のもとに校舎も建築されており、1~5階まで吹き抜けの開放感溢れる教育環境であった。
プロジェクト学習、メタ学習など、未来を担う人材を育成するための特色ある教育のほか、地域の人口が減少する中で、大学として使命・役割を考え、地元の学校・企業との連携、地域貢献などの取組がなされており、本県においても非常に参考となるものが多くあった。
鳥取環境大学の運営においては、これまで当常任委員会で、地元入学者の割合や卒業後の県内企業就職率の低さを課題として指摘してきた。できるだけ多くの地元の学生を受け入れ、また卒業生をできるだけ多く地元に残すことは公立の大学として究極の理想であるが、はこだて未来大学ではそれは現実的でないとし、広く優秀な学生を募集し、卒業生が社会で広く活躍することで、将来的に地元に還元されるという考えのもとに運営されている。そのような方針のもと、志願者数も多く、就職率も高い。
志願者・入学者を確保すること、一定の学力レベルを確保することは主に大学の使命であるが、地域に愛着を持ってもらい卒業後も地域で活躍してもらうこと、地元就職の受け皿を増やすことは、大学単体の運営だけでは論じられず、県全体として地域活性化のビジョンを持って取り組むことが必要であると再認識した。
 
○ 函館市役所
 函館市は「地域ブランド調査」(ブランド総合研究所)で2年連続日本一に輝くなど、日本屈指の観光都市としてすでにその知名度は確立しているものがあるが、その地位に甘んじることなく、戦略的・積極的にプロモーションを行い、さらには北海道新幹線の開業という新たな起爆剤をもってさらなる振興を図っていることに感心させられた。
本県では函館市ほどの知名度はないため、観光客誘致の地域間競争を勝ち抜くには函館市以上のプロモーションを行っていかねばならないこと、また、来県者に満足してもらい、再度来県してもらえるよう、受け入れ体制や環境の整備・充実が必要であると感じた。
函館市では周辺自治体と広域連携し、圏域ごと・季節ごとに周遊ルートの開発を行い、共同で誘致活動を行っている。本県においても広域連携の土台として「山陰インバウンド機構」を有する。これを有機的に機能させ、魅力的な周遊ルートの開発、連携した広報・プロモーションの実施などを行っていくことが重要と感じた。
また、函館市における観光コンテンツのキーワードは雪・花・温泉・食とのことであった。これらはいずれも本県においても特色あるサービスを提供できるものである。本県を訪れる観光客のニーズをしっかりと把握し、広域連携を図りながら、特色ある魅力的な観光プランの開発と積極的なPRを継続して行えるよう、今後議会としても注視していきたい。

○ 日本原燃株式会社
同社が有する再処理工場については、これまで稼働延期が何度も繰り返されているところではあるが、最も困難であったトラブルも解決し、新規制基準による審査もほぼ最終段階に入ったとのことであり、島根原子力発電所1号機の廃止措置計画等への影響は現時点ではないようであった。
この度の調査では、原子燃料サイクル施設の設備とその安全性について説明を受け、実際に各施設を視察した。想定しうる事態にもれなく対応する設備であったが、その使用や緊急時の対応は人が判断し、人が操作するものであるため、適切に設備が機能しうるよう十分な教育・訓練を進めてもらいたい。
また、原子力関連施設として究極の「安全」を求めることは当然のことであるが、それを地域住民が理解しないのであれば「安心」にはつながらない。「安全」であり、かつ「安心」な施設となるよう説明責任を今後も十分に果たしてもらいたい。
 
○ 青森県庁

青森県では常に全国下位であった投票率を2年間で27位まで回復させたとのことであった。本県での投票率は近年全国上位にあるが、青森県での取組を踏まえ、さらなる向上を目指すことは可能である。投票率には県民性も関係するとのことだが、選挙、投票に関しては県民性を超えて、政治に参加する意識改革をする必要がある。特に若い世代へのアプローチと高齢者の投票支援は大きな課題であり、各世代に応じた啓発や支援策が必要と感じた。
中山間地域では人口減少・高齢化が激しく、今後投票所を維持できず縮小する傾向にあることは否めない。投票所への移動が不便である地域、移動が困難な者への支援策がより重要になる。
クルーズ船誘致等については、青森港への寄港数も増加している上、クルーズ船の大型化に伴い、乗客数は大幅に伸びているとのことで、本県境港と同様である。これを継続していくためにはクルーズ船大型化への対応や受け入れ体制の整備が今後も重要となることを再認識した。
また、アンケート調査では青森港に寄港する外国人は爆買いではなく体験や交流にニーズがあるとのことであった。本県においても境港に寄港する外国人のニーズを適切に把握し、それに見合ったサービスを展開していかなければならない。

○ 青森県警察本部
 高齢化の進展に伴い交通死亡事故における高齢者の割合が増加傾向であることは青森県でも変わらない。高齢者の事故防止のため、青森県では平成26年度から段階的に、意識調査・交通安全教育の提言、効果的な教育方策の提言、教育・啓発する人材の育成に取り組んでいる。
自動車の運転については地域性・県民性が少なからず関係するものと考えるので、本県も独自の調査等によりドライバーの意識や地域性・県民性を適切に把握し、それに応じた効果的な交通安全対策、教育・啓発を行うことが有効であると感じた。
また、青森県においても本県と同様、自動車は県民にとって欠かせない“生活の足”であり、自動車がなければ生活が著しく不便となってしまう。そこで青森県では必ずしも高齢者に免許証を返納してもらうことを求めず、年齢による衰えも含めて自己の運転能力を正しく認識してもらい、必要な教育を受けた上で注意して運転してもらう、という方向性で取り組んでいる、とのこと。免許を返納された人にはタクシー料金の割引やバスカードの交付、宅配無料サービスなどの支援を行っているとのことであり、本県でも大いに参考にできるものと感じた。

  

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