(昭和
47年
5月
20日鳥交企発第
70号 鳥防発第
460号
)
各所属長
対号 昭和46年8月20日鳥交一発第672号、鳥防発第802号「交通公害事案の取扱いについて」(通達)
昭和46年11月29日鳥交一発第960号、鳥防発第1170号「道路交通法の一部改正に伴う交通公害防止のための交通規制の運用上の留意事項について」(例規)
「道路交通法の一部改正等に伴う交通公害の防止のための交通規制の運用上の留意事項について」(以下「前回の公害通達」という。)は、さきに昭和46年11月29日付け鳥交一発第960号、鳥防発第1170号をもつて通達したところであるが、このたび、みだしの命令の一部が改正され、昭和47年4月8日から施行された。
その改正の趣旨および内容ならびに改正後の運用に関するおもな留意事項は、次のとおりであるので、運用にあたつて遺憾のないようにされたい。
記
1 改正の趣旨および内容
このたび、環境庁において、自動車の運行に伴い発生するデイーゼル黒煙による大気の汚染の防止を図るため、自動車排出ガスの許容限度(昭和46年運輸省告示第221号)の強化の施策の一つとして、自動車排出ガスの種類に新たに「粒子状物質(ジーゼル黒煙に限る。)」を加えることとした(別添1)。
これに合わせて、大気汚染防止法施行令(昭和43年政令第329号)第4条(自動車排出ガス)の規定に、自動車排出ガスとして、新たに「粒子状物質」を加える政令の改正が行なわれた(別添2)。
このように、大気汚染防止法施行令第4条の自動車排出ガスに新たに「粒子状物質」が加えられたことにより、道路交通法上の交通公害についても、みだしの命令を改正して、交通公害に係る大気の汚染の原因となる物質として新たに「粒子状物質」を加える必要が生じたものである。
なお、このたびの改正の機会に、昨年12月1日から施行された道路交通法の一部改正により交通公害の定義規定が、同法第2条第22号から、同条第1項第23号に移つたことに伴う必要な規定の整備をすることとしたものである(別添3)。
2 改正後の運用に関するおもな留意事項
(1) 今回の改正により、交通公害に係る大気の汚染物質に新たに「粒子状物質」が加えられたが、この「粒子状物質」には、粒径10μ(ミクロン)以下のいわゆる「浮遊粒子状物質」はもちろん、粒径10μをこえる「粒子状物質」も含まれることになる。このように「粒子状物質」は、粒径が10μ以下であるが、それをこえるかには関係なく、またその科学的成分が何であるかも問わないものである。
(2) 大気中に浮遊する「粒子状物質」のうち、粒径10μ以下のものが呼吸器に吸入されて、人の健康に及ぼす影響が大きいことから、この粒径10μ以下のものを「浮遊粒子状物質」として、本年1月11日、「浮遊粒子状物質に係る環境基準について(昭和47年環境庁告示第1号)」(別添4)が定められたところであるが、粒径10μをこえる物質をも含む「粒子状物質」に係る環境基準は、現在定められていない。
(3) 前回の公害通達に示したとおり、環境基準が定められていない大気の汚染物質に起因する交通公害は、それらにより現実に人の健康または生活環境に被害が生ずることをいうのであるが、今回の改正により新たに加えられた「粒子状物質」については、さきに「浮遊粒子状物質に係る環境基準について」が定められた趣旨および自動車の分担率が低いこと(推定値は約23%)などから、当面は、従来どおり、現在、環境基準が定められている「浮遊粒子状物質」による大気の汚染のみを交通公害の原因となる大気の汚染と考えてさしつかえない。
(4) 大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)第23条第4項の規定に基づく都道府県公安委員会への要請は、現在の「浮遊粒子状物質」による大気の汚染状況およびこれについての自動車の分担率からみて、現実にあり得ないと考えられる。
なお、今回、排出基準として定められたディーゼル黒煙による粒子状物質は、その多くが粒径10μをこえる粒子状物質である。
(5) 今回の改正により交通公害に係る大気の汚染物質に新たに「粒子状物質」が加えられたことならびに「粒子状物質」がその粒径および科学的成分に関係のないことから、前回の公害通達を下記のとおり訂正する。
ア 3頁;上から3行目および4行目「または窒素酸化物」を「、窒素酸化物または粒子状物質」に訂正する。
イ 3頁;上から7行目および8行目「、浮遊粒子状物質(鉛化合物がこれに該当する場合を除く。)」を削除する。
ウ 16頁;上から8行目および9行目「(鉛化合物がこれに該当する場合に限る。)」を削除する。
別添省略