本年9月定例会において、当委員会が審査の付託を受けました議案第16号「平成18年度鳥取県営企業決算の認定について」及び議案第17号「平成18年度鳥取県営病院事業決算の認定について」、並びに今定例会において審査の付託を受けました議案第21号「平成18年度決算の認定について」、以上3議案につきましては、決算審査の結果を平成20年度の予算に反映させるべく精力的に審査等を行ってきたところでありますが、以下その経過及び結果をご報告申し上げます。
当委員会は、審査を能率的に行うため、総務警察(藤縄喜和 主査)、教育民生(尾崎薫 主査)、経済産業(内田博長 主査)、企画土木(前田八壽彦 主査)、県営企業(米井悟 主査)、病院事業(山田幸夫 主査)の6分科会を設けて審査を分担し、予算執行が議決の趣旨に沿い、適正かつ効率的に行われていたかについて、各部局ごとに、主管部局長等から決算の内容等についての詳細な説明を聞き、質疑、現地調査などの審査をしてまいりました。
その結果、付託された3議案はいずれも原案のとおり認定すべきものと決定いたしました。
なお、審査意見として、今後速やかに検討又は改善すべきものと決定した事項について申し上げます。
まず、第1点目は、トータルコスト予算分析の改善について であります。
トータルコスト予算分析で外部委託により減った人役が1未満であったために所属内で調整され、浮いた人役が他事業の人役に振り替えられてしまった例がありました。この場合、外部委託経費が増えるだけとなり、トータルコストでの経費節減とはなりません。
また、補正予算ではトータルコスト予算は用いられていません。しかし平成19年度当初予算はいわゆる骨格予算であるにもかかわらず、人役全てが割り振られていたことは当初予算で過大な人役を積算したことになり不適当であります。
人件費を含めて予算を考えるという理念は素晴らしくはありますが、このような課題を解決するよう改善すべきであります。
なお、その際にはトータルコストに係る労力にも配慮すべきであります。
第2点目は、未利用財産の早期処分について であります。
県財政が危機的な状況にある現在、未利用財産の売却等により財源を確保することは喫緊の課題であります。
しかし、未利用地の中には久松閣や鳥取警察署、東京のえびす会館など、もっと早く売却や活用の手続きを進めることが可能であったと思われるものも散見されます。
未利用地検討委員会も機動的に開催するなどの改善策も検討しながら、未利用財産の処理を早急に進めるべきであります。
さらに売却の方針が決まった物件については、できるだけ速やかに評価調書を作成して、売却の打診があった際に、交渉の時機を失しない等の準備をすべきであります。
第3点目は、新運転免許試験場の交通手段の確保等について であります。
試験場に訪れる人は免許の無いかたが大半でありますが、試験場と倉吉駅間の所要時間は、車で10分以上かかるため、移動手段としてバスが重要となります。路線バスが不足して受験者を積み残すことがないよう、警察本部は関係機関と十分調整して、支障がないようにすべきであります。
また、試験場とテストコースの間には生活用道路が通っています。生活用道路の交通量を十分に調査して、必要があれば陸橋を渡すなど、付近の生活者に過大な不便をかけることのないように配慮するとともに、受験者の安全を確保すべきであります。
第4点目は、看護職員の養成確保について であります。
平成17年12月策定の第6次看護職員需給見通しによれば、県内看護職員の不足数は今後大きく増加するとされています。さらに平成18年度から診療報酬改定による7対1の看護基準が加味されたことや、労働環境・条件のミスマッチ等により、看護職員不足は深刻な状況となっています。
そのため県では、修学資金の貸付けや離職防止対策により看護職員の確保に努めており、一定の成果はみられるものの、不足数を満たすまでには至っていません。
一方で、県内看護学校卒業者の県内就職率が高いことから、県立看護専門学校の実習受入先の確保等、教育環境整備を図るとともに、学生確保や定員増を行う等により、県自ら県内で看護師の養成にさらに努めるべきであります。
また、労働環境の改善を行うことで離職者を減らすと同時に、復職をスムーズに行える仕組みづくりを行うなど、看護職員確保対策をより充実させるべきであります。
第5点目は、石綿飛散防止対策の徹底について であります。
県では、国の法体系を補う本県独自の制度として、平成17年11月より「鳥取県石綿による健康被害を防止するための緊急措置に関する条例」を施行し、建築物等の解体工事等に伴う石綿粉じん飛散防止の対策を行っているところであります。
しかし、条例で届出を定めている石綿成形板や石綿セメント管などについては、飛散性が低いとの理由で、施工業者の経験や実績、工事規模、周辺環境等から判断し、必要に応じてのみ立ち入り検査を実施しており、平成18年度は、264件の届出件数のうち、約半分の123件しか立ち入り検査が行われておりません。
実際には条例の届出基準を大幅に上回る製品が多いことから、条例制定の背景や科学的な根拠に基づく立ち入り基準を策定し、県民が安心できる石綿飛散防止対策の徹底を図るべきであります。
第6点目は、湖山池の水質改善について であります。
湖山池の水質改善を図るため、県では平成13年度から22年度までの第2期湖山池水質管理計画に基づき水質浄化対策を行っています。その結果、汚濁負荷量は年々減少しているようでありますが、水質については、平成18年度時点で、化学的酸素要求量(COD)以外の数値は全く改善されておらず、今の施策のままでは、目標年度(平成22年度)において全窒素以外はすべて環境基準を上回り、目標達成できないことが明らかとなっています。これらの要因は、植物プランクトンの増加など様々でありますが、水質の改善しない原因を徹底的に分析・検証し、より経済的、効果的な対策を早急に確立し、水質改善目標の達成を図るべきであります。
第7点目は、県立博物館の収蔵庫及び駐車場の確保について であります。
県立博物館では、自然・人文・美術の3部門の資料を収蔵していますが、開館後35年経過し、現在の博物館内の収蔵庫はほぼ満杯となり、収蔵庫以外のスペースも収蔵庫として活用しているほか、本来は種別ごとの分離保管が望ましい資料の混在保管も生じている状況であります。
県民の財産である各分野の貴重な収蔵品が、適正な状態で保管できるよう、県の遊休施設を利用するなど、早急に収蔵場所を確保すべきであります。
また、駐車場については慢性的に不足している状況であり、鳥取市とより密な連携を図り、あらゆる手段での利用者利便向上策を早急に検討するべきであります。
第8点目は、産業支援のあり方について であります。
企業誘致、新規就農支援等の施策により新たな雇用が創出されるなど、一定の成果が得られているところですが、この7~8年の状況を生産高で見ると製品出荷額、農業産出額とも15%程度減少し、生産主体からみても事業所数が約30%、販売農家数も約20%それぞれ減少しています。
これらの状況を踏まえ、新規開拓のみならず、県内の中小企業者及び農業者に対して、制度融資や相談事業に限らず、本県独自の支援策を検討すべきであります。
第9点目は、中海干拓農地売渡価格抑制支援事業について であります。
国営中海土地改良事業で造成された弓浜及び彦名干拓地の農地約217ヘクタールのうち、未売却となっている約25ヘクタールの売渡価格の上昇を抑制するため、県は約5億5千万円を鳥取県農業開発公社に無利子で貸し付けています。
しかし、販売開始から20年が経過する中、売却の見込みが立たない状況にあります。売却見込みの立たない農地については、後年度負担等も勘案の上、売却価格を見直すなどの抜本的な方策を検討し、早期解決を図るべきであります。
第10点目は、とっとり花回廊に係る指定管理者制度のあり方について であります。
平成18年度から開始された指定管理者制度の導入によって、とっとり花回廊を民間事業者に運営を委託しています。
制度導入により委託料は約5千万円軽減されていますが、その内容は人件費の削減(約6千6百万円)によるものがほとんどとなっております。
本施設は、観光及び花卉園芸の振興のための拠点施設として整備されているところですが、指定管理者制度導入により、効率化、収益重視が求められ、本来の目的が阻害されるのではないかと心配されるところであります。
施設の継続的な運営を図りながらその目的を達成するためには、魅力ある就労の場としての条件整備、適正な委託期間の設定はもとより、指定管理者制度と本施設のあり方についても検討すべきであります。
第11点目は、男女共同参画推進員の報酬について であります。
鳥取県男女共同参画推進条例に基づき鳥取県男女共同参画推進員を任命し、県民及び事業者の男女共同参画に関する苦情、又は不服の申出について審議されることになっていますが、ここ2年間の活動実績は月2回程度であります。
しかし、推進員の報酬月額(122,000円)については、活動日数が月6日程度との算定に基づくものであり、実態とかい離していると思われます。
よって、職務の性質及び実態を踏まえ、適正な報酬金額のあり方を検討すべきであります。
第12点目は、県民文化会館及び倉吉未来中心の管理運営のあり方について であります。
財団法人鳥取県文化振興財団は、平成4年に県民の多様化高度化する文化振興に応えるため、県民文化会館の受託管理団体として設立されました。
平成18年度より県から指名指定を受けるにあたり、職員の人件費削減をはじめとして、経費削減等に努め、平成18年度の県委託額に対して、
6,418万8千円の剰余金が生じ、いったん県に返納された後に、公益事業の実施や当該管理施設の運営に充当することを目的とする基金として、財団に再度交付されているところであり、その有効活用が求められます。
また、公立文化施設における指定管理者制度の問題点も数多く見受けられます。
そもそも本県の文化振興は、県及び同財団の連携のもと図られるものでありますが、指定管理者制度導入により、安易な効率化、コスト削減、収益重視ばかりが求められ、本来、財団が行うべき鳥取文化の醸成、県民自らの地域文化の振興が阻害されるのではないかと心配されるところであります。
また、指定管理期間も3年で、文化芸術に携わる職員の雇用不安を生じさせ、著しくモチベーションの低下を来たし、職員の退職の動機となっています。
また、公立文化施設としての、利用料金制での学校行事等の減免措置は、2館で2,456万5千円にのぼり、効率を求めながら、一方では財団に過度な負担を強いています。
よって、あらためて、これからの県立文化施設の管理運営のあり方を検討すべきであります。
第13点目は、鳥取県空港管理事務所の業務効率化と鳥取空港国際会館の有効活用について であります。
鳥取空港管理事務所の業務については、空港の運用・許認可業務の他に、日常の施設点検といった現業的な業務もありますが、最小限の人員で効率的業務を行うよう業務内容を点検し、可能なものについては、業務委託を検討すべきであります。
また、鳥取空港国際会館は、維持管理経費も年間4,671万6千円を要しており、県民が気軽に訪れるように有効活用を図るべきであります。
しかしながら、現状の施設の構造上では、その活用には限界があり、例えば、センタープラザ部分を2層構造とし、床面積を増すことにより、狭隘な国際交流センターの移転や会議室、レストラン部分を確保する等、部分改修を検討すべきであります。
第14点目は、工業用水道事業の販路拡大について であります。
鳥取地区工業用水道事業は、現状は暫定豊水水利権のため、平成20年度の新規給水分を含めて、3社で日量1万700立方メートルの給水となっています。
平成23年度には殿ダムが完成し、計画給水量は日量2万7,900立方メートルとなりますが、これまでの企業に対する調査結果等によりますと、新規希望分等の給水量は、日量7,300立方メートルで、現状の給水量と合わせても日量1万8,000立方メートルに過ぎません。
今後は、関係部局や鳥取市と連携を取りながら、積極的に企業訪問等を行い、特に新規希望分等の少ない千代川以西については、企業誘致の情報の把握に努め、販路拡大を図るべきであります。
なお、配水管整備については、道路整備等と一体的に行い、コスト削減に努めるべきであります。
第15点目は、崎津工業団地の販売促進について であります。
平成11年3月に財団法人米子崎津地区開発促進公社から粗造成の状態で取得した崎津工業団地は、企業のニーズに対応しやすいオーダーメード方式の工業団地として分譲中であります。
しかし、当該用地の販売価格を設定する際に基準となる簿価は、隣接地の実勢価格や近県の工業団地の販売価格より高いこともあり、全く売却されていない状況であります。
今後、適正な販売価格を設定するとともに、関係部局、米子市、経済団体等と連携を取りながら、企業ニーズの把握に努め、販売戦略も含めた抜本的な対策を検討すべきであります。
第16点目は、中・長期的な視野に立った病院経営見通しの策定について であります。
県立病院の経営については、懸命な経営努力にもかかわらず、二病院合わせて4年ぶりに2億4,434万円の赤字決算となり、この結果、128億円を超える累積欠損を抱えている状況であります。
さらに、今後も厚生病院の改築等に伴う多額の設備投資の償還金が経営を圧迫していくことも予想されます。
その一方で、一般会計から多額の繰入れがなされており、その状況及び必要性について県民に十分に周知し理解を得る取組みを行うべきであります。
また、県立病院が地域を支える病院として今後も県民に質の高い医療サービスを提供しながら、効率的な病院経営を進めるためには、診療科目ごとの収支状況を分析し、病院経営の専門家等の意見を聴取した上で、中・長期的な視野にたった経営見通しを策定すべきであります。
第17点目は、病院と診療所の役割分担及び連携に向けた取組みについて であります。
現在、知事部局の指導のもと、病院、診療所それぞれの役割分担や連携のための取組みが進めてられているところであります。
しかしながら、依然として総合病院に患者が集中する傾向であり、結果として患者1人あたりの対応時間が減少しているとのことであります。
ついては、県立病院がそれぞれの二次医療圏での病院間の連携や病院と診療所との連携を促進していく中心的な役割を果たすような取組みを行うべきであります。
最後は、医師確保に向けた取組みについて であります。
両県立病院とも医師を始めとする医療職の定員増が図られているところでありますが、医師については全国的な医師不足の影響もあり、平成19年4月1日現在で中央病院が4名、厚生病院が9名の欠員があり、特に厚生病院では外来診療に支障が生じているところであります。
今後、必要な医師を確保していくためには、まず臨床研修医及び専攻医の確保が重要であり、研修内容の充実など、なお一層の受入れ態勢の整備を図り、魅力ある病院づくりに努めるべきであります。
審査意見は、以上であります。
なお、ただいま申し上げました指摘事項に対する対応状況並びに来年度予算への反映状況については、今後も継続して調査することとしております。
これをもちまして、本委員会の審査結果の報告を終わります。
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