地域の農畜産業の保護を求める意見書
農畜産業は、地域社会を支える重要な産業であるとともに、食料の安定供給や国土の保全など多面的で重要な役割を果たしている。
現在国においては、農畜産物輸出大国であるオーストラリアとの間で日豪EPA・FTAの締結交渉が進められている。両国の生産力格差を考えると、仮にコメ、牛肉、乳製品、小麦、砂糖などわが国にとって重要な品目の関税が撤廃されると、日本農業に壊滅的な打撃を与え、地域経済や雇用にも大きな影響を及ぼすことが懸念される。
また、県内の酪農は、牛乳の減産、乳価の低下、さらに海外の穀物・エネルギー事情による餌の高騰と三重苦の状況にあり、夢を抱いて規模拡大した後継者にとって展望の見えない状況となっている。和牛等肉牛農家にとっても餌の高騰は死活問題である。
さらに、品目横断的経営安定対策等の新農政が今年度から実施されているが、中山間地域が多くある県内では、対象となる麦・大豆の作付けも環境的に厳しく、集落営農の組織化も進んでいない状況であり、耕作放棄地の急速な増加が懸念されている。
このように、農畜産業をめぐる最近の厳しい状況を踏まえ、以下の事項について、格別の配慮を強く求める。
1 WTO、日豪EPA・FTA交渉では、農畜産物の関税撤廃、上限関税などに反対し、地域農畜産業を守ること。
2 畜産・酪農家が安心して生産を継続できるよう、金融対策はもとより、飼料稲等による自給飼料の確保、地産地消による牛乳・牛肉等の消費拡大に政府を挙げて取り組むこと。
3 新経営所得安定対策は、中山間地域など農村の実態からかけ離れており、集落営農の条件の弾力化、中小農家支援など地域農業の確立策を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成 年 月 日
鳥取県議会
内閣総理大臣
外務大臣
農林水産大臣 様
経済産業大臣
衆議院議長
参議院議長