昨年7月に成立したいわゆる医療保険改革関連法によって、同年10月には、高齢者の医療費自己負担が定率負担のみに改められるとともに、自己負担限度額も大幅に引き上げられた。さらに、本年4月には、給与所得者本人の医療費自己負担の割合が、2割から3割に引き上げられることになっている。これらの措置は、医療皆保険制度の存続を図るうえで、必要な改革であると考えられる。
しかしながら、現下の我が国経済は、長引く景気の低迷の下、リストラや賃金カットが相次ぐなど、非常に厳しい雇用環境にある。このような状況の中で、給与所得者の負担を引き上げれば、その生活を一層圧迫することになり、消費の減退による景気の冷え込みや、受診の手控えによる健康の悪化を生じさせることが懸念される。
一方、政府管掌健康保険の財政状況は、診療報酬の引き下げや老人医療制度の見直しによって、大幅に改善するとの試算もあり、直ちに医療費自己負担割合を引き上げる必要性は薄れている。
よって、政府におかれては、国民の生命、健康を守るとともに、景気の回復を図るため、下記の措置を講じられるよう強く要望する。
記
1 給与所得者本人の医療費3割自己負担については、当面の間、実施を延期す
ること。
2 高齢者の医療費自己負担の軽減を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
内閣総理大臣 |
様 |
厚生労働大臣 |
衆議院議長 |
参議院議長 |