WTO農業交渉等に関する意見書

 21世紀の農産物貿易ルールを決めるWTO農業交渉は、本年3月の交渉の大枠(モダリティ)確立は断念されたところであるが、引き続き関係国の協議が進められることになっている。しかし、アメリカやケアンズ諸国は、食料安全保障や農業の多面的機能といった非貿易的関心事項への配慮に欠けた、関税の大幅・一律削減、ミニマムアクセスの一律拡大等を主張しており、このWTO農業交渉の結果によっては、我が国の農業は、輸入農産物の急増と市場価格の低迷によって、壊滅的な打撃を受けることが危惧されている。
また、中国の通貨である人民元は、経済の基礎的条件を反映しない安すぎる水準に固定されているため、中国産の農産物の価格競争力を高める要因となっており、その結果、我が国の農業に深刻な影響を与えている。
よって、政府におかれては、中国に対して人民元の切り上げを求めるとともに、多様な農業の共存を基本的な目標とする「日本提案」の実現を図るため、下記の事項について毅然とした態度で交渉に臨まれるよう強く要望する。

1 関税の引き下げについては、品目ごとの柔軟性が確保できるウルグアイ・ラウンド方式によること。また、米の輸入については、アクセス数量を見直すとともに、国家貿易体制を堅持すること。
2 農産物の特性に応じ、機動的、効果的にセーフガードを発動できるようにする一方で、輸出補助金の削減や輸出信用、輸出制限等に対する規律の強化を行うこと。
3 食料不足の緊急事態に対応するため、食料の備蓄システムを確立すること。
4 自由貿易協定(FTA)についても、我が国の食料安全保障や農林水産業に悪影響を与えないよう配慮すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

平成15年6月25日
鳥取県議会

内閣総理大臣
外務大臣
財務大臣
農林水産大臣

Copyright(C) 2006~ 鳥取県(Tottori Prefectural Government) All Rights Reserved. 法人番号 7000020310000