内閣府は、平成23年9月の「月例経済報告」で、最近の経済動向について次のように報告している。
(総論)
景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるものの、持ち直している。
・生産は、サプライチェーンの立て直しにより、持ち直している。輸出は、持ち直しの動きがみられる。
・企業収益は、減少している。設備投資は、下げ止まりつつある。
・企業の業況判断は、東日本大震災の影響により厳しさが残るなど、慎重さがみられる。
・雇用情勢は、東日本大震災の影響により、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられ、依然として厳しい。
・個人消費は、持ち直しの動きがみられる。
・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。
先行きについては、サプライチェーンの立て直しや各種の政策効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。ただし、電力供給の制約や原子力災害の影響に加え、回復力の弱まっている海外景気が下振れた場合や為替レート・株価の変動等によっては、景気が下振れするリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。
政府は、震災からの復興に全力で取り組むとともに、急速な円高の進行等による景気下振れリスクや産業空洞化のリスクに対応し、また、円高メリットを最大限活用するため、円高への総合的対応策の取りまとめ及び平成23年度第3次補正予算の編成を早急に行う。
海外の金融政策や金融情勢が国際的な金融資本市場に及ぼす影響を注視しつつ、日本銀行に対しては、政府との緊密な情報交換・連携の下、適切かつ果断な金融政策運営によって経済を下支えするよう期待する。
(各論)
○消費・投資などの需要動向
個人消費は、持ち直しの動きがみられる。消費者マインドは、低水準ながらこのところ持ち直している。実質雇用者所得は、おおむね横ばいとなっている。設備投資は、下げ止まりつつある。住宅建設は、持ち直しの動きがみられる。公共投資は、総じて低調に推移している。輸出は、持ち直しの動きがみられる。輸入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支は、赤字傾向で推移している。
○企業活動と雇用情勢
鉱工業生産は、海外経済の回復が弱まっていることにより、一部に弱い動きがみられるものの、サプライチェーンの立て直しにより、持ち直している。生産の先行きについては、サプライチェーンの立て直しに伴い、持ち直し傾向が続くものと期待されるが、海外景気の下振れリスクや電力供給制約等に留意する必要がある。企業収益は、減少している。企業の業況判断は、東日本大震災の影響による厳しさが残るなど、慎重さがみられる。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。雇用情勢は、東日本大震災の影響により、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられ、依然として厳しい。
○物価と金融情勢
国内企業物価は、横ばいとなっている。消費者物価は、前月比では横ばいとなっているが、前年比では下落が続いている。株価(日経平均株価)は、8,900円台から8,600円台まで下落した後、9,000円台まで上昇した。その後、8,500円台まで下落した後、8,600円台で推移している。対米ドル円レートは、76円台から77円台まで円安方向で推移した後、76円台まで円高方向で推移している。
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需要面の個人消費では、大型小売店販売額(7月)が、全店舗計で前年を下回り、店舗調整後(新規店舗を除く)でも前年を下回った。ホームセンター・家電量販店販売額(7月)は前年を上回ったが、乗用車新車新規登録台数(8月)は前年を下回った。
建設等では、新設住宅着工戸数(8月)は前年を上回ったが、用途別着工建築物工事金額(8月)及び公共工事請負金額(8月)は前年を下回った。
産業面では、鉱工業生産指数(7月、季節調整済)が96.8で前月比6.0%上昇した。なお、大口需要電力実績(7月)は、鉱工業用の大口需用電力主要4区分でみると、鉄鋼及びその他の製造の区分で前年を上回ったが、それ以外の区分では下回った。
雇用面では、新規求人倍率(8月)は、1.14倍(前月差0.13ポイント上昇、前年同月差0.04ポイント上昇)であった。有効求人倍率(8月)は、0.68倍(前月差0.03ポイント上昇、前年同月差0.03ポイント上昇)と、2か月続いて0.6倍台となった。
きまって支給する給与(7月)は前年を上回ったが、所定外労働時間(7月)は下回った。
○需要面の動き
【個人消費】
大型小売店販売額(7月)は、全店舗計では54億900万円となり、前年同月比0.3%減と5か月続いて前年を下回り、店舗調整後でも前年同月比0.3%減(全国は前年同月比0.8%増)と前年を下回った。なお、全店舗計の内訳では、百貨店が17億2,400万円(前年同月比3.1%減)、スーパーが36億8,400万円(前年同月比1.1%増)であった。
ホームセンター・家電量販店販売額(7月)は42億9,300万円(前年同月比5.5%増)と3か月続いて前年を上回った。内訳ではホームセンターが20億3,500万円(前年同月比1.8%減)、家電量販店販売額が22億5,800万円(前年同月比11.7%増)であった。
乗用車新車新規登録台数(8月)は1,326台(前年同月比29.3%減)と12か月続いて前年を下回った。内訳では、普通車、小型車及び軽自動車の全ての区分で前年を下回った。
【住宅建設】
新設住宅着工戸数(8月)は181戸(前年同月比1.7%増)と2か月ぶりに前年を上回った。内訳では、持家系(前年同月比39.4%増)は前年を上回ったが、貸家系(前年同月比51.4%減)は前年を下回った。
【設備投資】
用途別着工建築物工事金額(8月)は11億2,700万円(前年同月比45.2%減)と前年を下回った。用途別では、医療,福祉(前年同月比7.8%減)等で前年を下回り、卸売業,小売業(前年同月比709.9%増)等で前年を上回った。
【公共工事】
公共工事請負金額(8月)は67億4,300万円(前年同月比21.5%減)と前年を下回った。発注者別内訳では、国(前年同月比55.1%減)、県(前年同月比25.9%減)は前年を下回ったが、市町村(前年同月比29.7%増)は前年を上回った。
○産業面の動き
【産業活動】
鉱工業指数(7月)は生産指数(季節調整済)が96.8となり前月比は6.0%上昇と2か月連続の上昇となったが、原指数は98.3となり前年同月比では7.8%低下と6か月連続の低下となった。
内訳を前月比で見ると、食料品・たばこが7.9%低下となり3か月ぶりの低下、電子部品・デバイスが5.8%の低下となり2か月連続の低下、電気機械が5.8%の低下となり2か月ぶりの低下、一般機械が10.8%上昇となり3か月ぶりの上昇となった。
在庫指数(季節調整済)は79.8と前月比2.0%低下した。
【電力】
大口需要電力実績(7月)は128,930千kWh(前年同月比10.8%減)と2か月連続して前年を下回った。鉱工業用の大口需用電力を主要4区分でみると、鉄鋼及びその他の製造の区分で前年を上回ったが、それ以外の区分では前年を下回った。
【青果物卸売量】
鳥取市場の青果物卸売量(8月)は野菜が1,322t(前年同月比0.2%増)と3か月ぶりに前年を上回り、果実は934t(前年同月比3.0%増)と4か月ぶりに前年を上回った。
鳥取市場の青果物販売量(8月)のうち鳥取県産の卸売量は野菜が473tで市場全体に占める割合は35.8%(前年同月差2.0ポイント上昇)、果実は463tで市場全体に占める割合は49.6%(前年同月差8.4ポイント上昇)であった。
【漁獲量】
境港の漁獲量(8月)は5,981t(前年同月比7.5%減)と前年を下回った。
○雇用・金融面の動き
【雇用】
新規求人倍率(8月)は1.14倍(前月差0.13ポイント上昇、前年同月差0.04ポイント上昇)であった。なお、新規求人数(8月)は4,026人で前年同月比10.1%の増であった。
有効求人倍率(8月)は0.68倍(前月差0.03ポイント上昇、前年同月差0.03ポイント上昇)となっており、2か月続けて0.6倍台となった。
【賃金】
現金給与総額(7月)は348,030円(前年同月比1.6%減)と2か月ぶりに前年を下回った。そのうち、きまって支給する給与(7月)は、242,918円(前年同月比0.2%増)で3か月続いて前年を上回った。
【労働時間】
所定外労働時間(7月)は7.7時間(前年同月比3.7%減)と2か月続いて前年を下回った。製造業も前年同月比3.7%減と3か月連続して前年を下回った。
【預金・貸出金残高】
預金残高(7月末)は2兆956億円(前年同月比3.8%増)と31か月続いて前年を上回り、貸出金残高(7月末)は1兆1,309億円(前年同月比1.3%減)と5か月続いて前年を下回った。
○参考
・ 鳥取県景気動向指数(7月)は先行指数が5月31.3、6月37.5、7月25.0、一致指数が5月0.0、6月37.5、7月37.5、遅行指数が5月33.3、6月33.3、7月40.0となった。
・ 企業倒産(8月)は件数が5件で前年に比べて4件増加し、負債総額は7億5,600万円で前年に比べて6億5,600万円増加した。
・ 消費者物価指数(8月:鳥取市、総合、平成17年=100)は100.0(前月比0.1%低下、前年同月比0.3%上昇)となった。
・ 鳥取県の推計人口(9月1日現在)584,733人で、前月と比べて24人(0.00%)減少し、前年同月と比べて3,246人(0.55%)減少した。
・ 鳥取県の企業経営者の見通し(主要300事業所、年4回調査)を平成23年8月調査でみると、平成23年7~9月期は景気判断BSIがプラス5となり、平成23年4~6月期に比べて40ポイント改善している。