中国地方が活気に満ち、自立的に発展するためには、地域の暮らしや社会・経済活動を支える道路、河川、港湾、農業基盤などの各種社会資本が適切に整備され、その機能を十分発揮できる状態にあることが必要不可欠である。
しかしながら、高速道路については、今なお「空白地帯」が存在し、こうした地域は、企業誘致、観光振興、地場産品の市場拡大など、産業の振興を図る上で、大きなハンディキャップを負っている。
さらには、生活道路の整備や、治山・治水対策等による安全・安心の確保、農林水産物の安定供給等のための生産基盤の整備など、本来地域ごとに一定水準を確保すべき社会資本の整備状況には、大都市と地方で歴然たる格差がある。
また、地方航空路線についても、最近の景気後退の影響もあって、減便・撤退が各地で発生し、深刻な問題となっている。
このような状況の中、必要な社会資本の着実かつ効率的な整備や交通機能の充実を進めるため、次の事項について強く要請する。
1 地方の社会資本整備に必要な予算の確保
(1)社会資本整備は、国・地方がそれぞれの役割に応じて計画的に進められるよう、必要な社会資本整備予算の総額を十分確保すること。
(2)予算配分においては、社会資本整備の遅れた地域や財政力の弱い自治体に配慮すること。
2 高速道路ネットワークの整備促進
(1)高速道路ネットワークについては、地域間格差を是正し、地域主権を確立するためにも、完成目標を明らかにした上で、公平性の観点から、国の責任において早期に完成させること。
(2)特に、日本海側のルートは極めて遅れており、ミッシングリンクの結合のため、山陰道の未着手区間について早期に事業着手し、重点的・計画的に整備を進めること。
(3)北東アジアとのゲートウェイ機能の強化を図る中国横断自
動車道岡山米子線の4車線化、姫路鳥取線、尾道松江線など事業中の高速道路について、事業効果を早期に発現させるため、一層の整備促進を行うこと。
3 総合的な地域交通機能の整備・充実
(1)道路、空港、港湾、鉄道等で構成される総合的な地域交通網は、地域資源の活用による競争力の向上や地方の自立的な発展のために不可欠であり、国民に対し公平な移動を保障するという国家的見地から総合的・体系的に整備を進めること。
(2)特に、航空路線が大都市等とを結ぶ唯一の交通手段となっている地域においては、その公共的な役割を踏まえて、国としても一定の支援を行うこと。
また、地方航空路線の減便・撤退等については、運航会社も含め協議の場を設けるなど、新たな仕組みづくりを行うこと。
4 地方の意見及び地域の実情の社会資本整備への反映
新たな治水対策の検討や高速道路整備のあり方・事業化の検討など、社会資本整備に関する制度・方針の変更や新たな制度の構築等を行おうとする場合には、「国と地方の協議の場」等で十分に協議するなど幅広く地方の声を聴く機会を設け、地方の意見や実情を十分反映すること。
平成22年5月31日
中国地方知事会
鳥取県知事 平井 伸治
島根県知事 溝口 善兵衛
岡山県知事 石井 正弘
広島県知事 湯﨑 英彦
山口県知事 二井 関成