先般国土交通省より公表された高速道路等の新たな料金制度は、近距離を走行する場合を中心に、ほとんどの利用者の料金が割高となり、特に本州四国連絡高速道路については、他の高速道路と比較して割高な上限料金が設定されており、平成21年3月以降の割引により現れている地域活性化の効果が失われることが危惧されている。
一方、昨年3月以降の大幅な料金引下げは、フェリーをはじめ、鉄道、バス等の公共交通機関の事業継続に深刻な影響を与えており、さらに、高速道路等の渋滞の慢性化や、公共交通機関からマイカーへのシフトによる二酸化炭素排出量の増加等も懸念されている。
新たな料金制度については、高速道路等の料金設定は国策であるとの認識の下、地方の意見を十分に踏まえ、特に影響が深刻なフェリー事業者等への支援を含め、国の主体的な責任において、次の事項に対し特段の配慮がなされるよう強く要請する。
1 高速道路等の新たな料金割引の見直し
本州四国連絡高速道路を含む高速道路等の新たな料金割引制度の試行にあたっては、昨年3月以降の料金引下げによる地域活性化の効果を継続するためにも、関係自治体の意見を十分に踏まえ、中国・四国をはじめとする高速道路等を活用した地域間交流の促進の妨げとならぬよう、また、地域住民の暮らしや経済活動を支える総合的な地域交通網が将来にわたりバランスよく維持確保できるよう、料金制度の見直しを行うこと。
2 高速道路等の料金の適切な検討
今後の高速道路等の新たな料金制度の試行及び高速道路の段階的無料化に向けた社会実験の実施においては、地域活性化等の効果のみならず、公共交通機関や環境への影響などについて適確に調査・検証するとともに、その結果を平成23年度以降の見直しに反映させること。
3 公共交通機関への支援
フェリーをはじめ、鉄道、バス等の公共交通機関への影響は、高速道路等の料金設定という国策によって生じているものであり、地方に負担を求めることなく、国の主体的な責任において、事業継続が可能となる支援措置を講じること。
平成22年5月31日
中国地方知事会
鳥取県知事 平井 伸治
島根県知事 溝口 善兵衛
岡山県知事 石井 正弘
広島県知事 湯﨑 英彦
山口県知事 二井 関成