知事定例記者会見(2023年11月22日)

令和5年11月22日(水)午前10時~
 県政記者室(本庁舎3階)

(報告事項)


(質疑事項)

  

●知事

 

 画面は用意をさせていただきますけれども、これからいよいよ11月の県議会が開始をされます。今、国会のほうで経済対策の議論、予算審議が予算委員会で始まっているところでございます。我々、地方団体の要請もかなり入れていただいた格好での審議だというふうに期待をいたしておりまして、ぜひ、そうしたことを取り込むような予算をこれからの12月の県議会のほうに提出をさせていただきたいと思っております。

 

 この議会に併せまして、今、いろんな社会問題が起こっております。本県、実は特殊なアプローチ(手法)をしていることがございまして、それは、危険ドラッグのときにさせていただいたことなんですが、我々の薬物関連条例については、当時、かなり踏み出した規定をさせていただきました。現在、世上、大麻グミというものが販売をされているということでありまして、これを非常に憂慮していますし、これ、明らかに私どもの条例に違反をするというふうに考えております。

 

 事情はこういうことなんですけども、これはテトラヒドロカンナビノールという大麻の成分の分子構造ですね。これとここのところにちょっとしっぽが伸びる、これによってテトラヒドロカンナビノールという、そういうTHCHというものになります。それにここのところの分子構造、この腕が2本が腕が1本になっている、これはヘキサヒドロカンナビヘキソールという、HHCHという、最近、急に有名になってきたものでありまして、これを厚[生]労[働]省のほうも今、指定しようということで今日も動きがあるだろうと思われます。

 

 御覧いただきますと、分子構造はほぼ一緒なんですよね。それで、ここがちょっと炭素の関係でしっぽが伸びる、それでこれがここにヘキソールという形でこう伸びてくる、それと今回のものはさらにTHCHというものからこの腕が2本が腕1本構造になったということでありまして、それで、本質的には同じような興奮、幻覚、陶酔など人の精神に及ぼし、また、健康被害を生じるということはあると。それで、これ、皆分かってきたんですよね。それで、今、東京[都]であるとか、そのほかの地方でもそうしたものがこのHHCHが含まれていた場合に健康被害を起こすということになっているわけです。ただ、危険ドラッグのとき、最初、脱法ドラッグというふうに呼ばれていました。それで、今回も同じいたちごっこをやっているとしか思えないところがあります。若干こう、分子構造が変わったもの、それで、その原料を外国から輸入したその手続が適正だからこれは売ってもいいんだなんていうのはばかげた話で、決して社会的に許すべきものではないと思います。

 

 それ、当時も同じようなことでありまして、あのときは中国で実は製造されていたものが輸入されていたということがありますが、ちょっと作り方を変えるだけで恐らく製造過程のブレでいろんな分子構造が出来上がって、これを次から次へと何とかこう調べては指定しようとするわけであります。その頃にはまた別のものが出回る。こんなことになったわけです。

 

 それで、本県はこういうことをしたんですが、平成26年に、まず電子アンケートを取らせていただきました。そうした結果、94.6%の回答者の方が危険ドラッグに罰則を科すべきだということが出ました。それで、これを我々、民意として考えまして、成分の特定がなくても大麻、覚醒剤、麻薬等と同等に興奮、幻覚、陶酔等の作用を人の精神に及ぼし、健康被害が生じるおそれがあるもの、人が摂取し、吸入するおそれがあるもの、こういうようなものを危険薬物というふうに条例の危険薬物定義を改正しまして、これを拡大したんですね。

 

 それで、当時、こういうものは厚[生]労[働]省さんは、何か罪刑法定主義に違反するみたいなことを国会で答弁していました。そんなことはないだろうと、それで、実は同じ記者会見でも過去のものを調べていただいたらお分かりいただける、同じ議論を実は我々はやっていまして、それで、いや、じゃあ、そうだったら、刑法どうなるんですかと、それで、刑法の中に飲料水への毒物混入罪というのがあります。それで、この毒物というものは毒物としか書いていなくて、化学式書いてないんですよね。当たり前です。それで、例えば刀で人を殺める、殺人ということがある。それで、殺人って、じゃあ、全部、どんな殺人があるかっていうのを、形態を、例えばひき殺すだとか、刀で刺すだとか、あるいは毒殺をする、いろんな手段があるでしょうけども、別に定義が書いてあるわけじゃないですよね。

 

 じゃあ、どうしてそれがまかり通るかというと、それは裁判所で解釈をするわけです。果たしてこれがそういうものに当たるかどうかというのを法と良心に基づいてそれを敵を解釈していくと。だから、常識的な範囲で実は世の中の社会的ルールというのはできているわけでありまして、化学式が全部見つからないから取り締まれないというものではないわけですね。じゃあ、例えばものすごい厄介な毒物を実は精製していると、それで、そういうものを与えたところで、その化学式がどうあれ、殺人罪になる、傷害罪になるということになり得るわけです。

 

 それで、典型的なのは、非常に近いのは飲料水への毒物混入罪でありまして、これは毒物としか書いていないですが、これは例えば、こういうものはこの毒物に当たりますよというのを過去、大審院とか、そうした裁判所が古い判例からも含めまして、実はそういう判例の積み重ねがあるわけです。それで、毒物といったらあのことだってみんな思うものが毒物、それで、それを客観的に、例えば精神作用にどういうふうに及ぼすかなど、それは実証していけばいいわけであります。それ、裁判の過程でやればいい話であります。ですから、こういうふうに書いてしまえというようにやったのが私どもであります。現にどうなったかと言いますと、この後、本県に対してインターネットも含めて販売は止まりました。業者も捕まると思ったからやめたわけです。それで、今回も同じようなことを言っています。これは、また禁止されれば別のものを作って売ればいいと、そう言わんばかりのことが報道を通じてたれ流されている状況というのは、やはり規範意識に欠けるところがあると思うんです。やはりこういうものを私どもではこういうふうに、この大麻、例えばこの大麻成分ですね、テトラヒドロカンナビノールと同じような効果を、健康被害等や精神作用を及ぼすものであって、これを例えばグミだとか、そうした形で摂取することができる危険薬物、ぴったり当たるわけです。だから、私たちは毅然としてこれ適用していきます。

 

 したがいまして、これから、こちらのほうに相談窓口もありますし、設けさせていただきたいと思いますし、条例違反となり得る業者に対しましては直ちに通知をさせていただきます。今後、警告、あるいは命令、そうした手続も躊躇なく今後させていただきます。罰則も適用されます。したがいまして、本県におきましては、大麻グミは条例違反です。売る人も条例違反です。このことを今後、しっかりと徹底してやるようにちょっと担当部局のほうに厳しく、今、申し渡しをさせていただきました。我々もその条例をつくって県民の健康や命を守るためにやる立場でありますので、しっかりとこの条例を執行してまいりたいと思います。

 

 それで、こういうようなお話をして、直感的にお分かりいただけるかと思うんですが、またちょっと変えればいいという話は本県には通用しません。それは精神に対する作用、それから健康被害、これが大麻類似のものかどうかということで、それで判定します。したがいまして、その化学式がどうだ、分子記号がどうだということは我々には関係ない。そういうことで適用しますので、残念ながら鳥取県に販売することはできません。このことをしっかりと申し上げていきたいと思います。

 

 それで、国も実は本県がこれやりましたら、当時、実は罪刑法定主義だとかおっしゃってたんですけども、実はあちらも薬機法[医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律]というものを改正されまして、その後。それで、検査命令をかけて、怪しいと思ったときに検査命令をかける。それで、その検査命令をかけるときに販売禁止命令もかける。それで、後に、それが、検査結果が出てきたら指定薬物にするっていうような手続を国も定めました。これは評価しているんですけども、ただ、そうであれば、もっと向こうが売り始めたときに、すぐに検査命令をかけて、すぐにまた販売停止命令をかけるというようなことをしないと、実は意味がないわけですよね。それで、結局、今、何となく元に戻っちゃいまして、また今、議論がこの分子記号の話に行ってしまっていると。それで分子構造をまず特定をすることがないと取り締まれないんです、みたいなことで、今、どんどん大麻グミが売られ続けて、それで、それが末端の販売店にまで行っているということであります。

 

 本県では今、これを販売している店舗は確認しておりません。ですから、インターネットで今、売っているところがあればそれに対しては条例違反だと、直ちに通知をさせていただきます。

 それから、先ほど申し上げました11月の補正予算、総額379億[円]規模になります。これは来週の県議会のほうに提出をさせていただきますが、そのうち31億円の一部につきましては、議会側に先議を行っていただくように、今、私どもも議会運営委員会を開いていただいていますが、先議を行っていただくようにお願いをして、できるだけ早く経済対策の効果を出すものを成立していただければと思っております。

 それで、そのほかにも、産業・雇用を支えるとか、あるいは今回の災害関連事業や、交通ネットワーク等々ですね、そうした事業で313億円の経済対策といたします。それで、それから台風7号からの創造的復興にも10億円を用意をさせていただきまして、これちょっと前回申し上げましたけれども、例えば、バイパスとかですね、そうしたことなどをやると。それであと、それに加えまして、ほかにも56億円、活力と安心のふるさとづくりとして、様々な各種事業を計上させていただきたいと思っております。1つは、今、若手の[とっとり未来創造]タスクフォースで議論をしてもらったものを初めて予算化しようというものでありますが、県民の皆様に参加して公開するようなラジオ番組だとか、企業・団体による交流事業など、まずは計上させていただきました。まずは、当初予算に向けて、これから、例えば移住定住促進や少子化対策等を考えていきたいと思います。

 それからねんりんピック、いよいよもう1年後ということになりますが、これに向けた様々なイベントや、あるいはプレ大会。それから各種団体と連携した事業など500万円を計上させていただき、とっとり子ども救急ダイヤル、これを24時間体制でやっていきますよというものを、これ4月から適用するための予算計上をさせていただきたいと思います。これ小児医療費無償化に伴いまして、市町村と議論していますが、4月から無償化するに当たりまして、小児科のお医者さんが過剰な負担にならないようにということで、まずはこういう小児救急ダイヤルに電話していただいて、このことはもう家のお薬で治りますよとか、ちょっと安静にしていれば大丈夫ですよ、そうしたようなアドバイスをしていただけるようにしようという趣旨であります。


 それとあともう1つが最近ライド・シェア(一般のドライバーが自家用車を使い有料で人を運ぶサービス)ということが言われます。それで、これは、議論は非常によく分かるんですが、ちょっと地方には向いてない部分が多々あるかなと思っております。典型的なライド・シェアというのはアメリカ[合衆国]でやられるようなものでありまして、住民の皆さんとかが、言わば白タク(国の許可なくタクシー事業を行う違法行為)という言葉もありますが、そういうことで、[第]二種[運転]免許(主に旅客運送業を行う際に必要な免許)など持たなくても、そういうウーバー(アメリカ発祥の配車サービス)とかで配車をして、それでお乗せをすると。それによってタクシー交通を補っていくという発想なんですけれども、私ども地方部のほうで、それはそれで分かるわけではありますが、そもそも実は今、何が起きているかというと、例えば南部町さんなんかはタクシーの営業所閉めちゃったとか、それで、実はタクシー業者を存続していただかないといけないわけですね。それで、本来のその運送業自体が今、失われてしまっては政策として元も子もないわけです。

 

 ですから、どちらかというとそういうバスやタクシー、ハイヤー、そうした事業者と協調をしながら足らざる交通というものをコミュニティみんなで支えていくと、それで、そういう言わばコミュニティ・ドライブ・シェア、鳥取型のライド・シェアでありますけども、コミュニティ・ドライブ・シェアというようなものを、これを導入推進してはどうだろうかと、それで、ぜひ政府もこういう地方の実情に即したライド・シェアのステレオタイプ(先入観、固定観念)に固執されるのではなくて、本当に地方で根付いて、それで、地域の今、中山間地を中心に交通の足が失われかけていると、それで、それを何とか地域で頑張ろうというものを応援するような仕組みをぜひ政府のほうでも考えていただきたいと、これは財政支援だとか、自家用有償旅客運送(主に過疎地などで自治体・NPO等が行う、自家用車を用いた有償の運送サービス)、こういう規制を緩和するとかして、それで、そういうようなことをぜひ政府には求めていきたいと思いますが、取り急ぎ本県としてもそういう、いわゆるライド・シェアとは目標は一緒ですけども、実際にプラクティカル(実用的)なドライブ・シェアというものを考えてみてはどうかということであります。

 

 例えばまず1つの、いろいろなカテゴリーのものあり得ると思うんですけども、バス・タクシー事業者と住民ドライバーとが協力をしまして、それで、いろんなシステムを遠隔で動かす、ここに例えば運送のプロが関わっていただく、例えば飲酒運転を防止するためにやはりこの自家用の有償旅客運送するに当たってもそういうアルコールチェックをしなきゃいけないと。それで、こういうものを例えば遠隔で行いながら家からですね、そうした配車ができるようにしていただく、そんなようなことのサービスですとか、あるいはAIを使ったオンデマンド配車(利用者の予約によって運行する乗り合いの運送サービス)であるとか、いろんなことがあると思います。こういうような形で既存の事業者と地域が協力するような協働型というのが考えられるんではないか。また、タクシー事業者が撤退したエリアで、もうしょうがないんで住民がやりましょうというのは当然あるでしょうし、それから観光宿泊事業者などが送迎車両を出しています。例えば福祉車両も介護のデイサービスの利用者のために町なか、あるいは中山間地回っているわけですね。それで、そういうところのこの車両の動きを何とか空席を有効活用するというようなこともあり得るんではないだろうか、また、市町村が率先してこういう交通体系を構築をすると、これはもちろん既存のタクシーとかバス事業者と連携しながらということも含まれると思います。

 

 また、バスやタクシーの事業者御自身でバスドライバーを確保していただくお手伝いをして、何とか必要な交通量というものを提供していただこうと、こんなような幾つかのパターンがあると思いますが、こういうものをいろいろと組み合わせながらコミュニティ・ドライブ・シェアという発想で鳥取県は鳥取型のライド・シェアを組んでいきたいと思っております。

 

 それで、こういうものは実は今、ライド・シェアというのを多分考えられて、それ国もこれから振興策をつくられるんじゃないかと思うんですが、ぜひそこに、こういう地方が望むようなタクシー・ハイヤー業界などと共存できるような、そういうタイプのライド・シェアを考えていただくように政府に対しても要望を強めてまいりたいと思います。それで、これについては同じような考えで共鳴するほかの自治体もございまして、そういうとこと連携も今後は模索してまいりたいと思っております。


 それから香港の事業者によりまして[鳥取]県章が類似のものが使われたというものであります。それで、これと、これとよく似ているわけでありまして、ここに若干鳥取と[文字が]入っていたりですね、社名が入ったりします。それで、こういうようなものが使われて、そこで鳥取[県]の商品も実は扱われている面もないわけではないんですが、実は全然関係なく全国のものを割と扱っているというケースがありました。それで、これについては香港の見本市(企業同士が商品・製品を展示して商談や売買を行う場)、8月にございましたときに、これ、こういうものを使っているのがあるよっていうようなことを我々も情報を得まして、それで、現地でその対応に当たっている[鳥取県]産業振興機構を通じて、こうした事実については確認をさせていただきました。

 それで、どういう対策が取り得るのかということを私どものほうで、中で検討させていただいているんですけれども、いろいろとちょっと表にあんまり早く出すと全部抜けてしまうということがありまして、現状申しますと11月の8日にこの県章について商標としての[登録]出願を中国政府、香港当局に対して行っております。これは日本のそうした無体財産権を扱っている方、こういうパイプを通じまして、両現地政府のほうで11月8日に受理をしていただいています。

 それで、その際に本県が非常に守らなきゃならないと考えられるような、こういう、例えば牛肉など、それからカニだとか魚介類、また、お菓子や、あるいは梨など、こういうようなものいろいろとございまして、それで、そうしたものの、45[分類]くらいあるんですけども、そのうちの5分類について出願という手続をさせていただいております。それで、これが今後先方の現地政府のほうで認証されるかどうかっていう、今、手続き段階でありますが、私どもとしては片方でこういう権利保全をやっていく必要があるだろうという行動を起こしております。

 あと、この当該事業者に対しまして使用中止を求める、あるいは適正な営業活動にしていただく、こういうことを今、手続中でございます。最終的には訴訟等も視野に入れながら、毅然として対応しようという方針でやっているところであります。それで今日、こうしたブランドを保護したり、さらにその値打ちをしっかり高めていくようなタスクフォース(緊急・重要な案件に対応するため一時的に構成される内部組織)を庁内で設置をさせていただき、この具体の案件を当然扱わせていただきますが、ただ、同じようなことはほかの場面でも起こり得ると思いますし、私どもが守らなければならない、例えば画像イメージだとか、そういうものもあるかもしれません。それでここちょっと今、よく中で議論をもう一度させていただきまして、今後の権利保全に役立ててまいりたいと考えております。


 それから、シン・子育て王国とっとり計画を今、策定中でございます。これから[県]議会[11月定例会]が始まりますが、そういうところで経過報告をさせていただいたり、それから国が今、岸田政権の肝いりで[こども]未来戦略とか[こども]大綱をつくられることになります。それから、本県としても住民の皆様や関係団体の御意見を聞いたり、子育て王国とっとり会議という住民主体の会議がございますので、こうしたところにお諮りをさせていただくなどしまして、今年度中に詳細計画をつくっていこうと思っております。

 

 子どものライフステージに応じた切れ目ない支援を行うとか、あるいは子育て当事者の皆さんを応援をするとか、また、特に支援が必要な子どもたちですね、障がいのある子ども、あるいは虐待の問題、例えば虐待の問題等であれば、例えば児[童]相[談所]をはじめとして、そうした一連の組織や対応がありますけども、そういうことと併せて、審議会などそうした、それをコントロールすべき有識者の組織などもあります。そういう有識者組織の在り方なども含めて、今後ちょっと年度末に向けましてよく議論もし、実行ある対策にしていきたいと思っております。

 

 それからずっと統計的な集計作業しておりましたが、令和5年度の上半期、今年4月~9月までの移住者数が、数字が整いました。合計で1,002人、これは私どもとしてこの統計始めて、初めて1,000人を超えました。その背景にありますのは、いろいろと[新型]コロナということもあったりして、こういう地方暮らしに対する光が当たったのかなと。それからこうした子育て政策はやっぱり支持されてるんだろうと思うんですね。現に20代、30代が移住の中心であります。今後も「とっとりdiary」とか、あるいはメタバース空間(インターネット上に構成された仮想空間)の活用など進めていきたいと思いますし、先般は東京[都]のほうの若手の県出身者の集まりと我々ちょっと交流をさせていただきましたけれども、ぜひ新年度[令和6年度]予算も含めて、そうした若い東京での在住者の方と強調した事業展開なども考えていきたいと思っております。


 それから、いよいよ積雪の季節になってまいります。今週の後半は寒波といいますか、寒気がやってきます。それでかなり等圧線が混んできます。そういう意味で風だとか雪の心配があり、特にこの週末は、山間部の積雪には御注意いただく必要があるのかなというのが今の予報でございます。それで、今年は若干暖冬傾向という長期予報もありますけれども、ただ、こうした交通途絶などにつながらないように体制を整えようということでありまして、例えば除雪機械につきましては375台だったものを512台まで増やしたり、GPS(Global Positioning System:人工衛星を利用して現在位置を測定するシステム)の搭載を行ってきております。

 

 また、重点除雪区間、これを設定をし、除雪基準を[積雪]5センチメート以上というところに引き下げて、早めに出動させるようにし、テレビカメラ(道路状況のライブカメラ)につきましても、100台ほど増やして255台ということになっております。それから、関係機関と一緒になりまして、いろんな広報活動もしていきたいと思います。冬期の対策会議も経て、鳥取[自動車]道の通行止めを行った場合、県道志戸坂トンネルも通行止めとして、それで迂回をしていくと。国道53号の[智頭町]智頭宿の交差点で迂回をして誘導をしていく。それで、岡山[県]側のほうでも流入車両というものを抑えていただく、こうしたことなどを国やNEXCO等関係機関、それから他県とも連携をしながら対策を取っていくことといたしております。

 

 それからインフルエンザとか新型コロナの状況であります。インフルエンザは、ここには減少したと書いてありますが、今直近ではこれまた数字を出しますけれども、3割ほど対前週で増えております。それから、新型コロナにつきましては、対前週で1割ほど89%にまた縮小しております。それで、状況としてはこの下にありますが、新型コロナにつきましては、この下降曲線がまだ続いております。この夏季に大流行した第9波、これが今収まってきていて、ただ、今後どうなるか、これからぜひ予防接種などもしていただいて備えていただきたいと思いますが、冬場にもう1回伸びるということを有識者は心配をしておられます。

 

 それで、インフルエンザにつきましては、これまたもう1回上がっておりまして、それからプール熱(咽頭結膜熱)、これも全国で問題になっていますが、これも本県でも上昇傾向が見られるところであります。また、A群溶結性レンサ球菌咽頭炎、これも発令している警報がございます。このようなことで、感染症につきまして基本的には同じような予防対処法でございますので御留意をいただければと思いますが、大きな流れで言いますと、コロナが収束に向かう代わりに、このインフルエンザが急上昇してきていると。こういうようなことで、あたかもそれぞれが、波を役割分担しながらやってきているかのような状態になってきているということであります。

 

 それから昨日、日光池(鳥取市気高町)で野鳥から[鳥インフルエンザ]H5N1亜型[ウイルス]が観測をされました。これ[鳥取]大学のほうで採取をしていただいた11例の中から1サンプルが陽性だったということであります。それで、同じものは総社や倉敷でも見つかっているなど、この中国地方にも入り込んできているという状態であります。これにつきましては、検査体制、野鳥の監視体制、サーベイランス(監視)を強化をさせていただいたり、また、昨日のうちに10キロメートル圏内の3つの農場のほうを立ち入りさせていただきまして、安全を確認したところでありまして、こうした対応を、ぜひ養鶏場のほうに及ばないように進めていければというふうに思います。今後、必要な訓練もさらに行っていこうというふうに準備をいたしているところであります。


 それから、ネーミングライツ(命名権)について、倉吉未来中心や二十世紀梨記念館、これについて株式会社エースパックさんが優先交渉権者ということになります。この2つ、あそこの1つの複合施設につきましては、これはこうしたネーミングライツ(命名権)は初めて今回チャレンジをさせていただきました。それで、エースパックさんは倉吉で、鳥取倉吉工場とそれから親会社と言いますか、グループの廣川マテリアル、こうしたのがありまして、そして、包装関係などの製造を行っていただいております。もともと、鳥取にルーツのある方の会社ということでございます。

 

 それから、若手の人材をやはり育成していく必要があるだろうと。私も5期目に入るときにいろいろと言われたうちの1つが人材育成。そうしたことで持続可能な鳥取県の成長の柱、ヒューマンリソース(人材)をつくっていく必要があるだろうということをよく御指摘をいただきました。それに対して、今、塾生を募集をしましたところ、13名、今、応募がございまして、このたび開講させていただくことといたしたいと思います。いろいろとオーダーメイド型で研修をやってみたり、それからいろいろとエキスパートの方と意見交換をしたり、それから実践的なそうした活動、そうしたところで能力を磨いていくなどの研修をいろいろと展開をしていってそれで研修、それからその道の達人などと交流したりして意見交換をする、それから若手職員自身が現場に飛び込んでいく、これで課題解決をしていく、こういうような体験をいろいろ通じていただいてコミュニケーション能力を磨く。

 

 やっぱり私も17年ほど知事として担当させていただき、その前にも実は平成11年から鳥取県庁のほうもお世話になっておりますけども、やはり相手の心をつかむということは、やはり全国の役所、あるいは国の役所もそうだと思います。どちらかというと法令に基づいて行動するということを叩き込まれておりまして、間違ったことはしゃべらないとか、危ないことはしゃべらない、それで、相手がわっと言ってきても黙って聞いているぐらいの話、これが何か役人の特徴だと思うんですよね。そうじゃなくてもっと率直にコミュニケーションしたり、相手にも納得していただく必要があることはやっぱり相手に対してちゃんと説得、納得していただく、それも単に一方的な話でなくて、相手の言い分を聞きながらとか、当たり前のことだと思うんですけど、こういうのはやっぱり役所下手だと思います。

 

 そういうようなコミュニケーション力、これ例えばPR、鳥取みたいな小さな自治体が全国にアピールをしていくというのもそうなんですけども、やはり通り一遍の言葉を使ったり、何かどこか広告会社に注文して出てきたものを大事にそこだけを使って、これは職員にとってはいわば免責されるわけですよね。これは私が作ったのではなくて注文先が作りましたって言える、それで、上司にも説明しやすいとかいろいろとあると思うんですけども、そうじゃなくて、やっぱり自分の中からやっぱり言葉っていうのはやっぱり絞り出していくということもあっていいと思います。

 

 その中にはヒットするものもあればヒットしないものもある、その辺のことをやっぱり基本知っていただく必要があるのかなと思います。それから、どうしても前例踏襲主義(ぜんれいとうしゅう:前例をその通りおこなうこと)になったり、それから例えば隣の県はこんなことをやっていますよとか、それから国の指導でこういうふうにやるもんですよが優先してしまって、そこで想像力だとか発想力が失われることになっているんじゃないか、そういう意味で創造性や自ら考える力を習得していただく必要があるのではないか。また、実際に現場や住民の中に出て行っていただくことで、それで住民、現場目線、あるいは人間力の向上などを目指していくと。だから、従来とは違った役所人間、脱役所主義、これをぜひこの人財育成塾の中で展開できればなというふうに考えております。


 それから、最近の産業関係でありますが、とっとりクリエイターズ・ビレッジというものを境港のほうで設置をさせていただこうと、それで、これ、実は発想としては鳥取版トキワ荘であります。それで、クリエーターの方が鳥取のほうに来ていただいて、一緒に生活をしたり、それからいろいろと研修をする、触発される機会をつくる、そうやって、そうしたインキュベーター(支援施設)のような形を我々のほうでとって、あたかも漫画家のトキワ荘が果たしたような、そうしたものを鳥取県内でつくってみようと。それで、これに講談社さんが一緒にやってくださるということになりました。それで、講談社さんと連携してこういうとっとりクリエイターズ・ビレッジをこのたび12月の1日から募集をさせていただいて、今年度末に活動開始に持っていこうとしております。

 

 また、宇宙関連ということでは、佐藤精機さんという姫路の会社がSANDBOX TOTTORIのほうにオフィスをつくるということでこのたび話がまとまりました。また、私どもとしても支援をさせていただこうと思っております。

 

 また、[源]吉兆庵さんとは調印式を開催をさせていただき、県内の3拠点目となる新工場を西部のほうにこしらえるということとなりました。これ、ヨーグルトにつきましては分社化をされまして、米子を本社としていただいております。その関連のものを作るということになります。

 

 また、先ほど申し上げました313億円の鳥取県の総合経済対策の予算を作らせていただき、31億円については先行して先議してもらおうと思っていますが、そうした状況などを踏まえてゼロゼロ融資の資金繰りが今、世上課題になっていますので、経済界、金融界と意見交換を1124日にすることにいたしております。


 それから環境関係でございますが、それから八頭町と南部町、それぞれ2つ自然共生サイト、これが国のほうの認定を取ることができました。本県初めてでございます。こういうことをきっかけとしまして、今週末、五箇公一さんというよくテレビに出てこられますけれども、五箇[公一]先生をお招きをしまして、生物多様性フォーラムを開催をすることといたしております。

 

 また、GX(グリーントランスフォーメーション:再生可能エネルギーを社会全体で使うことを目指す取り組み)、これ分かりやすく体験していただこうという趣旨で、同じく週末26日に夢みなとターミナルのほうでこの行事を行いますが、例えばeスポーツですね、太鼓の達人でありますが、これを再生可能エネルギーで電気を供給しながらやってもらうと。みんなそういうような体裁でさせていただくんですが、そうしたいろんなイベントをやりながら、GXというのを体感していただこうというものであります。

 

 それで、ここにEV車(電気自動車)、あるいはPHV(プラグインハイブリッド車:外部電源からの充電が可能なハイブリッド車)で御来場いただいた方等にはマイナポイントをプレゼントをさせていただこうということにいたしております。

 

 また、今月から来月にかけまして、来月開かれますCOP28、これに学生3名を派遣をさせていただくこととなりました。ぜひ、若い伝道師に今後成長していただくことを願いたいと思いますし、その成果につきまして、また、県内に還元していければと思っております。


 それからねんりんピック鳥取大会に向けまして、先ほど500万円の予算を用意をさせていただくと申し上げました。それに併せて、その予算も活用しながらということでありますが、3月にバウムクーヘン(中央に穴が開いた円状のお菓子)、これは年輪のイメージです。それで、年輪が見えるこのバウムクーヘン、これの世界記録を目指してみようじゃないかと。それで参加していただける、御協力いただける方、お子様も大歓迎でありますので、ぜひお寄せをいただきたいというふうに思います。米子高専にも御協力いただくことになっておりますが、これまでもちくわとかそうしたことで世界記録を取られた実績もありまして、先生方や、あるいは学生の皆さんと一緒に、このねんりんピックを目指して世界一の年輪というものを作ってみようじゃないかと、こんなことであります。

 

 それから、今週末、ゲゲゲ忌、水木しげる先生の御命日と合わせるそうした催しを東京のほうでされます。これに本県も参加をさせていただくことといたしておりますし、それから、このたび、映画、鬼太郎誕生が公開をされました。割と早い段階で、結構興行収入もかなりいい状況でございます。実はこれの上映の前のところのコマーシャルタイムで、本県の広告をさせていただいておりますし、また、アプリのほうにも御協力をいただいているところであります。それで、こういう調布のイベントも含めまして、ゲゲゲの鬼太郎のふるさとをアピールさせていただければと思っております。

 

 若干、天気が心配なんですが、この週末ですね、サウナにつきまして、日本サウナ学会の総会が皆生で開かれ、それと併せてサウナフェスを関係者と一緒に挙行させていただきたいと思います。ぜひ、全国の方々、この鳥取のサウナ環境や、あるいはサ飯と言われるような食パラダイスの魅力、そういうものと、あと、雄大な自然を体感していただければと思いますし、県内の方もこの機会にサウナの何たるかというものを、また学会だとか、それからこういうフェスもございまして、ここにいろんな機材が持ち込まれたり、楽しい催しもございますので、また御覧をいただければというふうに思います。私のほうからは以上でございます。

 

 

 

○日本海新聞 松本妙子 記者

 日本海新聞の松本です。鳥取県の県章についてお伺いしたいと思います。知事がこの類似マークを見られたときに思われた御感想とか受け止めと、あと、下のほうでタスクフォースの設置を言われましたけれども、この対象は例えばどういうものを、具体的にどういうものがあったり、あと、対象国ですね、どの地域に申請をされる予定なのかっていうのを現段階で教えていただければと思います。

●知事

 これ非常に我々困惑したというのが、この県章、それから実は名称も含めて困惑したというのが実情であります。それで、いろいろと専門的なお話などその後も大分相談させていただいているんですけども、地名自体になかなかその権利性というのが発生しにくいということもあります。ただ、私も職員に申し上げたんですが、以前台湾で、とっとりという名称で梨を販売をされる、そのときに平仮名だったと思います。とっとりというロゴを作られてやっておられました。それで、これに対しては私どものほうからその使用を控えるように通知をさせていただいて、結果どうなったかというと止まったと思います。

 それで、こういうようなことは過去にも例があって、それで、これ実は各県、非常に悩んでいます。例えばイチゴの問題とか、それぞれのブランド品などもありまして、だから、私ども、どこがどういうふうに使われるか分からないですが、多分台湾のケースは鳥取の梨というのがそこそこマーケット性、マーケットをつかんでいまして、それで、とっとりという名称が当時使われたんじゃないかなと思います。今回さらにちょっと困惑するのは鳥取という名前を使って、別に鳥取のものを売っているわけではないということで、消費者の皆さんに混乱を引き起こすんではないかなということであります。それで、有効な手法を今、探りながら対処しようとしているところでございます。

 それで、今回[鳥取県ブランド保護・向上]タスクフォースをつくりまして、同様のいろんなマークを我々も使ったりしています。それで、この商標というのはある程度権利性ということは要求しやすいもののようでございまして、それで、そういう意味でじゃあ、ただ、全部お金もかかりますから、ですから、どういうもので例えば権利保全する必要があるのかでございます。それで、基本的なターゲット、多分、今、全国の状況を見てもアジア圏内がこうした課題を引き起こす割とターゲットゾーンだと思います。

 今回はこれ中国と香港ということに絞ってまずは権利主張をさせていただくということにいたしましたが、こうしたことなど今後も、実情に応じて展開できるように組織を言わば部局横断でつくっておく必要があるだろうと考えております。まずは、初動としてはどういうようなものが海外も含めて保護されるべきなのか、その辺の今、ちょっと実態の、調べたり、話合いをしたりということから始めたいと思っていますが、今、すぐにはこの香港の問題を中心に動いていただくことになると思っています。

○朝日新聞 大久保直樹 記者

 

 朝日新聞の大久保と申します。知事、先ほどの大麻グミのお話なんですけれども、たしか県の条例で知事指定薬物とか、知事指定候補薬物、だから、そういうことに今、なっているのかっていう確認と、あと、さっき知事言及されましたけれども、結局健康被害が他県ですが、こういうふうに出て、まもなく追加指定、薬機法のほうでもう直近にされると思うんですが、問題点がやはり今の国の仕組みには問題点があると思われるんだけど、知事御自身が今、この仕組み、どの辺りを懸念されたり、改善の予知があるというふうにお考えでしょうか。

 

 

●知事

 

 はい。知事指定薬物というような制度もありますが、実はそれとちょっとまた号を分けまして、条項分けましてこういう類似の健康被害、精神作用を及ぼすものについて、これも包括的にもう薬物として扱うように本県は[鳥取県薬物の濫用の防止に関する]条例改正をしたわけです。したがいまして、そういう手続云々ではなくて、作用をもってということになります。発想は先ほども申しましたが、水道水に毒物を混入する、その毒物と同じように、要はこういうものだということをある程度明確に書いてしまえば、これで例えば裁判所で、罪刑法定主義で違反無効というようなことにならないのではないかと。それで、そこに分子構造まで求めるかのような運用をしていること自体がナンセンスではないかと、それで、こういう発想であります。

 

 したがいまして、これは指定とはちょっと別のカテゴリーでさせていただいているものであります。それで、国のほうも実は当時いろんな議論がありました。それで、本県のようなことをやるところとか、また、別の違ったアプローチをされた県なんかもありました。それで、そういう中で政府のほうで取られたのが検査命令を、怪しいと思ったとき検査命令をかけると、それで、例えばどこ、どこで検査してもらいなさいとか、あなたのとこで検査しなさいとか、それで、それと併せて、その結果が出るまでは販売しないようにというものであります。ただ、ここは実は違法性はないんですね。違法性はないけど、検査をしている間は分からないから販売止めるという理屈なんだろうと思うんです。それで、だから、事実上市場に出ること止めるんじゃないかということで私は当時、この国の改正は上手に行われれば本県のような効果ももたらし得るかなということで評価できるものがあったと思います。

 

 ただ、今回の1件については、実は大麻グミというのはあちこちで問題になってきたときに、速やかにその検査命令や停止命令をかけることっていうのは可能なのではないかなと思うんですね。この辺、運用の問題がもしかすると入っている。それでさらに言えば本県のように分子構造を特定せずとも、例えば健康被害があるときは、そういうものは売っちゃいけませんよと。それで恐らく今回認識してるんじゃないかと思うんです、事業者は。それで不思議なことをインタビューで言っています。用法に従って食べれば、食べ過ぎるからこうなったみたいな、それでこれ自体ナンセンスな話だと思うんですね。

 

 そういう、つまりある程度、ある意味こういう精神作用だとか、健康被害の可能性を認識しているからこそ、そういうことを言っているわけでありまして、それでそれが大麻とよく似た(成分)このHHCH[イキサヒドロカンナビヘキソール]、これを実は本人も入手した上で製造しているわけでしょうから。それでそのことは認識してるわけですよね。それで十分故意はあると思います。ですから、こうしたような丈夫な構造にしてしまえば、こうした問題に対していちいち次は今度また(分子構造の)どっか枝を取るとか、枝を伸ばすだとかそういうことでやってくるんでしょうけども。それをやっても同じような精神作用を及ぼすものであれば、それはやっぱり売っちゃいけないですよと。それで、いや、ちょっと変えたけど、どうなるか分からんけどちょっと売ってみようかであれば、もしかしたらそれはよく言われるものでありますけども、これで人を害することがあるかもしれませんがまあいいやという、こういう考え方でやった場合は、これは未必の故意ということにもなります。ですから、そういう意味で、やはり取り締まるためには鳥取県のようなやり方、普通の刑法に書いてあるようなものと同じように書くやり方もあるんではないかなというふうに思っております。政府としてはその運用とか、それから条文の在り方もこれからまだ多分展開してきますので、ぜひ鳥取のようなことも見ていただいて、本当の国民の安心を確立していただきたいと思っております。


○NHK 林直樹 記者

 

 NHKの林です。よろしくお願いします。コミュニティ・ドライブ・シェアについて2点お伺いいたします。まず1点は、資料のほうで5つの型、5タイプ、協働型だったりとか、住民共助型出していただいていますけれども、それはその5タイプを併存というか、併せてやっていくような形になるのか、時間別なのか、地域ごとなのか、どういう実情に併せてこの5つを導入をしていきたいというところをお考えを聞かせてください。

 

 それで、もう1点が、江府町ですとか、智頭町ですとか中山間地中心にまさに自治体が中心となって、住民バスであるとか、共助交通、2、3年前から取り組まれていると思うんですけれども、そういった自治体での取組も見ながら、今回のコミュニティ・ドライブ・シェアとして全県的にどのように進めていきたいのかというのと、例えば統合していくことになるのか、もう既にやっている自治体の取組はそれとして一緒にやっていくのか、その辺の何か全体のイメージ像ありましたら教えてください。

 

 

●知事

 

 はい。それについて発想は世情言われているライド・シェアと言われるものが既存のハイヤー・タクシー業界をはじめとしたそうした大切な社会ツールを逆に疎外してしまうんではないかということです。それで、残念ながら鳥取県はそんな大都会みたいにたくさんの人や事業者、あるいはベンチャーのスピリッツがあるかどうかというとちょっと疑わしいわけでありまして、それで、既存の資源としてそういうハイヤー・タクシー業界などと協力をしたほうがよっぽどよいだろうと。それで、今、智頭のお話がありましたが、日野自動車さんのそうした知恵を使って、それで、先ほど申し上げましたようないろんな有償の運送をするときに必要なその法的なこうプロセス、それで、これを遠隔操作で担保しようと。それで、これはちょうど(1)[交通事業者等と住民ドライバーとの協働型]のところにも当たるわけでありますけども、こういうものをやはり我々としても御支援していくということにしたいと。

 

 それで、こういうものを、いろんなカテゴリーのものがあると思うんですが、これ組み合わせていただいても結構ですし、通常は多分この単独のものでやられると思います。それで、それでも結構ですし、それで、ともかく今、買い物支援と一緒なんですが、地域において交通のアクセス自体が失われてしまって、社会機能が減退することにならないように、地域でもやはり協力をして既存の事業者も巻き込んでやっていく、これを全県的に展開していきたいというふうに思います。

 

 これがこれからの交通の1つの在り方、鳥取のような地方においては1つの基軸になるんではないかと思っています。それで、今の政府の議論をお伺いをしていますとタクシー業界が今、一定の営業をしていて、それで、そこにまたライド・シェアとして別のいろんな人たちが参入をしてくると、ここで競争をさせるという感じなんですが、それで、多分本県の場合はそうすると恐らくタクシー業界撤退してしまうという選択肢になり得るわけでありまして、それはかえって地域の交通基盤を失うということになるわけですね。だから、政府にはぜひこうした地方の実情に応じた地方型のライド・シェア、こういうコミュニティ・ドライブ・シェアというものをぜひ検討しいていただきたいと思っております。


〇山陰中央新報 岸本久瑠人 記者

 山陰中央新報の岸本です。ちょっと会見の内容とは異なるんですけども、島根の丸山知事が20日に中国電力に対して黒字のための株主配当を増やす対応を問題視して、電気料金の引き上げを直談判して求めるというようなことがありました。丸山知事のその行動や中電のその現在の姿勢に対してどう考えるのかということと、あと、電力会社から電気料金値上げの申請を受ける国に対しては何か何らかの対応を今後求めていくことについては、何かどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

●知事

 これについては丸山[達也島根県]知事のお気持ちっていうのは私も共有しております。やはり公益事業者として一定の料金を設定できるわけですし、そこに公が関与しながらセットをしていくわけです。それで、今現状は、実は電気料金が高すぎるということで産業、それから生活困難、いろんな波風を起こしているのもまた事実なんですね。それに対して政府としても対策を取って莫大なお金をつぎ込んでいるというような事情の中で、料金をやはり適正価格に持っていくという努力は公益の事業者なので一般の民間企業以上にそこは考えていただくべきものではないかなというふうに思います。

 また、併せまして、私どもは[島根原子力発電所]周辺地域だもんですから、実は電力料金についての特別措置が立地[地域]と違って適用されないということがあります。ただ、その辺はやはり電気の発電に、言わばその周辺地域も今回例えば後方支援の防災基地を造ったりして協力をしているわけでありまして、それで、そういうようなことにやはり料金上も応え得る制度もあってもいいんではないかなというふうに思います。今そうした意味で特定の立地地域にのみそうした料金設定がありますけれども、周辺地域についても考えていただくこともあるのではないかと思っております。それで根本論としては、もちろん雇用者もいてそれでその人たちの賃上げもしたり、それから投資もされたり、いろんな構造の中だとは思うんですけれども、やはり公益事業者の矜持をぜひ電力会社には持っていただきたいと思っております。


○山陰中央新報 岸本久瑠人 記者

 

 ありがとうございます。ちょっと追加で別件なんですけども、10日に細田前衆院議長が亡くなられるというようなことがありました。地方鉄道の維持や中山間地域の活性化などについて尽力されてきたと思いますけども、政治家としてこの功績について、どのように知事として見ていらっしゃるかというのと、隣県の島根県では竹下亘氏や青木幹雄氏など政界の重鎮が次々といなくなっている状況ではありますが、それについて何か思われることがあれば教えていただきたいと思います。

 

 

●知事

 

 まずもって細田[博之]先生の御冥福をお祈りを申し上げたいと思います。私もこのたび東京のほうで行われました葬儀に参列をさせていただき、お悔やみを御遺族の方にも申し上げたところでございます。細田先生は非常に山陰の実情、それから中山間地域人口減少過疎の問題に関心を寄せていただきました。それで、あるとき、東京のほうでいろいろ活動していたときに、細田先生からも声をかけられまして、例えば林業やっている人と、それから例えばタクシーの運転とか、そうしたものをみんなで協力しながら人を雇うような仕組みがあってもいいんじゃないかと、そういう協同組合方式を法制化してみることどうだ、いいだろうというようなお話をいただきました。それで、私ももしそうした制度をつくっていただければ、早速、県内でも使いたい地域もあるでしょうから呼びかけをしますというふうに申し上げまして、現実そのように動きました。それで、本県でもそういう対象地域をつくっていきましたけれども、それの背景にはやはり細田先生の政策への情熱があったと思います。

 

 それで、また、今回JRの問題がございまして採算が取りにくい路線について、仲間の知事さんたちと一緒に議連(ポストコロナの地方創生実現のための公共交通ネットワークの再構築を目指す議員連盟)のほうに要請活動をしたことがありました。そのとき、国会議員の先生の中には、やはりこうしたことは地方のほうで解決したらいいじゃないかと、国のほうの、国が例えばJRに対して一定の支援なり、それから関与をするということはいかん、あかん、みたいな議論も正直ありました。ただ、そのときに議連の幹部として細田先生が声を上げられまして、三江線の廃止ということがあったときに、バス転換の意味を痛いほどよく認識したとおっしゃっていました。それで、三江線のあったところに沿ってバスを設定するけども、それは結局地域の中だけの交通に過ぎないと。それで、それをつなげて三江線を端から端まで行くということは事実上無理だと。それで、やはり鉄道が通っていることと、それからバス路線に転換して、それで一定程度効能はあるだろうということは次元が異なると、非常に明確に重鎮として発言をしていただきました。

 

 そこにやはりお父様が日本国有鉄道の方だったということもあるんでしょうけれども、やはり細田先生の深い御洞察を見た思いがしましたし、大変に頼もしく、当時、我々も非常に歯を食いしばって論戦も挑んでいたもんですから、思ったわけでございます。そんな意味で大変に残念でありますが、我々もその志を継いで山陰の振興や過疎対策、中山間地対策、それからこうした交通政策などしっかりとその意味を我々も続けてまいりたいと思っております。

 

 また、青木[幹雄]先生、それから竹下[亘]先生、相次いで失われたことは山陰にとっても痛手だと思います。ぜひこれからまた、みんなで力を合わせながら国政においても発言力をしっかり確保できるように、私たちもプレーヤーとして努力してまいりたいと思います。青木先生、竹下先生も例えば道路の問題、山陰自動車道を通すことなどに本当に先頭に立って動いていただきました。また、私も最初に選挙に挑戦するときも、青木先生からもお声がけをいただきました。それあってから、あったからこそ今日の自分もあると思っておりまして、そういう意味で両先生に対しましても感謝の気持ちでいっぱいであります。


○日本海新聞 松本妙子 記者

 ライド・シェアの件でお伺いしたいと思います。4点ぐらいあるんですけれども、まず2点、簡単なところから。既存の共助交通事業とかもこちらの支援の対象になるのかということと、あと、(4)を除く(1)、(2)、(3)、(5)は市町村を介さないように直接住民団体とか事業者とやり取りをされていくのかという点を教えてください。

●知事

 (1)[交通事業者等と住民ドライバーとの協働型]、(2)[住民共助型]、(3)[事業者無償運送活用型]、(4)[市町村主体型]は市町村への補助制度がベースだと思っています。それから(5)[交通事業者主導型]につきましてはハイヤー・タクシー業界を通して事業者のほう、支援していきたいと思っております。それで、これらは今、中山間地を中心とした共助交通の仕組みをさらに発展させるものでありまして、従来の制度よりもこっちに乗っかってやっていただくということに今後していければと思っております。まず、議会のほうにも、こうした新しい補助システムというものを提起させていただいて、まずはスタートをさせていただきたいと思っております。従来のものをバージョンアップさせていくというイメージでございます。

○日本海新聞 松本妙子 記者

 ありがとうございます。そうしましたら、じゃあ、新しくスタートアップということで、また、来年、再来年以降も継続する必要があるのかなと思うんですけれども、そうしましたら、運行経費とか保険料とかも入っていますし、県財政に固定費が発生することになると思います。市町村、県のライド・シェアが主流になると、将来的な雇用費、固定費が抱え込まれることになると思うんですけれども、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。

●知事

 これはまた[令和6年度]当初予算で全体、関連の制度も含めて、包括的に再構成する必要があると思ってい・ます。ただ、今年度の負担も一定程度生じることは折り込んでいかなければいけないと思います。買物とか医療、そしてこの交通、これらが多分今の人口が減少している地域で大きな課題としてのしかかっておりまして、そういう生活機能を維持していく、そういう費用なども市町村とシェアをしながら、やはり県も公益団体として役割を果たしていくことが円滑な交通導入につながると思っております。

 したがいまして、これについては今年度負担も含めて、経常経費を中心にするということよりもやっぱりこういうようなチャレンジを応援するという気持ちは強いんですけども、ただ、一定程度やはりそうした事業運営に関わるところも折り込んでいきたいと思っております。それで、まずはこうしたモデル的な事業としてコミュニティ・ドライブ・シェアというものを導入させていただく、その旗を鳥取から掲げて、願わくば国もこうした事業のやり方に理解を示していただければなと思っていますが、仮に国が動かなくとも鳥取県はやっていきたいと思っております。

○日本海新聞 松本妙子 記者

 最後にもう1点だけ、すみません。例えば(2)とかですと、住民共助型とかですと、(1)、(3)ですね、住民が関わってくる事業になると思います。そうしましたら住民ドライバー、ボランティアの精神でされる住民の方の存在の地域差が生じる可能性も出てくるかと思います。いない地域の維持にはちょっと難しいのかなとも思うんですけれども、その地域差についてはどういうふうにお考えでしょうか。

●知事

 やはり人材の育成とか、それから話合いだとか、地道ではありますけど、そうしたことを並行してやっていかなければいけないと思います。(5)[交通事業者主導型]のところに事業者向けの人材育成のことはありますが、同様のことはそうした市町村との協調型でも展開をし得ると思っております。いずれにしましても、どこもいろんな話合いだとかを経て、ようやく動いていくというのが実情でございまして、それがこういう地域コミュニティの難しさでございますが、ただ、そういう中で持続していったり、成長していったり、例えば佐治のように法人化してやっておられるところもございますし、いろんないい事例をできれば横展開をしていって、皆さんがそれぞれの地域で交通を確保できるようにしていければと思います。どうしても地域ごとに事情の差があってやり方が異なって来ざるを得ないということはあると思いますが、その辺は柔軟に私どもとしては対応していければなと思っております。


日本海新聞 福谷二月 記者

 日本海新聞の福谷です。クリエイターズ・ビレッジついて伺いたいと思います。まず、講談社との連携のいきさつですとか、連携内容、あとはこの連携に関して講談社や集まったクリエイターに期待したいことというのはどういったところでしょか。

●知事

 これはやはりまんが王国ということがあり、それからそうしたクリエイター、ソフト産業そういう点で実は赤井[孝美]先生なども含めて研究会やったりしてまいりました。そういう検討の流れで発展していって、それで講談社さんが協力しようということにだんだんなってきたとこですね。それで、じゃあ、トキワ荘つくろうかということがこの趣旨でございます。それで、これで全国から恐らく今、割とインターネット等もありますので遠隔いろんなことが結構できるわけであり、必ずしも池袋周辺にトキワ荘はなくてもいいのではないか。それでこういう地方でのこういうクリエイタービジネスというのもが成熟してくれば、多分講談社さんが狙っておられるようなそういういろんな新しい作品づくりとか、それから言わばスターをつくっていくということも出てくるわけではないかなあと思っております。

 ただ、それをたった一人でやるんではなくてトキワ荘のように、将来の巨匠たちが皆さんでああだこうだ話し合ったり、助け合ったり、ときにはいろいろと反目もあるかもしれませんけども、そういうやはり土俵をつくること自体、鳥取県もぜひ提供してみてはよいのではないだろうか、こういう趣旨でございます。まんが王国の関連でフィギアの工場ができただとか、それから実際県内で活躍する漫画家ができたり、それから米子高校がまんが甲子園で初めて優勝したり、いろいろと我々が当初考えていたことが一つ一つ光が当たってきていると思うんですけれども、その一環として、さらに実際収益を上げて所得も確保しながらこうしたクリエイターとして成長していける土俵づくりっていうのを本県のほうでやり、願わくばこういうことが根づいて本県の中にそういう言わばクリエイターのまちのようなことになってくればありがたいんではないかなというふうに思っております。

 似たようなことは今、[鳥取市川原町]西郷[地区]のほうで陶磁器をされる方などそうした芸術家の集まりがあり、あれももともと少ないところにだんだんと引き寄せてきているわけですね。それで、そうした言わばマグネットのような事業になってくれば我々としては本望だと思っております。


○朝日新聞 大久保直樹 記者

 

 朝日新聞の大久保です。知事、大阪関西万博について伺いたいんですけれども、会場建設費、全体が非常に高くなっている点と当然鳥取県も関係する関西パビリオンの費用も1億5,000万近く上振れして議決したということがございました。これについての受け止めと、あと、経済効果が2兆円以上と言われていて多分そのベースというのが2,800万人の来場者目標だと思うですが、それを支える根幹というのがやっぱり海外パビリオンだと思うんですけども、何かそこも全然進んでなくて、これ大丈夫かなという不安がちょっと素人目に見ても感じられるんです。知事御自身どのように見ていらっしゃいますでしょか。

 

 

●知事

 

 私どもは実は関西広域連合で今おっしゃる関西パビリオンを出させていただいております。これについては広域連合の場で実は協議を重ねてきております。今回の上振れの費用について、これも三日月[大造]連合長を中心に話し合いをさせていただき、二度とこういうことにならないようにとか、あるいはちゃんと説明責任をやはり果たすことを、ぜひそうしたプロジェクトとしてもやっていただく必要があるんじゃないかとか、こうような議論をして上で、最後は万やむを得ないということで受け止めざるを得ないのかなと思っております。

 

 ただ、いたずらに、今後経費の増工につながらないように、そこはしっかり我々も言わば監視もしていかなければならないかなというふうに思っております。それで万博自体については、吉村[洋文大阪府]知事ともお話もした機会も何度かありますけども、間違いなくこれは当然やっていくことになるし、パビリオンの建設なども進めていくということは大枠変わってないと思います。それでメキシコなどが撤退をするという一方で、また参加される国もあるというふうにも伺っております。いずれにいたしましても我々、割と関西に近いこの地理を考えれば、やはりその経済効果、それが2,000億になるかどうかっていうのは正直分かりませんが、ただ、それをこうした山陰のほうに引き込んで来ることを、ぜひ来年度、来年度がその準備になると思いますが、そこでしっかり種をまいていかなきゃいけないと思っておりまして、関係部局のほうにはこの大阪関西万博のその成果、例えば観光だとかそうしたものがこちらに取り込めるようなプロジェクトを展開するようにということで申し上げております。

 

 今、例えばパートナーになる企業さんとか、それから今回コナン列車を12月の3日に走らせ始めますが、そうしたことなどしっかりと運行1年間でつくっていければなと思っています。イメージとしては大阪関西万博に来られた方が1つ周遊先としてこの山陰を考えていただく、鳥取県を考えていただくっていうものを例えばアプリの中に、今、JRさんがWESTERっていうのをやっていますが、ああいうものを関西万博絡めてですね、さらにバージョンアップをされていくんだろうと思うんですが、そういうところにやっぱり我々としても参入をしていくとか。それから旅行商品造成、それからパビリオンでのPR等々いろいろと活性化を来年1年仕込んでいきたいと思っております。

 

 

○産経新聞 松田則章 記者

 

 ほか、ありますでしょか。じゃあ、ないようですので知事、今日ありがとうございました。

 

 

●知事

 

 ありがとうございました。

 

  

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