防災・危機管理情報



 中部担当の自然保護監視員が、日々のパトロールの中で発見したこと、感じたこと等を綴りながら、中部地区の魅力的な自然の数々をご紹介します。
 

2017年8月31日

山の日制定記念 三徳山ふれあい自然体験教室

 山の日の制定を記念して、8月26日(土)に国立公園三徳山で、ふれあい自然体験教室を開催しました。三徳山でのふれあい自然体験教室は、今年で3回目になりました。

 当日は残暑が続く中、14名(大人11名、小学生3名)の参加者があり、三徳山周辺を散策して豊かな自然や歴史・文化を体感しました。

 まず、三徳山休憩舎でオリエンテーションを行った後、投入堂の見える遥拝所まで移動しました。遥拝所で投入堂を鑑賞した後、環境省の長房健人係員と番原昌子自然保護官補佐から三徳山の自然についてのクイズが出題されました。山のかたち、森林の特徴、大山や船上山との共通点など、参加者の皆さんはクイズに答えながら三徳山の自然について学習しました。

環境省による三徳山の自然についてのクイズ
環境省による三徳山の自然についてのクイズ

 続いて、三徳山がよく見える場所に移動し、大山自然歴史館矢田貝繁明館長の解説を聞きました。矢田貝館長からは、三徳山の地質や植物の特徴について大山と比較しながら詳しく説明していただきました。投入堂上部の岩は安山岩で下部の岩は凝灰角礫岩であり2種類の岩盤の境界が侵食されてオーバーハングした地形になっていることや、ブナは大山では標高700m以上で生育するが三徳山では標高400m以上で生育しておりこれは非常に珍しいこと、三徳山ではアカガシなどの常緑広葉樹とブナ・ミズナラなどの落葉広葉樹の植生が連続して見られるので貴重であること、大山では植林や田んぼで分断されていてこのように植生が連続していないこと、三徳山では森林を1000年切らずにおいて自然に残っているような森林があるので国立公園に指定されたことなどをお話しいただきました。

矢田貝館長の解説
矢田貝館長の解説【三徳山山麓】

 その後、矢田貝館長の解説を聞きながら、三徳山山麓の樹木や草本とふれあって三徳山の植生を体感しました。

矢田貝館長の解説
矢田貝館長の解説【クズの観察】

 矢田貝館長から、クズやカラムシの葉を使って音を鳴らす遊びの実演がありました。小学生の参加者を中心に実際に遊びを体験されていました。

 この他にも矢田貝館長からは、三徳山周辺の植物について詳しく説明していただきました。秋の七草の覚え方や特徴、オニグルミの実の観察とサワグルミとの違い、周辺に生育する希少植物、ミョウガの言い伝え、セミの鳴き声の聞き分け、イワタバコの観察など、実際に葉や実を確かめながら解説していただき、子ども達にも分かりやすいようにお話しいただきました。

 また、矢田貝館長から「三徳山や大山は神の宿る山として大切にされてきた。地形が急峻であることもあって、修験者は木を切らなかった。だから照葉樹や落葉樹の自然がたくさん残っている。人の手で破壊しないように後世に伝えて欲しい。」とまとめのお話しをいただきました。

 三佛寺本堂に移動し、三佛寺米田良中住職による三徳山の歴史や文化財の解説を聞きました。米田良中住職からは、役行者が蓮の花びらを空に投げた際にその中の1枚が三徳山に舞いおりたという開山伝説、開山から1300年の歴史があること、修験道の行場であること、昔は38の堂と3000の寺坊と3000石を領していたこと、投入堂は鳥取県唯一の国宝建築であり平安時代後期の建立であること、三徳山には投入堂の他にも棟札と古材をあわせて合計44もの国宝があること、三徳山は国の名勝史跡であって国立公園でもあること、文殊堂や地蔵堂などについて、質問を交えながら子供達にも分かるようにお話しいただきました。
 
米田良中住職の解説
米田良中住職の解説【三佛寺本堂】

 この他にも米田良中住職からは、投入堂の年輪年代測定、三徳山では神仏習合の名残で神社に関連するものが多くあること、三徳山と鳥取藩池田家との関係、三朝温泉白狼伝説など三徳山に伝わる伝説や民話を交えながら幅広く解説していただきました。

 米田良中住職から、源頼朝が奉納したと伝わる刀を見せていただきました。「850年前の平家全盛の時、源氏再興祈願のため源頼朝の家来大久保左馬之祐が三徳山にお参りした。その後、壇ノ浦で平家が滅んだため、源頼朝は三徳山に釣鐘と刀を奉納した。」と解説をしていただきました。参加者の皆さんは普段触れることのできない源頼朝奉納刀を手に持って触れ、三徳山の歴史を肌で実感していました。

源頼朝奉納刀
源頼朝奉納刀

 その後、三佛寺本堂前で参加者全員で記念写真を撮りました。

三佛寺本堂で記念写真
三佛寺本堂で記念写真

 宝物殿に移動し、三佛寺米田良順執事次長による解説を聞きながら、指定文化財を含む多くの寺宝を鑑賞しました。米田良順執事次長からは、投入堂の大正修理で取り外された国宝に附指定されている古材について詳しい解説をしていただきました。参加者の皆さんは国宝に手を触れて、投入堂の歴史を肌で実感していました。

 参加者の皆さんは、三徳山の自然や歴史・文化を堪能されていました。参加者の皆さんからは、次のような感想がありました。

~参加者アンケートから一部抜粋~
【大人の参加者】
 ・とても良かったです。
 ・分かりやすく説明していただき子供にもよく分かったと思います。
  貴重な体験をさせていただきありがとうございました。

【子供の参加者】
 ・楽しかったです。
 ・楽しく学ぶことができてよかったです。楽しかった!
 
 三徳山ふれあい自然体験教室を開催したことで、参加者の皆さんにとって山に親しむ絶好の機会となったようです。

 夏の暑さの中、ご参加いただきました皆さんありがとうございました。
 
 三徳山ふれあい自然体験教室の開催にあたって、ご講義いただいた大山自然歴史館矢田貝繁明館長、三佛寺米田良中住職、米田良順執事次長をはじめ、ご協力いただきました環境省大山隠岐国立公園管理事務所の皆様、及び関係各位には心より感謝申し上げます。

 ふれあい自然体験教室に先立ち、8月18日に投入堂まで登りました。平成28年の鳥取中部地震では文殊堂付近の岩盤に亀裂が入りましたが、現在は仮設の迂回路をつけられ投入堂まで登れるようになっています。自然や文化の魅力が満載な三徳山に、皆さんも是非お越しください。

中部総合事務所環境建築局 2017/08/31 in 国立公園,植物



問合せ先

中部総合事務所 環境建築局 環境・循環推進課

(自然公園担当)
電話:0858-23-3276  Fax:0858-23-3266

(野生鳥獣・狩猟免許担当)

電話:0858-23-3153  Fax:0858-23-3266

  
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