アケボノソウが咲く季節になりました。山野で、白い星の形をした清楚な花を見つけると癒されます。アケボノソウやセンブリの花を探しに出かけてみませんか?
アケボノソウ(リンドウ科センブリ属)は、山野のやや湿ったところに生える2年生草本。花弁(花びら)には、中央よりやや上方に直径1.5mmの円形黄緑色の2個の斑点があります。これは蜜腺(みつせん)といい、蜜を分泌するので昆虫が蜜を吸いに集まってきます。 蜜腺の上方には濃緑色の小さな斑点があります。和名は曙草で、黄白色の花弁に斑点があるのを、ほのぼの明ける夜明けの空に見立てたといわれています。
アケボノソウと同じくリンドウ科センブリ属のセンブリの仲間も、花弁に蜜腺があるので、一緒にご紹介します。
センブリ(リンドウ科センブリ属)は山野の日当たりのよい草地に生える2年生草本。花は直径2~3cm、花弁の基部付近に2個の蜜腺があり、その周りには長い毛があります。全草に強い苦みがあり、昔から健胃剤として有名です。千度振り出しても苦みが取れないので千振(センブリ)といわれたそうです。江戸時代後半まではノミ、シラミよけに使用されていて、健胃薬として使われるようになったのは明治時代以降のことのようです。
イヌセンブリ(リンドウ科センブリ属)山野の湿地に生える2年生草本。花はやや大きく、花弁の基部付近に2個の蜜腺があり、そのまわりに長い毛が生えています。全草に苦みがなく、薬用には用いられないようです。
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参考までに、同じセンブリ属のムラサキセンブリもご紹介します。
鳥取県内での自生は確認していません。この写真は高知県で撮影したものです。
ムラサキセンブリ(リンドウ科センブリ属)はセンブリに似ていますが、茎は太く暗紫色を帯びています。蜜腺のまわりの毛が長いので、蜜腺がはっきりしません。センブリと同様の苦みがありますが、薬用にはなりません。
日野振興センター 2017/09/28