鳥取県が平成22年度のカイゼン活動の取組開始にあたり、トヨタ方式を参考としたのは、「メッセージとしてわかりやすい」「とっかかりとしての一つの手法」との考えからです。
- 事務部門も含めた民間で実績のある手法であり、多くの成果を上げている。
- 「後行程が前工程に引き取りにいく」に象徴されるように、まさに県庁内の事務の流れであり、それぞれの職場内の協働作業あるいは、組織内のつながりを重視したカイゼンの取り組みは、県庁が取り組むべき仕事の進め方に合致する。
- トヨタ方式の基本思想が、「徹底したムダの排除にあり、現場におけるグループのカイゼン活動であるなど、理念が明確である。
- カイゼンを職員の創造性発揮に原点を置き、人材育成にもつながる。
- トヨタ方式には、今回のリコール問題への対応において見せたように、方向性の間違いを認識し、修正する動きを行う自浄作用がある。
「トヨタ方式」は、その基本思想として「徹底したムダの排除」があります。常日頃から業務にムダが無いか考え続け、それを実行し、カイゼンにつなげていくというものです。見かけの能率向上ではなく、ニーズや目標を見定め、「真の能率」の向上を目指します。
また、「トヨタ方式」の大きな柱として知られているのが「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」です。
前者は、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」供給するというやり方です。後先考えずにどんどんものを作れば、不要な在庫がどんどんたまっていきます。その在庫自体がムダである上、在庫管理のための倉庫の準備など、ムダな投資も生じます。そういったムダを無くしていこうというのが「ジャスト・イン・タイム」の考え方です。
後者の「自働化」ですが、まず注意していただきたいのが、「自動化」ではなく、ニンベンのある「自働化」と書かれていることで、その意味は、「動いていいかどうかも判断する」、「異常時には自らストップする。」というものです。具体的には、トヨタの生産工場では、生産ラインにおいて異常が発生すると、機械が自動的にストップし、監督者にそれを知らせる仕組みが設けられています。これにより、不良品であることに気づかずに生産が続けられるというムダが排除される上、本来人間が作業しなければならない内容が明らかになります。
トヨタ方式による業務カイゼンを理解するに当たってはいくつかのポイントがありますが、基本的なものを紹介します。