防災・危機管理情報

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4 将来ビジョンを実現するための手法  (2)「人財」の養成=鳥取県における「人づくり・教育」の重要性
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 人口最少県で、今後更に人口の減少傾向が続くと見込まれる鳥取県において、県民自らが創る、質の高い生活のできる「活力あんしん鳥取県」を実現するためには、「顔が見えるネットワークで協働・連携」することにより県民の知恵と力を結集させることが必要です。そのためには、あらゆる分野において、多数の「人財」(地域の宝である人材)が知恵と力を発揮して活発に活動することが求められます。
 特に、県内各産業等が国内外に力強く打って出たり、多様な産業分野が連携して新たな産業を創出したりするのに当たり、それらを支える高度な知識・技術・能力を持った「人財」は必ずしも充足している状況ではありません。産業界、教育機関、金融機関や行政が連携し、地域一丸となって県内産業の活性化を支える高度な知識・技術・能力を持った「人財」を育成・確保することが求められています。
 このような状況は、産業分野だけでなく、福祉・医療、芸術・文化、まちづくり、農林水産業など、多くの分野に共通しています。また、様々な活動のコーディネーター(調整役)の育成・確保も求められています。
  このような、地域に求められる「人財」を多数輩出し、「活力あんしん鳥取県」の実現につなげていきます。

 鳥取県で生まれ育った優れた「人財」は、県内で地域社会を支え、県外で就労・生活されている方でUターン後に、豊富な経験や知識、技能等を活かして県内で活躍し県を支えたり、県外から支援したりするなど、様々なかたちでの鳥取県への貢献・支援が期待されます。
 また、このような鳥取県を支える「人づくり」を進めることが、新たな地域の魅力となり、県外、ひいては国外からも注目され、「人」を鳥取県へ引きつけることにつながります。

 このような「人財・鳥取」を推進するための取組を進め、多数の「人財」を輩出するためには、「地域力」により、たくましい「人財」を育てることが重要です。本県の「人財」の養成に魅力を感じる県外の方が本県にIJUターンするような、本県の特性も踏まえた「人財」養成を進めます。

  

地域で「人財」を育てる「地域力」の強化

 先に述べたとおり、「顔が見えるネットワークで協働・連携」することにより県民の知恵と力を結集させて「活力あんしん鳥取県」を実現するためには、人口が少ない本県においては、地域全体の力を高め、地域の中で優れた「人財」を育てていく必要があります。

 これまで本県では、知的情報・活動拠点としての図書館、博物館等の充実などにより、地域のことを自分たちで決める意識の醸成等に取り組んできているところであり、このような取組が地域力の向上につながって行きます。また、高等教育機関も、県内の産業振興、地域活性化を始めとする多様な分野で地域との連携を強めてきており、拡大しつつあります。今後、更に地域力を高めていくためには、例えば、学校自体も更に地域に開かれ、地域から信頼される「人づくり」に対する考え方を地域と共有するとともに、地域が学校を支援し、支えたり、地域が積極的に人づくりに取り組むなど、地域力で教育・人づくりを進める体制を整えていく必要があります。

 また、若者も含め、従来よりも多様な各層の方が地域活動を行い、地域活性化に寄与するような環境や、仕事を退職して地域に戻った方やIJUターンをした方が、その豊富な経験や知識・技能を活かして、地域活動を行ったり、各種講座・催しの講師等になるなど、地域で活躍できる環境を整備するなど、「地域力」の底上げ・向上を図り、これを「人財」養成につなげていきます。

 本県では、かつて「様々な分野において、地域住民が主体となって、地域資源を活用して地域の個性を促し、地域全体を振興・活性化させる全県的な地域運動」である「ジゲおこし運動」に取り組んだ経験があり、地域の力を結集させる素地があります。このような経験も踏まえ、新たな地域づくり・ネットワークづくりを全県で展開し、本県に居住されている方々はもち論のこと、県外から本県に移住してきた方々、本県とつながりのある県外の方々も活動に加わりやすい開かれたネットワークの中で「人財」養成を進めていきます。

鳥取県の特長を生かした多様でたくましい「人財」の育成

 豊かな自然に恵まれ、都市地域でも中山間地域と比較的近接した距離にある本県で生まれ育つ子どもたちは、幼少期から、様々な体験を積み、仮想的なものでなく、自然など本物に触れて考える機会を多く持っています。また、小学校・中学校では少人数学級によりきめ細かい人づくりを行い、「朝読」(学校で行う朝の読書運動)等により子どものときから読書習慣を身に付けるとともに、自ら学ぶ能力を養うため、この時期から高校にかけて、学校図書館を充実してきています。

 また、本県の子どもたちは、幼少期から、清掃活動などボランティア活動に参加したり、また、学校行事等において環日本海諸国を始めとした外国人の方と触れ合う機会を多く持っています。安全で安心できる、本県の豊かな農林水産物を使った、家庭や学校給食等における食を通じて、幼少期から本県の「食」・食文化に触れる機会も増えつつあります。地域の中で伝統行事・伝統文化などにも触れ、また、地域のネットワークの中で大人に混じって活動する機会も多くあります。

 このような鳥取県で生まれ育つことの特長、長所を更に伸ばし、活用することを進め、幼少期から、様々な体験をし、多くの人と触れ合うことにより、多様な価値観があることを認識したり、国際的な感覚・視野を持つ「人財」、自分の考え方を持つとともに他者をいたわる心を持つなど、豊かな人間性・社会性を持つ「人財」、また、自ら考え、自ら決定できる自立した「人財」、相手に自らの考えを伝え相手の考えを受け取るコミュニケーション力の高い「人財」の養成を進めます。

  
 具体的に、幼少期からの「人づくり」を「地域力」によって進めるためには、「地域全体で子育てを応援すること」と「家庭・地域全体で子どもの教育を共に考え、支えること」が重要です。
  

地域全体で応援する子育て

 本県は、人口当たりの保育所数、子育て支援の拠点実施割合等が全国的には上位にあるほか、三世代同居率が高いなど、比較的子育てをしやすい環境にありますが、より一層、子育てをしやすい環境の整備を進める必要があります。

 子どもを安心して出産し、育てるための具体的な取組の方向性等については、VI育む(1)地域みんなで応援する「すこやか子育て」 以降に記載しています。

家庭・地域全体で考え、支える「共に育む教育」

 本県では、平成14(2002)年度から、小学校・中学校において独自に教員を増員し、少人数学級を積極的に実施しています。また、学校の空調設備整備、耐震改修工事などの環境整備を計画的に進めてきています。

 また、学力の状況について、平成20(2008)年度全国学力・学習状況調査の結果では、小学校6年生・中学校3年生で、国語、算数・数学ともに全国平均を上回っています。しかし、鳥取県の大学・短大進学率は平成3(1991)年から全国平均を下回っており、近年は7~8ポイントの差がある状況です。その原因の一つとして、自宅から通学できるような大学等の受け皿が少ないこと、本県の長引く景気低迷により、県外の大学等に就学させるほどの経済的な余裕がないこと等も挙げられますが、小中学校はもとより、高校段階での学力向上により一層力を入れる必要があります。

 これからの鳥取県の様々な活動を支え、地域づくりを進めていく「人財」を養成するためには、学習環境の整備や学力向上を含め、学校が家庭・地域と連携して、共に「人づくり」に取り組む必要があります。

 その具体的な取組の方向性等については、VI育む(2)「人財・鳥取」の推進 以降に記載しています。

 これらの取組を進めることにより、「自立したたくましさ」「豊かな人間性・社会性」「地域を支える力」「コミュニケーション能力」「国際的な感覚・視野」など、社会で力強く生きる「人間力」を備え持つ、たくましい「人財」を養成していきます。

  
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